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第020話 スキル覚醒・裏レシピ


 基本的にこの街の時間の概念は希薄だ。


 何せ年がら年中明かりがともされているし。

 ここは地下の中だ。


 昼夜感覚はバグりやすい。

 しかしドワーフは慣れた様子でそんなこと屁とも思っていない。


 時間にして17時、店舗設営が終わったロイドは仮眠を取ろうとしていた。


「もう寝るのか?」

「千年祭は今夜0時から始まる、今のうちに寝とかないと」


 周囲を見渡すと、周りの露天商のドワーフも幾人か寝ていた。


「……二号、一号は?」

「一号はゼルエル様と行動を一緒にしているみたいです」

「気に入られてるなぁ」

「ですね」


 一号の相棒として付かせていた二号はどこか気が抜けた様子だ。


 比翼の鳥は相方の翼がなければ飛べない。そんな感じ。


 一号を失って元気なさそうな二号を気にかけていると。


「――霧島才蔵殿でよろしいか?」


 死角からおっさんの名前を呼ぶ声がしていた。


「はい、私が霧島才蔵ですが?」


 振り返り、返事すると不思議な出で立ちの少女がいた。

 少女とも、女性とも表現しづらい年齢の人で。


 長い髪の毛を手毬のように二つ結いにして豪華なかんざしを施し。

 白い化粧には墨の眉とおちょぼ口のように彩られた口紅をつけて。

 白を基調とした金銀の羽織を召した人だ。


「私はエルドラドの巫女、今回のノーム様の依り代です」

「え、えっと、そ、そうですか。はは、おっさんには何用でしょうか?」

「ノーム様より言伝を預かっております、そのままでいいのでご拝聴ください」


 え? 急に何のイベント始まった?


 エルドラドの巫女様は神秘的な空気で、彼女の声がやけに頭に残った。


「其方を調停者の使者として認め、私もまた力を与える。とのことです」

「そ、そーですか、ははは、や、やったー?」


 状況を理解してないおっさん場違いな感じでコロンビア。


 すると、おっさんの肩に暖かいものが宿った感じがした。

 よくわからないけど、慢性の肩こりが取れた気分!


 っていうのは重要じゃなくて。


『裏レシピを獲得しました』


 おっさんのスキル【クラフト】が裏レシピを獲得したって言ってる。


「ノーム様は貴方に好意的なようです、これからも我が子を頼むと仰っております」

「あ、えっと、あ、ありがとう御座いましたとお伝えください」

「はい、では後はよしなに」


 おっさんは巫女様とお辞儀し合うと、彼女は消えてしまった。


 何が起こったのか困惑中だが、裏レシピってなんだ?


 おっさん、試しに適当なレシピを開いた。


==========================================

レシピ名:カレー

必要材料

・ゴルディックの枝葉

・レディボーンの粉末

・水

==========================================


「うーん、特に変わった感じはしないけどなぁ?」


 おっさんがここに来た最初に思いついたレシピで。

 ここにやって来て最初にクラフトしたカレー。


 割と好物で、その後も幾度かクラフトしていたから内容も把握している。


 レシピにはどこにも変化はなさそうだった。


 ふと、二号がおっさんを見ていた。


「……才蔵様、カレーうどんとはなんでしょうか?」


 カレーうどん?


「カレー味のうどんだよ、服が汚れやすいけど、美味しいから人気高い。言わば罪の味だな。けどなんで急に?」


 突然の質問に聞き返すと、二号は「書いてあるからです」と答えた。

 まさかと思い、カレーのレシピの裏面を見るようひっくり返すと。


==========================================

レシピ名:カレーうどん

必要材料

・ゴルディックの枝葉

・レディボーンの粉末

・水

==========================================


 裏レシピって、これのことか!?


 材料は同じだったので、試しにクラフトしてみる。


 すると丼に盛られた香ばしいカレーうどんが出来たのだ。


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