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88 班分け





「これからのことを説明する。まず一人ずつ実力を見る。それからそれぞれに合った内容で指導するためにグループ分けを行う。剣術指導にてある程度の技術があると判断した場合、魔法の実技へ移り、最終的には剣術と魔法を合わせた技を習得してもらうっ!」


エデルが一人一人の顔を見ながら説明をする。

キースも合間に補足を入れる。


「いいか。剣術大会では魔法の仕様は許可されている。剣術と魔法を合わせた技法が出来なければ、上位には食い込めないぞ。得意不得意があるから魔法を使わないのも一つの手だが、それで優勝を果たしたのは、現国王であるジョーカス殿下ただお一人だ。その意味がわかるな?」


 突然、父の名が呼ばれフィリティは驚いた。ジョーカスが剣術大会並びに魔術戦大会で優勝をしていたことは知っている。魔法の技術も桁外れと言っても過言ではないほどに上手い。なのに魔法を使わずに大会に出ていたことは知らなかった。


「最終目標は、全員が剣術と魔法を合わせた剣術を習得することだ。どこまでできるかはお前たち次第だ。ただ無理は絶対にするな」


『『『はい』』』


「では、女子と男子でまず分かれて、剣術のレベルを調べる。クラス番号順に並ぶように」


そこから個人のレベルチェックが始まった。

フィリティたち女子生徒はキースが担当し、男子生徒はエデルが担当する。


Aクラスの女子は全部で七名。剣の握り方がわからない生徒が三名。フィリティをはじめとするいつものメンバー、ヴァランティーヌ、アナスターシャ、ナタレイシアは、あの茶会で剣術をした方がいいとの話題が上がっただけあって、基礎的なところは抑えられていた。


「さすがと言ったところか。剣術の基礎が出来ている四人はA班とし、残りをC班とする。C班は基礎が出来たらB班を作るからな。焦らずに頑張っていこう」


 男子十一名も徐々にグループ分けが済んでいるようだ。

女子のグループ分けが終わった段階でまだ、レジェン、バトン、アルドルト、セリフォスの四人は、振り分けされていなかった。


「次!バトン・カイティオ 前へ」


木剣を互いに構え、エデルと対峙する。エデルがフッと笑った。その笑いがバトンの闘志を逆なでさせる。


「こい」


そこから木剣がぶつかり合う音が響く。女子たちの技術チェックとは、明らかに異なる査定にフィリティは唖然とした。


「あぁ。男子はあれぐらいやらなきゃな。わからんことも多いんだよ」


女子たちの呆気にとられた表情を見て、キースが補足する。握り方もわからない女子三人は、これからああなるのかと想像したのだろうか、顔が白い。


「そこ乙女三人。そんな顔せんでええ。そこまでならんでも女子は、なかなかいいところまで行けるかな」


その言葉にほぅと息をつく小さな呼吸が聞えた。相当緊張したのだろう。

フィリティたち四人は、呆気にとられたものの、バトンの剣術に魅了されていた。素早い切り替えしに軽い身のこなし、なのに木剣の音が重く、一手の相手へのダメージが大きそうだ。


「なぁフィーリ。フィーリもあれぐらい出来るか?」


「いや…私は軽いからあんなに重い一打は打てないと思う」


「フィー。一打よりもあの動きよ。フィーなら出来るんじゃない?私はどうしても…あっここ。こういう切り替えしがうまくできないわ」


左右のヴァランティーヌとアナスターシャが小声で話しかけてくる。

そのタイミングでバトンの査定が終わったようだ。


「はぁ、はぁ、はぁ」


「バトンはA班へ」


「はい」


返事をしたバトンは、エデルを睨みつけている。

何か不満があったのだろうかと、フィリティは不思議に思った。


「次!アルール・オルフェッディオ 前へ」


それにしてもエデルは息ひとつ乱れない。さすが教師だとフィリティは感心していた。


「よろしくお願いいたします」


「では、こい」


最初の一打を打つ。カーーーーンっと空に響く気持ちのいい音だった。


「っ!!!」


「どうした?そんなものか?」


アルドルトは一打目を打ってから、ハッとして何かを思ったのか一瞬、間が空いた。

その間にもエデルの木剣がアルドルトを押す。


気持ちを切り替えて、エデルに向かうアルドルトは、たまに、迷いのある剣捌きになっているのが、フィリティには分かった。


しかし、速さで言えば、バトンよりも速い。なのでアルドルトの剣術に慣れている者以外には、あまり違和感を感じさせないだろう。


「そこまでっ!」


「アルール、A班へ」


「……はい」


アルドルトもバトン同様にエデルに向ける視線が鋭いようにフィリティは感じた。


「なんか怒ってますね」


ナタレイシアがフィリティの後ろに回り、フィリティに話しかける。


「ナータにはわかるのね。私もそう思うわ。なんかバトンとアルドルトはエデル先生に対抗心があるのかしら」


「んー。対抗心…確かに対抗心って言ったら対抗心ですけど…嫉妬?に近いような?」


「ナータ。今、彼らは何色なの?」


「青?いや藍色っぽいですかね、そこに赤が入り込んでる感じですね」


「藍色…」


以前、ナタレイシアに教わったオーラの色を思い出す。

ナタレイシアの経験からこの色の時は、この傾向が多いと彼女なりの統計があるようで教わったのだ。


例えば赤色は、情熱的だったり、やる気に満ちている時、緑色は、癒されている時や調和を示していることが多いそうだ。


表情が青ざめたりオーラに反映されることがあるそうで、そこは感じた時の感覚で見極めているらしい。


確かに【藍色】は嫉妬が混じる人に多いと以前教わった。


(エデル先生の剣術に嫉妬しているのかしら?私がキースに憧れをもったように)


「次!レジェン・デオロ 前へ」


レジェンの番になり、彼のこういった姿は見たことがなかったとフィリティは興味をそそられた。


「――こい」


「ッ!!!」


レジェンの剣技は…音がない。

普通なら足音がしたり衣擦れの音がするものなのだが、音がないのだ。

これには、キースも食い入るように見つめている。

アルドルトとバトンは、目を見開いたのち、追うようにして凝視している。


「ここまで。レジェン A班へ」


一礼してA班に交じる。


「お前すげーな。音がねぇって初めてだぜ」


A班になった騎士を目指す家系の生徒がレジェンに声をかけた。


「こうした方がいいって家庭教師から厳しく教わってね。俺にはそれしか道がなかったのさ」


微笑みながら話すレジェンをアルドルトは、同じく微笑みながら、帝王学で学んだレジェンと同じ戦い方をする()を思い出していた。


(まさか…な)




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