第三十八章 どきっ!!忘れちゃいけないあの契り!!
「・・・・・・・・・・・。」
スノウさんがぼうっと私を見つめている。どうしたんだろ?
「スノウさん?」
「・・・・・・・・・・。」
「おーい!!スノウさん!!!」
焦点のあっていなかった目が私の瞳をとらえる。
「どうしましたか?タウチさん。」
「いや、珍しくぼぅっとしてたから。」
「ああ、申し訳ありません。少し昔を思い出しておりました。」
「へぇー!スノウさんの昔?」
そういえばおばあちゃんのこともお母さんのことも知ってるんだっけ?
「ねぇ、おばあちゃんってどんな人だったの?」
「・・・・・優しい子でしたよ。あなたぐらいの年の頃は・・・気が弱くて優柔不断でおバカで。」
・・・・あれ?伝承に残ってるおばあちゃんとはずいぶん違う。
「もちろん、年をとっても気の弱さは変わりませんでしたが・・・ずいぶんと立派に成長しましたよ。」
「そうなんだー。」
「だから、あなたも・・・・今がどんなに不安でもいつかは伝承に残っているシンイさんのような立派な王になれますよ。」
本当に?
「もちろん、日々の努力あってこそですがね。」
だよねー。
「・・・・・立派な王になりたければ、一つ約束してほしいことがあるのです。」
「どんな?」
「これから、あの悪魔と賭けをするときには必ず私を呼ぶのです。いいですね?」
「べつにいいけど・・・。」
なんの意味があるんだろ。
「忘れては・・・なりませんからね。」
* * * *
「ねぇ、ご存知♥」
仕事中にミラが突然話しかけてきた。
「なに?」
「オウジサマと女王陛下、戦死したそうですよ♥」
・・・・・・・・!!!?
「ハナミズキと・・・・ミズキ様が・・・・?」
「ええ♥」
う、嘘だ・・・。そんなの・・・嘘だ・・・・。
「なんで・・・そんなこと知ってるのさ・・・・・?」
「悪魔ですから♥」
・・・・・・・・。
「テレビでもつけてみたらどうです♥きっと速報で流れてますよ♥」
「やだ!!」
そんなの絶対嘘だ!!ミラは・・・・私をよく騙すから、きっといつものだ。これでテレビをつけちゃったら・・・きっとあとで笑われる。だから、私は、テレビを、つけたりなんか・・・・
「速報です!」
ミラの手によって勝手につけられたテレビが勝手にしゃべりはじめる。
「ミズキ王国の王、ミズキ・ミズキ陛下とミズキ王国の第二王子ハナミズキ・ミズキが戦死したそうです。くりかえしま
「ううっ・・・・ああ・・・・・。」
すぐにテレビの電源をきって耳を塞ぐ。
「だめですよ♥タウチさん♥真実を受け止めなくては♥それが、お二人への誠意というものです♥」
「うるさい!!!!」
「そうですか♥では、オウジサマを殺したのはあなただということも黙っておきましょう♥」
「・・・・・・どういうこと?」
なんの、はなし・・・?
「オウジサマと別れてからメギの若と出会いましたでしょ♥」
「・・・・・・うん。」
「若はあの段階ではオウジサマの具体的な居所まではつかめていませんでした♥ですが、それはそれはありがたいことに大きなヒントが差し出されたのです♥」
わ、私は・・・なにもいってない。話したりはしたけど、ハナミズキの居所につながるようなことはなにも・・・。
「そう、それは・・・・
・・・・・・
「魔道具を使った痕跡♥」
・・・・・・!!?
「あなたの後ろには眠っている兵士たち♥もしやと思って眠っている兵士たちをたどっていけばあら不思議♥オウジサマを見つけちゃいました♥」
「っあ・・・!!!」
そうだ、私は近くにいた兵士たちを全員眠らせていた。運悪く、何回も何人も兵士たちに遭遇したから・・・・。
「私の不運が・・・ハナミズキを殺した・・・・。」
「いいえ、あなたがオウジサマを殺したのですよ♥」
私の不運は私のもの。そもそも私がハナミズキのところになんか行かなければ・・・・。
「・・・・うっ、うぐっ・・・ぐずっ・・・」
ああ、どうすればいいんだろう・・・。後悔、懺悔、怒り、憎しみ・・・・いろいろな感情をごちゃまぜにした涙がぼたぼたぼたぼたとみっともなく私の顔を汚していく。だが、涙をいくら流したところで過去は変わらない。ハナミズキを私が殺した事実は変わらない。世界も変わらない。私は・・・どうすればいいんだろう。
「ああ、泣かないで♥かわいいかわいい女王陛下♥」
・・・・・なんで、ミラはこんなときもニヤニヤニヤニヤといつも通り笑っていられるのだろう。
「なにも方策がないってわけではないのですよ♥」
「・・・・・じゃあ、あるの?」
「ええ♥僕との契約を使えばいいのです♥」
・・・・・・・?
「あなたと僕との契約を思い出してみてください♥」
「・・・・えっと、
・・・・・正直イマイチ思い出せない。
「・・・・馬鹿ですね。」
ごめんなさい。
「最終的にこのゲームで勝った方が負けた方に一つ命令を聞かせられるのです♥つまり、」
「私がゲームに勝ってミラにミズキさまとハナミズキを生き返らせてってお願いすればいいんだ!!」
「ええ♥本当は一人だけでも大変なのですが、今回は交換条件でそれをのんでくだされば特別に二人とも生き返らせて差し上げましょう♥」
交換条件?
・・・・・っていうか、あれ・・・?
「今気づいたんだけどさ・・・ゲームが終わるのって・・・だいぶ先だよね?」
あと、九か月はかかりそう。ちょっと前まではめっちゃ短く感じたけど、今はめっちゃ長く感じる。
「そうですね♥だから、この交換条件をだすのです♥」
・・・・・?
「これからは一週間に一回賭けを行いましょう♥これはあなたにとっても好都合なのでは♥」
たしかにそうすれば二人に早く会えるね!!
「え、これをのんでゲームに勝てば二人とも生き返らせてくれるの?」
「ええ♥」
み、ミラ・・・!!
「・・・・・ミラも残ってくれる?」
「ええ♥あなたがゲームに勝ち、僕に二度と国を狙うなと命令するか、僕がゲームに勝ち、この国を奪うまでは残りますとも♥」
こ、これはかなりいい・・・・!!
「のむ、のむよ!!本当にありがとうミラ!!大大大大好き!!!!」
ミラはこちらに目をやったが、すぐにそらして背を向けた。
「・・・・・では、後日♥」
* * * *
「・・・・・・んんん?」
バルコニーのテーブルの上に紙の束がどさっと置いてある。
「・・・・・これは・・・・。」
いいもの、見つけた・・・・かも。
* * * *
「・・・・・・っしゃああああああああ!!!!!」
勝った!!勝ったよ!!!初めてミラに賭けで勝った!!!神様が味方してくれた!!!
・・・・・いや、ミラが手をぬいてくれただけかもだけど。ミラ、ちょっとあれなところあるけど基本的に優しいから。
「・・・・良かったですねぇ♥」
うんうん!!
「じゃあ、行くよ!!!」
ポンッと出現したチェス盤を指さし、大きな声でつげる。
「ポーン・・・・じゃなくて、クイーン!!黒のキングの斜め前まで進軍!!!」
あの紙にかいてあったよ!!クイーンは前と後ろと斜め前後だったら自分の駒がなければどこまででも進めるって!本当はまっすぐ前にキングがあればよかったんだけど、直線上から一マス横にずれてたからぎりぎりまで行っといた!!つまり、キングの斜め前まで!
「・・・・・ほほう♥」
「すごいでしょ!!」
「ええ♥」
次は・・・・一週間後か・・・・。そういえば、スノウさんのこと呼び忘れちゃったな。ま、いっか。
次話で完結です!!




