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レクイエムはまだ捧げない  作者: コラソン


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二日酔いと、迎え酒



頭が痛い、胃も重苦しい。

気持ち悪いな。喉もイガイガする。

水…。あぁ。そうだ、昨日飲み過ぎたな


板倉大志は、二日酔いの頭で

なんとなく昨晩の事を思い出していた。


つい先週高校の同窓会があり、

親友で、同じクラスだった

森田 哲哉と一緒に参加した。


昨日は、この森田と飲んでいた。

現在俺達は、35才。


高校時代は、バンドを組んで

俺は『ギタボ』森田は、『ドラム』

他にメインギター、ベース

若かった俺達は

メジャーデビューなんて

夢をみていた。


それぞれ大学生進学、就職と、

道を進み忙しくなり、現実的な日常を

過ごしていき、

バンド活動は、現在無い状態だ。


同窓会にはベース担当が欠席、メインギターは参加していた。


メインギター担当は弁護士に。

個人事務所を構えたいと、奮闘中


ベース担当は会社で主任になり、

さらなるステップアップを目指していた。


この2人は

家庭もあるから、大変だけど

充実している様子だった。


俺と森田は、働いてるだけで

日々あまり変化もない。

独身で自由だったから特段不幸でもなかったが


ただ、

皆父親として立派になっていく。

社会の中で、出世していく。


なんとなくやりきれなくて、

森田と俺は、昨日飲みに出た。


つい、飲み過ぎた。


「うわぁ頭いてぇな。」と頭を抱えながら言ったのは昨晩一緒に飲んでいた森田。


いや、まて。ここは何処で、なんだ?

2人とも、体を起こしながら

「いってえ、背中」

「あー俺腰いたくて…」

床だ。

床で寝ていた。

森田が「ここ、誰んちだ?」と掠れた声で

言った時、初めて俺は周りを見た。


古びた台所。天井の四角いかさのついた照明から長い紐がぶら下がっている。


八畳くらいか?ワンルームと言うより

一間。大きな窓の前には、ジジイがたたずんでいた。


なに誰、ジジイ?

俺はまだ頭が働いていないのか。

ジジイの幻覚なのか?


「おー、目が覚めたかーおふたりさん。」

ジジイはそう言いながら微笑む。


森田が「あの、これって…」


森田も状況が掴めない様子だろう。


ジジイが、ニカッと笑って

「緊急指令がきてな、おまえさん達の

救護して、ウチに連れてきた。」


「えっ?」俺は何が何やらわからなかった。


ジジイが、

「説明しよう。水でも飲みながら聞きなさい

そこ、座って」と、座布団を渡してきた。


もらったペットボトルの水を一気に飲む

少し生き返る。


ジジイは俺たちに

「あんたら2人に助けてもらった

いつかの天使の源次郎というものです。」

と言った。


何処からどうみても、老人で

何処にでもいそうな、ジジイだった。

いつかの、何て?てんし?


助けた?俺達が?

頭がクラクラする。


このジジイ認知症か?と疑ったものの

丁寧に

「ちょっと意味がわかりかねます。」

と言った。


意味がわからなかったのは本当だ。


天使って…聞き間違えたか…

酒、残ってるな…


ジジイはおもむろに、上に着ていた

ポロシャツを脱いで、背中を俺たちに見せてきた。


羽根だ。大きな羽だ。ジジイの体が

丸ごとくるまれそうな。

羽先は、足首まである。

その羽は

決して真っ白ではない。

オフホワイト?年季が入っているのか。


いや、俺たちはまだ、酔っているのか?

それとも、さっきの水は酒?

迎え酒にしては…、いや違う。


俺と森田は、二日酔いも手伝ってただ、呆然と

ジジイの説明を聞くしかなかった。

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