プロローグ~ヴァ―ランス対シュヴァリエ~
ギィィィィィィン!!
暗闇の宇宙に火花の閃光が飛び散る。
「くッ!」
ダイチはヴァーランスの機体をブースターを吹かせて後退させる。
今、レーザーブレードの競り合いで力負けした。
ヴァーランスの全長は十六.〇メートル、対するシュヴァリエの全長は三十三.一メートル。倍以上の差がある身長と重量から放たれる一撃は単純計算で倍の戦力差がある。
正面きっての戦いではまるで勝ち目がない。
こうして再び相対して、それを改めて思い知る。
「それでも、まだ――!」
あの時――木星での戦争時は戦えた。想いを口に出そうとして歯を食いしばって口をつぐむ。
あの時にはあったが、この時にはないモノがあったからだ。
「く!」
ブースターを吹かせる。
無いものを求めて仕方がない。今の戦力差を見極め、どう対処するか。どうやってシュヴァリエを倒すか。
今考えることはそれだけだ。
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」
気合の裂帛をもってブースターで突撃する。
気合というのは、機体に乗りうつる。だがバカ正直に正面からいくとさっきの二の舞いになって力負けしてしまう。
まずはハンドガンで牽制する。
バァン! バァン! バァン! バァン! バァン! バァン!
ハンドガンの連射でシュヴァリエは盾を出して防御する。
何発かは盾の隙間を抜けて、シュヴァリエの金属板に傷をつけることができた。
しかし、そこまでだ。ハンドガンでは、シュヴァリエの装甲に傷をつけられても、貫くことはできない。
それでいい! と、ダイチは考える。
ヴァ―ランスと一体となった今の目から見ても、シュヴァリエは巨大にして堅牢。巨人にしてそびえ立つ巨壁といっていい。
接近して得意の一撃をぶちかます。
それがシュヴァリエを攻略するためにダイチが打てる一手だと判断する。
ブォォォォォォォォォン!!
ブースターを吹かせて一気に接近する。
「レーザーブレード!!」
二丁のハンドガンを背中のバックパックにしまい、代わりに二刀のレーザーブレードを引き抜いて、斬りかかる。
二刀による同時斬撃を、腹に向かって放つ。
それをシュヴァリエは盾で受け止める。
これくらいでシュヴァリエは揺るぎもしない。それはダイチによくわかっている。
「そりゃ! どりゃ! でぃぃぃぃぃぃやッ!!」
それでも斬り込む。
斬り込んでいくうちに生まれる隙に一点集中するために。
(遅い! 弱い! ああ、ダメだ!!)
吠えるダイチの内心は焦っていた。
完全に力負けしている相手に対して、これで攻めきれなかったら反撃で負ける。それだけにここで攻めきる必要があった。
しかし、ダイチには違和感があった。
イメージしている自分の動きとヴァーランスの動きが違う。
明らかに遅い。明らかに弱い。
イメージしている動きならここで攻めきれて、倒せているはずなのに、違和感で攻めきれていない。
ゴツン!
そのうち、シュヴァリエが構えている片手剣の反撃にあう。
パワーで劣るヴァーランスは一撃で押し負けて吹っ飛ぶ。
「く!」
吹っ飛ばされた衝撃に負けず、体制を立て直す。ところで、ダイチはシュヴァリエの手持ちライフルの銃口を向けられたことに気づく。
「――ッ!?」




