§092 対称
3人で酒場に入ると今日の席は殆ど埋まっており、
カウンターの端が1席空いていたのでそこに座った。
ここからではステージが見えないのが理由だろう。
端っこなので、アナとヴィーが立っていても邪魔にはならない。
「よぉ、ちょっと待ってな、今出してやるから」
酒場の主人がすぐに気付いて、こちらの注文を聞かずに酒を造り始めた。
出された酒は、木のグラスに入った薄赤い酒、
ジョッキに入った甘そうな匂いがする何か、
アルコール感が全くないコップに入った何かだった。
「これは何の酒なのだ?」
「お前さんに渡したのがワインだな」
確かに、ワインだと言われればワインに見えてくる。
香りが良く、酒精もそれなりにありそうな感じだ。
いい酒の分類だろう、そもそも器が違う。
「そうなのか。酒はあまり詳しくないから、教えて貰えると助かる」
「そっちの嬢ちゃん向けにはミードだ。
前からミルクの入った甘い酒ばかり飲んでいただろ?
甘目が好きなのかなと思ってな、蜂蜜の酒だから甘いぞ」
「ありがとうございます」
「そんでもって、そっちのチビはジュースだ。
ロドメルっちゅう、蜂蜜とカメリアオイルで作ったカクテルだな」
「そうなのか、わざわざ申し訳ない」
親父さんと自分を見るヴィーの目が交互に行き来している。
説明してやろう。
「ヴィー、これはジュースだからお前が飲んでも大丈夫だそうだ」
「はい、オジさんありだとう!」
ノンアルカクテルがあるのか、凄いな。
中世以前の文化だと思っていたが、
酒・・・娯楽に関しては意外と進んでいる。
いや、単に酒の文化を知らないだけで、
太古からそういう物があったのかもしれない。
日本の歴史だけで言うと、
米やら芋やらで作っていたイメージしか湧かない。
そもそも時代劇で知ったような知識である江戸時代以前に、
庶民がどんな酒を飲んでいたかすら知らない。
カウンターに座ったいい機会なので、色々教えて貰おう。
知らない店に入ったら、
恥ずかしがらずにどんなメニューがあるかを聞くのは鉄則だ。
「他にどんな酒があるのか教えてくれないか?あまり詳しくなくって」
「そうだな、そのまま飲む酒はエール、シェケール、ミード、ワインだな。
安く飲みたいならエールだ。順番に高くなるぞ」
「ブランデーはあるか?」
「聞いた事無いな、何の酒だ?」
流石に無いか、もっと後の時代の酒だと思う。
「ではラムはどうだ?」
「それならあるぞ、この辺の酒でもあるからな」
糖蜜酒・・・と言われるサトウキビの酒。
エールもミードも、蒸留が少ない発酵したままの酒だ。
「リキュール、ウイスキー、ウォッカなんかは?」
これらは何度も蒸留が必要な穀物酒だ。
低品質の酒でもどんどん蒸留すればスピリッツになると思うが、
そこはどうなのだろう。
ドワーフ殺しは何度も蒸留しないと作れないと思う。
「聞いた事ねえなあ」
「カクテルは何から?」
「以前お前さんが注文した弱くて甘いカクテルならエールがベースだ」
「もうちょっと詳しく」
エール、ビール、ワイン、それから蒸留した酒に果実を加えたリカー、
エールに味付けをした弱いカクテル、強いカクテルはラムを使うらしい。
そして、果実ではなく野菜を発酵させたシュコメルがあるらしい。
大ざっぱに言うと中世より前に存在していた酒だ。
いくつかは聞いた事があるような感じだった。
蒸留酒が盛んになったのは大航海時代前後。
海賊映画なんかに良く出てくる、ジンとかブランデーだ。
それ以前は単純発酵の酒か、
低質な蒸留を行った物を何かで割るスタイルだった。
糖蜜酒を蒸留しない安酒のエール、
糖蜜酒を蒸留だけしたものをそのまま飲むラム、
それを果実で割るリカー。
蒸留をし続けると・・・それが多分ドワーフ殺しなのだろう。
こんな時代なのだから、美味しく蒸留するには設備も技術も必要だろう。
だからこそ貴重で高そうだ。
麦を発酵させたシェケールと、蒸留して香りの良いハーブを混ぜたビア。
・・・多分ホップの事だろう。
流石に炭酸は入っていないらしい。当たり前か。
そして果実を発酵させたワインだ。
ここのワインは葡萄から作られた物では無いと思う。
露店にはブドウが並んでいなかった。つまり、葡萄以外のワインだ。
「良く解った、ありがとう」
「おう、酒を知れば酒が楽しくなる。色々頼んでみてくれ」
出されたワインは、辛口で自分には合わなかった。
「いらっしゃい。あの巻いたパン、とぉっても良かったわよぉ」
女将さんが口受けを運んできた。
注文していなかったのでこれもサービスなのだろうか?
「そうか、気に入って貰えたらありがたいな。
追加でミードにタプスを入れたものを貰えないか?
アナ・・・はまだあるか、ヴィーはもう一杯欲しいか?」
コクコクとするのでロドメルも追加で頼んだ。
「それから肉を何か焼いて貰えれば」
「あいよ、待っててね」
ナズのステージが始まり、それまで賑やかだった談笑が止まる。
今日の客入りは、ナズ再登板の噂を聞き付けた客が集まって来たのだろう。
いつの間にか立ち飲みの客が増えている。
やはりナズの歌には集客効果があるようだ。
歌の途中で酒が運ばれる。
ミードとタプスの酒は、オレンジフィズみたいな味だった。
これは飲みやすいので、これからはこれで行こう。
歌っているナズの分も注文してやった。
一曲終わったら喉を潤してくれ。
「ナズ姉ちゃんの歌、とっても上手だけど良くわかんなかった」
「そうだな、歌詞の意味は解らないけど歌は上手だな」
「ええっと、多分アタイたちの言葉だと思うんだけど、
ちょっと変なトコが多くて良くわかんないんだ」
「えっ、少しは解ったのか?」
「えっ、うん。空とか、風に乗るとか、飛べとかはわかったよ」
驚いた、今の曲は竜人族に伝わる曲なのか?
竜人族は元は鳥だと言うし、
遠い祖先が空を駈けた伝承を歌った歌なのだろうか。
例によってエマーロのおばちゃんの謎変換を受けて、
その後にナズが再変換を掛けたのだ。
・・・ん?
おばちゃんはエマーロなら竜人族の言葉が少し解っているはずだろう?
つまり、旅先では違う種族が拙く歌っていて、
正しく聞き取れなかった可能性がある。
一部の単語だけピックアップされてこうなった訳だ。
良く解らんな。
ネイティブが聞いてこれなら、やはりナズの歌はナゾの歌なのだ。
「はい、お待ちね。3人なら一杯食べたいと思って、鳥の丸焼きだよ」
「おお、これは旨そうだな」
3等分して、立っているアナとヴィーには手にしやすい脚の部分を分けた。
「それでね、ちょっとここだけの話なんだけどサ」
「何だ?」
顔を寄せてヒソヒソと話してきた。
「あのパン、ここで売らせて貰えない?勿論、悪いようにはしないさ」
「構わないが、あれを作るのは結構するぞ」
「元は幾ら何だい?」
「元というと、材料を買った値段で良いか?」
「そうそう」
「まず唐辛子が高かった。多分200回分で3万ナール」
「あらまあ、じゃあ1つ150ナールね」
「次に、生地がトウキビ粉でな、それだけで多分1つ当たり25ナール」
「ふんふん」
「中のキャベツと肉は、今回はウサギを使ったんだが、
パーンやラムでも行けると思う」
「そうだね、ウサギじゃ高過ぎだね、普通の肉ならもっと安くなるね」
「あとは隠し味にアンチョビを」
「あんちよ?」
「ええっと何だっけ、魚の漬物だ」
「アリーチェだね、それはちょっとでいいのかい?」
「そうだな、小さじで1山分くらい使った。
1壷150ナールだったから、1匙5ナール分くらいかな」
「後はチーズを入れたね?」
「ああ、それもちょっとだから6つで1ポット分も使っていない」
「じゃあ市販のチーズは1つ15ポットだから、1当分5ナールだね。
それで全部なら185ナールかい。確かにチョットするねえ」
・・・計算が早いな、流石エマーロ。
「でもね、あれ1つでお腹いっぱいじゃあ、それだとこっちも困るからね?
1/4で5・・・いや65ナールでも・・・。
どうだい、あのレシピ。教えてくれたらあの家譲るよ」
「ええっ!?」
思わず大きい声が出た。
全員がこちらに注目する。
一部の客には、自分はナズの主人と知られているから、
女将さんとの内緒話で大声を出したら、
ナズのステージの事かと思われるだろう。
「ち、違いますよ、大丈夫です。個人的な話です・・・アハハ」
客たちが再び雑談に戻る。
この女将はあれに商機があると賭けて来た。
先を越された感がしないでもない。
確かにあれを食事とするならば、1食分の金額としては高すぎる。
だが1品料理、高級なつまみとして出したらどうだ。
大きく作ったので、1/4でもそこそこ食べ応えがある。
酒のつまみにぴったりなピリ辛感、喉が渇いて次の酒が欲しくなる。
タコスってそういう物だろう?
「わ、わかった。では明日昼、ここに来ればいいか?」
「本当かい、じゃあ明日契約書書いて待ってるよ、約束だよ」
1/4サイズで65ナールか。
1つ当たり多分20ナール位の儲けだ。
1つしか売れない訳がない。
絶対2つか3つくらいは欲しくなる。
そうなると、1人当たりの儲けは約50ナールだ。
見た所ここには20人前後がいる。この時間だけで、だ。
ナズは深夜まで歌うらしいから、入れ替わりの客がずっと来るのだろう。
3回転しても60人、その半分が頼んだら30×50ナールか。
1日1500ナールなら、もう迷宮行かなくていいじゃないか。
・・・早まったか?
この酒場の前で、深夜にタコス屋さんをやった方が儲かったかもしれない。
でも約束をしてしまったし、
商売をするにはまだ土地鑑がなさすぎる。
そちらの土壌は全くできていないのだから、
ここは素直に譲って置いた方が良いだろう。
そのうちに商売の秘訣やいい立地を教えて貰えばいい。
そちらの方が有意義だと思う。
家が無料なら、もう食費含めて白金貨8枚でファイヤーだ。
その後自分は追加で2杯のお代わりを、
アナとヴィーも1杯ずつ注文して店を後にした。
カクテルの酒精が強かったのか、足元がフラフラだ。
今日のお代は結構らしい。
やったぜ、タダ酒だ。
外に出てワープで家に帰るなり、
アナに凭れ掛かってその後の事は憶えていない。
*
*
*
ナズから優しくキスをされ、そして軽く揺さぶって起こされた。
朝から頭がガンガンと痛い。
「ちょっと・・・ゆ、揺らさないで」
「も、申し訳ありません。昨日もご馳走様でした、ご主人様」
「あァ・・・何か・・・女将さんの・・・奢りらしいから、礼はそっちに」
「ご主人様、大丈夫でしょうか。昨夜はたくさん嗜まれたようですが」
もう完全に二日酔いのソレだ。
──トントン。
「いいぞ、入っても出てっても・・・」
ジャーブが入って来た。
後ろにはヴィーもいるな。
「失礼します、ユウキ様、水汲みは良いと仰いましたが、
汲まねば畑に撒く水がありません。どう致しましょうか」
そうだった、汲まなくても良いと言った手前、
水は用意してやらなければならない。
「水汲みの桶を・・・タライの・・・部屋に並べて置け・・・」
「ユウキ様、大丈夫ですか!?」
「ご主人サマ、どうした?病気か?」
「いえ、ご主人様は昨日のお酒がまだ抜けていないのだと思います」
「・・・?」
「ヴィー、大丈夫だ。二日酔いだ」
「ふつかよい?」
「食べ過ぎのヤツの、飲み過ぎのヤツだ」
「そうか、お腹痛い?」
お腹じゃなくて頭だが、
もう説明するのも面倒だからそういう事にしておく。
体を起こすと更に頭がガンガンしたが、
水が無ければ顔を洗う事もできない。
飲み水分くらいは水瓶にあるだろうから、
ナズにそれを持って来て貰う。
タライで顔を洗うと、少しはすっきりした。
そんなに酒に弱かったように思えないが、
きっとこちらの世界の酒が強いのだろう。
日本で飲んでいたのは・・・それこそ水、いやジュースだった。
酒臭くて申し訳ないので、アナとも軽いキスだけに留めて、
風呂場に行って桶に水を貯めた。
水汲み用の桶3つはウォール2回で満タンになって、更に溢れた。
この風呂桶は水汲み桶3杯分で1センチより少ないのか。
200杯分くらいなのだろう。
1回往復すると約4分なので800分、10時間以上とか狂気の沙汰だ。
風呂は贅沢の中の贅沢だった。
朝のパンは買う必要が無いので、ヴィーには掃除だけして貰う。
自分は食事が用意されるまで部屋で横になった。
今日の昼に酒場に行くのは良いとして、材料はどうするんだ?
こっちから持って行くにしたって、
唐辛子100個を持って行って、そんなにいらないと言われても困る。
行ってから必要なら一緒に買えばいいか。
材料だけ言えばいいのだ。
・・・
・・・・・・ぐぅ。
「ご主人様、朝食の用意が整いました。皆、ご主人様をお待ちですよ」
ナズに揺さぶられて目を覚ます。
頭が痛いのはやや収まったが、正直胃がしんどい。
揚げパンをスープに浸して麦粥にして食べた。
「ではヴィー、昼飯代を渡すから商館に行く前に、忘れずに買っておけ」
「あい」
「じゃあ、皆は12層だ。
昨日使ってしまった分の附子を集めたら、
ボスから半夏を集めたい」
「昨日俺のために使って頂いた薬代分を稼ぐのですね?」
あー・・・そういう説明になってしまったな。
普通は薬学ギルド員以外は薬を作れない。
説明するのも面倒なのでそれでいいや。
「じゃあ準備できたら行くぞ、ヴィーは片付け宜しく」
「あい。いってらシャませ」
ヴィーが珍しくお辞儀をした。
主人が出かける際はそうしろと教えられたのだろう。
こちらも頑張っているようだ。
***
昨日使った附子は36個。
Lvアップした分も合わせて37個を集めたらボスに行く。
正直、倒し方は解っているので何も恐れる必要は無い。
同時に出て来るナイーブオリーブも雑魚だし、
稀にアリが出て来るが、こちらも倒しやすいので平気だ。
そうか・・・。
ここで狩りをしても、
使えない附子に買取が安いオリーブと毒針。
毒針自体が欲しいなら10階層に行くべきだし、
ここで戦っても本当に旨みが無いのだ。
ライバルも居ないので、あっという間に目標数を達成した。
ではボスだ。
「ジャーブ、ボスに行くぞ」
「分かりました、こちらです」
「アナ、人は?」
「今日は誰もこの階層には居ないようです」
それならばボス部屋だけの周回ができそうだ。
ジャーブは初めてかもしれないが、今更驚かないだろう。
煙が巻かれて・・・2体の魔物が現れる。
「えっ、2匹?」
ボス部屋に入るとネペンテスと、もう1匹サラセニアが現れた。
そういえば、深く潜るとボスと別にお供が追加されるのだっけ。
しまった。
これなら、附子をもうひと枠分貯める必要は無かった。
ボスの半夏をひと枠埋めるだけ狩れば、
必然と附子もひと枠埋まるのだ。
「3人はボスを囲め、雑魚はこちらで倒す」
「「「はい」」」
サラセニアのバックを取るため、オーバーホエルミングを使用する。
後はぐるぐる回りながら、バックを維持して叩くだけの作業だ。
ネペンテスも裏側に回ってバンバンしようと思ったら、
裏側にも根が飛んできた。
そうそう甘くは無いか。
だが、葉や酸の攻撃は前方のみしかできないようだ。
根だけに気を付けて、やはりバンバンするだけだった。
ハチノスの足技を思い起こされる。
これなら、数種類の雑魚が混じる通常の敵を倒すより、
ボスの方がうんと楽なのではないだろうか。
深層階へ行った際にも、
ネペンテスのフロアは楽なのだろう。
後はパームバウムとハントアントなのだし。
「よし、楽に倒せたな。どんどんボスを倒したいので直接戻るぞ」
「「かしこまりました」」
「えっ?13層へは行かれないのですか?」
「それは後でいいから」
*
*
*
昼になる前に2枠のアイテムボックスが薬草で埋まり、
13層へ進む事にした。
「ジャーブ、13層は?」
「貝か何かだったような気がします。
すみません、戦った事がないので・・・俺はここから初めてです」
では、クラムシェルだろう。
鑑定を取っていないので見た所で判らないが、
貝の魔物だと言うのならば判っている。
ミチオ君はこの辺りから完全に前は任せて、後列から魔法だった。
いや、その前にボーデの迷宮13層でラブシュラブと戦った際は、
ラッシュ3発だと言っていた。
その前の12層では、ラッシュ2発だったと言っていた。
自分はひとつ前のサラセニアで通常18回・・・ラッシュ9発だ。
一体自分はどれほど筋力が低いのだ?
ミチオ君との力の差はかなり大きい物だと実感する。
「ちょっとだけ実験させてくれ、一旦12層へ戻る」
「「はい」」
出てきたサラセニアを前に、ラッシュ2発で倒せる筋力値を探る。
筋力+50から始めてみたが、ラッシュは2発で済んだ。
筋力+35からはラッシュは3発、
以後10ずつ減らすたびに必要なラッシュが1回ずつ増えた。
ミチオ君との筋力差は35以上か。
そんなに軟弱なんだ、自分は・・・。
そういえば女性の相手も3回あたりでギリギリ、
4回目でダウンだった。
ミチオ君は10回戦も余裕でこなす。
運動部の高校生を少し舐めていた。
じ、自分には多分知力がある。
高校から大学へ進学する者は50%程度だと言う。
一方で大学と言っても名ばかりの底辺大学も存在する。
自分が通っていた大学は、それなりに偏差値も高かった。
上位20%には入っている事だろう。
た、多分同年代全体から見て上位10%の知力があるはずだ!
就活に不幸が重なっただけで、問題が無ければそのまま卒業していた。
決して中退者の部類には入らないだろう。
結果の話ではなくて、実力の話だ。
それならば、魔法の力はあるに違いない。
ミチオ君が12層で相手をしたピッグホッグには
11階層で7発だった事を試算して、
14発必要だと計算していた。
Lv34の魔法使いで、だ。
自分は今・・・1/4も満たしていないLv8だった。
一旦家に戻り、以前ナズに作製させたワンドを取って来た。
ナズとジャーブはそのまま家で留守番をさせる。
「アナ、魔法を使ってみる。まだ皆には知られたくない」
「かしこまりました」
「できるだけサラセニアを探してみてくれ」
「はい」
サラセニアは弱点が火だったはずだ。
アナが見つけてきた2匹のサラセニアとナイーブオリーブ相手に
ファイヤーストームを唱えた。
3匹が赤い粉に包まれて朱に染まる。
燃えているような感じがあったが、一瞬で消火された。
「す・・・凄いですね。
実際に魔法で敵が攻撃されるところは初めて見ました」
おお、これが魔法か。
便利で、強そうだ。
2回目のファイヤーストームを唱えた。
当然、魔物は死なない。
Lvが1/4の差があるなら、
ダメージだってその位違ってもおかしくはない。
「アナ、まだ耐えられそうか?」
「問題ありません、全て返せています」
ならばもう少し時間を稼いで貰おう。
3回目のファイヤーストームでも敵は残る。
目標は14回で、そこからどの位プラスアルファが必要かを調べるのだ。
4回目、まだまだ先は長い。
MP量は全然問題なさそうだ。
ナイーブオリーブの動きが少なくなったように思える。
元々、ナイーブオリーブの動きは遅い方だし、それに後列だ。
前方へ出るにはサラセニアが邪魔して、
間を狙ってウロウロしていたが、今は動きを止めている。
5回目のファイヤーストームでナイーブオリーブが、
6回目ではサラセニアが煙へ変わった。
えっ?
自分魔法使い型?
知力の差が結構ある・・・?かも?
驚いた。
ベース筋力の差も大きいとは感じたが、
ベース知力の差もかなりある。
これなら、自分はデュランダルを最初から使わない方が良かった。
誰だよ、戦士を3年とか言ったのは。
これでは学問を3年の方がまだ言い訳が付くぞ。
とにかく、ミチオ君と自分とでは、
筋力と知力の差が正反対だと言う事がハッキリした。
どうせ、この先は魔法を使いたかったのだ。
彼より魔法にアドバンテージが取れると言うのならば、
それは大いに結構だ。
ただし、デュランダルに頼った戦略は、
今後全く役に立たない事を覚悟しなければならない。
劣化デュランダルを作る目標は止め、
魔法に大特化した装備で固めるべきだろう。
「アナ、実験は終わりだ。今後は魔法主体で戦う事にする」
「そ・・・そうですよね。明らかにこれまでよりも早いと思います」
今日はこの後酒場に向かう必要があるため、ここで切り上げた。
∽今日のステータス(2021/09/10)
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv38
設定:探索者(38)英雄(29)盗賊(3)魔法使い(1)
取得:村人(5)戦士(30)剣士(34)商人(30)色魔(1)
奴隷商人(1)騎士(31)賞金稼ぎ(31)暗殺者(1)
武器商人(1)防具商人(1)農夫(1)薬草採集士(30)
錬金術師(1)料理人(1)村長(1)
・BP136
キャラクター再設定 1pt 4thジョブ 7pt
獲得経験値上昇×10 31pt 武器6 63pt
必要経験値減少/10 31pt 詠唱省略 3pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv32
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv28
硬直のエストック(石化添加 +)鉄の盾(+)
竜革のカチューシャ(+++)竜革のジャケット(+)
竜革のミトン(++)柳の皮靴(回避上昇)身代のミサンガ(身代)
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv28
バスタードソード(++)
竜革の帽子(++)竜革の鎧(+++)竜革の手袋(++)
竜革のブーツ(++)身代のミサンガ(身代)
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv11
↓
・フジモト・ユウキ 人間 男 21歳 探索者 Lv38
設定:探索者(38)英雄(29)盗賊(10)魔法使い(9)
ワンド(-)
竜革の帽子(++)チェインメイル(-)竜革の手袋(++)
竜革のブーツ(+)
・BP136(余り63pt)
キャラクター再設定 1pt 4thジョブ 7pt
獲得経験値上昇×10 31pt 詠唱省略 3pt
必要経験値減少/10 31pt
・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv33
・アナンタ 猫人族 ♀ 20歳 暗殺者 Lv29
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 戦士 Lv29
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv14
・繰越金額 (白金貨2枚)
金貨 38枚 銀貨 29枚 銅貨 85枚
パン代 (38й)
ヴィーの弁当代 8
揚げパン ×3 30
銅貨-38枚
------------------------
計 金貨 38枚 銀貨 29枚 銅貨 47枚
・トラッサの迷宮
Lv 魔物 / ボス
10 ニートアント / ハントアント
11 ナイーブオリーブ / パームバウム
12 サラセニア / ネペンテス
13 クラムシェル / オイスターシェル
・異世界21日目(20時頃)
ナズ・アナ16日目、ジャーブ10日目、ヴィー4日目
鍛冶G面会まで1日、エプロン完成まであと5日




