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22/22

イラン情勢と建築費高騰、そして不動産市場に重なる「資材高」と「金融不安」をふまえ、不動産投資家がおこなうこと

えー、今、緊急で文章をアップしてるんですけどもぉ……どうも、ビーグル犬のぽん太です。やばいことが起きてます! 

 中東のイラン情勢緊迫化が、日本の建築費と不動産市場に新たな圧力をかけている。原油高、物流混乱、石油化学原料の不足によって建設資材価格が押し上げられる一方、世界の金融市場ではプライベートクレジット市場の動揺も広がりつつある。建物を「建てるコスト」と、不動産に「お金を回す仕組み」の双方に逆風が吹き始めた格好だ。

 日本の建築現場にとって、今回の中東情勢は単なる遠い地域の戦争ではない。塩化ビニールやポリエチレン、断熱材、塗料、防水材、接着剤など、住宅や建築設備で使われる多くの部材は石油化学原料に依存している。積水化学工業は4月、中東情勢を受けて給排水や建築設備向けの塩ビ・ポリエチレン関連製品を値上げすると発表した。これは、地政学リスクが現実に日本の建設コストへ転嫁され始めていることを示す象徴的な動きだ。

 影響は石化製品だけにとどまらない。鉄鋼、アルミ、セメント、ガラスといった主要建材も、製造段階で大量のエネルギーを必要とするため、原油・天然ガス・電力価格の上昇に敏感だ。国土交通省も、2021年後半以降、原材料費高騰やエネルギーコスト上昇により建設資材価格が上昇してきたと整理している。そこへ今回の中東情勢が重なれば、建築費は再び一段高となりやすい。

 ただ、日本の建築費をさらに重くしているのは、外部要因だけではない。国内では建設業の人手不足が慢性化しており、労務費の上昇が続く。日銀の地域経済報告では、建設資材価格の上昇と人手不足を背景とした労務費上昇により、建設コストが高騰し、新規出店や投資計画の抑制が起きていると指摘する。公共工事設計労務単価も2026年3月適用分で14年連続の引き上げとなった。つまり日本の不動産市場は、資材高と人件費高が同時に進む構造的なコスト高に直面している。

 そのしわ寄せはまず新築市場に出る。分譲マンション、建売住宅、注文住宅、開発型の収益物件は、建築費上昇分を販売価格や事業費に織り込まざるを得ない。一方で、実需層の所得や投資家の期待利回りは同じ速度で上がるわけではない。日銀は、住宅価格上昇を背景に、注文住宅から比較的安価な建売住宅へのシフトや、住宅購入マインドの減退が生じていると報告している。新築不動産は「高くなる」のではなく、高くなりすぎて売れにくくなる局面へ入りつつある。

 ここに重なり始めたのが、世界のプライベートクレジット市場の不安だ。Reutersによれば、Blue Owlのファンドでは解約請求の急増を受けて引き出し制限が実施され、Moody’sは同社ファンドの見通しを引き下げた。さらに金融安定理事会(FSB)のアンドリュー・ベイリー議長は、資金調達環境の引き締まりとプライベートクレジット市場のストレスが、世界の金融安定を脅かす可能性に言及している。

 プライベートクレジットは、銀行では取りにくいリスクを引き受ける形で企業や案件に資金を供給してきた。不動産の世界でも、開発案件やレバレッジの高い投資、再編案件、海外案件などで広く関与してきた。もしこの市場で資金流出や評価不安が広がれば、融資姿勢は厳しくなり、再調達コストは上がり、不動産向けの資金供給も絞られやすくなる。Reutersは、米銀がプライベートクレジット業界向け融資基準を引き締めていると報じている。

 つまり今、不動産市場には二重の圧力がかかっている。

 一つは建築費の上昇。もう一つは金融の引き締まりだ。

 前者は開発原価を押し上げ、後者は資金調達の余地を狭める。これが重なると、新築開発や大型投資案件は急速に採算が悪化しやすい。単に「建てるのが高い」だけなら価格転嫁で対応できる余地はあるが、「借りるお金も高い・出にくい」となると、事業そのものが成立しにくくなる。

 もっとも、日本当局は現時点で国内の直ちに大きなシステミックリスクとはみていない。Reutersによると、金融庁は日本の主要金融機関のプライベートクレジット向けエクスポージャーを点検しているが、日本では伝統的な銀行融資がなお厚く、民間のプライベートクレジット市場自体は米国ほど大きくないため、足元で大きな国内問題とは認識していないという。財務相も現時点で国内の大きな問題ではないとの認識を示している。

 ただ、安心材料ばかりではない。日本の銀行や投資家が海外のプライベートクレジット市場に間接的に資金を投じていれば、海外発の評価損や流動性不安が波及する余地はある。しかも日本は中東情勢によるエネルギー価格上昇に脆弱で、輸入インフレが続けば企業収益や家計の余力を削る。Reutersは、日本企業の景況感悪化や倒産増加懸念の背景として、イラン情勢に伴う燃料高と原材料不足を挙げている。資材高、金利不安、投資慎重化が重なれば、不動産市場は「価格は高いのに取引は細る」という厳しい局面に入りやすい。

 一方で、中古不動産には相対的な追い風もある。新築価格が上がりすぎれば、既存住宅や既存収益物件の相対価値は高まりやすい。日銀も、新築価格高止まりの中で、リフォーム済み中古住宅への需要増を指摘している。ただし、その中古市場も改修費や修繕費の高騰からは逃れられない。今後は「新築か中古か」という単純な選択ではなく、建築費をどこまで負担するか、金融コストをどこまで吸収できるかが市場参加者の明暗を分けそうだ。

 結局のところ、今回の中東情勢は、日本の不動産市場に対し、単なる資材高騰ニュース以上の意味を持つ。建築費を押し上げるだけでなく、世界のプライベートクレジット市場の揺らぎを通じて、開発資金や投資マネーの流れにも影響を及ぼしかねないからだ。建設コストと金融環境の両面が悪化する局面では、これまで成立していた案件が突然採算割れに転じることも珍しくない。今後の不動産市場を見るうえでは、坪単価や売買価格だけでなく、資材の確保可能性、労務費の動向、資金調達環境の変化を一体で見る視点が欠かせない。

 以下、どうすればいいかを考えた。

 いまの不動産市場は、静かに、しかし確実に潮目を変えつつある。いや、建築業界はすでに激変だ。昨日まで成立していた計画が、今日はもう成り立たない。しかも厄介なのは、単に「高く建つ」だけではないことだった。金融の空気までが変わり始めている。金は以前のように軽やかには動かず、貸し手は慎重になり、投資家の前には見えない壁が一枚、また一枚と立ち上がっていく。まさに、「高く建つ・お金も締まる」という、逃げ場の少ない局面である。

 そんなとき、不動産投資家に求められるのは、無理に前へ出る勇気ではない。まずは足もとを固め、風向きを読み、倒れない姿勢を取ることだ。攻めるにしても、守りを整えた者だけが次の一手を打てる。

 新築開発に手を出すなら、表面利回りや夢のある計画図だけを信じてはならない。本当にその価格で建つのか、工期は守られるのか、資材は確保されているのか。工事が成立する条件を、一つひとつ冷静に確かめなければならない。土地を買った瞬間に勝負が決まる時代ではなく、建物が無事に立ち上がるまで、何ひとつ安心できない時代に入ったのだ。

 資金についても同じだった。借りられるだけ借りて走るやり方は、今や刃の上を歩くようなものだ。レバレッジを抑え、手元の現金を厚く持つこと。それは臆病ではない。嵐の夜に灯を絶やさぬための、当然の備えである。余力のある者だけが、相場がさらに崩れたときにも立っていられる。

 そして目を向けるべきは、むやみに新しい夢ではなく、すでにそこに在る現実かもしれない。中古や既存の収益物件は、少なくとも「これから高く建てる」という重荷を背負わずに済む。もちろん修繕費の上昇から逃れられるわけではない。だが、それでもなお、完成の見えない新築より、いま目の前に立って賃料を生んでいる物件の方が、はるかに確かな重みを持つことがある。

 必要な修繕を先送りしないことも、この局面では重要になる。いつか直せばいい、もう少し先でいい――そう考えている間に、費用はさらに膨らみ、部材は入りづらくなり、問題はより大きな傷となって返ってくる。だからこそ、やるべき修繕は前倒しする。小さな火種のうちに手を打つ。それが結局は、いちばん傷を浅くする方法になる。

 また、どんな物件でも同じように耐えられるわけではない。強いのは、賃料を動かしやすい立地だ。需要が底堅く、借り手が絶えず、多少のコスト上昇なら家賃に織り込みやすい場所。これからの投資家は、利回りの数字の美しさだけではなく、その物件がどれほど「転嫁できる場所」に立っているかを見抜かなければならない。

 そして最後に、出口ばかりを夢見ないことだ。高く売って終わる物語は、相場が追い風のときには魅力的に見える。だが風が止まり、買い手の財布の紐が固くなれば、その出口はたちまち霧に包まれる。だからこそ、これから重視すべきは、売れるかどうかより、持ち続けられるかどうかである。長く保有しても耐えられる体力、多少の逆風では揺るがない収支、その「保有耐久力」こそが、いま本当に問われている。

 結局のところ、この局面で不動産投資家が取るべき道は明快だ。

 高く建つことを前提にし、金が締まることを前提にし、そのうえで守りを固めること。無理に未来へ賭けるのではなく、家賃転嫁しやすい既存物件へと重心を移し、堅く、しぶとく、生き残る形を選ぶこと。華やかな勝負ではない。だが、こういう時代に最後まで残るのは、たいてい派手に走った者ではなく、静かに備え続けた者なのである。


震えて眠ります。


4月17日現在追記

予想よりもかなり軽傷の模様で、一次的な欠品に落ち着きそうです。

ともわれ、今は慎重に投資先を判断したい時期なのは変わりないです。

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きっと寄せワンが増えますよ(´・ω・`)
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