ノアル、ヒーラーと出会う
プチョマチョゲスを撃破した3人(?)は、森の中を歩き続けていた。
えーっと……今回、3話目!
でも、まだ最初の場所からあまり移動してない……。
牛歩? 牛歩なの!?
この作品、ちゃんと10話で終わるの!?
「あれ?」
リンディが茂みの中に何かの気配を感じ、立ち止まった。
(……何かいるわ)
ドンッ!
「いった~い!」
急に止まったリンディに、ノアルがぶつかる。
「リンディさん! 止まるなら止まるって言ってくださいよ!」
ノアルは抗議した。
だが、この世に「はい! 今から止まりまーす!」と言って立ち止まる人間がいるだろうか……。
「しっ!」
リンディがノアルを制した。
(え、何? 何? もしかして森のクマさん?)
リンディの真剣な表情をよそに、ノアルはワクワクしている。
ちっちゃいオジさんは、バッタとどちらが高く跳べるか競争していた。
ガサガサ……ガサガサッ!
「何かいるわ……警戒して!」
リンディが身構える。
すると次の瞬間──
茂みから、1人の少女が這い出してきた。
「うえ~ん……ここ、どこよぉ……うえ~ん……」
少女は泣き出す。
(モンスター……ではなさそうね)
リンディは、ほっと胸を撫で下ろした。
◇
「私の名前は、ソフィって言います! まだまだ実戦経験は少ないですが、ヒーラーです。そして、高等回復呪文も使えます! えへん!」
ソフィは得意げに胸を張った。
「よろしくね、ソフィ。私はリンディ。そして、こっちが──」
「ノアル! 松下ノアルっす! 夜露死苦!!」
ビシッ!
ノアルが謎のポーズを決める。
リンディは思った。
(なんか今……リーゼント頭でウンコ座りしてる男が見えた気が……)
ノアルの迫力に、幻覚を見ていた。
(な、何……この娘……?)
ソフィは完全に圧倒されている。
そして、彼女はちっちゃいオジさんの鋭い視線に気づいた。
「オマエ、コロス!!」
「ひっ……!」
ソフィはビビり散らかした。
(何なの……この人たち……。やっぱり私、“仲間運”ないんじゃ……)
「ところで、ソフィ。どうしてこんな森に?」
リンディが尋ねる。
「仲間と……はぐれてしまって……」
ソフィはしょんぼりとうつむいた。
その横で、ノアルとちっちゃいオジさんは、かくれんぼに夢中だった。
「仲間?」
「はい。カイルさんっていう剣士なんですけど……一見、爽やかで強そうなんです。でも、変な人で……」
「変な人?」
「スキルを使うと……全裸になるんです……」
(ぜ、全裸!? だ、ダメよ! 10歳少女と全裸男なんて!! そんなキャラ出したら、この小説が危険な方向へ行っちゃう!!)
リンディは焦った。
「……そ、そう。でも、そんな人とはぐれて良かったんじゃない?」
物語の健全性を守るため、必死に軌道修正する。
すると、ソフィが泣き出した。
「うぅ……私、いつもそうなんです……。まともな仲間に出会えなくて……」
ぐすっ、と鼻をすする。
「ヒーラーとしては、高等回復呪文も使えるのに……“仲間運”がなくて、まともに旅もできなくて……」
「……だから、実戦経験が少ないのね」
リンディは納得した。
そして、優しく微笑む。
「それなら、私たちと一緒に来ない?」
「え……?」
ソフィは迷った。
(リンディさんはまともそう……でも、残り2人が……)
そして思い出す。
今まで出会った仲間たちを──
とてつもなく弱いパティシエ。
すぐ脱臼する剣士。
すね毛しか盗まない盗賊。
仲間の死を歌う吟遊詩人。
防御力最強のカタツムリ。
そして、全裸剣士。
(……まともな仲間、1人もいない……)
ソフィはガクリと膝をついた。
「なんでや!! なんでワイばっかり、“仲間運”ないんや!!」
リンディは思った。
(この子自身もちょっと変なんじゃ……?)
その時──
「昔よりポテチの量が減ってるじゃねぇかぁぁぁ!!」
背中に悪魔の羽を生やしたヘビ型モンスター、“ヘルスナック”が現れた。
お菓子の減量に怒り狂ったヘルスナックは、リンディへ突進する。
ドガッ!!
「きゃあっ!」
吹き飛ぶリンディ。
「リンディさん! 今すぐ回復を!!」
ソフィは慌てて駆け出した。
だが──
ドタッ!
転んだ。
何事もなかったかのように立ち上がり、ローブの土を払う。
リテイク。
「リンディさん! 今すぐ回復を!!」
だが──
ドタッ!
また転んだ。
さらに──
ドタッ!
ドタッ!
ドタァッ!!
転び続ける。
ヘルスナックは思った。
(いや、俺、何もしてないんだけど……)
そう!
ソフィは超絶ドジっ娘だったのだ!!
そこへ、かくれんぼを終えたノアルとちっちゃいオジさんが戻ってきた。
ボロボロのソフィを見たノアルが叫ぶ。
「貴様ぁぁ! よくもソフィさんを!!」
「だから俺は何も──」
「オマエ、コロス!!」
指をボキボキ鳴らしながら迫る、ちっちゃいオジさん。
「ひっ、ひぇぇっ!!」
ヘルスナックは完全にビビっていた。
そして──
ちっちゃいオジさんが全力でダッシュし跳躍。そして、回転し始める。
「受けてみなさい! ユウコヘリコプターデサトガエリ!!」
ローリングふんどしアタックを、ノアルが超能力で加速。
ドガァァァンッ!!!
「あんなに小さくなってるのに……2グラムしか減ってねぇのかよぉ~!!」
ヘルスナックは謎の言葉を残し、空の彼方へ吹き飛んでいった。
(つ、強い……)
ソフィは震える。
(この人たち……変だけど、強い……)
こうして、ソフィが仲間に加わった。
その頃、とある峠道──
「ヒャッハー! 野郎ども、今日も旅人から奪いまくるぜぇ!! ビビってる奴なんて、いねぇよなぁ!?」
「もちろんですぜ、アニキ!!」
「おっ、早速、旅人が来やがった! てめぇら、身ぐるみまで剥いでやんな!!」
「「「へい!!」」」
山賊たちは、一斉に旅人のもとへ向かった。
しばらくして──
「あ、アニキィ!! 大変ですぜぇ!!」
「なんだ、騒がしい!」
「あの旅人……身ぐるみを剥ぐ必要がねぇです!!」
「……は?」
意味が分からず、アニキは眉をひそめる。
「どういうことだ?」
アニキが向かうと、そこには──
全裸で仁王立ちするカイルの姿があった。
「さぁ来い、山賊ども!! この世の悪は、俺がすべて倒す!」
山賊たちは思った。
(全裸でそんなこと言われても……)
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