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「中尉殿、自分が呼び出される理由は何でありましょうか……?」
博士の部屋に行く道すがら、呼び出しに来た先輩に恐る恐る聞いてみる。
「俺も聞いていないから理由は知らん。が、配属初日に何かをやらかしたとしても、直ぐに除隊にはならんから安心しろ。便所掃除が関の山だ」
笑いながら答える先輩。理由がなんだろうと、配属初日に雲の上のお方から呼び出されるのは心臓に悪い。そういった、不安を取り除くのが先輩の役割なんじゃないんですかねぇ。
その後特に会話することもなく、先輩の後ろをついて歩く。そのことが、俺の不安にさらに拍車をかける。しばらく歩くと、無情にも博士の部屋についてしまった。
「ここだ。ま、これも経験だと思って頑張れよ。じゃあ、入るぞ」
「ハッ、案内ありがとうございます」
ありがたくもない、無責任なアドバイスをした後に、先輩はドアをノックした。
「ハンス博士、アレン少尉を連れて参りました」
「ジェイムスか、入れ」
おおっ、生ハンスボイス! スピーチの時にも思ったが、声優の声そのまんまだな。
「ハッ、失礼します」
「しっ、失礼します!」
ハンス博士の声に聞き入っていたら、集中力が乱れて噛んでしまった。微妙に恥ずかしい……。室内に入ると、ハンスは高そうな机に座ったままパソコンでなにか作業をしていたようだ。こちらをちらりと見ると手を止め声をかけてくる。
「君が、アレンか」
「ハッ、本日配属になりました、アレン少尉であります」
おお、自分で言っててなんだが、すごく軍人っぽい。
「そう緊張せんでもよい。ジェイムス、ご苦労だったな。戻ってよいぞ」
「ハッ、それでは失礼いたします」
そう言うと中尉は部屋を出て行ってしまった。先輩が帰ってしまい、まさかの二人きり。内心ふざけて緊張を誤魔化してきたが、心音のドキドキが大きくなってきている。アカンな。
「何度も言うが、そう固くなるな。まっ、いい。そこに座れ」
「ハッ、失礼いたします」
直立不動の姿勢を崩し、促されるままソファーに座る。うーん、こういう畏まらなきゃいけない場合は、立っていた方が楽なんだけどなぁ。そんなことを考えながら待っていると、博士はコーヒーを淹れて
正面に座る。
「コーヒーは嫌いかね?」
「嫌いではありませんが、味はわかりません」
どちらかといえばコーラの方が好きね、俺は。砂糖もミルクもないのでそのまま頂く。うーん、いい匂いがするが、コレ、インスタントコーヒーだね。それぐらいはわかるぞ。
「自己紹介がまだだったな。知っていると思うが、私の名前はハンス。階級は少佐だ。皆からは博士と呼ばれることの方が多いがね。兵器開発部門でウォーカー開発の責任者をしている」
「自分はアレン・アンダーソン、本日配属になりました。階級は少尉であります」
「あぁ、知っている。君は優秀な成績でサンフランシスコ防衛大学を卒業して、我がウォーカー開発チームへの配属を志望した。間違いないかね?」
無表情で聞いてくるんだもん。事前の知識無く話しかけられたらビビるわ。
「間違いありませんが、それが何か……?」
配属に何か手違いでもあったのだろうか。十席以内に入ったんだから、希望通りの配属で間違いないはずだ。まさか成績評価にミスがあって、十席から離脱したのか?




