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宮坂家ほのぼのカレンダー  作者: 文具屋太郎
15/47

宮坂家の連休

 一月、いきなり来る成人の日を含めた三連休。宮坂お父さんは会社勤めなので、毎年当然お休みなのですが、自営業の宮坂お母さんと宮坂お祖父ちゃんお祖母ちゃんは、仕事のなにかしらで三連休にするのは滅多にないこと。しかし今年は曜日の配列のおかげで、大人がそろって三連休が取れました。

 約束通り、土曜日の午後に宮坂お祖父ちゃんお祖母ちゃんが家にやって来て、また一段と賑やかな宮坂家です。


 連休二日目。天気予報では冬型の気圧配置が強まり、この冬一番の寒気が来ているそうです。

宮坂家の住む街も、西側の大きな山から吹き下ろす寒風が一段と強く、時折雪も舞うとても寒い日になっています。

 あまりの寒風の強さに、子供たちも外に出られず、みんな退屈そう。

「母ちゃん、ひまだぁ~」

「ひ~ま~」

一番元気な陽菜さん、ゲームにもマンガにも飽きて、颯太君と一緒にリビングをごろごろ転げまわり、二人で暇じゃアピールを繰り返しています。

「もう、そんなん転げまわってると、埃がたつじゃない。あ、陽菜!もう人に覆いかぶさらないで重いから~。お母さん、二人をなんとかして~」

と、二人のごろごろ攻撃に手を焼いている文香さん。

「そうねぇ、ずっと家にいても暇だし、お昼ご飯がてらどこか買い物にでもお出かけでもする?」

とお母さんが提案。

ところが、

「え~、お外は寒いよぉ~暖かいお家にいるのがいいよぉ」

寒さが大っ嫌いの美咲さんが、寒い外に出るのに大反対。

「う~ん」

とお母さんがどうしたものかと考えていると、

「そうだわ、お昼ご飯がてら、スーパー銭湯さんに行って、あったかいお風呂に入ってくるのはどう。確か館内の食事処は美味しいって評判だし、それにすぐ近くだし」

と宮坂お祖母ちゃんが提案。

「そうだな、確かあそこのスーパー銭湯、家族4人以上行くと割引もあったな」

と宮坂お祖父ちゃんも賛同。

「そうですね、車で10分くらいだし、丁度8人だから車で行けるし」

とお父さんも乗り気です。

「どう、美咲。車の中もあったかだし、銭湯すぐにつくし。お風呂あったかいわよ」

とお母さんがにっこり言うと、

「お風呂かぁ。うん!行く!!」

と、暖かいところ大好きな美咲さんもようやく賛成。

「文香に陽菜に颯太、それでいい?」

とお母さんがほかの子たちに聞くと、

「は~い!!!」

と元気な声が返ってきました。


 お祖父ちゃんお祖母ちゃんお母さんと、背の高い3人が乗ると少々狭い宮坂家の8人乗りミニバンに乗り込み、いざスーパー銭湯へ。

みんなでぎゅうぎゅう詰で楽しく10分程ドライブして到着。

「寒い寒い!早く早くぅ!!」

と、もこもこに着ぶくれている美咲さんが、駐車場に止めた車を降りたみんなをせかして、スーパー銭湯の建物の中へ。アニメ映画に出てきた、千さんが働いていた湯屋を思わせるつくりの内部はとても暖かく、美咲さん

「わぁ~。あったかぁ~」

とご満悦。

下足箱に靴を入れ、受付で家族割で1割引きになった料金を支払っていると、受付係りのお姉さんが、

「あの、予約のお客さんのキャンセルで、今ちょうど一つ貸切部屋があいていますが、いかがですか。そこでお食事もできますよ」

と提案をしてきました。

「そうねぇ、結構大人数だし、子供たちもいるからいいかしら。ねえみんなどう?」

とお母さんがみんなに聞きます。

「おお、それはいいな。気兼ねなくゆっくりできるし、お借りしようじゃないか」

と宮坂お祖父ちゃんが代表して返事をします。


 離れのようなところにある10畳ほどの貸切部屋。1時間千円ほどで借りることができ、一応テレビもついていて、庭にも面していて、まるで高級旅館の部屋のよう。

中に入ると、早速子供たちははしゃぎだします。

「ほらほら、とりあえずお茶を淹れるから、みんな座って」

とお母さんが仕切ります。

 みんなでお茶を飲んで一息ついて、

「さて、それじゃお風呂入ってきましょうか」

とみんなで連れ立って浴場のある棟へ。

「あなた」

宮坂お母さんにっこり

「なんですか」

宮坂お父さんもにっこり

「お父さんはあっち」

と、女湯ののれんの前で男湯ののれんを指さす女性陣。

「・・・ですよねぇ~ くそぉ、僕も子供たちとお風呂に入りたいんです、ぐすん」

家族愛溢れるお父さんは、宮坂お祖父ちゃんに引きずられて男湯に連れて行かれます。

・・・て、お父さん一歩間違えると捕まっちゃうから、気を付けてね。


「うわぁ~おおきいおふろぉ」

さまざまなお風呂のある浴場に目を丸くしている颯太君。まだ幼稚園児なので、女性陣と女湯にいます。

「うん?颯太はここ来るの初めてだっけ?」

文香さんが聞きまます、

「うん!はじめてぇ!」

初めてのスーパー銭湯に興奮気味で、今にでも駆け出しそうな颯太君。

「こらこら、滑りやすいから走ったりすると転んじゃうよ。ほらお姉ちゃんと手をつないで」

しっかりと颯太君の手を握る文香さん。

「ふふふ、文香ちゃんたら、ちゃんとお姉ちゃんしてるわねぇ」

宮坂お祖母ちゃんが二人を見ながら目を細めます。

「おお、一番乗り~」

いきなり風呂に飛び込もうとする陽菜さんを

「あ~駄目だよお姉ちゃん、ちゃんと先に体を洗わなきゃ」

と腕をつかんで注意する美咲さん。

そんなやり取りを見て、

「ふふふ、陽菜ったら、美咲に注意されて・・・これじゃあどっちが姉だか妹だかわからないわね」

やはり目を細めてみている宮坂お母さん。


「うわぁ細かい泡。ほんとに牛乳見たいだね、文香お姉ちゃん」

「うん、そうだね、肌触りもいいいね」

すごく細かいバブルがでる、ミルキーバスに入っている文香さんと美咲さん。

「このお風呂、お肌がきれいになるんだって」

「へぇ~私も、お姉ちゃんやお母さんみたいにきれいになれるかな」

二人の姉妹が女の子の会話をしています。


もう一人の姉妹は・・・

「うぉ~修行~!!」

陽菜さん、打たせ湯に座り込んで、頭でお湯を受けて滝行のマネ。まあ、多くの男子がだいたい同じようなことをしますね。


外の大露天風呂に入っている母娘。

「しかし母さん、ほんといつまでもスタイル変わらないわねぇ~」

と、羨ましげにお祖母ちゃんを見る宮坂お母さん。

「そうかしら」

「ええ、とても50過ぎにはみえないわ」

「ふふふ、ありがとう。そういうあなたも、まだ二十代で通りそうなスタイルね」

そんな風にお互いのスタイルを褒めあってます。確かに二人とも、十歳や二十歳は軽く若く見えます。

そんな二人の周りを、ちゃぷちゃぷ泳ぎ回る小さな颯太君。まるでワンコがお風呂に入っているよう。


こんな風に宮坂家の女性陣(颯太君含む)は長風呂を楽しんでいます。


一方の男湯では・・・

「ちぇ、僕も家族みんなでお風呂入りたいのになぁ」

大人げなくぼやいて、大露天風呂に入っている宮坂お父さん。

「しかし、気持ちいいなぁ~」

と、お湯にぷかぷか浮かんで気持ちよさそう。

ほかのお客さんが、内風呂に移動してしまい、珍しく外湯にはお客さんがいなくなった一瞬、大露天風呂の湯をもぐって宮坂お父さんに近づく影が・・・

ザッバァン!!と大きな水しぶきを上げて、

「わっ!!!」

と、宮坂お祖父ちゃんが宮坂お父さんの前へ湯の中から飛び出てきました。

「んにゅわい?!」

宮坂お父さん、びっくり仰天。

「お、お義父さん、あ、あなたは、テルマエ・〇マエですかぁ~~!!」

魂の叫びをあげる宮坂お父さん。うん、宮坂お祖父ちゃん、濃い顔に筋肉質に高身長、完全にルシ〇ス・モデ〇トゥスとういうか、阿〇寛です。

「わはは、驚いたか」

宮坂お祖父ちゃん、お正月の時もそうですが、どうも宮坂お父さんを驚かすのが大好きな、ちょっと困ったお祖父ちゃんの様です。


「あら、父さんたち、もう上がっていたの」

男性陣より、かなり遅れてお風呂から上がってきた女性陣。

その女性陣を見て、

「おお、我息子よ」

「はいお義父さん」

顔を見合わせ、

「「これぞ湯上り美人」」

と、見事にハモる宮坂お祖父ちゃんとお父さんでした。

うん?ちょっとまって、颯太君が男の子と言うことを、みんなお忘れでは・・・


 みんな、お風呂を楽んだ後は貸切部屋に戻り、さてお昼ご飯。

館内のお食事処から、食事を取り寄せることができるそうで、みんなでメニューとにらめっこ。

「私、ラーメンセットと、餃子に焼売それと・・・」

「ちょっと陽菜、いくらなんでも食べ過ぎよ」

相変わらず食いしん坊の陽菜さんに、呆れる文香さん。

「私、オムライスがいい」

と美咲さん。

「ぼく、お子様ランチ」

と颯太君。

それぞれメニューを決め、

「あ、お父さんたち、帰りは私が運転していくから、ビール飲んでもいいわよ」

と言う宮坂お祖母ちゃん。

「お、いいのか?」

「感謝します。お義母さん」

と宮坂お祖父ちゃんとお父さんは大喜び。

「まあ、家に帰ったら、今夜私たちが飲むのに付き合ってもらいますから」

とボソッとお祖母ちゃんが付け足しましたが、お祖父ちゃん達には聞こえなかったようです。


一通り料理が運ばれ、お昼をみんなで美味しく楽しく頂き、食後、ほろ酔いのお祖父ちゃんとお父さん、満腹の陽菜さんと颯太君がごろりとお昼寝。

お祖母ちゃんとお母さん文香さんと美咲さんは、再びお風呂へ入りに。

一日、スーパー銭湯を大いに楽しみ、子供たちも大満足。最後にみんなで湯上りのソフトクリームを食べて、身も心もほっかほっかになりながら家に帰りました。


その夜、子供たちが寝静まった頃・・・

連休も明日までだし、たまには飲みたいとの宮坂お祖母ちゃんとお母さんの希望で、宮坂家の大人たちがリビングで酒盛り中。

「あの、そろそろ、終わりにしないか・・・」

宮坂お祖父ちゃんが恐る恐る言います。

「なんだってぇ~うるさいわよ、あなたたちだけお付き合いと言って遅くまでお酒を飲んでいるくせに、私たちが飲んじゃいけないとでもいうの」

「そうよ、たまには私たちにもとことん付き合いなさいよ」

目が座って、文句をたれる宮坂お祖母ちゃんとお母さん。

「お、お義父さん、ここまで来るともう何言っても無理です」

引きつった顔で言う宮坂お父さん。実はこの宮坂家の女性二人、もう半端なくお酒に強く、さらに酔えば酔うほど物理的攻撃が強くなるといった、なんかの拳法の使い手のようなお二人。

「てか、あなた、さっきからコップのなか、ちっとも減ってないじゃない。ほら男らしくぐいっといきなさいよ」

と手に持ったボトルをお父さんに突き出すお母さん。

「ちょ、ちょっと待ってください」

「ほら、あなたもグイッと!」

「い、いや、俺はもっとゆっくり飲むから大丈夫だ」

と酔った女性陣に宮坂お父さんにお祖父ちゃん、もうたじたじ。

「な~に?私たちの酒が飲めねえて言うのかしら~」

ポキポキと指を鳴らす鬼二人。

「いえ、すみません、飲みます、飲ましていただきます!」

子羊のようにフルフル震える男二人・・・

ああ、宮坂家の夜は更けてゆきます。


翌朝。

「ほら、あなたたちいつまで寝てるの!!」

リビングで打ち捨てられたように眠る、宮坂お祖父ちゃんとお父さんの毛布を非情に剥ぎ取る脱衣婆・・・もとい、宮坂お祖母ちゃんとお母さん。二日酔い?なにそれ食べられるの?と言う二人はあれだけの酒量にも関わらず、一晩寝たら、顔色一つ変えず朝から元気です。

一方毛布をはぎ取られたお祖父ちゃんとお父さん

「ううう、なんだか頭が割れるように痛いんだか・・・」

「ぼ、僕もですお義父さん、しかもなんだか関節がきめ技を食らったように軋んで痛むんですが・・・」


お酒と、お祖父ちゃんお父さんでうっぷんを晴らした、お祖母ちゃんとお母さん。

お肌はつやつや、もう生気がみなぎっております。

うっぷんを晴らされた、男二人・・・・

ああ、哀れ・・・



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