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「そう心配そうな顔をするでない。防衛大学出でこの部署に配属希望を出す学生は少ない。というか、私がこの仕事をはじめてから君が初めてだ。そもそもうちに来る人間は、民間企業から引き抜いた研究者か、一線を退いたパイロットがほとんどだからな」


 あー、歓迎会にいた同期はみんな俺より年上なのね。同期は少ないし、老けているなとは思っていたけれど。扱いとしては中途入社みたいな感じなのか。


「君の大学での成績を確認させてもらったが、確かに優秀だ。特にウォーカーの扱いに関しては学生のレベルを逸脱している。シミュレーターでは負け無し、実機を使用した模擬戦でも教官相手に全勝している。さらには、指導にきた国防隊のパイロットにも三戦三勝だ」


 いや、もうね。それに関しては俺凄いのよ。ゲーセンにあった筐体とウォーカーの操作方法と同じもんだから、だいぶ燃えたわけよ。自由時間を可能な限りシュミレーター室で練習させてもらってたしね。最初の数か月はリハビリがてらの個人練習だったけど、それが終わった後は、そらもう無敵ですよ。やりこみましたからね、前世でも。


「毎日シミュレーターで練習した成果であります。自分はウォーカーにが好きなので、毎日シミュレーターを使わせてもらっていました」


 その言葉を聞いて、ハンス博士は少し目を見開いたようだった。


「ふむ。ウォーカーが好きなのは理解した。では何故パイロットにならなかったのかね。軍に入らなくても、ウォーカーを操縦する仕事はいくらでもある」


 やべっ、これはホントの事言えない感じだわ。戦争を安全にやり過ごしたいとか、未来がわかってても言えんよな。ごくりと唾を飲み込み、言葉を紡ぐ。


「はっ、ハンス博士のファンでして、その、非才の身ながら博士と同じ職場で働かせて頂きいと思い、ここを志望いたしました」


 ついでに各国の機体と比較し、博士が設計した期待がいかに優れているか、どんな特徴があるのか知識ある限り語る。もちろん、現時点で確認されている機体を慎重に選びながらだが。

 実際、他国の機体に比べて、バランスが取れた優秀な機体であり、原作開始時点の地球側の機体縛りで選定するなら、ハンス博士が設計した第三世代戦闘型ウォーカーの『ガーフィールド』だ。日本の機体『桜花』は接近戦は強いがピーキーな性能だし、中国の『双龍』は火力は魅力だが装甲は薄く機動力もないため絶対に乗りたくない。EUの『ファイター』は装甲は多少固めだが、その他の性能は『ガーフィールド』の劣化版だしなぁ。全部ゲームの知識なんだけどね。


「……コホン。ウォーカーに詳しいのは分かった。少し待っていろ」


 やっべ、少し興奮して話しすぎたな。博士は席を立つと、机の引き出しから一つのファイルを取り出し、こちらに持ってきた。


「これを読んでみろ」


 ファイルを受け取り中身を確認すると……、こっ、これはガーフィールド後期型の設計資料だな。開戦時には一部にしか配備されていなかったが、現在のガーフィールドの能力を全体的に底上げした優秀な機体だ。ただ、俺の知っている機体と差異があるようだな。顔を上げるとハンス博士と目が合う。


「どうだ? 思ったことを言ってみろ」


「まずは、バーニアの位置がに違和感がありますね。もう少し……、このあたりが正しいのではないかと、あとこの部分の装甲ですがもう少し丸っぽいんじゃないかなぁ。あっ、それと頭部バルカンとかついてないんですか?」


 原作の機体との差異を指摘していく。


「待て、一つずつにしろ。バーニアの位置を変えたい理由は?」


「すいません。その方が自然な気がするとだけしか……」


 理由なんて原作と違うからとしか言えないしね。言葉に詰まるぞ。大学でロボット工学なんて専門的に勉強してないしなぁ。


「ふむ。我々は技術屋だ。理由をきちんと説明しろ。それ以上の理由がないなら、次に装甲だがこちらはどういった考えだ?」


「はっ、はい。えっと、耐弾性の向上ですかね?」

 

 思いついたことを適当に言ってみる。


「私に聞くな。まぁ、概ねお前の言っている通りの効果が期待できそうと、ワシも思うが。検討してみよう」


 おっ、正解みたいだ。まぁ、こんなのデザインの誤差みたいなもんだろ。


「最後に頭部バルカンだったか? 説明してみろ」


 これはちゃんと説明できそうだ。


「はっ、ハイ! えっとですね。こう、左右のこめかみのあたりに一門づつ設置します。効果ですが、エレニウムサーベル同士で鍔迫り合いになった場合に近距離で撃ったり、エレニウムサーベルを構えながら敵に突撃する際に牽制として使用したりすると有効だと思います」


 左右の人差し指をコメカミに添えながら説明する。緊張しているせいか若干言葉が変だ。顔が熱くなってくる。


「ほぅ、面白い。スペースの問題もあるが検討してみよう」


 これも検討すんのか。まぁ、これは絶対にあった方が良いことは、ゲーセンでの実績で良く存じておりますので、一つよろしくお願いいたします。


「むっ、もうこんな時間か。遅くまで突き合わせて悪かったな、アレン少尉。とても実りある時間だった」


 ハンス博士はそういうと右手を差し出してきたので、コチラもそれに応じて握手する。無表情であるが、若干目が笑っているように見えるのは気のせいだろうか。


 握手をした後、俺は部屋に戻り眠りについた。もしかして博士、悩んでいて誰かと話をしたくて、新兵である俺に声をかけただけなのかも知れない。まぁ、いいや。疲れたし寝るか。

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