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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第三章 仲間
41/394

§040 闘牛

騎士になる、とは言ったものの騎士自体はLv1だ。

従ってボーナスポイントが無い。


と言う訳で今後メインジョブとして据えるのは、

Lv50まで上げて行く予定の探索者となる。

そして博徒になるには賞金稼ぎのスキルも必要だし、

これも今から上げて置く必要がある。


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv30

  設定:探索者(30)剣士(24)英雄(18)騎士(1)

     賞金稼ぎ(1)

  取得:村人(5)商人(30)戦士(30)色魔(1)奴隷商人(1)

     暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)


このように設定してみた。

ジョブ設定後にスキルを外し鑑定に回す。

1ポイントたりとも無駄にできない。


知っている範囲で残る未取得ジョブは、

農夫、料理人、僧侶、魔法使い、盗賊、神官、

薬草採取士、錬金術師、遊び人の9つだ。

村長もあるが、これはアナの戦士Lv30を待つだけで良い。


ここから先は家が要る。

修業の場が要る。

準備とタイミングが必要になる。

深層階に行く必要がある。


どれも今直ぐに実行できるものでは無い。

ではまず家だ。

金を稼ごう。

今でも一軒借りる位の余裕はあるが、蓄えて損は無い。

先立つ物はあった方が良い。


経済学者の偉い人は、家賃は給料の1/4だと言っていた。

1年間の家賃と雑費含めて5万ナールとして、えーっと・・・。


賞金稼ぎと商人のジョブを交換した。


家賃は1日139ナール。

1日迷宮に籠って銀貨2枚稼げば十分だ。

・・・あれ?意外と安い?


そういえば税金があったな

奴隷2人と自分で12万ナール。

1日当たり333ナール。


家賃と合わせて1日当たり472ナールだから、

食費を1人80ナールと考えれば、4人で320ナール。

1日800ナール稼げば安定して暮らしていけるのか。


これはちょっと、うーん。


少なくとも今の階層では、真面目にドロップアイテムを集めてギリギリ。

もっと深層階に行ったり確実な収入源があったりしないと、

次の奴隷や贅沢品は難しそうだ。


低層に入って生活している駆け出し探索者は相当辛いのだな。

1年2層だと言う位なのだから、22階層までは約10年程度掛かる。


成人が15歳の世界らしいので、

そこから迷宮に籠っても25歳まではカツカツだ。

低賃金に喘ぐ日本の縮図みたいな物がこの期に及んでも感じられてしまい、

何だか少し気が滅入った。


ともあれ、やはり家を借りるならば金策は必要だ。

折角収入が64倍になるスキルを持っているのだから、

これを使わない手は無い。


今後のボーナスポイントは温存して、結晶化促進に注いで行くべきだろう。


 ・BP128

   鑑定          1pt   結晶化促進×8     7pt

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   獲得経験値上昇×10 31pt   武器6        63pt

   必要経験値減少/3   7pt   詠唱省略        3pt



   ***



ミノの出るこの階層はそれなりに人気があるようで、

通路で複数のパーティと遭遇した。

それに狩れる魔物の数も少ない。


ここの狩場が適正であるパーティは倒すのにそれなりの時間が掛かり、

それなりに消耗するのでこまめに休息を取る必要がある。

だからこそ安全で安定して狩れる良い場所なのだろう。

少なくともLv30もあるパーティの美味しい狩場で無い事は良く判った。


アナの案内のおかげでなるべく多くの敵と戦えてはいるが、

例え魔物を感じ取れたとしても、

入り組んだ迷宮で直線的に向かえる訳では無い。


ロクサーヌが感じ取っていたのは魔物の匂いらしいので、

辿れば道順が解かるのだからそちらの方が討伐向きだ。

アナの感知能力は稼ぎやLv上げには不向きと言える。

羨ましい。


「ご主人様、ボス部屋です」


「そうか・・・。

 ここまで4組の魔物としか戦っていないが、ナズは慣れたか?」

「はいっ、多分大丈夫です!」

「私は以前ここで戦っておりました、ボスも含めて少し余裕があります。

 それに、今はご主人様の下でもっと強くなったような気が致します」


頼もしいアナの返事を聞いて、待機部屋に入った。


「・・・」


パーティが1、2、・・・この2人はあっちの4人と一緒?別?

4パーティか3パーティか判らないが、順番としてはかなり後だ。


「アナ、ここはいつもこんなか?」

「そうですね、人気のボスですので」

「大勢いらっしゃいますね・・・」


「パーンで30分位と言っていたが、ハチノスもそんな感じか?」

「そうですね。倒し易い分人員も少なくて済み、

 所要時間に大して差は無いかと思います」


「はーーー(クソでかため息)」

「ご主人様・・・」


ナズが察してオロオロし始めた。


とはいえここを突破しないと8層は行けないし、

入り口の案内人にお金を払うのもしゃくだ。

銀貨8枚・・・高いっ!


待てば良いじゃないか。

えーっと1時間半?

チッ・・・。


送って貰えば一瞬だ。

だが1時間当たりの時給が銀貨8枚も無い。

・・・・・・。


アホくさ。

寝るか。


「アナ、ちょっと横になる」

「かしこまりました。私が順番待ちをして置きますので、

 ご主人様はごゆっくりお休み下さい」


何だか申し訳無い気もしたが、仕方無いか。

奴隷だしそういうのが仕事だろう。

ポーチを枕にして待機部屋で寝ころんだ。


・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・


「ご主人様、そろそろ順番が来るようですよ」


ナズにゆさゆさと優しく揺さぶられて目が覚める。

アナは扉の前で列の先頭になっていた。


「おお、そうか。では行こう」


んーっ!と伸びをして見渡すと、

後ろには既に3パーティが控えていた。


「やはり人気があるのだな」

「そうですね、仕方ありません。革1枚で安宿1泊分ですから、

 ここを終わらせないと帰れないパーティも沢山います」


なるほど・・・。

他のドロップ品は分配して、

ここのドロップ品は今日の宿代と言う勘定なのか。


十分休憩も挟めるし、

1日の終わりに倒す相手として色々と都合が良いのだろう。

そういえばもう夕方頃だ。


体を伸ばして扉をくぐる。

2人が先に駆けて行った。

いけね、出遅れた。


オーバーホエルミングで加速して追い付く。

煙が巻かれミノの2倍はある大きさの牛、ハチノスが現れた。


話に聞いていた通り確かに足が太いな・・・。

コレの蹴りはかなりの衝撃だろう。


ハチノスは頭を振って、つのでナズとアナ両方を薙ぎ払って来た。

ナズは槍で防いだが、少し当たってダメージを受けた様子だ。

アナは盾で受け止め切った。


「ナズ、無理をするな、痛みが強いなら薬を出せっ!」


ナズには以前5層でスパイススパイダーを相手取った時に、

毒消しと滋養丸をいくつか渡して置いたはずだ。


「はいっ、大丈夫ですっ!」


大丈夫らしい。


オーバーホエルミングでラッシュを・・・、

しまった、戦士は外していた。

それならばスラッシュだ。

剣士にはまだ就いていた。


──パシ、パシッ!


思い違いをしたためスラッシュ2太刀で効果が切れた。

Lv30を超えたら、戦士も剣士も両方外すつもりではいた。

その後はラッシュもスラッシュも抜きで倒して行く必要がある。

他の職を育てたいし、もっと言うならば早く魔法主体に切り変えたい。


もう一度オーバーホエルミングを使用し、スラッシュで3回攻撃した。


──タン、タン、パシッ!


ハチノスが顔を振ったと同時に、後ろ脚を伸ばして蹴って来た。

複合攻撃か。


丁度オーバーホエルミング中だったので気が付けたが、

無防備だったら危なかった。

いつでも飛んで来る、と言う事で警戒して置こう。


──バシッ!


オーバーホエルミング無しでスラッシュで切ってみる。

踏み込んで一撃を入れ、警戒しながら元の位置に戻る。


後ろ足が来ない事を確認してもう一度スラッシュで踏み込む。


──バシッ!


再び距離を空ける。


次の踏み込みをしようと言う時に足が浮いたので、

踏み込みをめて蹴りの位置を予想してスラッシュで切ってみた。


──バシッ!


ビンゴ、丁度良い位置に剣先が当たる。


ナズは首を振った攻撃を槍柄で受けると、

その力を殺さずに独楽コマのように回転して避けていた。

ソードダンサーかよ・・・。

あ、槍か。


何なんだあの娘は。

武神の生まれ変わりか何かか?


いや、そうは言うまい。

あの子なりの努力の結果だと信じよう。

自分も後れを取りたく無い。

そう思って、スラッシュを叩き込む。


──パシッ・・・パシッ!


今度は残心の際にもう一度下から斬ってみる。

オーバーホエルミング無しでも、

タイミングをしっかり合わせれば2回行けそうだ。


ハチノスの強引な突進で、アナが盾で受けきれず宙を舞った。

勢いに乗ったハチノスはそのまま走り抜けて行き距離を空ける。


「アッ・・・・・・」


アナは空中で体をひねると、盾を下に、片膝立ちの4点で着地した。


         「ナ?!」

             「大丈夫ですっ」


猫人族キャット空中三回転かッ†

どいつもこいつもおかしいだろっ。


ハチノスを追って2人が囲みに入る。

自分もハチノスを追った。


ハチノスと目が合い、その目で睨み付けられる。

そして首が下がった。

恐らく、今度は突進がこちらに来る。


顔は下を向き、鋭利なつのが前面に掲げられこちらに迫って来た。

流石にこれは跳び箱にしては高過ぎて飛び越せない。

体格も大き過ぎて、右にも左にも避け切れない。


オーバーホエルミングを念じる。


時空が歪み、更に深い時間思考する。

・・・よし。


突進を正面に誘ってハチノスの角を片手で掴み、

しゃくり上げられないように自分からジャンプして体を浮かす。

更には右側のつのを軸にして回転しながら空中で体を反転させ、

ハチノスの首の上に跨った。


オーバーホエルミングが切れる。


振り落とされないようにつのを掴みながら、

首の上に跨って片手に持ったデュランダルで何度も背中を叩いた。


これはロディオだ。

そして競走馬の鞭打ちだ。


落ちなければ一方的だ。

足技も来ないし、角も来ない。

もちろん突進も無い。

ただの座り心地の悪い椅子だ。


バタバタと自分を振り落とそうとハチノスが体をよじったりするが、

ハチノスのつのは中々に掴み易く、首回りも程々に安定する。


もうスラッシュは要らない。

落ちないように気を付けながらガンガン叩いたら、

ガクッと尻の底が抜けてハチノスが崩れ落ちた。


首から飛び降りるとハチノスは煙になって消えた。


「お、恐ろしい事をなさいますね、ご主人様は!」

「ご主人様、とても恰好良かったです!」


「そ、そうか?」


自分ではただ必死に掴まって振り落とされないように耐えながら、

一心不乱に叩いていただけなのだが。

2人がそれで良いと言うなら、褒められておこう。


ハチノスは革を落とした。

ミノからも皮をせしめている。

今日は帰ったらナズに鍛冶をさせたい。


本来ならば売って収入にするべき物なのだろうが、

自分達のパーティでは修練用の大事な素材なのだ。


「それじゃあ8層に出たら帰ろう」

「「かしこまりました」」


ようやく低階層の序盤は制した。

次の8階層からは敵が4匹となる。

勿論このまま進めても良いとは思う。


しかし盾持ちのアナは兎も角、

初心者のナズが槍で2体を相手する事は難しいと思う。

そう言った局面が出て来ていざ困る前に、早く前衛を1人追加したい。


明日は市もあるし、2人を休ませて買い物に行く予定だった。

ついでに奴隷も見に行こう。

旅亭に戻った時には、もう既に篝火かがりびが焚かれていた。

∽今日のステータス(2021/08/04)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv30

  設定:探索者(30)剣士(24)英雄(18)騎士(1)

     賞金稼ぎ(1)

  取得:村人(5)商人(30)戦士(30)色魔(1)奴隷商人(1)

     暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)


 ・BP128

   鑑定          1pt   結晶化促進×8     7pt

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   獲得経験値上昇×10 31pt   武器6        63pt

   必要経験値減少/3   7pt   詠唱省略        3pt


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv25

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv26


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者  Lv30

  設定:探索者(30)剣士(25)英雄(19)騎士(3)

     賞金稼ぎ(3)

  取得:村人(5)商人(30)戦士(30)色魔(1)奴隷商人(1)

     暗殺者(1)武器商人(1)防具商人(1)


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv26

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv26



 ・異世界10日目(15時頃)

   ナズ・アナ5日目、トラッサの市まで1日、宿泊7日目



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  7 ミノ         /  ハチノス

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