第九十一話 魔導の塔と三体のゴーレムとの決着
残り2体のゴーレムを、どうするか、と僕が考えているうちに
ラクスが走りだしていた。
ラクスは、攻撃時は、ほんとに判断が早い。
速攻のタイミングを、逃すことがない。
そのあとの、美しい剣戟と合わせることによって、いままでの戦いを勝ち抜いてきたのだろう。
「いくわよ、ミコル!!」
叫びながら、ラクスが疾走する。
そして跳ねる。空中で回転しながら、ゴーレムの片腕を斬りつけた。
ラクスの美しい長髪もたなびく。
そして吹き飛ぶゴーレムの片腕。
「え?!なんで??」
驚く僕。
それへの返答がないまま。
ラクスはさらに叫ぶ。
「ミコル!!」
ラクスはミコルちゃんに、大声で合図を出した。
と同時に剣を鞘におさめる。
ラクスは無駄な事をしない。
「はあい」
気の抜けた声で、返事をするミコルちゃん。
ところが、目は真剣だった。
詠唱も、とっくに済んでいる。
「ファイヤーキャノン!!」
「え!??」
驚く僕を尻目に、新呪文を唱えるミコルちゃん。
この短期間で使いこなしている。
詠唱時間も、さっきよりずっと短い。
「天才かよ。」
僕は驚きを隠せなかった。
と同時に、もう一体のゴーレムも吹き飛ばしていた。
しっかりと、目で効果を確認するミコルちゃん。
「す、すげえ。」
僕は、それしか言えなかった。
ミコルちゃんの、成長速度はかなり早い。
1教えたら10出来るようになっている。若いって素晴らしい。
「おい、まだ終わってねえぞォ、ナオヤ」
「そうだった、そうだった。」
ガルクの声で、集中を取り戻した僕。
ついつい、考え事に時間をとられてしまう。
これが、致命的な危機に繋がらないように気をつけなければ。
「ちゃんとしてよね。」
「ごめんごめん」
ラクスにたしなめられる僕。
次からは気をつけよう。
「ファイトです、おにいちゃん」
年端の行かない、ミコルちゃんにも、慰められる僕だった。
ほんとに、しっかりしないといけない。
「さて、もう一体だ!」
「さ、気を引き締めて、行くわよ!」
整理する僕、みんなに注意を呼びかけるラクス。
そして、みんなを一瞥するラクス。
「安心した時が一番危ない。」
と、僕が言うやいなや、ラクスは走り出していた。
剣戟を入れ、弾いて飛ぶラクス。
美しい刃。
「オオオオオオ」
それに答えるように、響くガルクの咆哮。
ガルクの剣による、剣圧が空を切り、うねりを上げる。
「エクスプロージョン」
二人が攻撃をしている間に、詠唱を済ませていたミコルちゃんが、爆発魔法を放った。
さらに、詠唱時間が短くなったような気がする。
「瞬殺だ」
またしても、僕はあっけに取られた。
疲れているはずななのに、三体連続で走り回って倒したラクス、ガルク。新魔法をおぼえ使いこなす。ミコルちゃん。
この三人は、流石に強い。
「あー、つかれた。」
ラクスは、大きく腕を伸ばし、みんなに笑いかけた。




