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ぜんうさ。  作者: 月白
4/15

4 命名


 玉座の上に座る帝釈天。


 その階段下に座るはる。


『わずか三年で…よく頑張ったな。』


 帝釈天ははるへ笑みを向けた。


 それを聞いて、はるもつられて笑顔になる。


「えへへ〜」


 それも束の間、帝釈天の顔が一変して真顔になった。


『はるよ…最後にもう一度聞く。本当に良いのだな?以前話した通り、その先に――』


「天ちゃん。私の気持ちは変わらないよ。」


 帝釈天の言葉を遮るはる。


「その先がどんな結果になったとしても……。それに、そのために私は頑張ったんだから!」


 顔は笑っているが、決して軽い気持ちで言っているわけではない。


(聞くまでもなかったか……)


 初めて会ったときと同じ輝き。


 帝釈天は、はるの魂の強さを改めて認識した。


『そうか…』


 少し懐かしそうな、でも寂しそうな表情をする帝釈天。


『では最後に、お主に名前をつけなくてはな。』


 頭にハテナが浮かぶはる。


「名前?私ははるだよ??」


『はるはうさぎの魂の名前じゃ。お主は人間の魂へと転換し転生する。魂の生まれ変わり。名前を変える必要があるのじゃよ。』


「ん???」


 難しい話がよくわからず、理解ができていないはるに、帝釈天はいつも通り簡単に説明した。


『新しい姿に変わるから、名前も変えないとダメってことじゃ』


「なるほど!……でもずっとはるだったし…」


 理解はできたが、今更名前が変わることに少し戸惑うはる。


『ふむ……ならば【はる】を残そう。例えば………【こはる】……はどうじゃ。』


「こはる…うん!かわいい!」


 名前を可愛いと褒められて、少し嬉しくなった帝釈天だったが、それを悟られないよう淡々と話を続けた。


『次は苗字じゃな。う〜む……そうじゃな....』


 こはるは目をキラキラさせながら帝釈天の言葉を待っている。


 名前を絶賛された故、こはるの期待を肌に感じて余計に悩む帝釈天。


(なんかプレッシャーが………)


 悩み抜いた結果――


(月……まぁある意味ここが生まれ変わりの家みたいなものなのか…月ノ城……月城……ふむ。)


 考えがまとまった帝釈天。


『【月城こはる】。お主の名前は今日から月城こはるじゃ。』


「月城こはる....わかった!」


 嬉しそうにその場で軽くビンキーをするこはる。


「はるって言う名前はね!ゆきとくんがつけてくれた名前なんだ!」


「それに天ちゃんが付け加えてくれて月城こはる!!」


「2人は私の名付け親だね!2人とも大好き!」


 帝釈天の胸が、わずかに揺れた。


【大好き】


 この言葉を言われて嫌な気になる人などいないだろう。


 帝釈天ももちろんそうだ。


 ついドキッとしてしまったが、今日は威厳を示さないといけない日。


 表情を崩さぬよう、必死に務めた。


『……ちょうど明日がお主の命日か。』


『こはるよ。今日の夜中に儀式を行い、明日の命日に転生を行う。それまでよく休んでおくと良い。』


 2021年1月1日。


 こはるの転生が決まった。


 待ちに待った転生に大喜びのこはる。


「はい!」


(....やっと雪斗君に会えるんだ...!!)


 大きな返事をし、部屋を後にするこはる。


 玉座の窓から空をみる帝釈天。


『いよいよ……じゃな……』


 そこに浮かぶ地球を、静かに眺める帝釈天。


 その表情を、誰も知ることはなかった。

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