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第54話 『添い寝ローテーション──誰が一番安らげる?』

「では、発表します!」


妹・久慈川幸香が掲げたのは、

手作り感満載のホワイトボード──その名も、


 


【兄添い寝スケジュール表♡】

曜日ヒロイン枠備考

月曜幼なじみ・歩美添い寝前に耳かき

火曜妹・幸香腕枕+睡眠導入CD付き

水曜図書委員・玲奈手繋ぎ安眠プラン

木曜お嬢様・舞香アロマ+英語の子守唄

金曜ランダム選出運命に身を任せて……?


 


「……地獄への扉が開いてるぞこれ」


俺は震える声でつぶやいた。


 


「兄が公平に愛されるには、

夜の布団環境も平等でなければなりません♥」


とんでもない理屈だ。


 


だが、ヒロインたちはすでに構えていた。


 


「月曜……つまり今日が初日ね」


歩美が静かに拳を握る。


 


「なら、勝ちに行くしかないでしょ……添い寝で!!」


 


舞香は紅茶を啜りながら微笑む。


「ほほう。要するにこれは**“勝ち抜き戦”**ですのね?」


玲奈は眼鏡をクイッと持ち上げた。


「……私、先輩の寝息の記録、もう100サンプル超えてますから」


 


(何の記録だよ!?)


 


 


 ***


 


夜。


部屋の明かりが消え、

布団の中──今日は月曜。つまり、歩美のターンだった。


 


「……じゃ、じゃあ……入るわよ」


 


隣にそっと歩美が滑り込んでくる。


パジャマはゆるめのシャツと短パン。

無防備なくせに、妙にドキドキするシルエットだった。


 


「耳かき……してやるから、じっとしてて」


 


言いながら、膝枕に俺の頭を乗せる。


 


(あ、これ……やばい。好きになりそう)


 


ふわりと香る柔軟剤の匂い。

少し照れくさそうな表情。

耳をくすぐるやさしい声。


 


歩美の指先が俺の耳の中を優しく撫でるたび、

脳が蕩けていくようだった。


 


「昔もこうやってやったこと、あったわよね……」


 


ぽつりと、歩美がつぶやく。


「幸喜が風邪ひいた夜。あたしが看病して、

“耳かきして”ってねだられて……」


 


「覚えて……ないかもな」


「バカ。覚えてなくていいのよ。

その代わり、今日のことは──ちゃんと覚えておきなさい」


 


 


 ***


 


翌朝。


妹がホワイトボードに新たな欄を追加していた。


 


【兄添い寝勝敗表】

ヒロイン安眠度寝言回数抱きつき度脈拍安定率総合評価

歩美92点1回△高★★★★☆


 


「……なんだこれ」


 


「寝言に“歩美……”って入ってたから、

ポイント加算です♥」


「どこのストーカーAIだお前は!!」


 


 


 ***


 


そして今日、火曜。


布団の隣には、既にタオルケットを抱えて待ち構えている妹がいた。


「お兄ちゃん、今日も……よろしくね♥」


「助けてくれ……誰か……」

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