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終章 金色の鷹

 おとぎの街にある自然公園は、石とレンガの街には珍しく緑に溢れている場所で、ちょっとした森の中に遊歩道や噴水、広場などが作られている。ここでは普段からジョギングをしたり、散歩をしながら思索に耽る人が多く、休日になれば、家族連れやカップルたちが足を伸ばして日光浴やピクニックを楽しむ場となっている。


 狐の家門の屋敷での戦いから数日後。チェスワフとリリアナもこの自然公園にやって来ていた。


 イグナーツとの決闘をこなしたチェスワフの傷は、幸いにも深いものではなかった。体のあちこちに火傷を負ってはいたものの、アマーリア特製の魔法薬は驚くべき早さでそれらを癒してしまった。彼女が言うには、火傷自体もそれほどひどいものではなかったらしい。


「それはそうですよ。イグナーツの術なんか、おれからすれば全然大したことはないですから」


 とチェスワフは子どものように得意がったが、それを聞いたアマーリアはおかしそうに笑った。


「イグナーツくんも同じことを言っていたわ」


「は?」


 話を聞けば、なんでもアマーリアは敵であるイグナーツの怪我の具合まで診てやったらしい。その傷はチェスワフと同様に数日で治るものだったらしく、イグナーツは今のチェスワフとそっくりの虚勢を彼女の前で張ったらしい。


「『あいつの顔を立てて負けてやっただけですから。この怪我だって学部長に診てもらうほどのものではありません』って、彼はあなたと同じようなことを言ってたわ。あなたたちって、ほんとに似たもの同士ねえ」


 アマーリアのからかいにチェスワフは憤慨してみせたが、彼女は楽しそうにただ笑うだけだった。


 チェスワフの怪我は後を引くものではなかったが、問題なのは体力の方だった。イグナーツとの決闘で限界まで魔力を使い切ったというのに、テオドルに一撃を食らわせるために無茶をしたチェスワフの体は、久々の酷使に数日間悲鳴を上げ続けていた。しばらくはベッドから起き上がることができないほどに体がだるかったし、魔法火すらまともに起こせないほど魔法の調子も悪かった。決闘から数日が経ってそれらの不調がようやく治ってきたので、久しぶりに日の光を浴びようとチェスワフはリリアナを連れて自然公園にやってきたのだ。


 リリアナはといえば、今日も以前と全く変わらずに元気いっぱいだった。チェスワフが遊びに連れて来てくれたからというのもあるだろうが、家の中を歩くだけでうめいていた彼の具合が良くなってきたことも嬉しかったのだろう。今は芝生が広がる広場で、知り合ったばかりの男の子たちとボール遊びをしている。彼女は初対面の友達に物怖じしないどころか、男の子たちが顔を引きつらせる勢いで遊びに熱中していた。


 リリアナが走り回り、チェスワフがのんびりと寝転びながら読書をするこの広場には、芝生が青々と茂っており日光が燦々と降り注いでいた。日向ぼっこをするにはうってつけの場所で、チェスワフの周りにもランチを食べる家族連れや、会話を楽しむ恋人たちが見かけられた。


 チェスワフはページを手繰る手を止めて、日の光に目を細めた。もう五月も終わる頃で、雨季である六月が近づいていた。温かく気持ちの良い季節もそろそろ過ぎ去ろうとしている。これからは雨が降る日が続くことになる。


 毎年チェスワフは六月が嫌いだった。陰鬱とした気分になって、なぜか嫌な思い出ばかりが蘇ってくるからだった。だが、今年からはそんな気分になっている暇などないに違いない。


「先生、お腹減った!」


 リリアナがチェスワフのところへ駆け寄ってきた。どうやらボール遊びはもう終わりのようで、お腹を空かせた子どもたちは家に帰ったり、レジャーシートを広げている家族の元で昼食を取ることにしたらしい。リリアナもそれにならうことにしたようだ。ここに来る途中で買ってきたランチを出すようにチェスワフにせがんできた。


「私はスモークサーモンのサンドイッチね! 先生はチキンのやつよ」


「揚げチーズのやつは食べないのか?」


「えっ、いえ、それは先生にあげるわ……」


 カレフ橋の屋台で買った揚げチーズのサンドイッチをなぜか嫌がるリリアナの様子に、チェスワフは首をかしげたが、彼女は話をそらすように言った。


「それにしても、こんな素敵な場所が街にあったなんて全然知らなかったわ。ここならボール遊びもできるし、魔法の練習もできそうね」


「魔法の練習か。たまにここでやっている魔法使いの師弟を見ることもあるな」


「先生もマレクさんと来たことがあるの?」


 リリアナは自然な流れでさらりとマレクの名を口にした。それに答えるチェスワフの口調にも淀んだものはなかった。


「マレクの修行はいつも家の庭か地下室でやってたよ。他の連中に鷹の魔法を見られると、いろいろまずいからな。だが、ここには何度か一緒に来たことがある。普段あいつがおれを連れ回す場所はいつも決まって酒場か賭博場だった。子どもが行って楽しい場所じゃないだろう? おれはときどき言ったもんだ。『もっと普通の場所に連れてって!』ってな。たいていは無視されるか拳骨をもらうだけだったが、気まぐれなあいつは本当にたまにだけど、この公園に連れて来てくれたよ」


「ふーん」


 リリアナは差し障りのない感想を漏らすと、またスモークサーモンのサンドイッチをパクつきだした。チェスワフもそれ以上は何も言うことなく自分のサンドイッチを食べ始めた。


 彼がサンドイッチを片手に広場を見渡すと、人が少ない隅の方に魔法使いの師弟がいた。メガネをかけた優しそうな中年の男の魔法使いと、リリアナと同じくらいの歳の男の子だ。物体浮遊術の練習をしているのか、男の子は顔を真っ赤にしてボールを宙に浮かせようと頑張っている。それを師匠が穏やかな微笑みを浮かべて見ていた。なんとも心温まる魔法修行の様子だったが、チェスワフはそれを見て苦笑した。


 ――クソジジイがあんなふうにおれの修行を見てくれたことは一度もなかったな。


 マレクはいつも乱暴な教え方をした。口より手が先に出る性格の師匠に、チェスワフは魔法の使い方を文字通り体に叩きこまれたのだ。それに、初めてチェスワフが物体浮遊術をできるようになったと言って得意気にマレクに見せたときも、彼は面倒臭そうに「それくらいできて当たり前だ」と言うだけだった。


 この公園にごくたまに連れて来てくれたときだって、マレクはいつもぐうぐうと寝ているだけで、幼いチェスワフと遊んでくれることは一度もなかった。それも今となっては懐かしい思い出だと、チェスワフは素直に言うことができた。


 チェスワフの隣で、早々とサンドイッチを食べ終えてしまったリリアナが仰向けになってだらしなく寝ていた。シャツがめくれて少しお腹が見えている。注意しようとしたチェスワフに気づいたのか、ごろりと転がって今度はうつ伏せになった。リリアナは肘を立て、顎を手で支えてチェスワフのことを見上げた。


「ねえ、チェスワフ先生」


「うん?」


 日の光を受けて、チェスワフを見つめるリリアナの青い瞳は輝いていた。そのきれいな色は彼にとって心安らぐものだった。


「先生のチェスワフって名前は、マレクさんがつけてくれたものなの?」


「ああ、そうだ」


「でも……、先生は五歳のときにマレクさんのところに来たんでしょ? それまであった名前はどうしたの?」


「昔の魔法使いの習慣だよ。弟子入りするときに生みの親から与えられた名前を捨てて、師匠が魔法使いとしての新しい名前を授けるんだ。これからは自分がおまえの親だぞっていう意味でな。マレクに引き取られたときに、あいつはおれにこの名前をくれた。灰鷹という二つ名と一緒に。どうしてそんなことをしたのかはわからない。今じゃそんなことをする魔法使いなんてほとんどいないんだ。みんな実の親からもらった名前をそのまま使ってるし、二つ名は一人前になったときに師匠に与えられたり、他の人にいつの間にか呼ばれてたりするもので、弟子入りしてすぐのガキに名付けられるものじゃないからな」


「ふーん、そうなんだ」


 チェスワフはマレクが魔法使いとしての名前と、二つ名をまだ幼い彼に与えてくれた理由がわからないと、リリアナには言ったが、本当はその理由がなんとなくわかるような気がしていた。


 マレクに引き取られたばかりの頃、チェスワフは毎日泣いていた。自分は親に捨てられたのだ、魔法使いの力に目覚めてしまった自分なんか要らない子だったのだと思っていた。そんな彼にマレクは新しい名前をくれたのだ。


「これからおめえは灰鷹のチェスワフだ。おめえを捨てた親にもらった名前なんぞ忘れちまえ」


 乱暴な物言いだったが、チェスワフは自分でも驚くほどにそれをすんなりと受け入れた。自分はこれからチェスワフという名前の、マレクの子どもになるのだと理解したのだ。チェスワフがそれから実の親を思って泣くことは一度もなかった。


 灰鷹という二つ名を、チェスワフが一人前になる前にマレクが名づけてくれた理由も、今ではなんとなく察しがついた。


 彼が一人前になる前にマレクはどうしようもない事情で姿を消してしまった。もしかしたら、マレクはそういう日がいつか来るのを予想していたのかもしれなかった。彼は弟子を独り立ちさせるまで面倒を見ることができないことを考え、前もって二つ名をチェスワフに与えてくれたのだろう。


 以前はその事実を想像することすらできなかったが、今のチェスワフは灰鷹という二つ名を師匠に直接もらえて良かったと思えた。


 二つ名の場合は師匠からではなく、本人の振る舞いや功績によっていつの間にか世間から勝手に呼ばれていることがある。穴熊のキーツ教授なんかがそうだった。だが、チェスワフはマレクにもらった灰鷹という名前が気に入っていた。


「まあとにかく、おれの元の名前なんてどうでもいいさ。おれには灰鷹のチェスワフっていう、マレクがくれた名前があるんだから。そうだろ?」


「ええ、そうね。とっても素敵な名前だと思うわ!」とリリアナは笑ってチェスワフに同意した。


 アマーリアからマレクが突然姿を消した理由と鷹の家門の秘密を聞き、リリアナを奪い返すために戦ったチェスワフは、以前とは違って自分の名前はマレクが与えてくれたのだと素直に言うことができた。


 そんな彼をリリアナが眩しそうに見上げた。


「チェスワフ先生は二つ名をマレクさんからもらったのね。いいなあ。ねっ、先生もいつか私に二つ名をくれるの?」


「まあ、おまえが一人前になったらな。そのためにはいっぱい勉強しないとダメだ。こないだみたいなテストの点数を取ってきているうちはまだまだだぜ」


 ぎくっとリリアナは身をすくませた。彼女は先日学校で行われた魔法数学のミニテストでひどい結果を出していた。それは数週間遅れて入学したことを考えても見逃せる点数ではなかった。


「え、えーっと、そうだ! 私、先生にお願いすることがあったの!」


「なんだ? 言っておくが、服はこないだ買ってやったばかりだから、もうなしだぞ」


「そうじゃなくて……。あのね、私にも決闘のやり方を教えて!」


「まさか、おまえまた学校の子と揉め事を起こしたんじゃ……」


「ち、違うわ! えーっとね、先生みたいに戦う魔法を私にも教えて欲しいの」


「は?」


 チェスワフは突然のリリアナのお願いに面食らった。


「先生は私を連れて帰るためにイグナーツさんたちと戦ったでしょ? あれはとても嬉しかったけど、私はあのとき何もすることができなかったわ」


「別に気にすることないさ。もうあんなことはないだろうし、もしあってもおれがおまえを守ってやる」


 アマーリアがテオドルを十分に脅したから、狐の家門がまたリリアナの金色の魔力を狙って襲ってくることは考えられなかった。口止めもしておいたから、リリアナの秘密が他に漏れる心配もしなくていいだろう。


 今後考えられる危険は、イグナーツのように鋭い者がリリアナの秘密に気づくか、闇の連中の注意が彼女の存在に向くことだった。


 前者はイグナーツほどの魔法使いだからできたことであって、他の魔法使いに同じことができるとは思えなかったし、第一金色の魔女の研究をしている者なんてチェスワフとイグナーツ以外には皆無と言っていいから心配する必要はない。


 闇の魔法使いや魔物たちについても、金色の魔女の書を持っているマレクの方を追っているはずだから、今のところは問題がないはずだ。


 仮にやつらがリリアナに手を出してきたところで、チェスワフが全身全霊でリリアナを守ってやればいいだけの話だ。


「だから、おまえが魔法の戦闘術を覚える必要は――」


「ううん。チェスワフ先生もアマーリア先生も私のために一生懸命戦ってくれたわ。マレクさんも今はどこにいるのかわからないけど、どこかで私のことを守っていてくれるはずよ。周りの人たちがそこまでしてくれているのに、私だけ甘えているわけにはいかないわ。いざというとき、自分でも戦えるようになりたいの!」


 リリアナの青い目には強い決意が浮かんでいた。怯えなどなかった。そこにあるのは、困難に立ち向かおうとする強くたくましい心だった。


 ――そうか。


 チェスワフの胸にリリアナの言葉はすっと落ちてきた。彼はまた勘違いをしていたようだった。これもまたアマーリアの言う歪んだ親心というやつかもしれない。彼はリリアナを守ることばかり考えていて、彼女が何を考えているのかまでは思い至らなかった。周りの大人たちが何も言わずに自分のことを守っているという事実は、守られているリリアナからすれば歯がゆいに違いない。


 ――魔法の戦闘修行か。それもいいかもしれないな。


 チェスワフはかつてマレクが自分に授けてくれた鷹の魔法の数々を思い起こした。それらはどれも立ちはだかる敵を打ち倒すためのものだった。鷹の家門の使命を知らなかった当時は、どうしてそんなものをマレクが自分に叩きこむのかわからなかった。チェスワフは自分の夢である魔法伝承学の研究者になるには必要だろうと思って、修行をしていただけだった。そしてマレクが消えてからは、いつか帰ってきたあの男を見返すために一人で修行を続けていた。


 マレクが今どこにいるのかはわからない。アマーリアの話では、金色の魔女の力が秘められた魔術書を危険な連中から遠ざけるために身を隠しているということだった。


 もっとも、チェスワフはマレクのことは全然心配していなかった。マレクはチェスワフが知る中で最強の魔法使いだ。あの男を追いつめることのできる者などいるわけがない。どうせ事が片付いたら、朝帰りでもしたかのように何気ない調子で帰ってくるだろう。チェスワフはそれをリリアナとのんびり待つつもりだった。


 それにしても、なぜマレクはまだ子どもだったチェスワフに戦闘魔法の激しい修行をつけたのだろうか。


 鷹の家門の責務を引き継がせるためだったとは思えない。それならば、リリアナと彼女の母親を守るために家を出たとき、一緒にチェスワフを連れて行ってもいいはずだった。なのに、マレクはそうせずに、リリアナを金色の魔女の家系だとも告げずに彼に預けただけだった。


 マレクが何を考えて、チェスワフに鷹の魔法を仕込んだのかはわからない。だが、リリアナを守るのに役立ったことは事実だ。とはいっても、イグナーツたちに立ち向かったチェスワフは、リリアナが金色の魔力を持つから奪い返そうとしたわけではない。彼女が自分の大切な弟子だから守ろうとしたのだ。


 ――ああ、そうか。もしかしたら、マレクはそのためにおれに……。


 チェスワフは目の前の靄が晴れるような思いをした。マレクの魔法修行の理由がわかった気がしたのだ。


 かつては幼かったチェスワフも、いつかは一人前の魔法使いになる以上、弟子を取ることが考えられた。弟子を取るならば、この世に存在する悪意や暴力からその子を守る必要がある。その子が金色の魔女の家系だろうがなんだろうが関係ない。その子が大きな魔法の力を持っていようが持っていまいが、大切な弟子を守るのが魔法使いの師匠なのだから。だが、いざというときに戦う術を持たずに、愛しい子を守れないようでは師匠失格だ。


 マレクがチェスワフに戦う術を教えてくれたのは鷹の魔法使いの責務を引き継がせるためではなかった。チェスワフがいつの日か大切な者を守ることができるようにしてくれたのだ。


 金色の魔女の子孫ではなく、魔法使いチェスワフの弟子である、普通の女の子を守ることができるように。


 そのことに思い至ったとき、チェスワフの口から自然に言葉が滑り出てきた。


「リリアナ、鷹の魔法修行は厳しいぞ」


「チェスワフ先生、戦いの魔法を教えてくれるの!?」


 彼がうなずくと、リリアナはその場で跳ね上がって喜んだ。


「やった! 私頑張るわ! あのね、あれができるようになりたいの。ほら、先生がこうステップを踏んで、イグナーツさんをやっつけたやつ」


 リリアナは喜びの声を上げながら、足でステップを刻み始めた。それは数日前にチェスワフがイグナーツに見せてやった鷹の舞だった。チェスワフは楽しそうに踊る弟子を眺めて思った。


 ――いつかはこいつも一人前になって、弟子を取るときが来るのかもしれないな。


 この子が自分の元を離れるときを想像するのはまだちょっと難しかったが、そのときが来たら彼女にも二つ名を授けてやらなければならない。マレクと同じように、自分の弟子に愛情を込めて名を与えてやるのだ。おまえはおれの弟子なのだと。魔法使いリリアナは灰鷹のチェスワフの弟子なのだと。


 その思いはこの世のどこにでもあるありふれた親子の愛情だ。だが、それこそがこの世界を動かしているもっとも強い力なのだ。人が自分の子を思う心は、この世のどんな魔法よりも強い力を魔法使いたちに与える。リリアナを取り戻そうとするチェスワフに魔力が満ちたように。


 この真理を魔法使いたちはよく知っていた。だからこそ、彼らは実の親が子どもにそうするように、自分の弟子に二つ名やときに魔法使いとしての新しい名前を授けるのだ。その子が魔法使いとして立派にやっていけるように、祈りと愛情を込めて。


 リリアナは手を大きく広げて金髪を風になびかせながら踊り続けていた。空を舞う金色の鷹のように。チェスワフはその様子を見て、自分でも戸惑うくらい急にこの子が愛おしくなってきた。この子にこのまま元気いっぱいに健やかに育ってほしかった。


 急に風が吹いてきて空を見上げてみれば、二匹の鳥が天高く飛んでいた。もしかしたら、鷹の親子かもしれない。空を舞うその姿はどこまでも自由で誇り高かった。


 チェスワフは心の中でリリアナに対する想いを歌い上げた。空高く飛ぶ鷹たちに祈りが届くように。


 金色の鷹の子よ、大きくなれ。翼をはためかせてどこまでも飛んでゆけ。そして、おまえに大切な子ができたときは、その翼で愛する子を守ってやれ。


 かつて荒鷹が灰鷹にそうしてくれたように。


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