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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第回章 展望
367/394

§354 ガチャ

朝、起きてやる事と言えば可愛い妻達の挨拶を替わりばんこにした後、

横で待機しているイルマを撫でてから部屋を出る。

その後は桶にタライに水槽に、今日使う分の水を出す事だ。


朝のルーチンワークをこなすと、

大体そのタイミングでヴィーが飛び出して行く。


朝の段階で水槽の残りが僅かになっていた事を鑑みると、

この庭に植わっているカモーツは結構な量の水を要求するようだ。


お前も大食いか。

沢山食べて大きく育てよ。


種から育てたでも無い、持って来て植え替えただけの木に対し、

まるで我が子のように温かい気持ちで語り掛けた。


植物は音や声を聴いて育つのだと言う。

クラシックを聴かせると逞しく成長し、

罵声を浴びせたり雑音を聞かせると萎れたり病気に弱くなるのだとか。


氷だって落ち着いた曲を掛けながら凍らすと、

結晶が綺麗に育つのだとか何だとか。

そんな蘊蓄うんちくも聞いた事があるので、

このカモーツ達だってそういう事もあるだろう。


できれば小さく非力な自分の声を聴いて、

逞しく育ち大いに実りを付けて欲しい。


お前が沢山実らせば自分は儲かるし、

お前の子供も沢山増やしてやれよう。

これまで雑木扱いされて来たお前だが、

これからは世の話題の中心になるのだ。


相手は植物であるので返事など無いが、

教え諭すように頑張れと声を掛けて置いた。


ジャーブとイルマが裏口から現われ、

おはようございますと大きな挨拶の後水やりと雑草抜きを始めた。

では後は任せたぞ。


そのまま居間・・・と言うか台所に向かい、

ナズにはミスリルジャケットを作って貰うようにお願いする。


ナズはいったん納屋に向かいリュックをまさぐると、

以前本人が書き写した製作手帳をパラパラとめくった。


「ご主人様、白銀が12個、ブランチが22個、皮は9枚に、

 銀の糸と言う物が4つ必要のようです。

 銀の糸・・・と言うのは初めて聞きますが、お持ちでしょうか?」


「いや、持っていないな。どんな魔物が出すのかも知らない。

 後で買って来るしかないか」

「そうですか。では買取カウンターが開くまでお待ちしております」


「ついでに他の物も作って貰いたいから、纏めて材料を聞いて置こう」

「ええと、クルアチさんの装備ですよね?」


「それもあるし、ラティの今身に着けている装備は拾い物で、

 あれではスキルが付けられない。

 スキルが付けられる物を与えたいのだが、

 店で売っている物では限りがある。改めてナズに作って貰いたいんだ」

「そっ、そうなのですね?ではどのような装備を作れば良いのでしょう?」


「ミスリルメッシュスカートと言う装備があるらしい。

 自分がいつも着ているミスリルジャケットと合わせて、

 ラティとクルアチはこれを着せてやりたい。

 それからそれに合う手の装備や頭の装備なども」

「ええと、そうですね・・・白銀の物ですと・・・、

 頭はシルバーヘルムと言うものが強そうです!」


ナズは丁寧に図解された所まで書き写したらしい。

基本的に器用ではあるが、イラストをそのまま映すのは難しかったようで、

パースが狂ってしまっている。


絵画の才能はまた別、と言う事になる。

ナズでは地図を描けないし作れないのだろう。


肝心のシルバーヘルムは厳つくって重そうで、

これではラティやクルアチの動きを制限してしまいそうだ。

見た感じ重装備が似合うタンク向けの頭防具であった。

ヴィーには良いかもしれないが、彼女は頭を覆われるのを嫌がっていた。


「重そうだし視界も遮られそうで、あの2人には無理だろう?

 もっと軽い感じの、とりあえず付けてます位の装備で良いぞ」


結局スキルさえ付けられれば、後は白銀製であればどうでも良いまである。


魔力的に防御力が加算される世界なのだ。

高級素材と言うアドバンテージだけで、

少なくとも革素材よりは絶対強いはずである。


「それでしたら、こちらはどうでしょうか?」


ナズが次に見せて来たのは、天使の輪っかのような装備品だった。

頭の上に乗せるのか?それとも首輪なのだろうか。

文字が読めないのでそう判断せざるを得ない。


「ええと、済まん、文字は読めないので」

「ああっ、そうでしたね、申し訳ありませんでした。

 ミスリルサークレットと言う額に当てる頭装備のようです」


「ああ、じゃあ1つはそれで。他には無いだろうか?」

「サレットと言う被る防具もあるようです。元の図では・・・、 

 もう少し目元が開いて目線も通るような物だったのですが、

 ・・・済みません。私が写した絵図はどうしても、その・・・」


これまたパースが狂っていて良く解らない。


そもそも、サレットと言う名前からして形状が思い浮かばない。

そういった西洋の武具の知識があれば語感で判断できるのだろうが、

生憎こちとら異世界物語位でしか中世のワールドは知らないし、

防具の知識なんてあって堪るもんか。


こればっかりはもう作って見ないとどうにもならないな。


「じゃあ1つ作って見てくれないか?ダメそうなら売れば良いのだし」

「は、はい。白銀が7つ、ブランチが15本、皮が6枚に鋼鉄が2個です」


「ああ、それじゃあ、ハイ」


アイテムボックスから言われた材料を取り出して渡す。

ナズは防具作成のスキルを詠唱すると、

掌の上のアイテムは光って1つに纏まった。


 ・サレット


まあ、駄目だよ。

解っているさ。

1回でそう簡単に空きスロットだらけとか、

そういうミラクルCは起きっこない。


しかし形状的な面で言うと、

目元の部分は可動式でぱっくりと動き、

しっかり頭部を覆う装備にしては視界範囲が広そうで、

尚且つ強そうである。


じゃあサークレットの方はどういう形状なのだろうか。

製作をお願いをした所、こちらは白銀の鉱石以外に銀が必要らしい。


恐らく銀そのものは、素材としての力が弱いので主たる材料では無い。

しかし細部の装飾などには入って来るのだろう。

であればこれは装飾品の部類、と言う事になる。


ここからは見た目も豪華になって来ると言う訳だ。

何かって言うとその分高くなる。

無骨な鉄製や鋼鉄製の装備では無く、お洒落なファッションアイテム。

そう、いわゆる貴族や聖騎士の正装と成り得る訳だ。


そういえば教会の神官が着ていたアルバなども、見た目重視の装備品だ。

それよりは魔法の鎧の方が実用的なのだから、

好んで着る人はいないのだと武具屋・・・、

ミチオ君達が訪れた帝都の武器屋が言っていた。


それなりの立場である人物が着る儀式用の装備、

既にそういった領域へ手を出していたのかと改めて感心した。

流石は隻眼のナジャ様である。†


結局の所、鍛冶をお願いするには追加の素材を手に入れる必要がある訳で、

買取カウンターが開いた後でしか作れないんじゃあ困り物だ。

色々聞いた所、ガントレットは追加素材が鋼鉄で、

これならば今でも作れそうであった。


要求されるままに材料を取り出して行く。

白銀を10個、ブランチを18本と皮2枚、それから鋼鉄は3個だそうだ。


 ・ガントレット


ま、まあ慌てるような時じゃないさ。

10回やって全部駄目だった時は吉田コールをしようじゃないか。†

補給のために強壮丸を1つ飲ませた。


「じゃあ今できる事だけしてみよう。

 交互に作って貰って、空きスロットが付けば終了だ」

「はい、頑張りますね」


ナズの気持ちが頑張った所で、こればかりは運なのでどうしようも無い。


白銀の束を机に盛り、ブランチの束も作り、皮は重ねて置いた。

鋼鉄も少ない量ながらちょっとした小山になった。


ナズはガントレットとサレットを交互に作って行くが、

どれも空きスロット無しの残念品である。

そして山に積んだ皮もブランチもみるみる減って行き、

その前にちょっとで済むかと思っていた鋼鉄が無くなった。


サレットとガントレットを合わせて1セットで5個、

交互に5回作成したので鋼鉄は25個消費した事になる。


皮はまだもう少し余裕があるが、このペースだとそれも無くなりそうだ。

そして白銀の山は1/3程消費したようだ。


頭痛が痛い。


自分の運の悪さと言うか、恐らくは誰が作ってもこうなのだろう。

サレットとガントレットを売却すればある程度取り返せるだろうと信じて、

追加の白銀やブランチ、皮も含めて材料を買い足して来るしかない。


やはり買っては作り、売っては買い、とすると大赤字だ。


できた装備品は自分のアイテムボックスに入れ、

続きは朝食の後でお願いする事にした。

と言っても買取カウンターが開いてからなので、次は昼食前だな。


 *

 *

 *


午前中の狩りを終え、ハンダールは念願の探索者Lv50となった。

食事後は冒険者ギルドに連れて行くとして、

付き添いはパニとクルアチで良いだろう。

パニなら一度転職しているので勝手が判るし、通訳にはクルアチが必要だ。


そしてハンダールの転職が終わった後は冒険者になる訳で、

商館へ売却した後は廊下の壁掛けを「山と夕焼け」に変える必要がある。

今ある「麦穂」の壁掛けはポーチへしまって外出用にするべきだ。


先にパーティを家へ戻し、自分はトラッサの買取カウンターへ向かった。


この時間帯は売りに来る客もおらず、

そもそもが昼食の時間前なので客足も遠い。

もっと言うと日中外へ出る町民達は昼を食べない者の方が多い。

皆仕事中なのだ。


追加のブランチを300、皮を100、鋼鉄も同数の25個を買い、

沢山消費しそうな銀の糸を100本、銀は50個を購入した。


白銀も買い集めたい所だったが、

既にトラッサとアレクスムは在庫切れだった。

ルイジーナまで出向いて在庫の50個全てを買い付けた。

こちらの迷宮でも50層までの間に該当する魔物が出るようだ。


しかし今は目先のトラッサを優先中なので、攻略はまた今度である。

クルアチやイルマの修行のために、1層から出向くには最適かもしれない。

ホドワは既に何層分かラティが地図を作ってしまっているので、

今更1層から向かわせても実りが少なく残念なのである。


急いで家に戻り、厨房にいたナズの仕事を中断させた。

丁度昼食の支度を始めた所であったが、

エミーとクルアチに何かを指示した後は、

ハーブティーの水瓶だけを持って机にやって来た。


「それじゃ、ナズ。朝の続きをしたいのだが」

「はい、承知しております。材料をお買いになられて来たのですよね?」


「ああ、本当は自力で出せるなら拾って来たいんだが、

 何から出るかまだ知らない物もあるし、

 沢山の数を集めるとなると時間も掛かるからな」


カットされたパンだけが2皿置かれた机を占領して、

買い付けて来たアイテムを積んだ。


「ちょっと・・・これは凄い量ですね?」


自分が帰って来た事を知るとアナも印刷作業の手を止めて現れ、

ナズに依る鍛冶の行方を見守る。


と言うより寧ろ、アナの興味はナズが鍛冶をしている所では無く、

どのようにしてスロット付き装備品が作られるのかと言う方だろう。

更にそれを自分がどうやって鑑別するのか、

そちらの方が気になるのだと思われる。


以前に装備品の内情を明かしたのだから、

アナも違いを見比べたいと思っているに違いない。

興味津々で知的探求心溢れるアナなので。


目視で見ても多分解らないがな。


「では早速だがミスリルジャケットだ。宜しく」

「はい、それでは天の真神の宿りたる──」


流れ作業のように装備を作っては机へ積む。

ナズが2つの装備品を作る毎に強壮丸を飲ませた。


3つ目で空きスロット1つを付けた物が作成できたのだが、

1つではイマイチ物足り無い。

使って使えない事は無いが、もうちょっと上を目指したい。

一応取って置くが。


そして7つ目でようやく空きスロット3つを持つ物が完成した。

興味深そうに見ていたアナに、これがそうだと伝えて見せると、

真剣な表情で空きスロット無しの装備と交互に見比べていた。

・・・いや、流石に解らんよな?


続いてミスリルメッシュスカートを作らせる。

今度は8つ目でスロット4ができた。

残りが全部駄目だと思うと、結構な出費である。


もっとこうスロットが付くかどうかの判定は、

装備品の1スロット毎に行っているのかと思っていたが、

そういう計算式では無さそうな気がする。


1スロット付く確率が1/10でも、

候補が4つも5つもあれば最低1つ付く確率は上がって然るべきだろう?


コインを5回投げて少なくとも1回以上表が出る確率だ。

何だっけ、5C1?

計算方法は・・・知らん、忘れた。


確率は受験から捨てたのだ。

しかも確率を計算する際はカルクが働かない。

以前ドラッハの仲買人が悩んでいたのはこのせいだろう。


・・・おっほん。

それで?現状で見ればそうは成っておらず、

スロット付き装備のできる確率自体が1/10に収束しそうな勢いだ。


スロットが付くと決まってから、

もう少し緩い確率でその数の抽選が行われているような気はする。

100も200も作ればその確率が収束して行くのだろうけれど、

生憎そんな材料も金も無い。


何となくで知って行くしかないのだ。

そして、それを実行しても結局損するような価格となっているはずだ。

世の中そんなに甘く無い。


余った材料でミスリルサークレットを作って貰う。

こちらは2個目で空きスロット2つ付きが作成できた。

及第点きゅうだいてんである。


続いて手の部分の装備を作って貰いたいのだが、

流石に手袋は無いそうで、

ミスリルブレスレットかガントレットが該当するのだそうだ。


ガントレットとサレットを再び順に作って貰い、

ガントレットは前回と合わせて通算7個目で空きスロット3、

サレットは通算8個目で空きスロット2が付いた。


中々に渋い確率だが、

1/10だと思うと多少は成功側に振っているのだろうか。

以前にミサンガを作って貰った際は最悪のケースが起きてしまったらしく、

34個中の2個、1/17だったと記憶している。


まだまだ材料的には行けそうだったので、

最後にブレスレットを作って貰った。

こちらは4つ目に空きスロット3である。

これは中々良い感じの確率で良品を引き当てた気がする。


ジャケットとスカートをもう少し作りたかったのだが、

皮が無くなってしまって今回はここで終わりとなった。

裏地に使うとはいえ、皮も結構な量を消費したようだ。

と言うか他の材料も、もう1回作らせる分量には程遠い。


あんなに買った白銀はもう25個しか残っていないし、

ブランチに至っては残り14個だ。

これでは全然足りないだろう。


一先ず1人分の装備ができたと言う事にして、

ラティのメイン装備はもうちょっとだけ我慢して貰おう。

既に防御力だけなら足りているはずなので。


続いてラティを呼んでパニとラティ、クルアチの装備を出させた。

パニの耐熱のブレストプレートへ、

今回手に入れた3つの属性のカードを追加して貰う。


 ・耐熱のブレストプレート(炎耐性 水耐性 風耐性 土耐性)


ラティの竜革のカチューシャと鉄の小手を回収し、

ミスリルサレットへ鯉を、ガントレットへ蟻、灌木、羊を付ける。

モンスターカードだけあって付けるべき装備品が無くって困っていたが、

これでようやく消費する事ができた。


 ・不眠のガントレット(睡眠耐性 毒耐性 麻痺耐性)

 ・マジカルサレット(属性防御 空き)


同様にクルアチには今回作らせたサークレット、ミスリルジャケット、

ミスリルブレスレット、ミスリルメッシュスカートを充てがい、

ブレスレットに蟻、灌木、羊のセットを付けた。

そしてジャケットには鯉だ。


 ・防毒のミスリルブレスレット(毒耐性 麻痺耐性 睡眠耐性)

 ・マジカルジャケット(属性防御 空き 空き)


蟻、灌木、羊のセットはもう1つ残っているが、

パニとイルマ、どちらに付けてやるにしても空きスロット装備が無い。

次に強化するのはこちらだろう。


牛のカードが残っているが、対応するコボルトが無いし勿体無いのだ。

クルアチか、或いはヴィーか。

いずれはどちらにも付けてやりたいが、今は残念ながら・・・。

そういえば蝙蝠も出たんだっけ?


ラティかな?

ラティだろうな。

ヴィーの楯は受けるのが目的なのだから、れたら逆に困る。


丁度ラティの使っている鉄の盾は空きスロットが1つ付いていた。

どうせ付けるならコボルトと一緒に・・・。

・・・くっ、仕方あるまい。

パニのためにと取っておいた耐性3点セットから拝借するしか無かろう。


パニの装備は暫く更新できそうもない。

今の階層で状態異常による窮地には至る事が無いだろうと言う想定の下、

ヴィーの持つ鉄のグリーブに牛のカードを合成して貰った。


 ・黒豹の鉄のグリーブ(移動力上昇 空き 空き)


どうだろう?

わが隊は2軍も含めてかなりの装備が整って来たのでは無いだろうか。


これだけの鍛冶と合成を行ったにも拘わらず、ナズはピンピンしていた。

そりゃあMPの回復薬は飲ませてはいたが、

スキルによる消耗はMPだけで体力自体は使わないのだろうな。


自分だって迷宮では1日中魔法で攻撃をしているが、

歩き回る事以外の疲労感は無いのだから、似たような物なのかもしれない。


昼食の調理を終えたエミーやクルアチが、

料理を運ぶのを躊躇ためらっていたのに気付き、慌てて机を片付けた。

ナズを労って褒め撫でした後、

ついでにアナも撫でて置いて皆を呼ぶようにお願いした。



   ***



「食事が終わったら、クルアチはパニと一緒に冒険者ギルドに行ってくれ。

 ハンダールは十分育成ができたと思うので、もう冒険者になれるはずだ」

「かしこまりました。パニ様と一緒と言うのは?」「ぼ、僕もでしょうか」


「パニは冒険者ギルドで転職した、言わば先輩だ。

 転職時に気を付けなければならない事など、

 詳しい事はパニから説明させ、クルアチが訳して伝えてくれ。

 ハンダールはこの街そのものが初めてだろうし、

 クルアチもまだ慣れていないだろうからパニが付いていた方が良い」

「かしこまりました」「分かりました、伝えて置きます」


「では俺たちはまた地図の作成ですかね?」

「アタイまたパタパタするヤツかー」


「ヴィー、そう言うな。

 お前の毎日食べている食事はラティの地図の儲けがあってこそだ。

 あれでかなりの儲けになっているのだから、

 パタパタ仰ぐだけで食事が貰えるなんて幸せだぞ?」

「そ、そっか」


「ヴィー様、本来はもっと沢山の仕事をせねば食事を頂く事はできません。

 ユウキ様はお優しいので、とても楽な仕事でお許し頂けているのですよ」

「う、うん、分ってるよ・・・でもサー、アタイは魔物を倒す方が──」


「ヴィーが勇ましいのは良い事なんだが、

 沢山魔物を倒した所で、残念ながら報酬は微々たる物なのだ。

 迷宮だけでは今の生活は難しいだろう」

「エッ!そ、そうなの?」


「そもそもお前達だけでは魔物を倒すにも時間が掛かる。

 自分抜きで朝向かった55層のボスを倒しても、

 食事に換算したらこの半分も稼げないんじゃないか?」


・・・かどうかは知らないが、アナの索敵やラティの地図、

魔法の攻撃力や売却時の3割アップを加味しての今の収入であるので、

本当に迷宮だけで暮らして行けるエリートとなると、

せめて殲滅力だけでも同等にならなければ生活は苦しいだろう。


ヴィー1人だけ勇ましくたって無理な事は無理なのである。


「そ、そっか。じゃ、じゃあパタパタをガンバる・・・」


ジャーブもパニもうんうんと頷いていた。

この2人は何だかんだで金銭感覚が解っている。


ナズやアナは最初から自分が金持ちだと思っている節があるし、

ジャーブを買った時の手の内を知ってしまっている以上、

金に困ったらどうにかして作り出せると知っている。


そういう意味ではイルマも・・・、

流石にそんな事までは共有していないか。

だが遠くの外国から来た強い商人位にしか思われていない節もある。

まぁその方が色々助かるのだが。


「・・・ご主人様。夕食にまた魚を焼いてお出しします。

 赤いオレズも出させて・・・頂きます」


少々沈黙してしまった空気から、エミーが今日の夕飯を提案して来た。

また焼き魚定食らしい。

素晴らしいじゃないか、流石は料理人。


しかし肝心の米の方がどの位持つのだろうか。


前回は50食分を買ったが、うちは現在12人。

前回は椀に3杯ずつ計6杯を使ったが、

買った時に1食分だとされる量はお椀に1杯位であった。


しっかり12食分使った訳では無さそうなので、とすれば次回で12食分。

大体8回分で木箱1つ分の量が無くなるのだろう。

それ程大きな木箱でもなかった。

移動魔法では船便で使うような巨大な木箱を持って行けない。


潤沢にと言う意味で言うなら、もう1箱分買って置いても問題は無かろう。

あちらと違って湿潤では無いので、カビも生え難いだろうし。


そしてこればっかりはパニに頼んでも買いに行けない訳で、

自分が直接買いに行く必要がある。

ヴィーもただひたすら扇いでいるよりは、

荷物持ち等の雑用でちょくちょく呼んでやった方が気分転換になるはずだ。


夕食への期待が高ぶりつつも、

あくまでも冷静な振りをして食事を続けるのだった。

∽今日のステータス(2022/08/08)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv71

  設定:探索者(71)魔道士(48)勇者(38)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(45)

     僧侶(42)目利き(42)薬草採取士(42)


 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv30

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜王  Lv26

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 探索者 Lv28

   鉄の弓(-)

   硬革のバンダナ(-)硬革の手袋(空き)硬革のジャケット(-)

   硬革のブーツ(-)身代わりのミサンガ(身代わり)

 ・イシャルメダ   猫人族  ♀ 29歳 料理人 Lv27

 ・ハンダール    人間族  男 23歳 探索者 Lv48


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv30

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv35

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv40

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv23

   吸血のブージ(HP吸収)浮草の鋼鉄盾(回避2倍 +)

   耐熱のブレストプレート(炎耐性 +++)

   ダマスカスの兜(-)ダマスカスの小手(-)

   ダマスカスのグリーブ(-)身代わりのミサンガ(身代)

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv49

   アルマス(-)浮草の鉄盾(回避2倍)

   竜革のカチューシャ(-)鉄の鎧(-)

   鉄の籠手(-)鉄のグリーブ(-)身代わりのミサンガ(身代)

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 巫女  Lv30


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv71

  設定:探索者(71)魔道士(48)勇者(38)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(45)

     僧侶(43)目利き(42)薬草採取士(43)


 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv30

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜王  Lv27

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 探索者 Lv31

   鉄の弓(-)ミスリルサークレット(++)

   マジカルジャケット(属性防御 ++)

   防毒のミスリルブレスレット(毒耐性 麻痺耐性 睡眠耐性)

   ミルリルメッシュスカート(++++)

   身代わりのミサンガ(身代)

 ・イシャルメダ   猫人族  ♀ 29歳 料理人 Lv30

 ・ハンダール    人間族  男 23歳 探索者 Lv50


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv30

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv35

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv40

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv23

   吸血のブージ(HP吸収)浮草の鋼鉄盾(回避2倍 +)

   ダマスカスの兜(-)

   耐熱のブレストプレート(炎耐性 水耐性 風耐性 土耐性)

   ダマスカスの小手(-)ダマスカスのグリーブ(-)

   身代わりのミサンガ(身代)

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv49

   アルマス(-)浮草の鉄盾(回避2倍)

   マジカルサレット(属性防御 +)鉄の鎧(-)

   不眠のガントレット(睡眠耐性 毒耐性 麻痺耐性)

   鉄のグリーブ(-)身代わりのミサンガ(身代)

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 巫女  Lv30



 ・繰越金額 (白金貨29枚)

     金貨 39枚 銀貨 69枚 銅貨 67枚


  アイテム買取  (245000→171500й)

   白銀        × 50  87000

   ブランチ      ×300  12000

   皮         ×100   8000

   銀の糸       ×100  48000

   銀         × 50  62000

   鋼鉄        × 25  28000


     金貨-17枚 銀貨-15枚

  ------------------------

  計  金貨 22枚 銀貨 54枚 銅貨 67枚



 ・収得品

   赤身       ×  2   削り掛け     ×  6

   鉄        ×  4   鋼鉄       ×  3

   ロース      × 27   コウモリの牙   × 58

   コウモリの目   × 72




 ・異世界104日目(朝)

   ナズ・アナ98日目、ジャ92日目、ヴィ85日目、エミ78日目

   パニ71日目、ラテ50日目、イル・クル47日目、イシャ21日目



 ・トラッサの迷宮

  51 ブラックダイヤツナ  / ※

  52 ラフシュラブ     / ※

  53 ロールトロール    / ※

  54 ピックホッグ     / ※

  55 パットバット     / ※バッドバット

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