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ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第七章 平和な乙女ゲームに転生したと思ったのに……

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68.ヒロインなんですが過去の軌跡を巡ってみました


 パンパンパンと軽やかに祝砲が響いた。

 ローランがテープを切ると、わぁっと地が響くような大きな歓声が響く。

 今日は、地下遺跡の修復が終わり、地下遺跡のプレビューが始まる日。

 その開会式にローランが参加しているのだ。

 地下遺跡の前には簡単な壇上が作られ、来賓という形で横に何脚か椅子が並べられているのだが、そちらに私たちも座って壇上のローランを見つめている。


 生徒会メンバーは、あの遠足の日に怖い目に遭わせてしまったお詫びの印だと遺跡の館長から地下遺跡プレビューの招待状が届いたのだ。

 クロトンは残念ながら、まだドラゴンのお世話で来ることができなかったが、クロトンを除く生徒会メンバーで訪れた。

 話し終わり、皆でテープカットをすると、大きく拍手が響いた。ローラン、さすがの人気だ。

 ローランが皆ににこやかに手を振ると、さらに一際歓声が強まった。


 ローランは手を振りながら、壇上から降りてこちらにやってきた。

 椅子に座り、ふぅと小さく息をついた。

 ヴィオレがすぐローランの後ろにつき、小さく声を掛ける。


「お疲れ、ローラン」

「あぁ。まさかこのまま話をすることになるとは思わなかったな」

「え、事前打ち合わせ無しだったんですか?」

「うん、でもうまくいったみたいで良かったよ。館長の押しが強くて断り切れなかったけど、受けて良かった。皆喜んでくれたしね」


 そう優しく笑うローラン。

 王子様に急に言葉を頂戴したり、前に立ってもらうのなんて結構失礼なことなような気もするけど、ソレイユ王国なのか、ローラン自体なのか、どちらもなのかよくわからないが、とてもおおらかだ。

 ソレイユ王国は結構な大国のはずだけど、王族と国民の距離が程よく近いこの雰囲気は施政者が良いからなんだろうな。


 そのうち、また大きな拍手が聞こえた。

 館長の話も終わって、いよいよ地下遺跡へ入れるようだ。


 館長はゆっくりと階段を降りながら、私たちの前で歩みを止めた。

 私たちも館長が目の前に来たところで立ち上がる。

 館長は左手を胸に当て、深々とお辞儀をしながら丁寧に話し始めた。 


「本日は皆さん、ご来場いただき誠にありがとうございます。先日は大変怖い思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。あれから、あのような地震が来ても安全なように、設備を整え直しました。これで、皆さんに安全に楽しみ学んでいただける場となったかと思います。今日は私がご案内させていただけれればと思います。よろしくお願いいたします」

「こちらこそ、よろしくお願いします館長」


 館長の言葉にローランは柔らかく返した。

 館長は私とセージの目の前に、一歩近付いて改めてまた深々と頭を下げた。

 数百年ぶりの地震だというし、あぁなることは誰も予測できなかったことだ。とにかく、私たちに怪我もなかったことだし、なんだかそんな風にされるのも少し気まずいような気もする。

 私は明るい声でセージに話しかけた。


「でも、あのおかげでセージと仲良くなれたもんね」

「……別に今までも仲が悪い訳じゃなかっただろう」

「うん、まぁそうなんだけどさ。という訳で館長、私たちの事は気にしないでください。安全性に更に配慮して整備してくださってありがとうございます。今日はよろしくお願いします」


 私がそう言うと、館長はほっとした顔になり、張り切って地下遺跡の方を手で指し示した。


「ありがとうございます。今日は皆さんに楽しんでいただけるよう、精一杯務めさせていただきます。さぁ、では参りましょう!」


 すっかり先日見た歴史オタクのわくわくとしたあの顔に戻っており、私たちは館長の顔を見て笑った。

 

***


「わぁ、素敵。地下遺跡の中だから暗いかと思ったけど、明るいね」


 ゆっくりと階段を降りていくと、大きく開けた空間に辿り着いた。

 おそらく前に閉じ込められた時にいた空間だと思うが、こんなに広く開けた空間だとは。

 そして、この長さの階段から落ちたのに無傷だったのは奇跡なのではないかと、自分の丈夫さと運の強さを実感した。


 天井は思ったよりもかなり高い、10メートルくらいはあるのだろうか。

 中の空間も広いようで、壁で仕切られているのですべては見えないが、随分と広く開けているようだ。どんどん人が入っていく。

 通路には赤い絨毯が敷かれ、出土品はケースの中に綺麗に並べられており、歴史にあまり興味のない私でも自然と心躍る空間になっている。


 館長は私たちの反応を見て嬉しそうに口元の髭を触りながら笑った。


「これは星燈祭でも使う、魔力を貯めた星輝石を使ったランプです。職員の魔力がある者で今回はこのように用意いたしましたが、ご来場の方が記念に作ることのできるように用意もしております。皆さんのおかげで光り輝く遺跡になるのです」

「わぁ、星燈祭の! これが? すごい、綺麗!」

「ははは、そうでしょうそうでしょう。そろそろ、学園も星燈祭の時期ですかな。私も今の妻と出会ったのは星燈祭の時でした。良き日になるといいですねぇ。」


 そう言うと、館長は懐かしそうに目を細めて笑った。

 最近色々な事が起こって忘れていたが、そうだ。もうすぐ星燈祭だ。

 

 星燈祭。フルグレの大人気イベントの一つ。

 この世界にはクリスマス、というものがないのだが、その代わり冬期休暇に入る前に冬の澄んだ空気に生える星燈祭というものを開催する。

 星燈祭は大きなもみの木に、生徒がそれぞれ星の形をした星輝石に魔力を込めて輝かせて飾るといったイベントだ。そして、その自分の魔力を込めた星輝石を好きな人と交換すると、永遠に結ばれるというそんな素敵な謂れもある。


 グラフィックの美しさもさることながら、この推しキャラと交換するというイベントがもうドキドキして、最高だった。

 

 私が目を輝かせてランプを見つめていると、館長は私を見てほほほと笑う。


「やはり、女性はこういったイベントが好きですなぁ。妻も学園生活の中で一番の思い出は星燈祭だと申しておりました。ぜひ、お帰りの際にランプに力を込めてみてください。では、この遺跡についてご説明を始めますね」


 そう穏やかに笑うと、館長は遺跡や出土品の説明を始めた。


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