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精霊使い  作者: 黎奈
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第二十話 旅の仲間

翌日、その日の昼に一匹たりとも精魔は現れなかった。


それを知ってフロンさんが泉にきれいな輝きを放つ透き通った石を入れた。


するとその石は泉の置く不覚まで入ったはずなのに輝きを放っていた。


そして泉の水もそれに共鳴するかのように輝きを放った。


「この輝きが戻ったのならば元通りですね。

シンジさんルミルさんには感謝しても足りないくらいです。」


フロンは言った。


「いえ。そんなたいそうなことは私はしてませんよ。」


私は言う。


「・・・。」


シンジは何も言わない。


そしてフロンから成功報酬の獣の宝玉と¥5000の賞金を受け取った。


フロンはシンジだけでなく私にも獣の宝玉をくれた。


使い道が分からない・・


私は心の中で呟いた。



私たちは傷が癒えるまで待とうとしなかった。

シンジは私を気にはかけたが私は大丈夫だと言い切った。

そのときの会話を今でも覚えている。


「お前の足の傷、見せろ。」


「だ・か・らぁ、大丈夫だって言ってるでしょぉ?」


「早く見せろ。」


「シンジが早くここを出たいんでしょ?私に聞くほど急いでるんなら私は一緒に行けるわよ。」


「・・・歩けないとどうにもならない。」


「歩けるってばぁ。何でそんなに確認したがるのぉ?」


「・・・・。」


「本当に歩けるから、ね?自分のことは自分が一番分かるものなのよ。」


「・・・無理するなよ。」


「しないよ。」


ある意味口げんか的な言い合いだった。


でも正直言うとまだ完治はしていないし、大丈夫って言うほどの状態でもなかった。


でも私は言い切った。大丈夫だって、と。


シンジが旅を急ぐ理由も分かる。

でもシンジは私がかばい傷を負ったことで頭を悩ませている。


私はシンジの負担にはなりたくなかった。


この傷が後からになってシンジを傷つけることがあっても。

今だけは。今だけはシンジの負担にはなりたくなかった。


口では本心を何も言わないシンジだけど

本当はすごく心に負担をかけていることが私には感じられた。


それは私のせい。


シンジは一人で問題を抱えている。



私はシンジの負担になりたいんじゃない、

シンジの手助けがしたいんだ。


たとえ、自分が苦しい思いをしてもシンジの負担にだけはなりたくない。

シンジが無理するなと言ったけど無理するに決まってる。


そもそも約束した覚えはない。

しないよ といっただけで。


私はシンジのためなら自分を犠牲にしたっていい。


犠牲になってもいいぐらいシンジにはいろいろ迷惑をかけている。


だからこそ、大丈夫だと言い切った。



その話はそこまでにして、

今日、フロンたちと別れるとき、シンジがフィオネに驚くことを言ったんだ。


「フィオネ、俺と来るか?」


シンジが、あのシンジがだよぉ!!


天と地がひっくり返ってもおかしくない言葉だったんだよ。


「俺と来い。強くなれる。」


シンジが自分から言うなんて・・!!


初めてだーー!!


フィオネもすごく驚いてた。


フロンは全く驚いてはいなかったけど。

多分聞いてたんだと思う。昨日に。


フィオネは最初にフロンを見たけど決心したようでシンジを受け入れた。


そしてシンジとフィオネは契約を交わしたの。


旅の仲間が増えたのはうれしいんだけど・・


私は長い間、シンジの言葉にびっくり仰天しててしばらく言葉が出なかった。


そしてシンジと私は次の街に向かった。


シンジの目的はその街にある大会に出ることだったの。

私もその大会は楽しみだった。

その街の文化はとても発展していて私はそっちのほうが楽しみなんだけどね。



でもこのとき知らなかった。

シンジが今まで精霊に対してどんな接し方をしてきたのかを。














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