谷子と「みんな、勇者」
谷子の日常を描いたので、次は栞とドキ子の日常でしょ? でしょ? っと思うのだが、新アイデアが思いついたので、新作を書かないで、「帰渋」の中で書いてしまおう。そして、形になったら、他のコンテストが始まったら、新たに書こう。2,3手先を読んだ考えである。「信長SF」は、「帰渋」でいじって、新アイデアのネ申が降臨されたこともあるからだ。
ここは帰渋高校の図書室。
「おお、「信長SF」も、あと2万字で終わりか。次は何を書こうかな?」
図書部長を「勇者、小説を書く」の主人公とリンクさせた場合、図書部長は、小説家志望の高校生となる。つながるか、心配ではある。思いついたアイデアは「帰渋」で使用すればいいので「勇者、小説を書く2」を削除。
「部長、ウザすぎます。」
谷子は、あくまで部長の言うことは、一刀両断。これで流行語大賞を取るのだ! 双子設定にすると、家族会話が増えて会話を回しやすくなって、良かった~♪
「ということは、図書部は4人だけなのに、作家モドキが2人もいるのね?」
栞は、高校生なのに、首にはスカーフを巻いている。だって栞ちゃんは、魔法使いエロメスだもの。今、流行りの魔法少女にしてしまうか? それとも魔法女子高生か?
「ドキ子の方が作家として、優秀よ! 部長なんかと、一緒にしないでよ!」
ドキ子も前回「ドキ銃士~♪」という作品を書いた。自分で作品を書いて、その作品から仲間をスカウトしてくる。これがギルドの正しいパーティーの作り方である。
「ゲジゲジ眉のどこが優秀なのよ?」
「複垢をたくさん作って、ランキング上位にして、人気作品に偽装して、小説コンテストで大賞を受賞するの! そして書籍化して、印税をガッポリよ!」
「それ、不正じゃない・・・。」
有頂天のドキ子には、栞の嫌味は聞こえない。
「なら、図書部で誰が1番小説の才能があるか、勝負しようじゃないか!」
「望むところよ! クソ部長!」
「私は、遠慮します。」
「ダメよ! 谷子ちゃんも、栞ちゃんも全員参加よ! 誰が図書部で1番偉いのかを決めるんだから!」
「ええ!?」
「大丈夫よ、適当に話を合わせておきましょう。」
「うん。」
こうして、帰渋高校の図書部は、誰が1番小説を創造する才能があるのかを競うことになった。
「小説のテーマは何にしよう?」
「ドキ子は、何でもいいわよ!」
「SFは書けたから、書籍化の定番、異世界ファンタジーにしよう。テーマは、それぞれの勇者だ!」
「勇者ね。おもしろい。ドキ子のスペシャルな勇者を読ませてあげるわ!」
「ということで、機嫌は1日。明日の部活動の時間に全員発表。1番指示された作品が大賞だ! いいな!」
「部長、ウザすぎます。」
「部長もドキ子も迷惑な連中だ・・・。」
こうして、帰渋高校の図書部で異世界ファンタジーの勇者の物語を書いてくることになった。図書部だから本に関わる展開で話が進んでいく。
そして、「あ~でもない。こ~でもない。」と頭を書きながら、夜なべをして作品を完成させる4人であった。
翌日。
ここは帰渋高校の図書室。
「逃げなかったのは、褒めてやる。ちゃんと書けたんだろうな? ドキドキ眉。」
「部長、私に負けたら、部長を変わってもらうわよ!」
「眠たい・・・。」
「ふわあ。書きなれてないから、徹夜してしまった。」
火花を散らす、ドキ子と部長。目の下にクマを作って眠そうな渋井姉妹であった。
「それでは、いっせーのーで、出すぞ。」
「いいわよ。」
「うん。」
「はい。」
「いっせーのーで!」
そして、4人の作品が出された。タイトルを読んでみよう。
部長「パクリ勇者!」
ドキ子「ドキドキ勇者!」
谷子「ブック勇者!」
栞「ラブラブ勇者!」
適当なタイトルが並ぶ。これで大丈夫か? と思いつつ、ここから図書部の勇者コンテストが始まる。
「まずは俺の勇者からだ! ズバリ! パクリ勇者だ!」
「なんて、せこい勇者!」
「部長らしい。」
「パクリって、不正じゃないの?」
逆転の発想である。「プロはパクっても、認めなければいい!」で済ましている。何を書いても同じような勇者を、誰かが書いている。それならば、堂々とパクる勇者が居てもいいじゃないか!? という趣旨である。
「パクリ勇者が異世界の救世主になるのだ! 他の勇者が苦労して習得したスキルを、パクってしまう! なんとラノベ的でチートな能力だ!」
それでは、ダイジェストでどうぞ。
「おまえのスキルは、頂いた!」
「なに!?」
「これで透視魔法は俺のものだ! よし! 街に女の子を眺めに行くぞ!」
パクリ勇者は、女性の服を透視して、鼻血を出して、出血多量で死んだ。
ダイジェスト、終わる。
「部長、ウザすぎます。」
「ドキ子のドキドキ勇者の方がいいわよ!」
「とてもじゃないけど、大賞は無理ね。」
しかし、パクリ勇者レベルが、ラノベの異世界ファンタジーの主流であり、大賞、ランキング上位、書籍化されているのである。作品を書きながら構想を練る。効率の良い小説の書き方である。
「次は、私の番よ! ドキ子のドキドキ勇者を聞きなさい!」
それでは、ダイジェストでどうぞ!
「魔王! ドキドキしてる?」
「してない。」
「なら、カワイイ、ドキ子がドキドキさせてあげる~♪ この世界はドキ子が1番カワイイのよ!」
ドキドキ勇者は、無謀にも魔王に戦いを挑み敗れ、死んだ。
ダイジェスト、終わる。
「ハハハハハ! ドキ子、魔王にやられてるの! ハハハハハ!」
「なかなか、いい死に方だ。」
「魔王は、ドキドキしないよね。」
「なによ! それなら谷子ちゃんの勇者はどんなんなのよ!」
「私のは・・・。」
それでは、ダイジェストでどうぞ。
「私は、本が大好きな勇者です。本さえあれば、楽しく暮らしていけます。私には・・・魔王なんてどうでもいいんです! さらわれた姫様! どうか、死んで下さい! 世界の平和? 勝手に滅べばいいんです! 私は、本さえあれば、いいのだから!」
ブック勇者は、滅びゆく世界の中で、楽しくコロコロしながら本を読みました。めでたし、めでたし。
「谷子の勇者は、ハッピーエンドだと!?」
「ドキ子より、可愛くないのに!?」
「さすが私の妹だわ~♪」
「エヘヘ~♪ お姉ちゃんの勇者は、どんな勇者?」
「私の勇者は・・・。」
それでは、ダイジェストでどうぞ。
タイトル「愛は、異世界を救う!」
「剣? 剣なんて、鋼鉄の皮膚を持つドラゴンには無意味。魔法? 魔法なんて、人間よりも魔力の高い魔王には効く方がおかしい。では、人類が人類にしかできない攻撃はなんだ!? 愛。愛しかないじゃないか! くらえ! 人類最強のラブラブ・アタック!!!」
ラブラブ勇者は、愛で異世界を救いました。めでたし、めでたし。
「愛だと!? そんな攻撃方法でいいのか!?」
「カワイイが愛に負けるというの!?」
「お姉ちゃん、大好き~♪」
「私も大好きよ、怪獣ちゃん~♪」
素晴らしい姉妹愛。
「それでは、誰の勇者が1番良かったのか投票します。良かった人を指さしてください。いっせーのーで。」
部長は自分を指さし、ドキ子は自分を指さし、谷子は栞を指さし、栞は谷子を指さした。全員に1票ずつ入る結果になった。
「今日の所は、引き分けだな。」
「ドキ子と互角とは、やるわね。」
「怪獣ちゃんも自分を指せば、2票で大賞だったのに。」
「だって、お姉ちゃんの作品が良かったから。」
「なんていい子なの~♪」
素晴らしき姉妹愛。しかし、現在3000字。このままでは、1話5000字のノルマに達成しない。ピカーン! っと本が光ったことにしよう。
「まぶしい!? なんだ!?」
「ドキ子の輝きに比べれば大したことないわ!」
「サングラスしてるくせに!」
「お姉ちゃん、怖い。」
そして、その光はグリモワールとなり、谷子たちを本の世界へ、時を超えて転移させる。異世界ファンタジーの本だ。その本のタイトルは「みんなが勇者」だった。
「戦士、僧侶、魔法使い、パーティーのみんなが、勇者だ!」
なんて、きれいごとは、一般大衆のファンタジーなのだろう。
「俺は、勇者!」
「ドキ子も勇者!」
「私も勇者!」
「お姉ちゃんも勇者!」
みんな、勇者とは、パーティ全員が勇者というのが正しい。これが正解だ。
「なんか変な世界にやって来たな。」
「部長、ウザすぎます。」
「勇者は、ドキ子1人だけよ!」
「勇者同士でデスゲームを行い、誰が最強の勇者か決めるのね!?」
勇者の取り合いをしなくてもいい、いじめの無いシステムである。そして、プレイヤー同士で殺し合い、誰が真の勇者かを決める、アリーナシステム。
「もちろん魔王もいるだろう?」
「部長、ウザすぎます。」
「魔王もドキ子が倒すわ!」
「みんなが勇者で協力して、魔王を倒すのね!?」
勇者だらけのパーティで、魔王を倒す、勇者だけが使える最大魔法も4人いれば、4連発できるのだ。勇者100人なら、魔王も1ターンで倒せる・・・かも。
「しまった!? みんなが勇者だと、俺のパクリスキルが使えない!?」
「部長、ウザすぎます。」
「ドキ子に勇者を譲らないから、天罰が下ったのよ!」
「天罰だけ、共感するわ。」
部長のチートスキル。「パクる」が陽の目を見ることが来るのだろうか?
「ドキドキ勇者の最大の武器は、ドキ子の可愛さよ!」
「顔だけな。」
「怖いよ、お姉ちゃん。」
「ドキ子の場合は、カワイイではなく、相手を恐怖のどん底に落とすまで追いかけるストーカー的な、ドキドキ感よ。」
チートスキル「カワイイ」で、悪の魔王もメロメロよ~♪ そんなヒロイン・幼女・魔法少女もありか? ん? ドキドキとメロメロは、次元が違うな。しかし、見えないものが少しだけ見えたような気がする。
「おまえたちは何者だ!?」
「ん?」
谷子たちの前に一人の女の子が現れた。もちろん彼女も勇者だ。この世界のキャラクターは全て、勇者だからだ。宿屋も勇者。道具屋も勇者。畑を耕しているのも勇者。一層のこと、魔王も勇者にしてしまおうか?
「魔王が勇者で何が悪い!?」
良いタイトルだ。ラノベの主流の話ばかり書くのは辛いな。一般人なので、合ってないんだろうな。これは作者の独り言。書籍化したかったら、書けって言われるんだろうけどね・・・。話を元に戻そう。
「図書部長だ。」
「かわいいドキ子~♪」
「谷子です。」
「姉の栞です。」
谷子たちは、自己紹介をする。名前は違えど、職業は全員が勇者である。現れた女の子は、年齢は、どうしても女子高生くらいになるのだが、谷子たちの自己紹介を聞いて、不思議そうに首を傾げる。
「知らない名前ね。この世界の新入りさんかい?」
「そうです。やって来たばかりです。」
「ごめん、ごめん。この世界は、みんなが勇者だから、分かりにくいんだ。」
「なんという無茶苦茶な世界だ!?」
「これも仕方がないだ。みんなが勇者になりたくて、争いが絶えないだろう? だから、誰もが勇者、みんなを勇者にしてしまった世界なんだ。」
「ドキ子も勇者~♪」
「ゲジゲジ眉でも勇者になれるのね。」
「お姉ちゃん、この世界、怖いよ。」
「我々は名乗ったんだ。君の名前も聞かせてもらおうか!」
ナンパではない。部長は現れた女の子の名前を聞いた。すると彼女は腰にある鞘から剣を抜き、空に剣先を掲げる。
「私の名前は、メロ。ヒロイン勇者だ。」
これが急造キャラクターの、ヒロイン勇者である。発想は、メロメロからきている。逆算の計算ではあるが、何でもありなのだ。
「ヒロイン勇者!? なんて、可憐な!」
「ヒロインは、ドキ子よ!」
図書部長とドキ子は、ヒロイン勇者の登場に興奮している。異性として好き、という気持ちと、ライバルになるかもという嫉妬心だ。
「早くここから離れなさい。この辺りは危険よ! 勇者がいっぱいいるからね。」
「勇者がいっぱいで危ないのか?」
「悪者が現れたら、ドキ子が倒してあげる。」
「みんなが勇者になったら、良く分からない世界ね。」
「お姉ちゃん、怖い。」
どうやら、全員が勇者という世界は、単純なようで複雑のようだ。ヒロイン勇者が全員が勇者の最大の問題点を言う。
「勇者が、いい人だなんて、誰が決めたの?」
この世界に来れば、誰でも勇者になってしまう。ということは、性格の悪い人、いじめをする人、暴力的な人、犯罪者、それこそ魔王も勇者、スライムも勇者である。
「ええ!?」
「ドキ!?」
「なにを言ってるの? このヒロイン勇者は?」
「お姉ちゃん、嫌な雰囲気になってきたよ。」
性善説を全否定である。勇者が正義ではない。勇者が優しくない。勇者が笑顔ではない。私たちは、いつの間にか、勇者は正義の味方だと認識していた。
「そこの新米勇者ども! このスライム勇者さまが、おまえたちを倒してやる!」
いきなりスライム!? が現れた。このスライム、なんだか様子が変だ!? 言葉をしゃべっている!? 違う! このスライム、勇者だ。みんなが勇者の、この世界では、スライムさえも勇者なのだ!
「スライムが勇者!?」
「スライムなんかが、ドキ子と同じ勇者!?」
「お姉ちゃん、そろそろ、この世界から帰ろうよ?」
「そうね、この先の展開が危険だわ。」
谷子たちも、みんなが勇者の、この世界のルールが分かってきたみたいだ。スライムも、魔王も、案山子も、無花果も、みーんな、勇者なのだ。
「逃がさないぞ! 新入りがレベルアップする前に、倒すんだ!」
「卑怯だぞ!?」
「ドキ子、死にたくない!?」
「やっぱりこうなるのね。」
「お姉ちゃん、怖い。」
体力が6くらいのスライムだが、勇者なのだ。勇者ということは、勇者だけが使える最大の勇者攻撃魔法「勇気爆発」が使えるのだ。
「ここは私に任せて!」
「ヒロイン勇者さま!?」
「メロちゃん!?」
「この後の展開が読めたわ。」
「お姉ちゃん、スゴイ。」
ヒロイン勇者が谷子たちの前に立ち、命懸けでスライム勇者と戦おうとしている。その姿勢に図書部長とドキ子は感動している。
「くらえ! スライム勇者最大魔法! 勇気爆発!」
スライム勇者は、勇者限定の最大魔法を唱えた。しかし、魔法は発動しなかった。
「あれ!? あれ!?」
「スライム勇者! あなたは最大魔法は使えないわ!」
「なに!?」
「なぜなら、マジックポイントが足らないからよ!」
「なんと!?」
そう、この世界は不条理なもので、みんなが勇者ではあるが、本体の能力によって、強い勇者と弱い勇者が作られる。弱肉強食の勇者世界であった。
「もしかして、ヒロイン勇者は、スライム勇者が最大魔法を使えないことを知っていたんじゃ・・・。まあ、可憐だから許す。」
「メロちゃん、カッコイイ~♪ ドキ子、感激~♪」
「どう、私の思った展開通りよ。」
「お姉ちゃん、すごい。」
この程度のチート? お約束? オヤジギャグにはビクともしない「帰渋」のスタメンたちである。
「くらえ! スライム勇者! これが本当の勇者の最大魔法、勇気爆発だ!」
ヒロイン勇者は、勇者の最大魔法、勇気爆発! を放った。これは炎でも、雷でもなく、勇者の1番の武器、勇気を爆弾に見立てて、相手を攻撃する最大魔法である。すごい勇者になると、銀河を消し去る破壊力があるという。
「ぎゃあ!?」
ドカーン! と勇気がスライム勇者に当たり爆発した。スライム勇者を倒した。ヒロイン勇者は、髪をかき上げながら言う。
「ヒロインは勝つのよ。」
みんなが勇者で、悪も勇者なこの世界。頼れるものは、ヒロイン勇者だけだ!
「メロメロ、なかなか良かったわよ!」
「私はメロなんですけど。」
「あなたをドキ子のギルドメンバーに迎え入れてあげるわ!」
「遠慮するよ。」
「どうして?」
「私は、ヒロインとして、困っている人々を助ける使命がある。」
「ドキ子、困ってます。」
「どこが!?」
「メロメロが仲間になってくれないと、ドキ子、困ります!」
「なんか、面倒な女の子だな。」
ドキ子の提案に困ってしまうヒロイン勇者。それを陰から冷ややかに見ている谷子たち。
「ほらね、どこの世界に行っても、ドキ子はゲジゲジ眉なのよ。」
「お姉ちゃんの言う通り。」
「ヒロイン勇者が仲間になってくれるなら、なんでもいい。普段通り押し通せ! ドキ子!」
困っている人を助けない訳にはいかない! これがヒロインの辛い所だ。
「分かったわ。ドキ子ちゃんの友達になってあげよう。」
「やった! メロメロ、優しい~♪」
「それでは、私は困っている人を助けに行くので、さらばだ。」
「どこに行くの? メロメロは、ドキ子親衛隊の4人目のメンバーよ。」
「え?」
ドキ子親衛隊? いつの間にできたのやら? ドキ子近衛師団でも、いいのかもしれない。入隊条件は、ドキ子基準で、カワイイかどうかである。ドキ子は、カワイイが全てだからだ。
「4人目!? ドキ子に友達がいたの!?」
「いるわよ。谷子ちゃん、栞ちゃん、ミレミレとメロメロ~♪」
「私たちを勝手に入れるな!」
「お姉ちゃん、怖いよ。」
「俺は入っていないのか、良かった。」
ドキドキ親衛隊は、隊員募集中~♪ これからも増えていくだろう。
「おお! スライム勇者が宝箱を持っていて、開けてみると、ゴッドブックだ!」
「お姉ちゃん、帰れるね。」
「良かったわね。怪獣ちゃん。」
「メロメロも行くわよ。」
「行くって、どこに? 私はヒロイン勇者として、困って・・・うわあ!?」
栞ちゃんが、魔法でグリモワールして、谷子たちは現代社会に帰って行く。時を超えて、次元の狭間をワープする。
「みんなが勇者、恐ろしい世界だった。」
「部長、ウザすぎます。」
「みんながドキ子じゃなくて良かったわ。」
「それ、どういう意味よ。」
「言葉通りよ。」
「なんですって!?」
「あの・・・ここはどこです? もしもし!?」
ビビビビビっと火花も散っているのだが、みんなが勇者という、バカバカしい世界に疲れたので、帰ることにした。
「お姉ちゃん、帰ろう。」
「そうね。続きは明日よ! ゲジゲジ眉!」
「何よ! ドキ子もお庭の鯉にエサをあげるんだもん!」
「あの・・・私は、どうしたらいいんだ?」
「良かったら、うちに来ますか? 親には嫁が出来ましたと紹介します。」
「遠慮する。」
行く当てのない、ヒロイン勇者のメロは、仕方がなく、ドキ子の家に居候することになったのだった。
つづく。