一時間
工事が終わった日の夕方、テシエが馬屋に来た。
入口に立って、帳面を見たまま言った。
「工事は済みました。明日からは、こちらには参りません」
「うん」
テシエは、帳面を閉じた。それから、戻っていった。
次の日、ギヨームが道に沿って生け垣を植えはじめた。苗木を一本植えるたびに、土を足で踏んでいた。
*
その次の朝は、まだ暗いうちから東の門の脇にいた。
壁の前の地面に、日が来た。
生け垣の切れ目のほうから、荷車の音がした。トマの荷車の音である。新しい道の上では、車輪の音が前より低かった。
荷車は、道の線を通って、こちらへ来た。石の脇を通り、わたしの前を通った。トマが、帽子を取った。
荷台には、壺と、空き袋が載っていた。
茶色いのは、いなかった。
荷車は、東の門を抜けて、町のほうへ行った。
道の向こうを見た。生け垣の切れ目の近くの石の上に、茶色いものが乗っていた。
あいつがいた。
わたしは起きて、そちらへ行った。
新しい道は、突き固めてあって、足の裏に砂利の角が少し当たった。道の端から、十二歩入った。
石に乗った。日が当たっていて、あたたかかった。あいつの横に寝た。背中がくっついた。
朝の鐘が鳴った。つるはしの音は、しなかった。
*
昼前に、リゼットが来た。杯を一つと、小皿を一枚持っていた。杯をわたしの前に、小皿をあいつの前に置いた。どちらにも、乳が入っていた。
リゼットは、何も言わずに戻っていった。
昼になっても、日は石から引かなかった。
あいつは、ときどき耳を動かした。わたしは、ときどき目を開けた。
昼すぎに、母が生け垣の切れ目のあたりまで来た。こちらを見て、それから空を見た。戻っていった。
ギヨームが、少し離れたところで、生け垣の苗を植えていた。こちらは見なかった。
*
夕方、東の門のほうから荷車の音がした。
石の上からは、道の線が端まで見える。東の門を入ってくる荷車が、遠くから見えた。だんだん大きくなった。
荷車は、石の脇まで来て、少し遅くなった。
ギヨームが、苗を植える手を止めた。
「どうだった」
「一時間だった」とトマが言った。
「そうか」
ギヨームは、また苗を植えはじめた。
あいつが、起きた。石を降りて、荷台に飛び乗った。空き袋の上で、丸くなった。
荷車は、生け垣の切れ目を抜けて、村のほうへ帰っていった。
わたしは、石の上に残った。
背中のところが、まだあたたかかった。




