第11話:旅立ち
パーティーが終わったころにはもう夕方になっていた。
「さて、お腹も膨れたし、もう出発しよっか」
「「うん」」
「ちょっと待って!」
「「「!?」」」
突然やってきた女エルフ。私と同じ紅い髪だ。見たところ、たいして強くはなさそうだが、一応警戒しておく。
「そんなに警戒しないで。私はただ、話をしに来たの」
「何の話を?」
「あなたたち、この村を出ていくんでしょう?」
「半ば無理やりにだけどね。この二人も、私の友達だって理由で殺されかけた」
「ええ、でも、私はあなたたちの処分には正直納得していないわ。だから、村長を説得しようとここへ来たのだけれど、もう手遅れみたいね」
「用は済んだの?だったら早く出てって!」
「あたしたち、早く旅に出たいの!」
「それとも、邪魔をする気ですか?だったら実力行使も頭に入れておきますが?」
「いいえ、、ただ、そこのダークエルフと話がしたくて」
「いったい何のこと?村の人たちは殺していないわ。立派な正当防衛でしょう?」
村長に関しては過剰防衛だった気も無きにしも非ずだが。
「いいえ、ただ、ひとこと言いたかった。私が・・あなたの母親だってことを」
「! あなたが・・私の母親!?」
「ええ、ちなみにあなたの師匠は・・父親よ」
(師匠?いたっけそんな人?ああ!Aのことか。ってえええぇぇぇぇぇ!)
あいつが父親!私何回も殺されかけたんだけど!?実の娘を殺そうとしてたの!?アイツ!?
「今まで会えなくてごめんなさい。村長に厳命されていたの。あなたにかかわるなって。でも、殺されるって聞いていてもたってもいられなくて、ねえお願い。この村を出るって話、考え直してくれない?村長は私が説得するから」
「あなたが村長を説得できるとは思えない。背得できたとしても、周りが私を見る目は変わらない。もともとこの村は出るつもりだった。そもそも、あなたはなんで私をこの村にとどめるのに必死なの?」
「それは、母親だからよ!それ以外の理由がいるの!?」
「母親なら、なんで今まで愛情を注いでくれなかったの!?なんで今まで姿を見せてくれなかったの!?私、つらかったのに!?友達がいなかったら耐えられないくらい、とってもつらかったのに!?」
本当にそうだ。キキョウが、ミレイが、レイラがいなかったら、耐えられずに死んでいたか、この村の連中を皆殺しにしていたかもしれない。
「それは、ううん、ごめんなさい。でも、もう吹っ切れたわ。これからは、今まで注いであげられなかった分、いっぱい愛情を注いであげる。だから、この村を出ていかないで!」
「やめて!今更出てきて母親面しないで!」
「本当に、考えは変わらないの?」
そう言うコイツの声は、とても震えてて、後悔していることが見て取れた。でも・・・
「何があろうとも私の答えは変わらない。あなたを母親だとは認められない。だから、ごめん。
闇魔法『スリープ』」
「そんな・・どうして」 バタン
「遅いよ・・・遅すぎるよ・・」
そう呟いた私の声は・・とても小さく、消え入りそうな声だった。
「ねえアカネ、ほんとにこれでよかったの?」
「私は納得できないよ!だってこの人、本気でアカネちゃんを愛していたのに!」
「・・・それでも、私はこの人を許すことなんてできない。だから、こうするほかに道はないの。さあ、湿っぽくなっちゃったけど、そろそろ出発しましょう」
「「・・・」」
二人は黙って、私の後をついてきてくれた。




