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運命の間違い

エイプリルフールですが、この話はふざけていないのでご了承ください。

エイプリルフールネタを思いつかなかったこの作者をお許しください

鎖と言っても日常生活に影響するわけでは無かった。

ハイナは鎖がどこまで影響するのか知りたかったので、何度かゼストに内緒で部屋から出ようとした。

だが、そのたびに扉の前にゼストが現れて用件を聞かれた。

ゼストの執着は日に日に強くなっている。

最近はハイナが部屋で何をするにもゼストが見ている。

日に日に縛りを強くしていくゼストにハイナは最初は嫌だったものの、徐々に慣れてきた。

「これが、この人なりの気持ちの表現の仕方」なのだと。


ハイナがここに来て大きく変わったことがある。それは実験がなくなったことだ。自分の体を使って実験をしなくなり、体に変化が起きるようになった。

それは、魔力が原因で体が動かなくなることが多くなった。この症状が酷くなると魔力暴走が起きるらしい。

なぜ、このようなことが起きているかというと実験を行っていたときは血液を多く消費していたのでその分体は多くの血液を作り出すというサイクルが出来ていた。だが、実験が無くなり血液をあまり消費しない今は血液を多く作り出すという体の働きだけが残り、一方的に血液、そして魔力が多く生み出されているということらしい。

その魔力と血液を作り出している器が防御魔法で守られてるという現状だが、いつハイナの魔力が防御魔法を壊すかわからない。

アルスは見かねてゼストに魔力の使い方を学ばせたらどうかと提案した。だが、ゼストの答えは

「魔力を扱わせたら俺の手から逃げる。そして、魔力を扱い魔法使いとなると戦いに赴かなければならなくなるだろう」

と言って断ったらしい。

ということで、いつハイナの膨大な魔力がアルスの魔法を壊すかわからないという問題点によりゼストがずっとハイナを見ていることになった。

ハイナはゼストに話しかけてもゼストは優しく答えてくれる。ハイナは会話中の優しさに偽りは感じなかった。

ある日アルスがハイナにこっそりと話しかけた。

「ここは苦しくない?大丈夫?」

「大丈夫です、もう慣れましたから。ここはゼストさんからの愛に満ちた空間ですよ?」

とハイナは答えた。ハイナはゼストからの兄弟愛を密接に感じ続けて彼は私を好いてくれているという考えが確信に変わった。

「この城から出たいとは思わないの?」

「はい、今のところは。ですが、出られるなら出てみたいです。私の兄はこの世界の主人、その妹である私も世界を知る必要があると思うんです。」

ゼストはコソコソと話している2人を不思議に思い、

「何を話しているんだ」

と言ったが2人は顔を合わせてくすくす笑うだけだった。



ある日からアルスは何日も城に顔を出さなかった。

何日も、何日も。

ゼストはアルスがどこにいったのかわからなかった。

ゼストはアルスの分の仕事も行わなければならなくなった。なんとかアルスを探し出そうと全力を尽くしているようだが、なかなか見つからないらしい。

アルスがいなくなりひと月が経った頃、ゼストはこうハイナの前で言ってしまった。

「ハイナがいる限り…大丈夫だろう…」

ハイナはその言葉を“私は人質なのだ”と解釈してしまった。


それから数日後、アルスは現れた。

「どこに行っていたんだ!」

とゼストはアルスを叱る。

だがアルスはハイナの腕を掴み、「逃げよう。」と言った。

ハイナはアルスに手を離して欲しかったので腕を振ったがびくりもしなかった。

するとアルスは壁にかけてあった剣をゼストの胸元に突き刺した。

「な…にを…」

「死なないから大丈夫ですよ。記憶は消しますし」

「ハイナ…行かないでくれ…」

真っ赤な血を口から吐き出しながらハイナの名を呼ぶ。

「ゼストさん…!」

助けを求めるようにゼストの名を呼ぶ。

「ハイナ…ハイナ…」

「ほら、ハイナ、行くよ。」

アルスはその場から消えた。ハイナと共に。


兄妹の再会はまだ訪れていなかったのように、1人の女性が生活していた様子はもう見られない。


ゼストはしばらく倒れていた。だが、時間が経つと不思議と起き上がることができた。そして、なぜ倒れていたのか忘れてしまった。

もう一つ大事なことも…忘れてしまった。


ハイナは連れて行かれた空間先でアルスを睨む。

「アルスさん!ゼストさんに何を…!!!!!」

「なんのことかな」

「なんのこと…って、あなた1人殺したんですよ!?」

「そのことなら大丈夫。彼は死なないよ。君がいるからね。」

「どういうことですか!?」

「そんな焦らずに、ほらここが君が過ごす部屋だよ。」

ハイナは頭がぼぉ…っとした。何も考えられない。

「そして、君は適さない場面で知ってしまった。だから忘れようね。」

アルスはハイナの額に人差し指を当てて「忘れろ」と言った。

ハイナはそのまま倒れてしまった。

「リビイ〜?どこにいるの〜?」

アルスはある男を呼んだ。

「その呼び名はおやめくださいアルス様。」

「ごめんごめん、芳蘿。君のお気に入りだよ。」

芳蘿にベッドに横たわっているハイナを見せた。

「彼女は君と過ごした日々の本来の記憶、そしてこの子の兄と過ごした記憶もなくしている。彼女には君と過ごした偽の記憶を植え付けてある。だから君が名付けたらどうだい?」

「私にですか…?そんな恐れ多いこと…」

「大丈夫だ。彼女が起きる前にこの場を離れないといけない。そうだ、あの吸血鬼の男には言った?防御魔法がかけてあるから大丈夫だって」

「はい。少し心配した顔で実家に帰りました」

「なら良いんだ。じゃあとりあえず彼女をどうするかは君に任せるね」

とアルスは言ってその場を去った。

「可哀想に、あのような悪魔に騙されて…

運命とは恐ろしく悲惨なものですね、我が主人」


「アルス、人間界の様子はどうだ。」

「最近は勇者って呼ばれる人間を中心に反乱を起こしてるみたい。」

「そうか、最後の最後は戦争にまで発展するかもしれない。一般人に影響の無いように一応戦争空間の準備をしておけ。」

「わかったよ。それにしても、戦争って…いきなりだね。民の声は聞かなくて良いの?」

「聞きはする。反論する奴はそれなりの理由があるはずだ。俺が納得できる理由だったら良いけどな。納得出来ない理由を言う奴がいるなら、そいつの口を閉ざすのみ」

「そう…だね。」

アルスが思うに、ゼストはハイナとの記憶が消えてから冷たくなった。

「ところで、君には昔妹がいたんだろう?探さなくても良いのかい?」

アルスはさりげなく聞いてみる。

「妹か。随分昔に死んだと父と母が言っていた。どうしていきなりそんなことを聞くんだ。お前は父と母の近くにもいたんだろう?聞いてなかったのか?」

アルスは驚いた。まさか、自分の魔法がハイナの存在自体に影響を及ぼしていたとは。ゼストの記憶が改変されている…何故だ……誰かから干渉を受けた?それにしても誰から?まさか、まさか…

「アルス?そこで突っ立ってる暇があるなら働け」

「あ…ご、ごめん。」

自分は普通の男だ。自分は普通の魔法使いだ。

そう、アルスは自分に言い聞かせていた。

一応補足を。

ゼストが世界の王だと言うことは2人で生活する上で共有すべき情報だとゼストが判断したので、アルスとゼストから伝えてあります。

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