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Give and Take ~for girls 留学編  作者: 月岡 愛
32/55

祖母の家に到着

(愛、この川みたいなのは?)


(これは、呑川っていうの。蒲田じゃ有名なドブ川よ。笑)


(なんかすごい色・・・・)



ティファニーもセギョンも、祖母に家にきたときにここで同じことを言ってたな。



(でも、昔はきれいな川で、魚とかもいたんだって。)



(日本ってやっぱ変・・・)



そんな話をしながら、祖母の家へと着いた。




(あら・・・愛、長旅で疲れたろう? 早く入りな。)



(コンニチワ。ハジメマシテ。エリカデス・・・)



(まぁ、いらっしゃい。可愛い子じゃないか? 少しティファニーに似てるんじゃないかい?)


(ハハハ、性格もそっくり。笑)


(愛、何、笑ってるの?)


(なんでもないよ。笑。 入ろ)



祖母の家に来るとまずは(お風呂)。ゆっくりと入り、その後に食事だ。



(2人とも、お風呂に入りな。着替えはそこに置いて。)



女2人、入浴タイムだ。 ババッと服を脱ぎ、素っ裸になり湯船に入った。


(ひゃー熱い!!!けど、気持ちいいね。アメリカではこんなのないよ。)


(お祖母ちゃんの家は、お風呂が広いんだ。だからゆっくり出来るよ。)



ティファニーとセギョンともこうして入ったな・・・どうしてるだろう? 連絡も全然してないな・・



湯上りには、祖母が(浴衣)を用意していてくれた。


(これは?)


(これはね、浴衣っていって日本では、旅館とかで着る部屋着のようなものかな。夏になると花火大会やお祭りで着るよ。でも、今はあまり見ないよね。)


(浴衣・・・・ねぇ・・・)



(上がったかい? じゃ、エリカに浴衣を着せてあげるから。)


祖母が手際よく、エリカに着せていく。 私も着るにはいいが肝心の帯がダメだ。


(エリカに着せたら、帯、やってあげるから。)


やはり昔の人は、なんでもできる。 私も祖母みたいに家のことを出来るような女になってみたいものだ。



(はい!これで、2人とも大丈夫だ。寝るときにはまた解いてやるからね。じゃ、夕飯にしようかね。)



(なんだかすごく着心地がいい。こんなの着たことないな・・)


金髪のアメリカ人の浴衣姿も、なかなかカッコいい。 2人でインスタ映え。



祖母の夕飯は、ブリの照り焼き、卵焼き、しじみのお味噌汁、そして白菜の漬物、それにまぐろの佃煮、イカの塩辛なんてものもある。


(アメリカでは、こういう食事はしたことあるのかい?)


(エリカの家族は、日本食が大好きなの。お祖母ちゃんも鹿児島生まれの日本人。)


(そうなのかい? じゃ、大丈夫だね。)


(でも、私、日本食は好きだけど、こういう感じでは食べたことないよ。)


アメリカと日本とじゃ、食卓も違うし、それに日本食とはいってもアメリカ人好みの味だろう。でも、本場の日本食、それも祖母の手作りだ。 豪快に食べろ!エリカ!



(イタダキマス。 ニホン、スキデス。)


(たくさん、食べな。ごはんも美味しいからね。エリカ、日本語、上手じゃないか。笑)



祖母と私とエリカ、3人での食卓。 こうして日本でごはんを食べるのも久しぶりでなんだか新鮮な気持ちになる。 姉妹と祖母・・・そんな感じにもなってきた。


(愛、このごはん、お米、なんていうの? 私、こしひかりしか知らないよ。)


祖母に聞いてみた。


(このお米はね、新之助って言って新しい新潟のお米なんだ。お祖母ちゃんは新潟生まれだから、まだ故郷に知り合いがいてね。孫が帰国するからって、お願いして送ってもらったんだ。 美味しいだろう?)



(ゴハン、オイシイデス。 ニホンノオコメ、ダイスキデス。)


(もうエリカは私の孫だよ。家に住みな。笑)



(このブリって魚、すごく美味しい。こんなにやわらかい魚、食べたことないよ。それにこの白菜? ピリッとして歯ごたえがありごはんにすごく合う。 お味噌汁も美味しいし。)


エリカもしゃべりながら、バクバクと食べている。 私もブリの照り焼きが、ごはんにぴったりとマッチし、箸がどんどん進みやがる・・・


(エリカは、箸が上手だね? アメリカでも箸で食べてるのかい?)


私が訳すと、


(家ではほとんど、箸だね。ナイフとかは外食か大学くらいかな。)



(ワタシ、ニホンノハシ、スキデス。イマモ、ツカエマス・・)


(ちゃんと日本語話せるじゃないか・・・上手だよ。)


(アリガト、ゴザイマス。)




食事も終わり、祖母の片づけも一緒にした。 祖母がお茶を入れてくれた。


(わぁ、美味しい。このお茶は?)


(これは緑茶。煎茶っていうの。)


(愛の家って、美味しいものがあっていいね。あ、お祖母ちゃんに戦争の話、聞いてみてくれない?)


そろそろ、本題となった。帰国した目的は戦争のことなのだ。



(この蒲田の辺りも、空襲とか凄かったの?)


(凄いなんてもんじゃないよ。あのときの光景は今でも目に焼き付いているよ。)


祖母が語りだした。



(この大田区は町工場が多くて、それに羽田には滑走路もあったんだ。だから東京大空襲のときは、真っ先にこの蒲田、羽田に来たんだよ。)


私もエリカの同時通訳だ・・・



(今とは違って、この辺も髙い建物がなかったから六郷の方まで見渡せたんだ。もう、空が火で真っ赤になって火の粉が、舞ってるんだ。 お祖母ちゃんもまだ小学生の子供だろう? もう逃げるのが必死で、どうにもならなかった。)


(家族とか兄弟はそのときどうしたの?)


(空襲のときは夜だったんだ。兄弟、姉妹は疎開にいってるのもいて家にいたのは、両親と弟だけだった。さぁ、これから寝ようってときに、突然、警報がなったんだ。もう、家を飛び出て見ると空にはB-29がたくさん飛んでるんだ。慌てて庭にある、防空壕へと向かったんだけど、激しい空襲で身動き出来ないんだよ。)


(それで、弟と両親は?)


(もう、一つになって固まってどうしようもない。 しゃがみながら、進んでいくと隣の家のおばさんがいたんだ。一緒に、逃げようって近寄った瞬間、そのおばさん、上空からB-29からの銃弾を浴びて体ごと無くなったんだ。 もうそのときのことが未だに頭から離れなくてね・・・)


お茶を飲みながら、私もエリカも手が止まった。


(決して忘れることはできないけど、でも、もうあの時代には戻りたくはないねぇ。 ところで、鹿児島にいくんだろう? でも、この年末、飛行機も新幹線も無理だよ。)


(でも、格安航空券で行けば大丈夫って、エリカのお祖父ちゃんが言ってたけど・・・)


(それは、無理だよ。年末で取れないからそういうチケットが売れるんじゃないか・・)


(でも、もう来ちゃったし。 )


(いつまで日本にいれるんだい?)


(大学が始まるのが1月の半ばで、それまでにアメリカに戻れば大丈夫なの。)


(だったら、お正月もここで過ごして、4日あたりに出発すればいいんじゃないかい?宿泊だって食事だって結構、お金がかかるだろう。それに年末年始はお店やそういう施設がどこも休みだよ。鹿児島なら尚更じゃないか?)


祖母の言うとおりかもしれない。日本に着いたときにはクリスマスも前日に終わっていたし、今年もあとわずかだ。ここは祖母の家で情報収集をしゆっくとお正月を迎えるのが先決かもしれない。この蒲田でも戦争のことは調べられるはずだ。 鹿児島にはそれからでも遅くはないだろう。


(愛、ここはお祖母ちゃんに甘えさせてもらってもいい? 私も自分から言い出して悪いけど、現地にいったとしても日本のお正月にぶつかるし、それに肝心の戦争に関する施設も休みになってるし。)


エリカがそうなら私も一つ返事だ。 無謀にもLCCチケットの手配もせず、思いつきで来てしまったが、ここは祖母にお願いするしかない。


私もエリカもこの年末年始は、祖母の家で過ごすことに閣議決定した。



(一週間ほどあるから、のんびりして過ごしな。 何も心配しなくていいからね。)



祖母の温かい言葉には、本当に頭が下がる。
















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