閑話:ザックSide
ーザックSideー
それはいつも通りスラム街を歩いているときのことだった。
「「「「ハッハッハッハッ」」」」
近くからそんな笑い声が聞こえるから来てみれば、女の子が三人絡まれていた。おそらく奴隷にされかけているのだろう。
俺は奴隷が好きじゃない。俺が母親を殺す前に父親は母親を奴隷として売ろうとしたからだ。犯罪奴隷は自業自得だが、無理やり奴隷にされるのは我慢ならない。
だから俺は・・・
「お前ら、俺の後について来い!」
そいつらを助けることにした。
見たところいい素材の服を着てるから、それなりの家の生まれだと思った。そしてスラムのチンピラ対策もしていないから呆れたもんだ。顔を青ざめさせてやがる。そんな話をしていたら男たちが戻ってきたので逃げようとしたら・・・
『フャイアーボム』
三人の女の子のうちの一人の魔法で男たちが返り討ちに会ったのだ。
その女の子をよく似てみると。整った顔立ちをしていて、きれいな薔薇のような紅い髪が特徴的で、とても綺麗だった。将来美人になるだろう。
だが!そんなことよりさっき偉そうに説教して挙句の果てに敵を倒されたことによる羞恥心が俺の心を埋め尽くしてしまった。
そのあと魔法を使ったやつとは別のやつに慰められて、とりあえず家に招待することになった。
家で事情を聴くと、いい生まれだなんてとんでもない!むしろ差別の対象だったという。何でここまで正直に話したのかは気になるが、別に話して似ても何も害がないとでも思ったのだろうか?
ダークエルフはめったに生まれず、それこそあと少しで伝説になっていたであろう種族だ。エルフじゃなくても人間に伝われば確実に面倒ごとだ。苦労していることは分かったが、こうゆう世間知らずなところは呆れた。
とりあえず奴隷のことなどを話して、これからどうするのかを話し合った。
そしてここに住んで、俺たちの家族になることが決定したのだ。そして新しい名前を決めたら・・・
「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁん」
いきなり泣き出した。名前くらいで大げさとも思ったが、よく考えて見れば俺は三歳までは親に愛情を注がれて育てられた。けどコイツ・・・いや、リーナは生まれた時からずっとそれすら無く暮らしてきたんだ。きっと名前が愛情の証みたいで嬉しかったんだろう。
そう思って、俺はリーナを見守ったのだった。
それからいろいろあった。スラムの常識を教えて、盗みも教えて、盗みのほうは本当はやりたくなかったんだろう。
俺もやりたくてやっているわけじゃないが、リーナはきっと俺以上に盗みに嫌悪の感情を抱いているはずだ。それなのにやるといった覚悟は素直に称賛する。
ある日、ふと気になってステータスを聞いてみた。そして上がり方も予想通り。だが、リーナが俺のステータスを聞いて見せるのを断ったら急に固まりだしたのだ。
どうしたと聞いてもはぐらかし、わらでできた簡素な寝床に行ってしまった。
そして問い詰めたところ、俺の称号を見たそうだ。やっぱり。
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称号:親殺し:親を殺した親不孝者に与えられる称号。
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そりゃあ気になるわ。こんな称号、好きで手に入れたわけじゃないってのに。
なぜかリーナには俺の過去を話してもいいと思った。だから話した。
でも怖かった。そのあとどう思われるのか、怖くて仕方なかった。でも、称号を知られてる以上、ここで黙っていても進まない。だから、覚悟を決めた。
それから、リーナは静かに話を聞いてくれた。そして、怖がるでもなんでもなく、むしろ慰めてくれた。ホッとして涙を流して、慰められているのが照れくさくて、泣いてないなんて言ってしまって。そのあとはただ、ありがとうとしか言えなかった。
それからは、リーナと顔を合わせるたびドキドキして、それが恋だと気づくのに数日かかって、気づいたら気づいたでさらに恥ずかしくなって、また数日顔を合わせられなかった。
それから幾度もアプローチを試みたが、リーナは鈍感で、この気持ちを伝えるのは時間がかかりそうだ。だけど、絶対にあきらめない。
固くそう誓った。
それからしばらくして、修行が始まった。ただ、それを聞いたミレイとレイラが珍しくリーナの意見に反対したので、これはやばいと思った。だが、魔法関連も鍛えるからそうきつくならないとゆう言葉にほっとした。
だが、修行は地獄そのものだった。けど、リーナはそれをこなしている。もちろん、吐いているし痛みだってある。リーナだって頑張っている。それなのに俺がこれ以上頑張らないでどうする!そんなことであいつを愛せる資格があるわけない!
そういって体を奮い立たせ、何とか修行にはついていった。リーナもびっくりしていた。やったぜ!
そして新しいスキルやらリーナが教えてくれた技やらを体得して、俺は15歳になった。




