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灯る  作者: 月明夜桜
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橋の上の話

あれはさっきの!…じゃない?

橋に立つ女の子は遠目からでは髪型や浴衣の色は分からないが、先ほどの女の子より背も高く見え、高校生かそれより少し上くらいだろうか。その子は橋を渡りきる途中であり、ゆっくりと奥へと進んでいた。


駿がジッとその子を見ていると、ちょうど鳥居をくぐるその一瞬、姿が見えなくなった。いや、むしろ消えたという方が正しいだろうか、先ほどまで歩いていたはずの場所には誰1人としておらず、辺りを見渡しても橋と川が目に映るだけだった。

鳥居の向こうはこちら側同様、路地裏しかなく、至って普通の景色しか見えない。


……

先ほどまで薄れていた不気味さが一気にぶり返す。

手からは嫌な汗が滲み、鼓動が早くなっていく。このまま戻ってもどうとなることもないだろうし、その方が身のためだと頭では理解している。

一歩また一歩と足が出る。

何故だかは分からない、自然と駿の意志とは反して前へと進んでいた。

「…!?」

言葉が出ない、少女の時とはまた違う、寒気もさほど感じない。纏わりつく恐怖心と好奇心が足を動かす。この嫌な好奇心だけには逆らえなかった。


橋のもう三分の一程度まで来ただろうか、気付けば鳥居は目と鼻の先まで来ていた

駿は歩幅を縮め、一歩一歩慎重に出していく

あと3歩…2歩…1歩…ここ!

片足が鳥居の真下にくる


何も感じない、先ほどと同じ、変化のない川の音と微かに聞こえる祭りの音、目の前の路地裏とそこから漏れる光。

何もない…さっきのは見間違いか…?

脳裏に残る消えた女の子、鮮明に覚えていたはずだが、こうも変化がないと数分前の記憶さえも疑わしく思えてくる。

消えたわけじゃなく、ただ影で見えなくなっただけ?それとも人に見えただけとか…?何にしても恥ずかしいな…

あれほど消えただの慎重に橋を渡っていた自分が今になって恥ずかしくなってくる、誰かが見ていたならば走って逃げていただろう。

まぁいいやついでだ

駿はもうこの際何があるか観に行こうと、そのまま鳥居をくぐり終え、路地裏の先から漏れる光へと進む。このまま戻れば本当に何もないままになってしまう、せめて奥に何があるかだけでも知れれば自分のこの不必要な勇気も報われるというものだ。それに橋の女の子が本当に居たならば、この先を通っているだろうと若干ストーカーめいた考えのもと路地裏を進む。

徐々に光の奥が鮮明に見えてくる。

次第に大きくなっていく祭りと人々の喧騒、路地裏から外に出るとそこには、屋台と人々、祭りの景色が目の前に広がっていた。

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