83 少し魔法のつかえる鳥
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刺激な表現があります。
苦手な方はご注意ください。
我は目覚めたとき、本来の身体ではなかった。
言葉を発しても耳に聞こえるのは《ビィービィー》やら《ニーニーニー》やらの鳥の鳴き声。
ただ、あふれ出る魔力は、隠すすべを手放してしまったようで、魔力を欲するものたちを呼び寄せていた。とにかく飛んで飛んで逃げていたらあの地についた。あの地は地獄だと憂慮すべき事態だった…。
目を付けられた…あの国に。
もうただの鳥としても生きることすら出来ないだろうと絶望した。
自身の魔力が自身を攻撃する恐ろしい実験に付き合わされた。
我は、そんな獣ではない。膨大な魔力が無情にも自身を攻撃する。
あやつらは、それを歯をむき出しに高笑いをしながら見物するのだ。命の価値がゴミ以下なのだ。
どれぐらいの月日が経っただろうか…もう心も身体も限界だ。
そんなとき、ガチャリと、ひとりでに監禁された部屋の鍵が開いたのだ。
恐怖におののく我を浮遊魔法で外の世界へと導いてくれた。感じ取った魔力は懺悔に等しいものだった。
がむしゃらに…泥臭く…とにかく無我夢中で飛び続けた。
追ってくる者たちの攻撃魔法によって傷を負い、治し、また負うの繰り返しで我は飛び続けた。
それでなくとも魔力を酷使していた結果、ろくな魔法すらもうまく発動できなくなった。
その時に出会ったのだ…水色の瞳の彼女に。
微量に流れ出る彼女の魔力は、暖かくて心地よくて…なぜか心が救われるのだ。
一緒にいた少年か青年か、まだたどたどしい治癒魔法を施してくれた。愛しさに溢れる魔力だった。きっと彼女のことが好きなのだろう。彼女に向けた魔力なのだろう。それでも痛みが和らぎ不覚にも意識を手放してしまった。
彼女はフィーと言った。
フィーは我を過保護なほどに優しく、ひとつの命として扱ってくれる。
過ごしてみて気づいた。まだ、本人は気づいていないが、彼女の魔力は薄い膜に覆われ大半が閉じ込められていた。それを破壊し覚醒したのなら、彼女はこの世界で唯一無二の力を手に入れると言っても過言ではなかろうか。そう我は思っている。
そんな彼女が寝ている隙に肌を寄せ合い彼女の魔力を徐々に吸い取り、我は我を満たしていった。
枯渇していた魔力も戻り、鳴き声と重なっていた言葉がハッキリと、【言葉だけ】を己の耳に入るようになった。どんどん回復していく中で唯一、本来の身体に魂が戻ることはなかった。
いつになったら戻れるのだろうか
我の身体は、まだあそこにあるのだろうか
フィーから別れを切り出されたが、我はフィーの元から離れたくなかった。また、あの国の輩にみつかるやもしれぬ恐怖もあった。それ以上に彼女があの国に見つかってしまったら…どうなるのか…。想像するだけでゾッとした。側にいて守りたい。心優しき彼女を守れたら…。
いつの間にか生まれた庇護欲が別れを拒む。
フィーも苦笑いをしていて、別れを惜しんでくれているようだった。
我の想いを飛んでは戻るという行為にのせた。そしてーー。
――『……うちに来る?』
その言葉で我は誓った。
『我、この者を主とす!』
アルと言う小僧が反応した。
元々要素はありそうな魔力だったからな。我は気にしない。フィーには届かないのだから。
水色の瞳がじーっとこちらを見つめている。
彼女は…助けてくれるだろうか
伝承の中では、我は最強と言われた種族。
しかし、今の我は…臆病な…信じるものを失い貴女にすがる。
だたの…少し魔法のつかえるだけの鳥。
『それは、いずれ話そう……フィリティ・アンジュール』
本日短めで、すいません!




