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~time~2

timeに入ってから、既に一時間が経過した。


俺達は車にのり、お昼を食べにレストランに向かっている途中な訳だが…。


会話が思うように進まない。



勿論、これが仲のいい男友達なら盛り上がっていただろうが、今の話し相手は天使と女の子である。


どんな会話をしようかと頭を悩ませ、やっとの事で将来の夢について話し出したと言うのに…


どうやら禀のトラウマか何かに触れてしまったようだ。


心なしか、禀の表情が暗い。震えているようにも見える。


禀「………。」


顔が青ざめた事から察すると、かなりの恐怖体験だったに違いない。


キャラメ「どうしたでショ?」


助手席で小刻みに震える禀にキャラメが声を掛けた。


その瞬間、現実に戻ったかのように禀はハッとして、


「何でもないです。」


と呟く。


禀「心配掛けちゃいましたか…?すみません。」



キャラメ「震えているように見えたでショ。何か嫌な事思い出してしまったでショ…?」


禀「ちょっと、昔にした約束を守れなかった事を思い出して…」


東真「……」



責任感…?

それだけで震えるか?


いや、それはない。


あれは確実に“恐れ”の顔だった。


東真「何があったか知らないけど、美味しいご飯でも食べて暗い気持ちを吹き飛ばそうぜ。」


禀「そうですね。」


俺の言った事で少し安心したのか、禀は軽く微笑みを見せた。


俺は禀のトラウマに触れてしまって申し訳ない気持ちで一杯になりながら、禀のテンションを高めようと努力してみる。


東真「なぁ、レストランに行ったら何を食べるんだ?」


禀「…えっと…」


東真「ん?まだ決まってなかったか?」


禀「とりあえず、温かい物が食べたいです。」


温かい物、か…

てっきり好物とかを食べたいって言うかと思ったが、外れたか。


好物へと話題を展開させるつもりだったのだが、失敗だ。


キャラメ「あそこに見えるのが、この世界で有名なレストラン、でショ。」


慌てて窓の外を見てみると、確かに長蛇の列の先にレストランが見えた。


木で作られた建物は、まるで御伽噺に出てきそうな、何とも可愛らしい外見である。だが、秘密基地の様にも見える…というのも、その建物は木の上に建っているからだ。


子供が喜ぶのは間違いなさそうである。

早速駐車場に車を停め、店へ歩き出す。


東真「楽しみだな。」


禀「そうですね。」


この店を見て微笑む禀は先程とは違い、嬉しそうに見えた。


トラウマの件はこのレストランが忘れさせてくれたようだ…有り難い。これで空気が重くならずに済む。


長蛇の列を横目に、俺達は店へ近づく。そして大きな木の前に辿り着いた時、夜弥達と合流した。


マリ子「あっ、東真さん!良かった、追いついたんですね。」


東真「そりゃあキャラメ達の車に乗せて貰ったんだから当たり前だろ?」


マリ子「私が心配したのはこの人だかりの中で貴方がキャラメさん達とはぐれないかの方です。」


なっ!それ、ここで俺が迷子になるのを心配してたってことじゃねぇか!


東真「馬鹿にするなよ!俺が迷子になる訳ないだろ!」


鬼羅「冗談にマジで反応するなって!」


夜弥「言い争いは良くないよぉ…」


禀「大丈夫ですよ。いつもこんな感じでしょうから。」


夜弥「そうなのかなぁ…」


東真「それはともかく、俺達は何であの列に並ばないで店に向かってるんだ?」


キャラメ「あぁ言い忘れてたでショ。…私達スポンサーには特権があるでショ。この世界で有利になるというものなのでショ。だから私達は並ばずに店で食事が出来るでショ。」


東真「ここの住人は反抗したりしないのか?」


マリ子「あの住人達は、スポンサーの力で生きているようなものなので、多少の事なら我慢してくれます。」


禀「なんか…可哀想…。」


鬼羅「例えば、ここの世界にいる人型の住人は、現世で死んでしまった奴らなんだ。それでも生きたいという願いが強かった者を連れてきてる。」


キャラメ「実際、あなた達も死んでるでショ。」


夜弥「そう…だったね。」


…とすると、ここの住人は全員元は普通の人間って事だな。

…俺の祖父や祖母も居るのか?


鬼羅「仕事を作っているのも俺達だし、給料も与えているのも俺達。ちなみに、ここでいい仕事をすれば、生まれ変われるってシステムなんだ。」


マリ子「だから、多少の事では反抗しないんですよ。」


キャラメ「勿論、こっちの世界にも人権はあるでショ。だから行き過ぎたお願いはきかなくてもいいんでショ。」


鬼羅「実際はいつ反抗してもいいんだけどな。してこねぇんだよ。」


そうこう会話をしている内に、巨大な木へと近づいていく。

木の下へ着き、上を見上げて見ると、絵になるような深緑の葉と、その葉を照らす太陽の光がマッチしてとても綺麗だった。


どうやら木の上までは、螺旋階段で上る事が出来るらしい。

一段一段上がってみると、階段の手すりの至る所に蔓が巻き付いていた。何ともお洒落だ。


二階までの段数は、33段程と少し長いが、丘の上に建っているこの場所から見える景色もまた格別で登っている間、全く苦にならなかった。むしろ、一段一段と上がる毎に見える景色が少しづつ変わっていくのが面白いくらいだった。


一行で階段を上り終え、店のドアを開けた。


チリン…となるドアに付いた鈴の音と同時に、いらっしゃいませの声と、ウェイターの姿。

ウェイターに案内され、席へと移動する。



この店…内装も良い。

室内も全体的に自然で仕上げてあるみたいだ。


テーブルも、椅子も全て木で出来ている。


ただ、テーブルの上に掛けられた布が多少の優雅さと、ピクニックのようなワクワクを感じさせる。


案内された席に座った俺達は、メニューを囲んだ。


ウェイターが水とフォーク等を運んで来た。


ウェイター「ご注文が決まりましたら、こちらのベルを鳴らして下さい。」


ウェイターはそう言い一礼してから去っていった。



東真「さて、何にしようか…」


最初に目についたのは、豪華なステーキ。


東真「おぉ、美味しそうじゃん!」


禀「そうですね。」


禀はメニューに載っているサラダを見つめている。


東真「折角だから、豪華なの食いたいよなぁ…」



今にも涎が出そうになりながら、ステーキを見つめる。


マリ子「食べる物はちゃんと選んだ方がいいですよ。」



何でだ?

何かまずいことでもあるのか?


キャラメ「ここのお金は何だったでショ?」


東真「フル…だったよな。」


そう俺が呟いた途端、夜弥がハッと何かを察したような顔をしたのでとりあえず夜弥の方を見る。


夜弥「もしかして…これも…このゲームで手に入れたフルで買うのぉ…?」


東真「つまりどういうことだ?」


?「…つまり。」


急に夜弥じゃない男の声が聞こえ、振り向く。


そこには、呆れたような顔をしたゼリアムと叉玖埜が立っていた。


叉玖埜「ここでお金を使ったらゲームの方に支障が出るってこと。」


禀「マスの効果でフルを払わなきゃいけなくなった時に払うお金がなくなるって事ですね?」


確かに。

ここで使ってしまったら、ゲーム内の所持金は減る。


フルの借金が出来る可能性があるって事か。


しかも借金したら、このゲームに勝ち辛くなるしな。…でも何で叉玖埜が俺達に情報提供してるんだ?


一応敵の筈なのに。


まさか、何か裏が…?


夜弥「それじゃあ…!」


夜弥が悲痛な叫びをあげた。


夜弥「高級料理店に行った来美さんは…!」



この情報が行ってない。

あいつならお金を使いかねない!


叉玖埜「来美についてはどうしようもないね。何処にいるか分からないし。…最も、ちゃんとこの事に1人で気付ければ話は別なんだけど。」




マリ子「タリスさんが、情報をただで提供する筈ないですからね…」



鬼羅「そうだな…。」



夜弥「何処に食べにいってるかも分からな…ってあれ、あそこに居るのって…来美さんじゃないかなぁ…?」


夜弥の目線の先には、俺達の話を聞いていたのか不機嫌そうにした来美と、同じく不機嫌そうなタリスが居た。


東真「高級料理食べにいったんじゃ…」


来美「あんな物食べられる訳ないじゃない!」


タリス「魔界じゃ有名なんだぜ?」


不敵な笑みを浮かべながら、わざとらしく「お前が高級料理っつーから連れてったのに」とタリスは言った。


鬼羅「おっと、これはタリスが一枚上手だったみたいだな。」


鬼羅さんが同情の念を込め呟く。


つまり来美はー…魔界の料理、すなわち人間が食べないようなものを出された…と。そういうことか。こりゃスゲェ。


流石の来美もそりゃ高級料理を諦めるよな…。



タリス「機嫌直しに俺が奢ってやるからよ!」


来美「当たり前よ!責任とって。」



奢る…?

そんな事も出来るのか!


叉玖埜「あぁ、スポンサーはお金持ちだから、金は一杯持ってる筈だよ。」


ゼリアム「但し、奢るかどうかは別だがな。」


その瞬間、皆が笑い出した。




東真「じゃあマリ子は…」


マリ子「えぇ、奢ったりしませんよ。…第一私はナビゲーターですから。」


そんな自信満々に言われてもなぁ。


叉玖埜「ゼリアム、奢ってくれる?」



ゼリアム「ポーカーで我に勝てたら奢ってやっても良い。」


叉玖埜「…ゼリアム、奢る気無いでしょ。」


ゼリアム「我はただ単にゲームがしたいだけだ。お互いに価値がないと楽しくないからな。」


お互いに自分なりのルールというか、楽しみ方というか…交渉の仕方があるんだな。


キャラメ「禀のは奢るから気にしなくていいでショ。」


禀「えっ、ううん、奢らなくて平気だよ。それに…何か悪いし…。」


キャラメ「だ、か、ら、気にしなくていいでショ。」


禀「…有り難う、キャラメさん。」


キャラメ「えっへん!でショ!」


おぉ、太っ腹だな。天使さんは。


鬼羅「夜弥~、お前も好きなだけ食っていいぜ~?お前、もっと太らないとだからな!」


夜弥「僕、少食だから逆に辛いよぉ…」


鬼羅「残してもいいから、好きなものちゃんと頼めよ!」


夜弥「あ、有り難う…。」


全く、どいつもこいつもスポンサーってのは金持ちなんだな。


ゼリアムと叉玖埜何か、チェス始めたし。


ってさっきポーカーで勝負とか言ってたのに何でチェスなんだ?

それぞれのプレイヤーがスポンサーと話し始め、その中の叉玖埜とゼリアムはチェスを始めた。


皆話しながらメニューを決めたりしているが、俺だけはちらちらとマリ子の方を見ている。


東真「なぁ、マリ子。マリ子は何か食べないのか?」


マリ子は俺の目線に動じずに「はい」と一言口にした。



東真「じゃあマリ子って…いつもこの場で何も食べずに座って見てるのか?」


今度は少しだけ反応した。


機械であるマリ子は、食事をする事が出来ない。


マリ子は俺達が食事するのを眺めるだけ…。


マリ子「…もう、慣れました。」


悲しそうな声で、ゆっくりと言うマリ子。またも俺は地雷を踏んでしまったようだ。



東真「…そんなにも人間そっくりに作られてんのに…残酷なもんだな。」


マリ子「仕方ないんですよ…」


そう言いマリ子は俯いた。

…と思った瞬間顔を上げた。


マリ子「なんちゃって!」


東真「は?」


マリ子の急激な変化に思わず苦笑いをする。まさか…嘘だったのか?


マリ子「食べようと思えば食べれますよ。ただ、あんまり気が進まないだけですから。」

東真「………」


呆気にとられ数秒硬直した俺を見て、マリ子は笑っていた。



東真「…おい!一瞬心配しちゃったじゃないか!」


マリ子の笑いにつられて俺も笑い出した。


少しの間笑い続けた後、落ち着いてからまた話をきりだす。


東真「お前、嘘つくの得意なんだな。」


マリ子「えぇ、機械ですから。人間みたく、表情で読み取られませんからねぇ。」


冗談を言い合ったり、笑い合ったり。マリ子は機械と思えない程に、沢山の表情を見せた。


マリ子「東真さん。」


東真「何だ?」


マリ子「…いえ、何でもないです。」


からかわれっぱなしの俺を見て、周りまで笑い出す。


いつしか俺達はマリ子を中心に笑いに包まれていた。




ゼリアム「チェックメイトだ、しょ…叉玖埜よ。」


叉玖埜「負けたーッ!…って今、少年って言いかけたでしょ。」


ゼリアム「ご名答。」


叉玖埜達の決着がついたみたいだ。ゼリアムの勝ち…か。

なら奢りは無しになったな。


ゼリアム「…楽しかったぞ、叉玖埜。お礼として特別に奢ってやろう。」


叉玖埜「やった。」



何ぃ!俺以外全員奢りかよ…


マリ子「すみませんねぇ、お金もちじゃなくてーっ!」


東真「まぁ、しょうがないよな。マリ子はマリ子だからな。」


マリ子「?」


東真「さぁてと!そろそろ頼もうぜ。」


禀「そうですね。皆さん決まりました?」


夜弥「決まったよぉ。」


叉玖埜「おっけー。」


来美「いいわよ。」


鬼羅「俺達は構わずどぞ。」


東真「じゃあ呼ぶぞー!」


近くに置いてあったベルを手に取り、軽く横に振る。


「リィン…!」


ベルの音が店内に響き渡った。

ウェイターが来るのを待ってから、注文をし始める。



叉玖埜「俺からでいい?」


東真「気にせず頼んでいいと思うぞ。」


叉玖埜「…そ。じゃあ頼むよ?ミネストローネとホワイトロール。以上。」


…!?


来美「私はチーズインハンバーグとライス。後、食後でマウンテンパフェ。」


…!!?


禀「…先にごめんね。えっと…リゾットと食後にバニラアイスを下さい。」


夜弥「えっと…シーフードパスタとサラダ…それから…あ、後この…ステーキセットで。」


!!!?


鬼羅「俺達はいつものやつな。」


ウェイター「ご注文は以上で宜しいでしょうか?」


東真「………。」


タリス「お前は食わないのか?東真。」


東真「…あぁ、いい。」


タリス「なら以上だな。」



ウェイター「かしこまりました。」


…それにしても。


何だ皆の食欲は!

叉玖埜は少なすぎ、

来美は多すぎ、何だよマウンテンパフェって!

禀は適度だけど…


夜弥は…あいつ少食って言ってたのに…しかも俺が食べたいって言ってたステーキを…


…リッチっていいな、全く。


マリ子「何で頼まなかったんですか?」


東真「…だって、他に店あるだろ?コンビニとか…そこで買えばいいよ。」


マリ子「あぁ、そういえばそうですね。」


夜弥「ねぇ、東真くん。」


東真「どうした?夜弥。」


夜弥「僕が食べれなかった分を食べて貰えないかなぁって…僕、あんなに食べる自信ないから…」


マリ子&東真「!!!」


あいつ、こうなる事を予測して…!?まさかそれであんなに…!


夜弥の考えを知った俺は、夜弥の方を見て「あぁ。」と答えた。


…本当に優しい奴だな、夜弥は。



夜弥「じゃあ、宜しくね。」


東真「気遣いありがとな、夜弥。」


俺の方を見て微笑む夜弥は、凄く輝いて見えた。


優しさの塊だ、夜弥は。


夜弥「僕達は、敵である前に仲間なんだから…助け合って当然だよ…!」


東真「あぁ、そうだな。」


言葉一つ一つも、凄くいい言葉だ。…俺もあんな風になりたい。そう思って、俺は夜弥に微笑み返した。






そこから、品が運ばれてくる間にと皆でトランプを始めた。

頼んだ量も量なので、時間が掛かると思ったらしい。


カードを配り、何度かゲームをする。…だが、品は一つも運ばれて来ない。


最初は仕方ないと言っていた皆にも次第に疑問の念が浮かんできた。


何かが、おかしい。


店内は異様に静かだ。

周りを見渡すと、客の姿が見える。だが、そのテーブルには一つも皿が乗っていない。


どうやら俺達と同じように、頼んだものが運ばれて来ないらしい。




鬼羅「どうしたんだ?」


タリス「ストライキか?」


禀「とりあえず、厨房を見に行きませんか?」


キャラメ「そうする…でショ!プレイヤーはここで待ってるでショ!」


鬼羅「俺達だけで行ってくるからな。」


タリス「ったく、面倒くせぇなぁ…」


マリ子「私はプレイヤーの安全の為、残りますね。」


ゼリアム「これで担当が決まったな、行くぞ。」


タリス「リーダーシップとるんじゃねぇ爺!」


うわ…タリスが悪魔なのがよくわかるなこれ。


マリ子「皆さん、安心していて大丈夫ですからね。」


マリ子が皆を安心させるように話した。


叉玖埜「神が負けるとか、有り得ないから。」


禀「キャラメさん…」


夜弥「…大丈夫…だよね…」


さっきまでの楽しい雰囲気は一転し、暗い雰囲気が周りを包む。…一体何が起きたっていうんだ…!

はい、今回もマスを進めてないので表記は無しです。


いやぁ、今回は長めでしたね。ずるずる引き延ばしてここまで来ちゃいました。区切れませんでした((ォイw


っと…そろそろ「フル」の表記もしないといけないかなぁ…と考えてます。重要ですからね、フル。今回は皆奢りなので払いませんが(笑)



さて今回はtime内にレストランに行くという内容でした。いやもはやファミレス状態ですが。


品が運ばれて来ないのは何故なのか!次回はtime 3です。


でわでわ。

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