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神社の話
「お?君、君、ちょっと、そうそう目の前の君」
夏祭りの最中、石階段を登ると見える薄暗い松林の古ぼけた小さな神社。
段木に座る和装の人がこちらを呼ぶ。声からして男だろうか、薄暗いため遠目からでは声でしか判断できない。
石階段の下からは屋台や提灯の光が辺りを照らし、祭り囃子や声が聞こえ、一層辺りが静かに感じる。
まるでここだけが別世界になったような不気味さが体を伝う。
「こっち来なって」
恐る恐る近づいてみると男の姿が徐々に明らかになる。服の色は分からないが、暗色の和服を着ており、顔には白を基調とした狐の面を被っていた。
祭りの最中でなければ怪しさの塊のような男であった…いや、祭りであってもとてつもなく怪しい風貌ではあるが。
ジリリ…と妙に後退りすると
「まあまあ、そう警戒しないでよ〜少しだけで良いからさ、暇つぶし程度に聞いてってよ、ちょっとした作り話をさ」
こちらの返事は別に聞いていないかのごとく、有無を言わさず男は体を前にずらすと、ポツポツと語り始める。
瞬間、お面の口元がほんの少し、笑みを浮かべたように見えた…




