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宮坂家ほのぼのカレンダー  作者: 文具屋太郎
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宮坂家のある夏休みの一日

「美咲~ヒマじゃ~」

 真夏の午後、程よく空調の効いたリビングで、片手にガリガリするアイスを持ち、床をゴロゴロ転がり、だらけきる陽菜さん。

「ちょっと、お姉ちゃん、邪魔!!洗濯物畳めないでしょ!!」

 夏の太陽の香りをいっぱいに含んだ洗濯物を畳んでいる美咲さんが、そこらじゅをゴロゴロして、ちょっかいをかけてくるお姉ちゃんの陽菜さんに、ほとほと手を焼いています。

 八月に入り、ますます暑くなってきました。今日は平日。宮坂お父さんとお母さんはお仕事。文香さんは図書館へ出かけ受験勉強。颯太君は宮坂お祖父ちゃんとお祖母ちゃんの買い物について行って、家にいるのは陽菜さんと美咲さんの二人だけ。

「ったく、私もお祖父ちゃん達についていきたかったのにさぁ」

と、ブーたれている陽菜さん。

「だって、お姉ちゃん、お祖父ちゃんに一緒に行くかって聞かれていたとき、いびきかいてお昼寝していて起きなかったくせに」

と、あきれる美咲さん。

 働き者の美咲さんは、夏休みの宿題帳をやった後、夏休みの自由課題の自分の浴衣作りや、洗濯物の取り込みなどのお手伝いで、お家にいます。

 一方、陽菜さんと言えば、朝の内はこのところ恒例になった、文香さんの鬼の監督の下で夏休みの宿題をこなし、その後はだらだらと。宮坂お祖母ちゃんのお手製のお昼ご飯の後は、速攻で昼寝、とまあ典型的な小学生の夏休みを過ごしております。


「む~ん、ヒマ」

「おねえちゃん、さっきからヒマとしか言ってないし。そんなにヒマなら、香織おねえちゃんか誰か友達誘って遊んで来れば?」

「それがなぁ、今日に限ってみんな、親戚の家に泊まりに行ったり、家族旅行に行ったりでねぇ~」

「それじゃさ、この後お庭の花壇に水撒きするから手伝ってよ」

「え~、めんどくさぁ~」

 ダメ姉っぷりを発揮する陽菜さん。それに仕方なしに合わせている美咲さん。


 外は午後になり少し日が傾いてきたとはいえ、まだまだ真っ白な夏模様。蝉がせわしなく鳴いて、とても賑やか。

「む~ん。はずれ」

食べていたアイスバーの外れ棒をひょいと投げる陽菜さん。投げられた棒は、綺麗に放物線を描き部屋の片隅にあるゴミ箱の中に。さすが陽菜さん、素晴らしい運動神経です。

「ねえ、お姉ちゃん、洗濯物、お姉ちゃんの分自分で部屋に仕舞ってきて」

「む~ん、めんどい」

「おねえちゃん!!む~ん、む~んばかり言ってないで、そのくらいやりなさい!!」

「ヘイヘイ、なんだか美咲さ、最近姉ちゃんに似てきたよなぁ」

ぼやきながら渋々と自分の洗濯物を自室に仕舞に行く陽菜さん。もはやどっちが姉なのやら妹なのやら。


「よし、洗濯物の片つけおしまい」

 沢山の洗濯物を家族それぞれの箪笥にしまい、美咲さんのお手伝いもひと段落。ふーと一息ついて、次は庭の植木に水撒きしなきゃと考えていると、

「おーい美咲、こっちおいで~!」

庭から陽菜さんの声が聞こえてきます。

「なーに?」

美咲さんが縁側に行くと、

「ジャ-ン!!」

と陽菜さんが指さす、手押し式ポンプのついた井戸の側に、いつの間にふくらませたのか、ビニールプールがでんと置かれています。

「お、お姉ちゃん、いつの間に・・・」

ビニールプールの中には、井戸からくみ上げた綺麗な井戸水が満たされていて、いかにも涼しげ。しかもどこから持って来たのやら、黄色いアヒルのおもちゃが数羽ぷかぷかと水面に浮いています。

「そーれ!!うお!つめた!!」

陽菜さん、何の躊躇いもなく服を着たままビニールプールへドボン。

「ちょ!!お姉ちゃん!そんな、服着たまま!!」

美咲さん、あわてて庭に降りて駆け寄ります。

「大丈夫、大丈夫。暑いからすぐ乾くって。それ!!」

「ひゃ!!つめた!」

陽菜さん、手で掬った水をジャバジャバと美咲さんに引っ掛けます。

「あははは!!どうだ涼しいだろ!!」

「・・・ふーん、そうか、お姉ちゃん。そうなんだ」

頭から水を滴たせた美咲さん、何か黒い笑みを浮かべ、庭の散水用の水道の蛇口のある方へ歩いてゆき、おもむろに繋いである散水ホースを手に取ると、蛇口のコックを全開にし、無言で勢いよく出る水を陽菜さんにぶっ掛けます。

「ブボボボ!!ちょ!!美咲!ごめん!ごめんて!!」

さすがの陽菜さんもホースからの散水攻撃にさすがに参ったようです。


「ただいまー」

宮坂お祖父ちゃんとお祖母ちゃん、颯太君が買い物から帰ってきたようです。

「うん?庭の方が騒がしいが」

庭から聞こえるきゃいきゃいとした声に気付き、庭に行く3人。

「あらまあ」

「これは・・・涼しそうだな」

少しあきれ顔のお祖母ちゃんちゃんとお祖父ちゃん。

視線の先には、ビニールプールの中ではしゃぐ陽菜さんと美咲さん。

「あーボクも!!」

さらにそこに颯太君も入り、宮坂家の小学生組の盛大な水遊びが。

「やれやれ、風呂でも焚いておいてやるか」

「私は、着替えを用意しとくわ」

宮坂お祖父ちゃんとお祖母ちゃん、みんなの水遊びが終わった後の準備を始めます。


「カナカナカナカナ・・・」

一しきり水遊びを終え、お祖父ちゃんが焚いてくれたお風呂に三人一緒に入って体を温め、お祖母ちゃんの用意してくれたところてんのお八つを、図書館から帰ってきた文香さんも一緒に食べ、子供達4人縁側に座り蜩の鳴き始めた庭を眺めています。


「なんかこう、夏休みって楽しいな」

陽菜さんが言うと、

「そうだね」

「うん!!」

と美咲さんと颯太君が頷きます。

「ふーん良いわね小学生は。私も来年の夏は沢山遊ぶんだから!!」

夏休みを満喫できない受験生の文香さんは、じと目で妹弟を見て、来年は絶対に夏を楽しんでやる!と決意をしていましたとさ。


まだまだ夏休みは終わりません。

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