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第二陣では水の精霊王-涼が冷気の霧を展開し、熱が直接精霊国に到達しないようにしていた。

(涼“想像以上の熱量だ”)

火耐性のある火竜軍と、耐久力のある地竜軍でも厳しそうに見える。

(涼“冷気の霧を第一陣まで展開し、冷やしてやりたいところだが、下手をすると火炎の熱を下げてしまう。それでは本末転倒だ“)



焔もある程度は後ろにいる皆の状況を理解していたが

(焔“悪いが目の前の敵を撃つことを優先させてもらうぜ”)


後ろの事は考えずに、自身の役割に専念する焔。


(焔“そろそろどうだ”)

腕の向きを変える事により、火柱の射線を変える。

結構な業火をそれなりの時間照射したのだ。

“邪なるものの集合体は貫通され、向こう側の空が見えるのでは?”

そんな淡い期待を抱いての射線変更だったのだが、残念ながら業火の火柱は敵集団を貫通するには至っていなかった。

(焔“まあ、そんなに簡単にはいかないか”)

そのまま業火の火柱を、円を描くように満遍なく敵に放ち、当てていく。

(焔“続けるさ、お前らが消し炭になり、その消し炭すら消えてなくなるまでな!”)



直径150mの業火が敵に直撃している。

だが敵集団の直径は、その巨大火炎の直径の数100倍の大きさがあると見て取れた。


焔の正面にいる敵は業火により消滅していくのだが、周囲の広大な範囲に陣取った敵が覆いかぶさるように発射元の焔に迫りくる。

炎の龍王「待ちかねたぜ。野郎ども!出番だ!!暴れろ」

地の龍王「火の精霊王に敵を近づけるな!かかれ!」

第一陣での乱戦が始まった。

予想通り、発射元の焔に襲いかかってくる邪なるものたち。

近づけさせまいと焔を守る火竜軍と地竜軍。

軍としての連携は皆無だが、個々の戦闘では一騎当千のドラゴンが群がる邪なるものを蹴散らし、滅していく。


稀に小さな敵個体が突破して焔に迫ろうとするが、ロクに近づけずに熱で消滅してしまう。


そうこうしているうちに、大きな個体が2体、左右から突破し、焔に迫って来た。

小さな個体と違い、熱で体が消滅しても、残った身体の質量が業火の火柱の発射元に特攻して焔を攻撃するという、先の大戦でも邪なるものが行った攻撃だった。


近づいてくる2体の邪なるものが、焔まであと10数メートルと迫った時、一閃、片側の個体を地の龍王がガーネットの剣で細切れにして消滅させ、もう片側の個体は炎の龍王が殴り飛ばして滅した。


焔「助かるぜ。サンキューな」

炎の龍王「…こんなクソ熱い所に長居は出来ねえよ。話なら後で聞くぜ」

昔の火の精霊王ならば決して発言することが無かったであろう言葉、“お礼の言葉”を聞き、面くらいながらも本音を交えた言葉を返す炎の龍王だった。



意思疎通をしているのか?偶然か?それとも本能か?

業火の発射元に殺到し、その発射元を絶とうと試みる邪なるものの大群。

しかし、それがままならないと見るや、一部の者たちは次策ともとれる行動に出た。


焔を無視し、精霊国に進行しようとする者たちが現れ始める。

やがて進行してくる敵は、焔に向かうものと、焔のいる第一陣を無視して精霊国に向かって進攻しようとするものとの2ルートに分かれて進んでくるようになった。


水龍王「撃て!」

邪なるものの大群に氷の槍が突き刺さり、軒並み滅せられていく。

第二陣、涼は霧による冷却に全力を注いでおり、戦闘指揮は水龍王に一任していた。

結果、それは正解だった。

焔の火炎が想像以上であり、それ相応に注力して冷却術を展開する必要があった。

大規模に冷却術を展開せねばならないが、第一陣で発射されている業火を冷却してはならない。

絶妙なコントロールが必要とされ、想像以上に集中力が必要だった。

この上、軍の指揮を行うとなると、無理が生じたかもしれない。

そう思う涼だった。


そして、やはり水竜王は水竜たちの特性と能力を良く理解しており、水竜軍の指揮と展開は見事なものだった。

(涼“やはり、竜の事は龍に任せるのが吉でしたか”)

軍の数を理解し、効率良く配置して氷の槍を放つ水竜軍。


距離があるうちは氷の槍で、近接となれば氷の剣で水竜軍のドラゴンたちが迎え撃つ。。

水の精霊王-涼による冷却霧術によって得た地の利も相まって、第二陣に殺到する邪なるものの大群が、効率よく滅せられていった。



“効率よく”とは言うものの、それを凌駕する要因“圧倒的多数”によって第二陣を()して突破する邪なるものが数刻の後にちらほらと現れ始める。


だが、第三陣の軍には圧倒的多数に対抗するための能力があった。

圧倒的スピードである。


風の精霊による風のコントロールにより、通常の数倍のスピードで飛行が可能になった風の龍王率いる風竜軍が、第二陣を抜けてきた邪なるものを超速のスピードで滅していく。


3体程度の邪なるものが第二陣を突破しても、一匹のドラゴンが超速スピードにより一瞬で刈り取るように滅する事が可能だった。

単純計算で風竜軍は3倍程度の軍勢なら対処可能という事になる。


そしてその軍を率いる風の龍王は、一匹のドラゴンが3体の敵を倒している間に、数十匹の敵を超高速移動で滅していく。

そして一方、風の精霊王-颯は、防御としては質量0により敵の攻撃を意に介さず、攻撃は真空の刃を駆使して敵を滅していくのだった。


これにより、圧倒的多数に対抗することが可能となり、地上への敵軍の進行をしっかり食い止める事に成功していた。


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