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 地球に住む人口が増え、地球に住むところがなくなると、人類はその生存圏を宇宙に広げた。そして、宇宙での人類の住みかとなる、最初のスペースコロニーができてから数世紀後、火星と月への都市の建造が始まった。この大事業を可能にしたのは、地球上でのエネルギー問題が解決したからだ。

 エレニウム粒子。宇宙ならばどこにでも飛び交うであろうこの小さな粒子を集めることで、莫大なエネルギーを取り出せることが判明してから、地球上ではあらゆる発電設備が、その役割を終えた。エネルギー問題を解決した次の大きな問題。それは、鉱山資源の不足である。エネルギーが潤沢になると、今度はそのエネルギーを使用して加工する資源が不足してしまうことになったのである。


 宇宙への移住は、その解決策としての側面もあった。つまり、地球が穴だらけになってしまう前に、地球の周辺の惑星から鉱山資源を手に入れるということである。

 宇宙に浮かぶ小惑星からの採掘作業に使われたのが、ウォーカーという人型ロボットだ。地球上で採掘作業に使われていた様々な機械は、無重力化での作業には不向きであった。そこで直感的に宇宙空間で作業できる人型ロボットの開発が必要となったのであった。

 ウォーカーが開発されてから、宇宙に住む者の産業は、資源の採取とウォーカーの生産が主になった。反面、食料を生産する施設はコロニー内でも大きなスペース、専用の設備が必要なため、維持コストや手間を考えると効率が悪く、地球からの輸入に頼ることになってしまっていた。

 地球上での農作物の不足が起こると、宇宙に送られる食料は自然と少なくなってしまう。そのことが、宇宙側、地球側との対立構造を生み出し、特に地球から一番遠い火星でその不満が大きく、戦争を引き起こすことになってしまう。



 ここまでが、まぁ原作開始までの大まかなこの世界の歴史だ。


 そして俺が配属される、兵器開発部での主な仕事が軍事転用されたウォーカーの研究開発だ。もちろん、戦車や戦闘機などの兵器開発も未だに行われているが、それらの研究開発はメインではない。まだまだウォーカーの軍事転用が 実践に投入されていない黎明期であることもあり、一番力を入れてあるのであろう。

 ウォーカーの利点は、宇宙空間での戦闘時に小回りが利くこと、地球上では二足歩行を生かした走破性能で戦車が侵入できない箇所での活動も可能なことなどがあげられるが、どれもいまいちピンとこない。まぁ、アニメで人型ロボットを戦争の主役にするための無理やりな理由が、この世界では疑いのないような事実としてまかり通っているだけの気もするが。




 卒業式から1週間後、俺はデトロイト基地で入隊式に出席していた。入隊式が終わると、今度は各部署での簡素な歓迎会が行われる。最初はめんどくさいと思っていたが、歓迎されている気持ちが伝わってくるので、あまり悪い気持ちはしない。さらに、最後には原作重要キャラである、ウォーカー開発の第一人者である、ハンス博士のスピーチも聞けたので、テンションはマックスである。たぶん、俺は目をキラキラさせて聞いていたことであろう。

 

 入隊式と配属部署での歓迎会が終わり、自分の寮に戻って俺は休憩していた。だいぶ疲れたが、大学でのシゴキに比べたらなんてことはない。それに、学生寮と違い、個室を与えられたことから、かなり心を癒されていた。これからは、一人になりたくなるたびに、トイレの個室に籠もるような日々とはおさらばなのだ。

 そうやって一人きりを満喫していると、不意に部屋をノックする音が聞こえる。


「夜分遅くに済まないが、アレン少尉。いるか?」


「はっ、はい。今開けます」


 内心、癒しの空間を突如土足で踏み込まれたような気持ちになり、心の中で悪態をつきながらドアを開ける。そこには、今日の歓迎会で見た……、ような気のする先輩が立っていた。


「休憩中すまないが、ハンス博士が君に話があるようだ。ついてきてくれるか?」


「はっ、直ぐに準備いたします」


 ついてきてくれるかなんて聞いてくるけど、断れないタイプの質問だよな。ソレ。というか、いきなりの重要人物からの呼び出しに、何をやらかしてしまったのか、ドキドキが止まらないんですわ。


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