表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒロインなんですが誰も攻略してくれません!~誰か攻略してください~  作者: minori
第九章 楽しい日々が帰ってきたと思ったのに……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
121/121

116.ヒロインなんですが、お助けキャラが不在で困っています


 しばらくすると風もビリビリとした稲妻も落ち着き、腕を下ろしてティアーユ様を見る。


 ティアーユ様は長く白い司祭服を未だにふわふわと風にたなびかせながら、困ったように笑いながら答えた。


「こうなるんだ」


「え……なんで、何が起こっているんですか?」


 言葉を失う私たち。ローランはこの状態になる事を知っていたようで、難しい顔をしながらティアーユ様を見つめている。

 ティアーユ様は空気を重くさせないようにか、あっけらかんとした口調で話し始めた。


「まぁ色々と複雑な事情が重なっちゃってよりややこしくなっちゃってるんだけどさ。殿下に話せたところまでは君達にも多分話せるから」


 そう言うと、またテーブルに戻り、先ほど座っていた椅子に座る。


「話せるところまで話すね。さっきみたいに、介入が入るから」


 介入ってなんだろう。

 さっきのすさまじい風のようなものの事だろうか。

 先ほどまで流れていた和やかな空気もあの風に吹き飛ばされ、皆真剣な表情でティアーユ様を見つめた。


「僕が長く生きている事はご存知の通り。ティアーユという長寿を意味に持つ花の名前はフルール姉様が名付けてくれたんだ。長い寿命を持つ種族なのに体が弱かった僕のため、そして……永くこの国を守る為にと」


 ティアーユ様の名前ってフルール様がつけたものだったのか。

 内心驚きつつも、ティアーユ様の言葉に耳を傾ける。


「先程、言っただろう。フルール姉様は自分の望みは強く深く胸の中にしまい込む人だったって。フルール姉様は神に愛されてたんだと思う。だからか、よくわからないけど、フルール姉様の望みは不思議とよく叶っていたんだ。フルール姉様が強く望んだから、僕はもう千年という時を生きている」


 千年。

 その途方もなく永い年月をただ願ったというだけで、ティアーユ様が生き続けているということ?

 フルール様の加護を受ける為に私達国民は好んで花の名前をつけるけど、ここまでくると祝福というより呪いの類に思えてくる。


 ゾッとした感覚に包まれて皆一同に黙り込んでいると、静かにセージが口を開いた。


「花の名前をつけるとフルール様の加護があるから皆花の名前をつけるという風習も関連していますか」


「そうだね。まぁそっちは風習の気が強いのかな、フルール姉様の力がどの程度作用しているのか。フルール姉様がつけたわけじゃないからね」


 そう返答をもらい、ふむ……とセージがまた考え込むような表情を見せる。


 ティアーユ様がまた話を戻した。

 

「まぁそういう訳で、僕から話せる事は少ないんだ。僕の存在自体が世界の理に外れている。今起こってる事も、何が起こるかも僕には大体予想がついている。でも、それを教えたり直接的に支援する事が出来ない。これ以上の介助は許されないんだと、神からの啓示なのかもしれない。正直分からない事が多いんだ」


 ティアーユ様でも分からない事が多いのか、と内心落胆した。

 しかし、神と直接対話できる訳でもない。何が起きているのか、永い年月で解釈する事くらいしかできないかもしれない。

 

 しかし、ティアーユ様から情報が得られないとわかった今、もう私たちに取り付く島が無くなってしまった。誰も頼る事ができない、そんな状態になった事を理解して、落とし穴に吸い込まれていくような強い不安感に襲われる。


 そんな中、ティアーユ様はふと表情を和らげ、いつもの優しい穏やかな表情を見せた。


「でもね、そんな中でも、これから起こる事で最善の結果となるように君達に援助してきたつもりだ」


 そして、また真剣で切実な眼差しで私達を見つめる。


「過去を探ってみて。目に見えるものだけで判断せず、色々な角度から見て。全てを見つけて欲しい。頑張って。そして、アイリス」


 不意に呼ばれ、ティアーユ様を見る。


「君は魔法のコントロールの仕方をよく磨いて。そして、よく探して欲しい。フルール姉様に関する事を」


 フルール様に関する事、魔法のコントロール……。

 家に何かあるのだろうか。早速、お父様に確認してみよう。


 それにしても、本当にいったい何が起こるというんだろう。

 ただただ心臓が胸を締め付けるような強く嫌な鼓動を打ち続ける。不安そうな顔を見たのかティアーユ様は殆ど私に視線を向けて優しく言葉を投げた。


「あとは、君たち次第だ。応援してるよ。僕もできる限り協力するから」


 そう微笑んで、ちょうど部屋にノック音が響く。時間が来てしまったようだ。


 私達はお礼を言い、ティアーユ様の元を後にした。

 扉を出て、神殿から出る間、私達は想定以上に重い事態に皆しばらく口を開けずにいた。


 先を歩くローランやセージ、クロトンの後ろで静寂な神殿を出て、鳥のさえずりや自然音が聞こえてきたところで、ようやくローランが口を開く。


「本当に、結構大変な事になりそうだね」


 私たちは固い表情のまま、ローランを見つめ返した。


読んで頂きましてありがとうございました。

良ければリアクションやブクマ、評価、感想をいただけるととっても嬉しいです!励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ