やっちまったぜ
秋はなんだか少し寂しいですが、楽しみも沢山あります。
「素晴らしいわ!このつや。形も綺麗だし、何よりこの量。流石三ノ宮小学校ね。お兄ちゃま達にもいつものお礼にプレゼント致しましょう。」
「でも、これ薊さん喜ぶのかしら?」
遠藤菫、今日友達の寧々さんと学校を探検していたら素晴らしいスポットを発見してしまった!早速プレゼントを沢山袋に詰めて、お兄ちゃまの元に向かいます。お兄ちゃまは校庭にいることが多いけれど、いつも火曜日のお昼は本を教室で読んでいるので今すぐ行っちゃいましょう。
寧々さんは恥ずかしいから教室で待っているみたい。最近仲良くなった寧々さんは丸い目が可愛らしい友達です。ふわふわの長い髪の毛が小動物のようだけど、極度の恥ずかしがり屋でお兄ちゃまの元に行く時はいつも恥ずかしがって着いてきてくれない…だからお兄ちゃまは私に友達がいないと勘違いしているので困ります。まぁ友達という友達は寧々さんしかいないんだけどね…
6年生の階に行くのも慣れてきました。年季が入った気の手すりを握って上へあがります。古いけれどよく手入れがされているから綺麗なんだよね。落ち着いた雰囲気の階段を登って2個目の教室のドアを開ける。6年生の教室は広いですし大きい机もあり、椅子もやっぱり高い。
「お兄ちゃまー!!すみれが来ましたよー!!」
勢いよくドアを開けながらいつもの如く叫びました。が、返事がありません。
「あ、菫ちゃん。今薊は生徒会の仕事で呼ばれたからもうちょっとしたら帰ってくると思うよ。」
いないお兄ちゃまの代わりに答えてくれたのはお兄ちゃまと仲の良い葵さんです。とても小学生とは思えない美貌を持った倉敷葵さんは中等部、高等部、さらにお母様たちをよくヒーヒー言わせています。今もただ椅子に深く座っているだけなのにやけに絵になります。そんな葵さんは男兄弟しかいないからか、私はよく可愛がってもらっています。でも危険なフェロモンダダ漏れなので近づきすぎないようにしましょう。
「ではお兄ちゃまが来たら倉敷さんにもプレゼントをあげましょう。」
適度な距離を保ちつつお話していると、お兄ちゃまが帰ってきました。相変わらず体全身どこにも力が入っていないような歩き方です。ぎりぎり立っているという感じでしょうか?
「お兄ちゃま!すみれが来ましたよ。今日はプレゼントをわたしに来たのです。」
私はお兄ちゃまの机に例のブツを仕込んだ袋をひっそりと置きます。
「あー、すみれ来てたのか。待たせてごめんな。つーかプレゼントって嫌な予感しかしないんだが。」
「む!しつれいな!見てください。」
私が袋を広げるとそこにはたくさんの
どんぐり!!
先程見つけたのはたくさんのどんぐりだったんです。お兄ちゃまには1番形が綺麗なのをあげましょう。
「はいどうぞ。これは形が特にきれいなのでお兄ちゃまにあげましょう。」
「どんぐりか、まぁ枯葉かと思ってたからまだマシだな。」
お兄ちゃまはしげしげとどんぐりを眺めてかは適当にポッケに入れました。潰れたらどうするんですか!!まぁお兄ちゃまはなんだかんだで優しいので大丈夫でしょう。
「倉敷さんにはつやがいいものにしましょうね。周りのお姉様達にもそれぞれどんぐりを選びますね。」
倉敷さんにもお姉様達にも喜んでもらいました。さぁ!このたくさんのどんぐりをどんどんさばいていきますよ!!よってらっしゃい見てらっしゃい三ノ宮小学校産の採れたてどんぐり!!私は机にひとつずつどんぐりを並べます。
「俺の机が一瞬でどんぐり屋の台になってる…おいすみれ!!汚いだろ。ほら、どんぐりのクズ落ちてるじゃん。」
「むー、これをこうりつよくさばくにはこの形が1番がいいんですもん。時間になったらちゃんとかたづけます!」
「すみれちゃんって難しい言葉もよく知ってるよねー。物をさばくなんて渋い言い回しをチョイスしてくるとことかも見た目とあってないし。」
葵さんが頬杖をつきながら笑いました。写真集の一枚のようです。
あ、またやってしまいました。私はいつもしっかりお嬢様らしく振舞っているのに教わったこともない乱暴な言葉を使ってしまう時がある。気をつけなければ。やっぱり私は周りの人と少し違うのかなぁ…それともおにいちゃまの口調のせい?なんだか後者の気がしなくもない。
「薊さんこの文章につい…わぁ、どんぐり。」
どんぐり屋さんを開いていると新しいお客さんが来店したようです。見たことないし、6年2組ではないのかな?
「貴方様にはこの蓋が大きいどんぐりをあげましょう。」
「あ、ありがとうございます。?」
「おー、三ノ宮か。どうかしたのか?」
お兄ちゃまからその言葉を聞いた瞬間、驚きすぎて少し体が跳ねてしまいました。葵様が吹き出しています。だって、三ノ宮?三ノ宮って?あの三ノ宮家のご長男ということですか??ゆっくり顔をあげると作り物のような綺麗な顔と目が合いました。
私はあの三ノ宮家のご長男にそこら辺に落ちてたどんぐりを渡してしまったということですか??しかも彼の土地のどんぐりを。
「お、お兄ちゃま…こちらの方は?」
自分の推理が外れててほしいと願いながら恐る恐る尋ねる。クイズ番組のような緊張感です。
「おう、三ノ宮昴さんだぞ。前教えたろ?この学校のお偉いさんの一家だって。」
私遠藤すみれ死亡のお知らせを致します
とってもとっても前に書いたものですが恥ずかしくなって投稿してませんでした。コロナでやりたかったことがすべておじゃんになり、虚無になったので久しぶりに文を書いてこのなんとも言えない気持ちをぶつけることにします。




