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第15話 「眠り姫と精霊と(4)」

お待たせしました!

え?まってなかった?

そですか(´・ω・`)


また、夜が明けた。

やったことと言えば一晩中、眠っているリンを見ていただけ。

想い人といっても過言ではないリンが怪我をしたというのに我ながら落ち着きがありすぎる気がした。

リンが意識を失ったのも昨日俺が戦うことを選んだから。

平時の自分ならば、今考えると自分らしくなかった。

セオドア先生とここ数日特訓漬けだったとはいえ俺はただの学生だった。

人と争うことはあまりなかった。

争うほど自分の心をぶつけられる人がいなかったのも関係してるのだろうけど。


……結局、昨日の自分は自分と思えないってことなんだ。

昨日は戦闘することを選んだ自分が。

今は心が静まりきっている自分が。





「おはよう」


『おはようございます、校長先生。リンを診ていただけますか?』


校長はルリアのときと同様に夜が明けた後に来てくれた。

おまけにセオドア先生も。

何しに来たんだろ、おっさん。

なにはともあれ、校長が来たからには一安心かな?


「ところがどっこい」


『へ?』


「私ではこの子を助けることは不可能」


安心じゃなかったーーー!


『Hey!何を仰りやがっているのですか?』


「落ち着け」


『おいおいこの俺が落ち着いていないだって?HAHAHA、何言ってるんだい?』


「ぜんっぜん落ち着いて無いだろお前」


セオドア先生は突っ込み要因だったようダネ☆

俺は校長に頼れば大丈夫だと思っていたのに。

その校長が無理と言う。

不思議なほどに静寂を保っていた俺の心にさざ波が広がる。

さざ波どころか大荒れだ。


『…詳しく話を聞かせてください』


表面上は急に落ち着きはらっているみたいだけどかなり焦ってますよ、私。


「この呪いは彼女の(こころ)と外界の間に壁を創るもの。

その壁は人の魂の強度により強度を増す。そして―――」


『二〇文字くらいで簡潔にまとめてください』


だって人の心とか魔法のことなんて俺わかんないしね。

決して考えるのが面倒くさいわけじゃないよ?


「じゅうごさいいじょうはたにんがたすけることはむり」


二四文字……ギリギリセーフッ。

そういえば呪いをかけられたルリアを助ける前にも校長は変なことを言っていた気がする。





「これぐらいの年齢の子ならば私が治療できる」





たしかこんなことを言っていた。


『じゃあリンを助ける手立ては無いってことですか?』


後悔が胸をよぎる。

昨日はなぜ戦うことを選んだのか。

守りたい人がいたというのに、その人を危険にさらしてまでなぜ戦ったのか。

普通に考えて俺のせいだろjk。

うあぁあ、鬱だ。


「お前の表情は分かりやす過ぎるな。最後まで話は聞け、トキタ」


そんなに顔に出やすいの?


「まるで家族か恋人でも失ったかのような顔をしているぞ」


やーん恥ずかし、ってこんなことを続ける気にもなれない。

以前にもリンからからかわれたな。


『正直なところ、リンを失うのならば僕はここにいる意味を見出せません』


「話は最後まで聞け。理解する努力をしろ」


こえーよ、先生。

堅気の人とは思えない目をしてやがる。

ともかく、セオドア先生の口ぶりだとリンを救う手立てはあるようだ。

落ち着こう。


「この子が今助かるには自分で壁を壊すしかない。けど方法はある」


『そう聞いて、俺が協力しない訳がないでしょう』


考えるまでもない。

むしろ答えることさえ必要ない。

俺はリンのためにここにいるのだから。


「即答、か」


『でもわざわざこんな説明をするなんて。あれですか、その方法だと俺の命の危険でもあるとか?』


この展開ならそういうことだろう。


「君はともかくこの子に危険はある」


「というかトキタはどうでもいい」


なんて教師陣だよ、この学校は!


『……貴方達のボケには突っ込みませんよ。

それよりも、リンに命の危険があるような方法試せるはずありません』


「その危険も君次第」


『とりあえず俺はどうすれば?』


「この子の魂と君を繋げる」


『つまり?』


「本契約を結んで」





本契約。

先日、リンから聞いた話を思い出す。

召喚者と精霊との間にマナラインをつなぐ儀式。

通常は精霊は魔力供給無しで現界し続けることはできない。

しかしながら俺はその必要がなく、何の問題も無かったためそれを結んではいない。

とまあ、いろいろとそれらしいことはともかく俺が想像したのは―――





「キスして」


『ぶっはあーー!急に何すか?校長!』


「この部屋の外にいるから。ここからは若い人に任せます」


「……がんばれ、トキタ」


具体的には他に言うことないのか?

校長は一度も振り返ることは無く、セオドア先生は憐れんだ目をしてドアを閉めていった。


『なんて大人たちだよ』


ふと言葉が漏れてしまったものの、返してくれる人はいない。

そうだった、今この部屋にいるのは俺と眠ったリンだけ……。


俺と眠ったリンだけ。



俺とリンだけ。




2人きり。






今からするのは契約。







そして契約=キス。

思考停止。

……しそうになったが状況が許してくれない。

リンを助けたい。

ならば、俺がすることは決まっている。

俺の葛藤なんてどうでもいいし、リンにどう思われたってかまわない。

俺は覚悟を決めた。

なんて格好つけて考えてみたけどいまからするのは無防備な女の子を襲うことなんだけどね!


『他意はないぜ』


キリッと誰にともなく言い訳をして、今度こそ俺は覚悟を決めた。

寝転がっているリンを見る。

いつもの凛とした表情とは違い無防備に眠る姿は幼く見えた。

寝顔が可愛いって犯罪です。

細かい描写をしたらキリがないのでこれだけにしときます。


『リン、寝てる所にってのは卑怯かもしんないけどゴメン。

やましい感情がないって言ったらウソになっちゃうけど、君を助けたいんだ。

あとから存分に怒ってくれて構わない』


我ながらくっせぇことを言っている自覚はあります。

それでも、けじめってやつです。


『起きてください、お姫様』


あーあーあー。

これ思いだして三日はもだえ苦しむ自信がある。

こんな感じに自分をごまかしつつ、俺はリンに口づけをした。




今回も閲覧して下さった方、お気に入り登録をしてくださっている方ありがとうございます。

更新遅くなり申し訳ありませんでした。


予定ではこの眠り姫編?はサクッと終わらせるつもりだったのですがもう少しかかりそうです。自分の文章力ェ…。


彼方がリンとついに(キス)しやがりました。爆発してしまえばいいのに。


それではまたのお越しをお待ちしています。

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