187:デート前
認識を変更。記憶を共有
俺が目覚めたときには既に物事がどうしようもないところまで行ってしまってからのことだった。
ため息を一つこぼす。"いつものように"((彼女))の記憶が頭の中に入ってくる。
普段は厄介で面倒な存在だが今回ばかりは流石に攻めるのは酷というものだろう。
今回の件に限って言えば彼女の行動に関して俺から文句はない。強いてあげれば最後に彼女たちにかける言葉はもう少し考えた方がいいと思うが注文としてはそれくらいだ。
はなはだ不本意ではあるが褒めてやるくらいはしてもいいと思えるほど((彼女))は頑張っていた。
そんな彼女がデートの約束をしてしまったので怒るに怒れないせいでやり場のない怒りをどこにやればいいのか困惑してしまうほどだ。
戻ってきてからルナとサキからの抗議というなの詰問電話が後を絶たなかったがそこは流石に彼女が対応した。まあ彼女の言い訳をルナたちが納得するかというと納得するわけがないが。
そこまで対応するくらいならアカリとのデートの約束の話も付き合えばいいのに今回は譲ると早々に眠りについてしまった。まあ無茶をしたので休息が必要なのだろう。
かくして俺は急にデート対応をしなければいけないという現実に直面し現在ベットの上に服を並べて頭を抱えているのが現状なのである。
俺の記憶にある限り今回のようなきちんとした形のデートというのは初めての体験だ。サキとのデート紛いは俺の中でノーカンとさせてもらった。
男の時は出会いも、モテる気配もなかったし、そもそもがそんな話をする友人もいなかったせいで俺の知識はテレビやネットの中のあやふやな知識しか存在しない。
そのせいでいざデートに行くと言われても何を着るべきかやどんな格好がいいのかなんて検討もつかない。
これでエスコートしろなんて日には熱暴走を起こして発狂すること間違いなしだ。
こういう時相談できる存在がいればいいのだがさすがに女子とデートなんですとはパパやママには言えない。
ルナやサキは今回の原因が原因だし候補から外れるし、委員長やヒトミさんは論外だ。絶対にまともな提案が出てくるとは思えない。
こう考えると意外と俺の交友範囲は狭く深くなのかもしれない。今度からは気を付けないとと考えながらかといって問題が解決できるわけもなく悩んでいると予想外なところから救いの手が差し伸べられる。
「僕としてはアカリとお出かけするならこれとこの組み合わせをお勧めするけどね」
いつの間にか俺の足元にいたラクーンが器用に指をさして指定する。
「うおっ!?お前いつの間に現れてんだよ!?つか随分と久しぶりだな」
声をかけつつ貴重な意見なので候補には入れておこう。最悪はこれでいくしかない。
「色々と忙しくてね。詳しくはまた後程話すよ。それより今は君のデートが優先だ」
からかっているのかと疑うがどうやらラクーンとしては真面目らしい。
「なんでお前そんな乗り気なんだよ・・・」疑いの目を向けるがラクーンは涼しい顔だ。
「そりゃ彼女たちが望んでいることだからね。僕としては幸せになってほしいから後押しくらいはするさ」
応援するのは結構なのだが苦労するのは俺なんだがという追及はどうも受け入れていないようだ。もう少し平等に扱ってほしいものだ。
「デートが無事に終わることを祈っているよ。しばらく時間が空くしお互いの話はデート後でいいかい?」
そう言われるとこちらとしても拒否する内容ではないので頷くことにする。
こうして少しだけ普段より夜更かししたのだが最終的に服装はラクーンの指定したコーデになった。
なんだかんだでこいつセンスいいんだよな。後はもう少し俺にも優しくしてほしいものだと願わずにいられない。
久しぶりの彼の視点です。前回の戦いの影響で彼女と記憶を共有することになりました。
まあ今のところ共有されているのは前回の戦い分だけですけどね。
彼女の方は彼の全てを知っているので理不尽な契約ですね




