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第1話 「名前を教えて(前)」

完全に思いつきではじめてしまいました。誤字・脱字があればご指摘ください。黙って直したりしますので!また設定等穴があるかもしれませんが、スルーもしくはこちらもご指摘を(書きかえられるかはわかりませんが…)


通勤、通学などの暇つぶし程度に気楽に読んでいただけると幸いです。

手元の携帯ゲーム機の液晶には一対の飛竜が俺の分身たる狩人を狙っていた。あと一回やられればクエスト失敗となる。ここは慎重に…


「ちょ、ハメ」


…慎重になるまでもなく我が分身は葬られていた。画面にはクエスト失敗の文字が踊っている。


「いやいや、あんな息の合った攻撃避けられるか」


まさか二方向から同時に火球が飛んでくるとは、流石夫婦だ・・・リア充爆発しろ。

いくら竜とはいえ、カップルとは俺のような独り身には憎い。


「っと、もうこんな時間か」


ベッドの脇に置いた目覚まし時計がさしている時間は午前2時。

明日も学校があるしもう寝るか。

俺は悔しさを噛み締めつつも部屋の明かりを消し、眠りの海へ落ちていった。







夢を見ている。明晰夢というやつか、意識はうっすらとだがある。


《汝は我が分霊(わけみたま)》


どこからか響いてくる言葉は俺が初めて聞く言語だ。


《汝は我が剣》


だというのに内容はしっかりと頭に入ってくる。


《汝は我が盾》


凛として、まだ若さも感じられる女性の声。


《我は汝の分霊(わけみたま)》


歌うように言葉を詠む様に自然と聴き入ってしまう。


《我は汝の担い手》


彼女の居る所へ、と精神(カラダ)は彼女の元へ惹かれ始める。


《我は汝の灯》


それはまるで羽虫が火の中へと身を投げるかのように。


《我は何時如何なる場所でも汝と共に在る》


行ってはいけない、と理性が叫んでいるがそんなことはどうでもいい。


《我は汝を受け入れる》


俺が生まれたのはきっと彼女に出会う為なんだから。


《汝は我を愛して欲しい》


俺は彼女を愛する為に生きてきたんだから。


《誓う》


だから


《精霊よ来たれ!》


俺は日常を踏み外す。






微睡の中から抜け出すと薄く紫色に光る魔法陣の中央に寝間着のジャージのまま俺は立っていた。

辺りは暗く俺の前に立つ人影以外には見ることが出来ない。しかし多くの人間の気配は感じ取れる。


『…こりゃ夢か?』


さっきまで俺は自室のベッドでゲームをしていたはずだ。つまりこれは夢ってことだな、うん。


「いいや、違う」


『ひぃんッ!?』


とととっ突然声を出すなよっ。


「…?それは貴方の世界の挨拶なのか?」


薄闇の中から一人の少女が俺へと声をかけてきた。


「む、それよりもだ。貴方は私の召喚に応えてくれたのだな」


しょうかん……召喚?

だんだんと目が暗闇に慣れてきて目の前に立つその少女の容姿がわかってくる。

魔法陣が放つ光を反射して艶やかに輝く腰まで届く黒い髪。

少し太めの眉に強い意志を宿した黒い瞳。

今は嬉しいことでもあったのだろうか、その瞳はほころんでいる。

そして綺麗な鼻と瑞々しい唇。間違いなく美少女である。

歳は高校生ぐらいだろう。ただ服装はローブ。

「名前を教えて頂けないだろうか」

凛とした声は先程のもの。だが、状況が解らない以上迂闊なことは出来ない。

ここは疑ってかかるべきだ。


『……』


迂闊に何か言って大変なことになりたくないしな。


「教えて、くれないのか?」


『ども、時田彼方(ときたかなた)です』


ポロッと本名言っちゃったー!

美少女の質問を無下に出来るかっ。


「トキタカナタ?」


『時田が姓で彼方が名だよ』


「じゃあトキタ様」


様って…


「貴方の属性を教えてもらえないだろうか?」


黒い瞳は先程と違い不安に揺れている。

だがしかし召喚といい、属性といい先女が何を言っているかわからない。

だんだんと混乱してきたぞ。


『ごめん、何を言ってるのか俺には全然わかんない』


「え?」


「とりあえず召喚は済んだんだ。次の奴もいるんだから今日はさっさと自室に戻れ~」


唖然とする少女と俺の後ろから男の声がした。


「ですが先生ッ―――」


「落ち着け。召喚直後に精霊のほうに記憶やら意識に障害が起きるのはそこまで珍しいものじゃない。

とりあえずリンクをじっくりと確認しな」


「…わかりました。トキタ様こちらへ」


『はぁ』


先生と呼ばれた男に説得され少女は渋々と歩きだした。

俺だけ置いていかれているようで気に入らないが今は彼女に着いていくべきなのだろう。

ちらりと先生のほうを見たが部屋の暗さで表情を読み取ることは出来なかった。


彼女の後を追い、暗い部屋を出ると石造りの廊下になっていた。某眼鏡少年魔法使いの学校のようだ。

外はまだ太陽が中天にあり、昼ごろかな。

廊下にはローブ姿の少年少女が20人ほど並んでいて、部屋から出てきた俺を驚いたように見ている。


「人型ってかなり高位の存在なんじゃ」


「あいつ召喚まで規格外ってどんだけ化け物だよ・・・」


「化け物なんて聞こえたらどうするの・・・」


「こ、こっち見てるよっ」


『えーと、こんにちは?』


とっさに愛想笑いを浮かべ彼らに挨拶をした。


「「「……」」」


シカトされた(´ω`)


「トキタ様こちらへ」


例の黒髪美少女が俺に声をかけてきた。立ち尽くしていた俺に痺れをきらしたのだろう。

ローブ集団を背に俺は彼女についていくことにしよう。


彼女の後をついていくと、これまた古めかしい部屋に案内された。

ベッドや机、ソファなど必要最低限といった風ではあるが人が暮らしている生活感があった。おそらく彼女の自室なのだろう。

部屋につくと俺がソファに彼女がベッドに腰掛けた。

そうして彼女は今まで我慢していたかのようにいきなり質問を重ねてきた。


「貴方は精霊ではないと?」


『うん、ただの人間だよ』


「で、ではなぜ精霊召喚に?いや人間ならば何処から来たというのだ?ラック共和国か?それともリンドウか?」


『落ち着いてよ。ラック共和国とかリンドウなんて知らないよ俺』


「ならば記憶を失っているのか?」


『ううん、記憶はしっかりとあるけど……』


「此処とは違う世界ということか?」


『そうなるのかな~』


「では偶然私の召喚に…」


ひどく落胆した様子で少女は呟いた。

それはまるで親族を失ったかのような表情で罪悪感を覚えた。

俺はこの世界に召喚されたなどと聞いても信じられない。

訳のわからない状況に泣きたい気分だ。

でも彼女のそんな表情を見ていたくなかった。


『君の名前を聞いてもいいかな?』


「え」


『俺ばっかり名乗ってるのも不公平だろ』


重い雰囲気をどうにかしたくて笑いながら尋ねる。上手く笑えたかは不安だが。


「ふふ、それもそうだな」


ほんの少しだが笑ってくれた。


「私の名前は」



―――――――!



突如近くで鳴り響いた轟音で少しだけ明るくなり始めていた空気は吹き飛んだ。

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