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ノアル、ヒーラーと出会う

 プチョマチョゲスを撃破した3人(?)は、森の中を歩き続けていた。


 えーっと……今回、3話目!

 でも、まだ最初の場所からあまり移動してない……。

 牛歩? 牛歩なの!?

 この作品、ちゃんと10話で終わるの!?

 


「あれ?」


 リンディが茂みの中に何かの気配を感じ、立ち止まった。


(……何かいるわ)


 ドンッ!


「いった~い!」


 急に止まったリンディに、ノアルがぶつかる。


「リンディさん! 止まるなら止まるって言ってくださいよ!」


 ノアルは抗議した。


 だが、この世に「はい! 今から止まりまーす!」と言って立ち止まる人間がいるだろうか……。


「しっ!」


 リンディがノアルを制した。


(え、何? 何? もしかして森のクマさん?)


 リンディの真剣な表情をよそに、ノアルはワクワクしている。


 ちっちゃいオジさんは、バッタとどちらが高く跳べるか競争していた。


 ガサガサ……ガサガサッ!


「何かいるわ……警戒して!」


 リンディが身構える。


 すると次の瞬間──


 茂みから、1人の少女が這い出してきた。


「うえ~ん……ここ、どこよぉ……うえ~ん……」


 少女は泣き出す。


(モンスター……ではなさそうね)


 リンディは、ほっと胸を撫で下ろした。



「私の名前は、ソフィって言います! まだまだ実戦経験は少ないですが、ヒーラーです。そして、高等回復呪文も使えます! えへん!」


 ソフィは得意げに胸を張った。


「よろしくね、ソフィ。私はリンディ。そして、こっちが──」


「ノアル! 松下ノアルっす! 夜露死苦!!」


 ビシッ!


 ノアルが謎のポーズを決める。


 リンディは思った。


(なんか今……リーゼント頭でウンコ座りしてる男が見えた気が……)


 ノアルの迫力に、幻覚を見ていた。


(な、何……この娘……?)


 ソフィは完全に圧倒されている。


 そして、彼女はちっちゃいオジさんの鋭い視線に気づいた。


オマエ、コロス(夜露死苦)!!」


「ひっ……!」


 ソフィはビビり散らかした。


(何なの……この人たち……。やっぱり私、“仲間運”ないんじゃ……)


「ところで、ソフィ。どうしてこんな森に?」


 リンディが尋ねる。


「仲間と……はぐれてしまって……」


 ソフィはしょんぼりとうつむいた。


 その横で、ノアルとちっちゃいオジさんは、かくれんぼに夢中だった。


「仲間?」


「はい。カイルさんっていう剣士なんですけど……一見、爽やかで強そうなんです。でも、変な人で……」


「変な人?」


「スキルを使うと……全裸になるんです……」


(ぜ、全裸!? だ、ダメよ! 10歳少女と全裸男なんて!! そんなキャラ出したら、この小説が危険な方向へ行っちゃう!!)


 リンディは焦った。


「……そ、そう。でも、そんな人とはぐれて良かったんじゃない?」


 物語の健全性を守るため、必死に軌道修正する。


 すると、ソフィが泣き出した。


「うぅ……私、いつもそうなんです……。まともな仲間に出会えなくて……」


 ぐすっ、と鼻をすする。


「ヒーラーとしては、高等回復呪文も使えるのに……“仲間運”がなくて、まともに旅もできなくて……」


「……だから、実戦経験が少ないのね」


 リンディは納得した。

 そして、優しく微笑む。


「それなら、私たちと一緒に来ない?」


「え……?」


 ソフィは迷った。


(リンディさんはまともそう……でも、残り2人が……)


 そして思い出す。

 今まで出会った仲間たちを──


 とてつもなく弱いパティシエ。

 すぐ脱臼する剣士。

 すね毛しか盗まない盗賊。

 仲間の死を歌う吟遊詩人。

 防御力最強のカタツムリ。

 そして、全裸剣士。


(……まともな仲間、1人もいない……)


 ソフィはガクリと膝をついた。


「なんでや!! なんでワイばっかり、“仲間運”ないんや!!」


 リンディは思った。


(この子自身もちょっと変なんじゃ……?)


 その時──


「昔よりポテチの量が減ってるじゃねぇかぁぁぁ!!」


 背中に悪魔の羽を生やしたヘビ型モンスター、“ヘルスナック”が現れた。


 お菓子の減量に怒り狂ったヘルスナックは、リンディへ突進する。


 ドガッ!!


「きゃあっ!」


 吹き飛ぶリンディ。


「リンディさん! 今すぐ回復を!!」


 ソフィは慌てて駆け出した。


 だが──


 ドタッ!


 転んだ。


 何事もなかったかのように立ち上がり、ローブの土を払う。


 リテイク。


「リンディさん! 今すぐ回復を!!」


 だが──


 ドタッ!


 また転んだ。


 さらに──


 ドタッ!

 ドタッ!

 ドタァッ!!


 転び続ける。


 ヘルスナックは思った。


(いや、俺、何もしてないんだけど……)


 そう!

 ソフィは超絶ドジっ娘だったのだ!!


 そこへ、かくれんぼを終えたノアルとちっちゃいオジさんが戻ってきた。


 ボロボロのソフィを見たノアルが叫ぶ。


「貴様ぁぁ! よくもソフィさんを!!」


「だから俺は何も──」


「オマエ、コロス!!」


 指をボキボキ鳴らしながら迫る、ちっちゃいオジさん。


「ひっ、ひぇぇっ!!」


 ヘルスナックは完全にビビっていた。


 そして──


 ちっちゃいオジさんが全力でダッシュし跳躍。そして、回転し始める。


「受けてみなさい! ユウコヘリコプターデサトガエリ!!」


 ローリングふんどしアタックを、ノアルが超能力で加速。


 ドガァァァンッ!!!


「あんなに小さくなってるのに……2グラムしか減ってねぇのかよぉ~!!」


 ヘルスナックは謎の言葉を残し、空の彼方へ吹き飛んでいった。


(つ、強い……)


 ソフィは震える。


(この人たち……変だけど、強い……)


 こうして、ソフィが仲間に加わった。

 その頃、とある峠道──


「ヒャッハー! 野郎ども、今日も旅人から奪いまくるぜぇ!! ビビってる奴なんて、いねぇよなぁ!?」


「もちろんですぜ、アニキ!!」


「おっ、早速、旅人が来やがった! てめぇら、身ぐるみまで剥いでやんな!!」


「「「へい!!」」」


 山賊たちは、一斉に旅人のもとへ向かった。


 しばらくして──


「あ、アニキィ!! 大変ですぜぇ!!」


「なんだ、騒がしい!」


「あの旅人……身ぐるみを剥ぐ必要がねぇです!!」


「……は?」


 意味が分からず、アニキは眉をひそめる。


「どういうことだ?」


 アニキが向かうと、そこには──


 全裸で仁王立ちするカイルの姿があった。


「さぁ来い、山賊ども!! この世の悪は、俺がすべて倒す!」


 山賊たちは思った。


(全裸でそんなこと言われても……)



最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
ぜ、全裸なんて全年齢版で大丈夫ですか!?(゜д゜)(笑) それから、ユウコ、ヘリコプターで里帰りってリッチすぎるだろう!ヘリポート近くにあるのかな?(笑)
愉快な仲間が増えましたね。ソフィの回想に登場する過去の仲間たちが面白くて、思わず声に出して笑ってしまいました。
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