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ノアル、旅に出る

 ビックラとの死闘(?)を終えた翌日。


「この世界は、今、悪の魔法使いたちに支配されているの……」


 朝食のパンをかじりながら、リンディが言う。


「ズルっ……悪の魔法使い……? ズルズル」


 ノアルは、ソバをすすりながら尋ねた。


「ええ──」


 ズルっ……


「あいつらは──」


 ズルっ……ズルっ……


「私の友達の──」


 ズルっ……

 ズルズルっ……

 ズルズルズルズル……


「──って、人の話を聞けー!!」


 リンディが叫んだ。


「聞いてるわよ……ズルズルっ……」


 ノアルは平然と答える。


「ていうか……何でソバがあるの!? ここ異世界でしょ!? ソバなんて、純和風の食べ物が何であるのよ!!」


 リンディは全力でツッコんだ。


 なお、リンディがなぜソバを知っているのかについては、誰もツッコまなかった。


「オマエ、コロス……ズルズルっ……」


 ちっちゃいオジさんも、器用にソバをすすっていた。



「──というわけで、今、この世界は悪の魔法使いたちに支配されているのよ!」


 ザッツ雑!!

 ……説明が雑にまとめられたので、ここで補足しよう!


 かつてジャギーの弟子だったエダルが反乱を起こし、ノアール(前作のヒロイン)とジャギーを封印。


 エダルは悪の魔法使いたちを従え、帝国を築いていた。


 その名も──


『エダル様、素敵でめっちゃ強~い! ファンキーなカーニバルをダンシングだね魔導帝国』

 

 ──略して、“エンニバル魔導帝国”。


「そうなのね……。でも、リンディさん、あなたが倒せばいいんじゃないの……?」


 ノアルが首をかしげる。


「それが……できないの……」


 リンディは悔しそうに拳を握った。


「私たちの魔力は……あいつらに奪われているの。巨大な魔導装置によって……」


 唇を噛む。


「今の私たちには、あいつらに対抗できるほどの魔力がない……」


 拳を強く握りしめる。


「だから……異世界から“救いの女神”を召喚しようとしたのよ」


「そういえば……その“救いの女神”って?」


「ええ……」


 リンディは静かに答えた。


「私の友達──ノアールと旅をした、“オカダ”という女性よ……」


 ノアルは考え込む。


(オカダ……? 奇遇ね……お母さんも結婚する前は岡田だったわ……。でも、岡田さんなんて、いっぱいいるし……。もっと珍しい名前だったら分かりやすいのに……プチョマチョゲスとか……)


 ノアルは気づく。


(はっ! プチョマチョゲスさんがイケメンだったら、どうしよう……。いきなり『結婚してください』なんて言われたら……。プチョマチョゲス・ノアル……? いや、逆ね……ノアル・プチョマチョゲスよ!!)


 ノアルは想像力が豊かだった……。


(あれ……? 何の話だっけ……?)


 ノアルは思い出す。


 そして──


「私が……私が協力する……」


「え……?」


「私が、この世界を救ってみせる!」


 ノアルは胸を張り、堂々と言い放つ。


「チョモランマの名に懸けて!!」


「ふふ……ありがとう……」


 リンディは優しく微笑んだ。


「やっぱり、あなた……似ているわ……」


「オマエ、コロス」


 こうして──


 ノアルとリンディ、そしてちっちゃいオジさんは、世界を救う旅に出るのだった。



 説明してなかったでやんすね。

 リンディは森の奥の小屋でひっそり暮らしてたんでやんす。(←誰?)


 三人(?)が森を歩いていたその時。


 ドガーン!!


 爆発が起こった。


「な、何!? 何なの、一体……?」


 ノアルが叫んだ。


「敵の攻撃よ! 今のは魔法!」


 リンディが叫んだ。


「フフフ……僕の魔法を躱すなんて……」


 爆発で起こった煙が立ち込める中、人影が現れる。


「だ、誰!?」


 リンディが尋ねた。


「フフ……僕の名前は、プチョマチョゲス……」


 ドキンっ


(え、本当に現れた……!?)


 ノアルの胸が高鳴る。


 煙に包まれ、その姿はまだ見えない。


「太陽のような笑顔のお嬢さん……。僕と結婚してください」


(キャー! イケメンっぽいセリフ! どうしよう……ノアル・プチョマチョゲスが誕生しちゃう……!)


 煙が晴れる。


 そこにいたのは──


 ローブをまとったガイコツだった。


 ノアル、驚愕。

 そして──絶望。


「ノアル、危ない! 《フレイム・ファング》!!」


 リンディが魔法を放つも、プチョマチョゲスは、あっさりそれを打ち消す。


「くっ……、足止めにすらならない……」


「おやおや……いけないお嬢さんだね、それじゃあ、今度はこっちからいくよ! 《ファントム・フレイム》!!」


 闇の炎が一直線にリンディに迫る。


(ダ、ダメ……避けられない!)


 その瞬間。


 ぐいん


 ドガーン!!


 炎が、急激に曲がり、地面で爆発した。


 「え……?」


 驚くリンディ。

 驚くプチョマチョゲス──いや、ガイコツだから、表情分からんわ!


 その後も、プチョマチョゲスが魔法を放つも、そのすべてがリンディに当たることはなかった。


「くっ……なぜ……なぜ、僕の魔法が当たらない……」


 リンディは思った。


(私……もしかしたら、新たな力に目覚めちゃった……? 大魔導士リンディ爆誕?)


 「フフン、それは私の超能力よ!」


 ノアルが胸を張る。


「あなたの魔法なんて、私たちには当たらないわ!!」


 リンディは思った。


(よ、良かった~。『新たな力に目覚めたのよ!』とか言わなくて……。大恥をかくところだったわ)


「く、そんなはずはない……! 僕の魔法は無敵なんだ!」


 プチョマチョゲスは、さっきよりも巨大な炎を放つ。


「ユウコタケシヲスキニナル! お茶の子さいさいささ~い!!」


 ノアルは、そう言って超能力で魔法の軌道を変える。


「乙女心を踏みにじった恨み、思い知りなさい!」


 軌道を変えた巨大な闇の炎がプチョマチョゲスに直撃。


 ボーン!!

(ガイコツだけに笑)


 プチョマチョゲスは、空の彼方に吹き飛んでいった。


「ふぅ~、今回も強敵だったわね」


 ノアルが言う。


 リンディは思った。


(もしかして、この子なら本当に……)


 戦闘中、まったく出番がなかったちっちゃいオジさんは、お昼寝をしていた。


「オ……オマエ……コ、ロス……ぐがー」

最後までお読みいただきありがとうございます。

誤字・脱字、誤用などあれば、誤字報告いただけると幸いです。

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― 新着の感想 ―
おじさんは寝言でもそのセリフなのかw (´ε`)
朝から癒されました。 ノアルちゃんの超能力で、前回、サトルハユウコノコト⋯⋯だったのにユウコは⋯⋯ユウコは!! 気になって本編が頭に入りません。 あっ、そば食べよう。
 お話の続き、お待ちしておりました。エンニバル……何だかハンニバルみたいな響きに略されてしまいましたね。  プチョマチョゲスという名前の響きも面白かったです。  ……そういう退場をしたキャラクターは、…
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