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79、追跡と意外な真実(ヤスシSide)

ミチルから広瀬経由で連絡をもらい、今日店は夕方の仕込み迄で早退させてもらった。

それでも『グランドヒロセ鎌倉』に着いたのは、19時を過ぎていた。


「富士見、こっちだ。」


ミチルが事情を伝えたのだろう、ロビーで戸田が待っていた。


「・・・ノリコの様子はどうなんだ?」


挨拶も省き、気にかかっていることだけを訊ねた。

そんな俺に、戸田がフッと笑い。


「うん、落ち着いてる。今は、最後のショーの最中だ。でも、随分酷いこと言われたらしい。裕子ちゃん覚えてるか?この間浜田んとこ飲みに行った時一緒だった、眼鏡の方のコだけど。あれから益々ノリコちゃんのファンになったみたいで、こっちのディナーショーも見たいけどチケットないかって頼み込まれて。もう完売だったけど、ダメもとで広瀬に聞いたらやっぱなくて。で、念の為東さんにも聞いたら、料理はないけどチェックするためのスタッフの席からなら俺と2人ぐらい見るだけなら大丈夫って言ってくれて。そしたら、裕子ちゃん大喜びで・・・・・あっ、移動しながら話すか。富士見、とりあえずエレベーターに乗ろう。この間、横須賀の件で話をした広瀬の部屋だ。」


ロビーで立ったまま成り行きを話しかけた戸田がハッとして、急に声を落とし俺をエレベーターホールへと誘導した。


「でさ、実は裕子ちゃんって、シリーズで映画化されてる有名な漫画家なんだ。あんまり富士見は興味ないだろうけど、『フェアリースクール』っていう妖精学校の話なんだけど。名前くらいは聞いたことあるよな?で、喜んだ裕子ちゃんが、風町リノのイラストを描いて来てプレゼントしたいって言うから、ノリコちゃんに電話したんだよ。フロントからノリコちゃんの部屋に電話つないでもらって、その話をしたんだけど・・・俺さ、声デカいじゃん。多分それで、話聞かれてたんだと思う。俺もさ、本名で『ノリコちゃん』なんて呼んでたから、バレバレだったのかも・・・で、ノリコちゃんが部屋に直接来てくれって部屋番号聞いて向かったら、つけられてて・・・。」


ミチルからの連絡は、ノリコの叔父がいきなりノリコを訪ねてきたというものだった。

先日、春川のカラスの誘導で、俺はミチルと一緒にノリコの叔父の住むマンションを見つけたが、オートロックだったため中には入れず、部屋番号もわからなかった。

結局何もできず、引き上げるしかなかったのだが、ただ春川はちょっとぐらいは挨拶しておきましょうと笑いながらまた指笛を鳴らし、カラスを1羽呼び寄せた。

小さな声で何か言っていたが、カラスにGo!と言うと、そのカラスが高くカァァァと鳴き。

あっという間に大群のカラスが飛んできて、いや・・・そのマンションの1室のベランダに100羽近いカラスが入っていき・・・マンションの1つの窓だけが異常に騒がしくなった。

途端に、上下左右の部屋から明かりがついていき、大騒ぎとなった。



次の日の朝、もう一度マンションを見に行くと、マンションの回りはカラスがいっぱいで一種独特な雰囲気になっていた。

そして、そこに現れたのが俺の腕を斬った西園寺のじいさんの秘書だった。

一度、西園寺を連れ俺んちへ謝罪にきたじいさんにぴったりとくっついていた奴だ。

俺は面が割れているから、咄嗟に建物の陰にかくれたが。

管理人らしき男と深刻な顔で話し、色々な方向から写真をとっていた。


「業者に駆除を依頼した方がいいでしょうか・・・さすがに、私一人ではカラスに太刀打ちできません。西園寺オーナーに事情を話していただけませんか?」


管理人が西園寺の秘書に困り果てた顔で、そう言った。

だけど、秘書は渋い顔で。


「いや・・・自分でどうにかしろって、言われそうですよ。最近、横須賀の土地買収の話も立ち消えになって。身内の方もちょっと大変でしたから。」


秘書の発言に、まるで背中に電気が走ったように俺は衝撃を感じた。

まさか・・・西園寺が、横須賀の件にからんでる?

信じられない話だったが、もし本当だったとしたら・・・そのまま放置はできねぇよな?


そんなことを考えながら、俺は奴らに見つからないようにそっと踵を返した。


「そんでさ、ノリコちゃんの叔父さん俺らの後つけてきて、ドアが開かれた瞬間に部屋に押し入って、暴れてノリコちゃんに絡んで・・・結局東さんが取り押さえて、俺も手伝ったんだけど。東さん、やっぱ強ぇわ。まぁ、とにかく今後こんな心配の種は無くしておかないとということで、富士見も同席してもらって、話をちゃんとした方がいいということで同意したんだけど・・・まぁ、とりあえず中に入ろう。」


丁度部屋の前について、戸田がため息をつきながらドアを開けた。




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