第三十九話 過去と現在
肝試しを行った翌日、自分を呼ぶ声で目が覚めた。
「おい・・・おいっ・・・おいっ!」
おいの連続攻撃。
私にはルミルって名前があるんだからッ
そういってやりたい。
さすがにうっとうしくなってうっすら目を開けた。
ぼやけた視界に映るのはシンジの心配そうな顔だ。
「ん・・・」
私はここで少し意識をはっきりさせた。
「おい・・しっかりしろ。今日試合だぞ。」
シンジが私に顔を近づけて言う。
大丈夫かってきかないんだ・・・
私は内心残念がって肩を落とした。
私は上半身を起き上がらせた。
「お前・・うなされていた。」
シンジが私に呟いた。
「うなされていた?
私悪夢でも・・見ていたのかな・・?」
自分でも不思議に思った。
夢を見た記憶なんてこれっぽっちもないんだけどなぁ
そう思いながらベットから降りた。
「・・試合・・何時からだっけ?」
私はシンジに聞いた。
「午後からだ。」
シンジはあきれたように言う。
「私・・いつまで寝てたの?」
シンジが起こしたんだから結構寝てたんだよねぇ
そう思いながら聞くと
「十時まで。」
と、一言で答える。
「え”」
私はその言葉であちゃーと思った。
時計を見ればもうそんな時間である。
「・・シンジは朝食食べた?」
私は内心ヤバイと思いながら聞いてみた。
「まだだ。」
シンジは私から目をそらして言う。
あぁ~”シンジにとんでもなく心配されてたんだぁ~。
私は奈落のそこに落とされた気分に陥った。
「ごめんね、私のせいだね・・・。じゃあ食べに行こ?」
私は謝りながら聞いた。
「あぁ」
シンジが頷いた。
まるでそれを待っているかのように。
そのとき、シンジの指にはめている一つのリングから
「くすっ」
と笑い声がした。
「!」
シンジはそのリングをにらんだ。
そのリングはユーラルのものだった。
昨日契約を交わした変わり者の精霊だ。
「今・・ユーラルが笑った?」
私は思わず聞いてみた。
「チッ・・。さあな」
シンジは小さくした打ちした。
なぜ舌打ちを!?
聞きたかったけどそれは聞いちゃいけないような・・気がしてならなかった。
ユウライのリングからも
「クククククッ」
という笑い声が・・・。
私は
ユウライっ!何がおかしいの?
いいから黙っててよ!
と、心の中で命じた。
そうすれば届くと思ったから。
・・・お前、気づかないんだ。
リングの中からユウライが話しかけてきたけど私は無視を決め込んだ。
「今・・。いや、いい。」
シンジが何か言いかけたがやめたみたい。
察してくれたかな?
いろんな意味で。
「じゃあ、行こう」
私はそう言ってシンジの手を引いて食堂に向かった。
十時にもかかわらず人はたくさんいた。
私もシンジもそれぞれ注文して席に着き、食べた。
「・・・」
「・・・」
会話のない食事の風景。
会話がないのは相手に話す気がないからだ。
私もシンジとは話すこともないからただ黙々と食べているんだけど・・。
「おぉ!シンジとルミルじゃんかっ!」
そんな声が私たちの席にこだました。
「!」
「ジュン!それと暁っ!!」
シンジは唐突のジュンの登場に驚いた。
私はジュンよりも暁に驚いた。
暁はジュンのペアだ。
相手の写真を見て知り間と確定したけど大会で会うのは初めてだった。
「よぉ、ルミル。」
暁が私に近づいてくる。
私は朝食を食べ終わり席を立って私も向かい合わせになった。
「久しぶりだね、暁。覚えていてくれたんだ。」
私がそう言うと
「誰が忘れるかよ、自分と小さいころがちでやりあった相手を。」
と、笑って言葉を返す暁。
シンジはジュンとなにやらしゃべりだした。
「あはは。私の圧勝だったもんね
ずいぶんあの頃は悔しがってたけど・・もしかして・・今もそう??」
私がにやりと笑って暁に言葉を返すと
「ば、バカかっ。
俺はガキの頃のことを今まで引きずるほど器が小さい奴に見えるか?」
と、暁は現在は違うぞ、現在はっ。と付け足して言う。
「あはは。私には見えるけどな。
だってあの時は絶対見返してやるっていつもそんな捨て台詞を吐いてたし。」
私は遠い記憶を呼び覚まして言う。
「それは過去の話だぞ?
昔はそうとうルミルに敵対心持っていたから当然だろ。
ルミルは女子の上に年下だから余計に悔しいと思って当然の歳だったろ?」
暁が当然当然と言い張る。
私はなぜか背中に妙な視線を感じた。
シンジ・・だ!!
私は心の中で言い当てた。
しかもシンジの視線は怖くて痛いものへと変わった。
「・・それもそうかも・・。」
私はそう考える振りをしてシンジのほうを見やる。
「だろ?あ、そうそう、ルミルといた奴は誰だ?」
と、暁が聞いてきた。
私は少しほっとして
「暁、紹介するね、シンジよ。私の従兄妹にあたるの。
シンジ、こっちは暁。私の昔の・・知り合いなの。」
と、紹介した。
私の昔のけんか相手だったなんていえない・・
私は内心冷や汗をかいた。
暁は
「へぇ、よろしくな、シンジ。俺は暁だ。」
と、言って握手を求めた。
シンジは・・
「・・。シンジだ。」
と言って握手を返す。
シンジ、今、何を思ってるの?
ジュンと何をしゃべっていたの?
私は好奇心で心がいっぱいになった。
だって話してる最中だったんだもん、シンジが痛い視線を放ったのは・・。
「午後のバトルはシンジたちとのバトルだぜ?
お互い手加減はなしだぜ?」
ジュンが言ってきた。
「もちろん!
絶対勝つのは私たちだからね?」
私は挑発的な宣言をする。
「全力で受けてたってやるぜ。」
暁は握りこぶしをして言った。
「いいバトルにしような。じゃあホールで。」
暁がそう言って私たちの元を去った。
「うん。ホールでね~」
私は左腕で手を振った。
まだ傷は重症中の重症だ。
痛み止めを飲んでいなければ走ることもましてや歩くことさえできない。
「・・・」
「・・・」
シンジと私の間に沈黙がなぜか訪れた。
お互いにどうすればいいか悩んでいるかのようだ。
聞きたいことをそのまま聞いていいのか?
それとも黙っておくべきか?
そんな悩みが襲っているかのような静けさだ。
私は
シンジ・・ジュンと何を話してたんだろう?
ジュンが何か言ったのかなぁ?
だからあんな視線を・・・。
と考えていた。
シンジは
こいつ・・暁を紹介するとき、一瞬戸惑ったな・・
何か隠してるのか?
それがジュンの言ってた話と関係があるのか?
と、考えていた。
そんなこと、私はまだこのとき一切知らなかったんだけどね。
「とりあえず行こうか、シンジ。」
私はそう言ってホールのほうへシンジを促して歩く。
「あぁ。」
シンジは頷いて歩いた。
そのときだった。
リュックから音が鳴ったのは。
「ん?」
私はリュックの中から通信機を取り出した。
これが鳴っていたんだ。
そう思って通信機を作動させると、メールが届いていた。
「?」
シンジは私を怪訝な顔で見つめた。
「シンジ、ちょっと待ってね、メールが来たみたい。」
私はそう言ってメールを見た。
相手はミヨだった。
『ルミル、怪我大丈夫?
今日もホールで試合あるんでしょう?
無理しないでよ。治るのが余計に遅くなるからね?
この前の試合だって無茶したくせに。
でも応援してるから頑張って勝ってね。
byミヨ』
ミヨのメールを見て私はうなった。
「?・・だれからだ?」
シンジが私の様子を見てたずねる。
「ミヨからだよ。・・バトル頑張ってって言うメールだった。」
私はそういいながらメールを打ち返して返信した。
そして通信機をリュックに入れといた。
「・・・」
「待たせてごめんね?じゃあ行こう。」
私はシンジにそう言って歩き出した。
そして午後。
ついに暁たちとバトルが始まった。
「リュク、ステージ、オン!!」
「ユーラル、バトルスタンバイ!!」
「ボルセウス、お前の出番だ!!」
「ペルン、GO,GO!!」
私、シンジ、暁、ジュンの順番で精霊を呼び出した。
今日はやけにシンジが燃えているなぁと私は思った。
早速、ユーラル、使ってるし。
私は内心そう思って身構えた。
暁とサトルのキャラがちょっとかぶってしまいました。
かぶってしまってすいません。
次回は迫力あるバトルの話を書こうと思います。
感想、評価、お待ちしています。




