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蘭と法  作者: Makishi
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バックアップドライブ

内部調査部の窓のない殺風景な尋問室に座るアニャの心には、自宅待機命令の重荷がのしかかっていた。彼女の向かいには、エヴァ・ロストヴァ警部が厳しい表情で腰掛けている。二人の間には、アニャがリスに託した最後の切り札である証拠パッケージのプリントアウトと、匿名の告発ファイルが開かれていた。そのパッケージは、放送が途絶える直前にリスが送信に成功したものだった。


「ペトロヴァ巡査」ロストヴァは感情を一切排した声で言った。「このパッケージは、ガラ放送がハッキングされた直後、機密回線を通じて届けられたわ。ここにはハリソン・ヴァンスに対する重大な告発が、内部文書や視聴覚記録と共に記されている。そして、主犯格であるリスと、あなたが緊密かつ違法な関係にあったことも示唆している」


アニャは警部の目をまっすぐに見返した。もはや否定しても意味はない。「警部、オムニコープ爆破事件に関するリスへの嫌疑は、すべて偽りです。ヴァンスが彼を陥れたのです。あの録音データが、ヴァンスの承認のもと、彼の警備主任であるソーンが計画を実行したことを証明しています。資料には動機と内部での情報操作の証拠が揃っています。この証拠はリスが手に入れたもの。ええ、私は彼を助けました。彼は無実です。誰も彼の声に耳を貸そうとしなかったから」


ロストヴァは指を固く組んだまま、表情を一切変えなかった。「あなたは逃亡者を幇助し、捜査を妨害し、数え切れないほどの規則に違反した…」


「殺人者を止め、システムが見過ごしていた陰謀を暴くためです!」アニャは、慎重さを情熱が上回り、身を乗り出して言葉を遮った。「ヴァンスは爆弾事件を利用してリスを黙らせ、自身のナイチンゲール・プロジェクトを推し進めました。彼は労働者を搾取し、証拠を捏造した。そして自らの痕跡を消すために、マイケル・ベルウェザーを殺害しかけたのです!このパッケージにその証拠がすべて入っています。ヴァンスを止めることはできません。彼は残りの証拠を破壊し、ソーンとサイラスを口封じするでしょう。すぐに行動しなければ手遅れになります」


ロストヴァは長い間、黙ってアニャを見つめていた。彼女は内部調査部のプロフェッショナルとして、規則に厳格な人物だ。しかしアニャは、その硬い仮面の奥に、確かな誠実さがあることを感じ、そして願っていた。「それで、リスは今どこに?」ロストヴァが静かに尋ねた。


「わかりません」アニャは正直に答えた。「あなたの部隊に逮捕された時、連絡が途絶えました。でも、ヴァンスのやり方はわかります。彼は後始末を他人に任せたりしない。最後の証拠を確保するか、破壊するか、自らの手で決着をつけるはずです。おそらく、オムニコープ・タワーでしょう」


その言葉を吟味した後、ロストヴァは決断を下した。彼女はデスクの電話を掴んだ。「マーカス・ジョーンズ巡査を呼んで。それから戦術チームを編成して。極秘裏に」


復讐に燃える亡霊のように、リスはオムニコープ・タワーの薄暗い上層階を徘徊していた。必死の逃走の後、彼は遠くからヴァンスの動向を監視し続けていた。ヴァンスは逃亡する代わりに、自らの権力の座へと舞い戻った。おそらく、最後のデータ消去を開始するために。物理的なバックアップや、暗号化されていない通信記録が残っている可能性があるのは、彼の厳重に警備されたサーバールームだけだ。リスにとって、これが決定的な証拠を掴む最後のチャンスだった。


最後の手段として連絡を取ったジャックスが、デジタル世界におけるリスの目と耳となった。「リス、警備パトロールが倍増しているわ」リスのイヤホンから、ほとんど聞き取れないほどの微かなノイズ混じりの声でジャックスが言った。「各フロアをくまなく巡回中よ。でも、北階段の感圧板は回避させたし、エレベーターのセンサーもループさせてある。ヴァンスは役員フロアのサーバールームの隣にいる。警備主任のソーンも一緒よ」


リスは手慣れた様子で階段を駆け上がり、感圧センサーやレーザーグリッドを巧みに避けていく。役員フロアに足を踏み入れると、そこは豪華で静寂に包まれ、床から天井まである窓からは街の灯りがぼんやりと差し込んでいた。強化ガラス越しに、サーバールームでヴァンスとソーンが必死に端末を操作しているのが見えた。


ヴァンスが最後のデータ消去を開始したその時、リスはサーバールームの磁気ロックを解除した。「どこかへお出かけかな、ハリソン?」部屋に足を踏み入れ、リスが低い声で尋ねた。


ヴァンスは驚愕に目を見開き、その表情はすぐに怒りへと変わった。ソーンは本能的にジャケットの内側に手を伸ばす。しかし、リスの動きは電光石火のごとく速かった。正確無比な打撃の連続でソーンを武装解除し、彼の武器を床に滑らせる。肩を脱臼させられたソーンは、うめき声を上げてその場に崩れ落ちた。


「貴様!」ヴァンスは唾を吐きかけるように言い、端末の方へ後ずさった。「死んだはずだ!あるいは、逮捕されたはずだろう!」


「お前の計画には穴があった」リスは冷静に言い、画面の消去進行状況を示すバーに目をやった。残り時間は一分を切っている。「詰めが甘い。そして、喋りすぎだ」


「貴様が持っていると思っているくだらない証拠など、私の弁護士が木っ端微塵にしてくれる」ヴァンスは嘲笑し、制御を取り戻そうと試みた。彼はコンソールの下に隠されたボタンを巧みに押し、密かに警報を作動させた。


「そうかもな」とリスは言った。「だが、世論という法廷をコントロールするのはもっと難しい。特に、お前の指示で俺を陥れたと、ここにいる可愛いマーティンが白状するのを見ればな」彼は時間を稼ぐ必要があった。あのデータ消去を失敗させるか、あるいはその現場を押さえるために。


その瞬間、エレベーターの到着を告げる音が響いた。ドアが滑るように開くと、そこにはロストヴァ警部と数名の武装した内部調査部員、そしてリスが驚いたことに、マーカス・ジョーンズが立っていた。彼の表情は険しいが、決意に満ちている。その隣には、まだ公式には逮捕下の身である、青白い顔をしながらも毅然としたアニャがいた。


「ハリソン・ヴァンス、マーティン・ソーン」彼女は威厳のある声で言った。「これは内部調査部のロストヴァ警部よ。あなたたちを共謀、証拠隠滅、そしてオムニコープ爆破事件への関与の疑いで逮捕する」


ヴァンスは野太く、吠えるような笑い声を上げた。「何の根拠があってだ、警部?テロリストと、そいつに飼われている犬のような警官の戯言か?」彼はアニャとリスを指差した。


「機密回線を通じて送られてきた、録音された会話、金の流れ、ネットワークログ、そして裏付けの取れた証拠の数々よ」ロストヴァは冷静にチームに合図し、もがくソーンを確保させた。「そして、あなたが今まさに消去しようとしている、そのデータもね」


マーカスが一歩前に進み、一瞬ヴァンスを見つめた後、その視線を複雑な感情を込めてアニャに向けた。「サー、端末から離れてください」


リスと迫り来る捜査員との板挟みになったヴァンスは、最後の絶望的な行動に出た。彼はサーバーラックの一つに設置された物理破壊スイッチに飛びかかった。だが、リスの方が速かった。彼はヴァンスにタックルし、もつれ合った二つの体が床に崩れ落ちる。拘束されながらも、アニャが叫んだ。「バックアップドライブよ!ユニット7、増設された内部筐体を確認して!」彼女は、リスなら理解してくれると知っていた。彼の分析から予測し、彼女自身も想定していたシナリオだった。


リスには彼女の声が聞こえていた。メイン端末のパネルが「消去完了」と点滅したのと同時に、彼は捜査員に囲まれるヴァンスから身を離し、アニャが指し示した筐体を見つけ出す。それをこじ開け、小さなソリッドステートドライブを抜き取った。


彼はそのドライブを掲げた。「探しているのはこれか、ハリソン?」


なすすべもなく見つめるヴァンスを、捜査員たちが権利を読み聞かせながら引き起こした。彼の闘いは終わり、その心は氷のような怒りに満たされていた。


ヴァンスとソーンが確保され、内部調査部員が現場を記録し、ロストヴァが指示を出すという混乱の中、リスとアニャは部屋の向こう側で視線を交わした。それは、乗り越えがたい状況に対する互いの勝利と、信頼が裏付けられたことへの暗黙の承認だった。その表情を見て、マーカスの表情が硬くなる。


ロストヴァが慎重にリスに近づいた。彼女が手を挙げると、部隊はすでに彼に武器を向けていた。「リス、あなたにはまだ逮捕状が出ている。ソーン・タワーの件、その他にも数多くの容疑でね」


「わかっている」リスは囁き、バックアップドライブを彼女に差し出した。「これが最後のピースだ。ヴァンスに関する、暗号化されていないデータがすべて入っているはずだ」


ロストヴァは一瞬ためらった後、そのドライブを受け取った。彼女は彼の目を見つめた。そこに感謝はなかったが、不本意ながらの敬意と、彼ら全員が越えてしまった曖昧な境界線への認識があったのかもしれない。「このことを後悔させないで」彼女は、かろうじて聞こえるほどの声で囁いた。

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