第九十二話 魔導の塔と休息
「あー、疲れた。」
三体のゴーレムを倒して、ほっとしたところ、ラクスが大きく腕を伸ばした。
「今回は、特別大変だったわね。」
今の戦闘を振り返り、ラクスはさらに、伸びをする。
ストレッチをしないと、疲れがとれない程度には、激しい戦いをしていた。
そういうことだろう。階が上がり、どんどん難易度が上がっている。みんなの疲労も増えている。
「しかし、みんなの学習速度が早くて、驚くばかりだよ。特にミコルちゃん」
僕に名指しされたミコルちゃんは、一瞬ドキッとして、びっくりしていたが、すぐに理解して、胸を突き出し、腕を腰に当てて、エッヘン、という態度をした。
「大したことないんだよ、おにいちゃん」
平静を取り戻して、ミコルちゃんが堂々と言った。
わずかに、耳が赤くなっていたように感じた。
「かなりスゴイよ、昨日の今日で、ファイヤーキャノンまで繰り出して!」
「やるなァ」
横で聞いていたガルクが、相槌を打った。
この三人の連携も大したものだ。全員が全員を、信頼しているゆえの、成長率といえる。
「ミコルはどんどん強くなるわね」
と、昔から、成長を見ていたであろう、ラクスとガルクに認められて、まんざら悪い気がしないのか、ミコルちゃんの口元にうっすら笑みがこぼれていた。
「エッヘン!!」
改めて、言い直したミコルちゃんであった。
ポーズも、もう一度とり直した。
なかなかかわいいな、と思った。
「ナオヤも凄いじゃない。」
「コントロールがすごいな」
ラクスとガルクが言う。先ほどの戦いで、2体のゴーレムに炎の弾を当てたのを思い出して、そう言ったのだろう。
「確かに、魔法のコントロールは難しいから、あそこまで綺麗にコースを打ち分けられたのは良かったね。魔力がたりない分、コントロールで勝負していくというのも良いやり方かもしれない。」
言いながら、僕は今後の戦い方を、シミュレートしていた。
新しい戦い方が、見えて来たかもしれない。
この塔は難易度が高いので、1戦ごとに新たな発見があり、かなりのスピードで成長していると思う。
この塔をクリアするころには、かなりの力が付いているのではないか。
「コントロールの練習かぁ。なにをしようかな。精度をあげていけば、また別次元の戦いが、出来るようになるかもしれない」
「そうね。ナオヤはまだまだ強くなれるわ」
ラクスにそう言われて、なかなか嬉しかった。たぶん笑みも隠せていないだろう。実力を褒められるより、成長度を褒められる方が嬉しい。
常に新しいことが、出来るように、なりたいからだ。
「さて!みんな!ここでゆっくり休んで、次の戦いに備えよう」
激しい戦いのあとは、ゆっくり休憩することが大事だ。
ここで急いで行ってしまうと、この魔導の塔では命取りになってしまう。
みんなも、そのことは十分に理解していた。
「そうね」
「そうだな」
「はーい」
全員の返事が帰ってきた。




