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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第四章 資金
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§048 卒業

2人が席に着くのを待って、夕食にした。


いつもの野菜炒めと謎の肉料理の他に、

大きめの骨付き肉がテーブルに鎮座している。

飲み物の指定はしなかったが、多分お酒だろう。

ジョッキの中の液体はアルコールの匂いがした。


「そうだ、明日からメンバーが増える事になった」


パンを手に取りながら語り始める。


「かしこまりました」

「どのような方でしょうか」


アナはまあ仕方無いか、と言う顔をしていたが、

ナズは不安な表情で尋ねてきた。


「狼人族で、戦士の男だ」

「戦士、ですか。今、私が戦士ですから戦士は2人となりますね」


そういえば、アナのLvはどうなったかと思って

パーティジョブ設定を開いてみる。


 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv30

  設定:戦士(30)

  取得:村人(6)探索者(7)剣士(1)暗殺者(1)


おお、戦士がLv30になっているので、これで暗殺者に成れる。


戦士は卒業だ、ただし騎士が無い。

次の機会にでも槍を持たせて戦わせよう。


「アナはこれから暗殺者になる」

「えっ・・・ああ、そうですね、

 ご主人様は私達のジョブもお変えになる事ができるのでしたね」


「ラッシュは使えなくなるが、強力なジョブになるから見劣りしないぞ」

「ええと、まずその暗殺者と言うジョブについて、

 私は何も知りませんので、上手く戦えるかどうか不安です」


レアなジョブだからだろう。

下級の探索者達には知られていないのも当然だ。

戦い方についても解かるはずがない。


「特に何も考えずに、ただ敵を攻撃するだけで十分力を発揮する」

「スキルなどは無いのでしょうか」


「通常攻撃がもうスキルだからな」

「えっ・・そ、そうなのですね」


アナもまた不安な口調になってしまった。

重苦しい空気になってしまって後悔する。

どないせいっちゅうねん。


2人にはぜひこの壁を乗り越えて欲しい。


「それはさておき、明日来る狼人族の男とも仲良くやって欲しい」

「かっ、「かしこまりました」」


「仲良くなり過ぎても困るのでほどほどに・・・」


一応釘をさしておく。

NTRとかはご免だ。

そういうのはファンタジーだけにして貰って、現実世界では純愛がいい。


「ご安心下さい、私はご主人様以外に心を許す事などありません」

「あ、ああぁ・・・。そうだな、ありがとう」


「わ、私もご主人様だけです!」


アナは・・・まあ何と言うか、

いつもツーンとしてそうな受け答えなのに、意外と重い。

クーデレだろうか、昔流行ったな。

顔は全くクールでは無く癒し系なのだが。


ナズの方は何と言うか、押しに弱そうで、

こっちはフラグがビンビン立ちそうで不安になる。

・・・大丈夫だよな?


真ん中の大きな肉をかぶりつく。

夕食にセットされてるオマケの肉ではなく、

しっかりとした大ぶりの肉は、スパイスがかなり効いていて旨い。


この旅亭に泊まった時に食事が安いと感じたが、

やはりそれなりに優劣があった。

確か、ミチオ君が泊まったベイルの宿の夕食は60ナールだった。


この宿は食事付きで250ナール

破格だとは思ったが、ここがケチられている。

いや、食堂は酒場なので酒で稼ぐのだろう。

摘まみ程度の食事と言う訳だ。


この肉料理こそがまともな食事と言える。

しかし、小食の日本人からすると通常はあの量で十分だ。

育ち盛りのスポーツマン高校生のミチオ君と違って、

自分は軟弱大学生だし。


酒の方は・・・何と言うかアルコールだ。

可もなく不可もなく、異世界の安酒だしこんな物か。

日本のように安酒にもフレーバーで飲み易くする配慮が全くない。


勿論、飲めなくはない。

ワンカップよりは劣る位で、

濃い目の味付けの肉を流し込むには十分だ。

ナズも判って注文したのだろうか、ベストプライスチョイスと言える。


肉を2切れずつ位に切り分けて2人の皿にも盛った。


「宜しいのですか?」


「1人だけ食べるのも悪いからな」

「い、いえ、そのような事は・・・」

「ご主人様のご注文品ですので、

 ご主人様がお召し上がりになるべき物です」


「いいから食べてみろ、旨いぞ」

「か、かしこまりました」

「・・・お言葉に甘えさせて頂きます」


口に含んだ2人の、弾ける笑顔が見られて、こちらも嬉しい。

なんて言うんだっけ、餌付け萌え?きび団子展開?


そういうジャンルがあるのかは知らないが、

今までによく読んだ小説の展開にはありがちなパターンだ。

それが現実にここで起きた。


施そうとか思っていた訳では無いからこれは意図せずの結果だが、

自分の娘達が美味しそうに食事を頬張る姿は癒される。

世の娘を持ったパパ達はこんな幸せを毎日見ているのか。


「そんな訳で明日の朝は商館に行き、後で家の手続きをしたい」

「かしこまりました」

「明日もお休みでしょうか」


「うーんどうだろうな、家具も買いたいし家の改修もしたい」

「はい」

「ホドワでしたらご案内できます」


お、そういえばナズはホドワの町人だった。

家具屋や大工の場所は知っているかもしれない。


「それは助かるな」

「運ぶ時間も掛かりますので、先に家具を買われては如何でしょう」


それもそうだ。

家具を買い、改修の発注をし、2人を留守番させ、商館に行く。


「じゃあそうしよう。家具が運ばれるまでに2人は掃除をしてくれ」

「「かしこまりました」」


手が空いたら庭を畑に起こして貰ってもいいな。

先に農具を買うか。

大体明日の計画が決まった。


あ、いやまて、換金が先だ。

アイテムを換金しよう。


その前に、やろうやろうと思っていた鍛冶をさせてない。

皮装備を作れるはずだから、

これも纏めて作って貰って換金しよう。


「ナズ、食事が終わったら鍛冶をしてくれ」

「かしこまりました」


ジャックナイフとブランチと皮を一纏めにして、

あとは皮と糸を取り出して積む。


最初のミサンガは作ったので、ダガーを作れるはずだ。

そもそも、どういう順番で作製できるアイテムが

解放されているのか分からない。


祖父が鍛冶師で知識も豊富だったセリーならともかく、

ナズは完全に素人だ。

そういった知識は先輩の鍛冶師に聞くか、書物が無いと難しい。


ダガーの後は皮装備、そして革?銅製品?

皮の次に棍棒を作れるが、材料が無いとか言っていた気もする。


ナズの鍛冶経験を積むために、必要な材料はギルドで買おう。

後で拾えるから買うのが馬鹿らしくなるかもしれないが、

ステップアップのための投資だと割り切る事にする。


食事を片付け、アナは洗濯を始めた。


「ご主人様、鍛冶をせよと仰いましたが私には何が作れるか解かりません」


やはり作製メニューみたいな物は無いのか。

よくあるゲームだと一覧から選択すると材料が出てくるのだが。


「ではまず、このジャックナイフと皮、ブランチを手に持て」

「はい、片手でなくても大丈夫でしょうか?」


修練が後半になると材料も増えるだろうから、

片手で持つと言うのは想定されていない気もする。


「判らんが、多分大丈夫じゃないかな」

「そっ、そうですよね、失礼致しました」


両手の上に材料を載せ、武器作製の詠唱を始めると

手の中から光が溢れ、装備が完成した。


 ・ダガー(-)


空きは無しか。

有ったとしても、これに合成するような奴はいないし、

迷宮でメイン武器として使う奴もいまい。

どうせ腰にぶら下げて、簡単な物を切る時に使う日用品だ。


「じゃあ、次はこれだ」


皮の束を指さす。


皮製品は多い。

帽子、手袋、ミトン、カチューシャ、

鎧、ジャケット、サンダル、ブーツ。


知らないだけで、まだあるかもしれない。

つまり全部作るのは難しい。

作製する順番も分からない。


どうすればいいのだろうか。

やはりレシピブックか?


取り敢えず、手に載せるだけ載せて皮鎧を作らせてみた。


「ナズ、そのまま皮の鎧を作ろうと念じて見ろ」

「は、はい、鎧ですね、えーっとご主人様が着ているような物ですか?」


「そうだな、アナが着ているものはジャケットで、別の物らしい」


ナズが詠唱を始めると、手が光に包まれている状態のままで止まった。


「ん?」


「ご、ご主人様、何を作るかの選択が出ました」

「鎧は無いか?」


「肩鎧と鎧がありまして・・・」

「じゃあ鎧の方だ」


「かしこまりました」


そうか、肩鎧。

エッチなゲームの美少女ヒロインがよく付けている、

肩から胸にかけて大胆なデザインをしている胸部保護具だ。


鎧といったので2つ出てきて困惑した。

何も指定せず材料が足りていれば、メニューが出る?

皮と言うカテゴリなら何から作っても良さそうな感じだな。


光が吸い込まれて鎧となった。

成功だ。

セリー曰く、失敗は無いとの事だったっけ。


「では、次は何も考えずに手に持って、高く売れそうな物を選んでみろ」

「えっ?た、高くですか?」

「今作った鎧以外で」


同じ物を作っても修練にならないだろう。

と言うか全部作る必要がある、と思う。

メニューが出るなら楽勝だ。


いや、今足りない材料で作れる製品があるかも知れない。

それが次のランクアップへの必須装備品だった場合は・・・。

レシピブックが無ければやはり厳しい。


ナズが詠唱を終わらせ光が消えると、今度はジャケットが出てきた。


「いいぞ、どんどん作った事が無い装備を作ってみろ」

「かしこまりました」


その後、ナズは肩鎧、ブーツ、手袋、帽子、カチューシャを作製した。

全部スロットなしだ。どうせ売るのだから残念感は無い。

後はミトンとサンダル位しか知らない。


「ナズ、まだ作っていないものはあったか?」

「ええと、ミトン、サンダル、靴、腰巻、ベルトですね」


ベルト・・・装備なのか?

アクセサリーなんだろうか。

重たい武器を帯刀する時には必要だ。


しかし着けている奴を見た事が無い。

と言うか防具屋にも売っていなかった。

高級な剣は帯刀具まで鞘とセットになっていた気がする。

つまり必要ない。


本当に全部作る必要があるのか?

皮のカテゴリから数点完成すれば、

条件は達成できるのではないだろうか。


防具として、アクセサリとして微妙で、

需要が無ければ売られない。

鍛冶師も作らない。

作る必要が無い。


次の棍棒を作るための板を持っていないので、

ハッキリと断定はできないが、

要件を満たしたのであれば皮の無駄遣いはしなくていい。


「そこまでにしておこう、余った皮は回収する」

「はい、あの・・・これで宜しかったですか?」


「ああ、十分だ、売って換金できる。

 皮を売るより儲かるから助かるぞ」

「はい!お役に立てて良かったです」


洗濯が終わったアナに肩鎧を着けさせる。


「あ、あの・・・」


うーん、左胸だけ隠れて、右胸は服から膨らみが強調されてセクシーだ。

実にいい。

もしかしたら例のビキニアーマーもあるかも知れない。

作らせたらアナに着せよう。絶対にだ。


「そ、その・・・」


あらわになっている方の胸を散々好きなようにした後、解放した。


「今日は疲れているからこのまま寝たいと思う」

「かしこまりました」

「・・・・か、かしこまりました」


ナズが一気に暗くなった。

何か変な事を言ったか!?

あ、そうだ。寝る前のキスをまだしていない。

アナとはさっきした。


あれだ、一番の矜持だ。

尊厳は守ってやらないと。


ナズを両手に抱えてベッドまで運ぶと、

優しく座らせてキスをした。

∽今日のステータス(2021/08/08)


 ・入手

   ダガー

   皮の鎧

   皮の肩鎧

   皮のブーツ

   皮のグローブ

   皮の帽子

   皮のカチューシャ



 ・異世界11日目(夜)

   ナズ・アナ6日目、トラッサの市の日、宿泊8日目

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