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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第冊章 実験
299/394

§286 ホイ

アナの服が乾くまでは時間を要するので、

昨日拾った謎の実をみんなに見せる事にした。


「わあ、何の実でしょうか?」

「良い香りがしますね」

「ナニナニ―?食べ物ー?」


左右にいるナズとアナは良いとして、

離れていたヴィーが一目散にやって来た。

じゃあお前が食え。


「ホイ」

「やったー、なにこれー?」


──ぱくっ。


警戒もせず豪快に一粒を口に放り込み、咀嚼を始める。

ああ・・・説明する暇も何も無かった。


「すっ!!!!!!」


っぱいだろうなあ・・・。

口を窄めて涙目だ。

堪え切れなくなったのか、ヴィーは口に入れた全てを吐き出した。

先程注いだ魚醤の器に残っている、僅かな液体をベロベロと舐め出した。


うーん、お行儀悪い。

仕方無いとは思うが。


「折角だから、お前達も食べて見るか?先っぽをかじって見ろ」

「だっ、大丈夫なのでしょうか」

「ヴィーを見る限りですと、食べられない物なのでは」

「ごっ、ご命令でしたら」

「では次は俺が」


ジャーブが漢らしく次を行った。

勝てない相手と解った上でも突き進んで行く姿は、まさに騎士の鑑だ。

先行する竜騎士と共に、双頭を成す頼もしい壁である。

ヴィーの後を追って華々しく散ってくれ。


「ホイ」

「では、失礼します・・・(カリッ)うっ、」


ジャーブも酸っぱそうである。

そういえば種は苦いと言っていたな。

豪快にかじったヴィーは酸味と苦みで酷い事になったのだろう。

アイテムボックスに残っていた蜂蜜を取り出して、

ヴィーの口に放り込んでやった。


「んぐ・・・(ゴクッ)、ご主人サマ・・・ありがとう、ゴザイマス」


「いきなりそんな豪快にかじるとは思わなかった、済まんな?」

「う・・・うん、ちゃんとハナシ聞けば良かった・・・」


次からガッ付かなくなればそれで良いのか?

良く解らんが何かしら反省したなら、次は生かしてくれるだろう。


「わぁ・・・本当に酸っぱいですね」

「これでは食べられませんね」


ナズもアナもジャーブがやったように、

先端だけをかじって味を確かめた。

イルマは手にした1粒を目の前に、見詰めたまま硬直している。


ナズはかじった実の半分をエミーに与え、

エミーも少しかじった後にモゴモゴして首を傾げた。

料理人同士、何かを考えたのだろうか。

これで何かの料理のヒントになれば、それは凄い才能だ。


「甘い酒などにほんの少し汁を垂らすそうだが、基本的は食べないそうだ」

「そうなのですか、こんなに良い香りなのに勿体無いですね」

「そもそも種の部分が多く、食べられたとしても果実を絞ったり、

 果肉を集めるのも大変そうです」

「種の方は食べられたりしないんですかね?

 こういった物は種の方が旨いと言うのが通例です」


ジャーブは果肉を外して種だけを取り出した。

そのままでは僅かに残る果肉が酸っぱいだろうから、

ウォーターウォールを出して洗わせてみる。


話に依ると種も苦いんだよなあ・・・。


──カリッ。


「うへえ・・・」


ジャーブがより一層渋い顔になる。

元々渋い男なのに、しかめっ面の二枚目になってしまった。


「駄目だろ?」

「そっ、そうですね。俺が間違ってました。

 この果実はやはり食べられません」


「勿体無いですねえ?見た目は美味しそうなのに」

「毒が無いだけまだマシなのかも知れません。ご主人様はどこでこれを?」


「ああ、昨日ちょっとアルバブールの迷宮に立ち寄ってな?

 そこの周辺に生えていた。この実がいっぱいっていたが、

 誰も手を付けず気にもしていなかったので興味が出て拾ってみた」

「そうですか。

 他の方が食べないのだとすると基本は毒があったりする物ですが、

 良くご主人様は食べても大丈夫だとご存じでしたね?」


「ああ、自分が果実をもいでいた所を、

 知らない探索者の男から声を掛けられて教えて貰ったんだ。

 それで仲良くなってその男と共に4層まで行って来た」

「そうなのですか、その場でパーティを組まれたのですね?」

「ご主人様の戦い方は他の者にお見せしない方が宜しいかと思うのですが、

 ご主人様が気を許されてパーティを組まれるのは珍しいですね?」


「ああいや、勿論変な事はせず普通に剣で戦ったぞ。

 例の強い剣では無く、ただの剣でだ」

「でっ、ですよね?」

「それならば安心です」

「ええっと・・・ご主人様は剣の覚えもあるのですか・・・」


そういえばイルマの前で剣を使って戦った事は無かったな。

決闘では別室に連れて行かれたので戦いの様子は見えなかっただろうし、

ヴィーから借りて石化した奴を叩くのは戦闘では無い。

その位ならばエミーだってやっている。


基本的に4層までの敵なんてもう雑魚なので、

多少殴られた所で怪我にも値しない。

65Lvだぞ?

チートでも何でも無くごり押しだ、ごり押し。


幾つか拾った果実であったが、

これ以上は持っていても意味が無いので残りは焚き火にべた。

アナもジャーブも、エミーも、持っていた果実を投げ入れる。

そこで初めてイルマも口に入れて、酸っぱさを噛み締めながら捨てた。


パニとラティは良いや。

弱い者虐めみたいになってしまうので、無理強いはしない。

皆の反応を見れば、食べても幸せに成れないと解かったはずだ。


アナは服を乾かすため、焚き火に近付いてパタパタと裾を仰ぐ。

焼けた実からは嗅ぎ覚えのある香ばしい香りがして来た。

勿論木切れから出るすすけた匂いも混じって入るが、

何だろうか?懐かしみのある良い香りだ。


そこら辺に生えていた低木を適当に切って火を点けた焚き火であるので、

臭いの大半は半焼けでいぶされた青っぽい嫌な臭いだ。

何かの香りが足されたが良く解らないと言うのが実情である。


元々甘い香りがしていた果実であったので、

この実は香りを楽しめば良いのでは無いだろうか。

ひょっとして果実を集めて焚けばお香にでもなるのでは?


「変な臭いがしますね?」

「そうですね、先程の実でしょうか」

「ユウキ様、げっ、解毒丸を頂いても宜しいでしょうか」


「ええっ?別に毒は無いと言っていたぞ?」

「酸っぱくて苦くて食べられないですし、おまけに匂いも変です。

 これで毒が無いと言う方が変です」


「残念な事に、解毒丸は迷宮で負った毒しか治せないからな。

 お腹を壊したら胃腸薬だろう。山椒の方だな?ホイ」

「ありがとうございます!」


「ナズもいるか?」

「い、いえ、特に毒のような感じはありませんでしたので」

「私はご主人様のお話を信じます。腹も下った感じは致しません」

「だっ、大丈夫なのですね?」


「豪快にかじったヴィーを見てみろ。平気そうだ」

「そ、そのようですね・・・」

「ん?アタイ?」


「ヴィーは胃腸薬いるか?」

「いちょーやく?」


「変な物食べてお腹痛くならないようにする薬だ」

「あっ、ほ、欲しい・・・です」


食べても意味は無いと思うけどな。


「ホイ」

「(──カリッ)ッ!・・・うーッ」


手渡した山椒の粒を、またしてもヴィーは豪快にかじった。


・・・まるで経験を生かしていない。

何故この子は何でもかじり付くのだろうか。

竜人族の本能なのか?

い、いや、少なくともパニはそういう事をしないので、

やはり教育の問題だろう。


本日のヴィーは、旨味、酸味、苦味、塩味、甘味、

そして麻味まみを1人で制覇した訳だ。

あとは辣味らつみでパーフェクトか?

残念ながらチリソースが手元に無いのでコンプリートとは行きそうにない。


パーフェクトボーナスが乗って攻撃力が2倍とか、

そういった有用なオプションでも無ければ、

わざわざタコスを用意してやる必要なんて無い。

蜂蜜はもう無いので他に出せる物と言えば水だけだ。


ウォーターウォールを出し、ヴィーに飲ませた。

自分は謎の実が醸し出す不思議な香りに包まれながら、

アナの濡れた服が乾くまで待った。


煙から逃げるようにして、アナは焚き火の風上に都度移動する。

この豆の匂いが苦手かどうか種族差なのか個人差なのかは判り兼ねるが、

お香として用いた場合にアナが怪訝を示すならばどうかと思う。


本当に苦手なのかどうかすら知らないが、

単にジャーブが警戒を強めたので、リスク回避のためかもしれない。

そもそも、匂いどころか風下にいたら煙で目がおかしくなる。

生木と言うのは元々臭いも煙も酷いのであった。



   ***



続いては例の食堂だ。


うちの子達に一度は買ってやったハニービスケットだが、

その店の料理も気になる所である。

あれだけの物をおやつで出すのだから、

料理の方もきっと期待して良いだろう。


ここは農産物が豊富だし、周囲に森があって野生の動物も生息している。

魚も湖で捕れるので、全ての資源が揃っているのだ。

料理の文化が育たない訳無い。


今回はイルマがいるので、注文に際して不備は無いだろう。

ラティに任せると同じ事を3回往復する必要が出て来る。


「イルマ、この店のお勧め料理を9人分だ。

 それから甘いビスケットも。

 2個ごとの注文のはずだから、18個だ」

「かしこまりました」


イルマは店員を呼ぶとスラスラと注文を頼み、直ぐに店員は戻って行った。


「飲み物を聞かれましたので、ご主人様にはミードを、

 私達は果実のジュースを頂きます」


おおっ、これだよ、これ。


流石元お屋敷のメイド、スムーズである。

ある程度は会話のキャッチボールがあったと思ったが、

主人の意向や連立つ者の状態を考えイルマが吸収して対応した。


恐らくラティだと、飲み物を聞かれましたと戻って来て1回。

何があるのかと問い返し、店員からメニューを聞き出して2回。

主人の分だけしか頼まず、他の者の分を聞いてやれと頼んで3回だ。


無論、そのような動きをラティに求めても仕方無い。

求める物が違うのだからそれでも良い。

逆に迷宮で筆を持って綺麗な地図を描けとイルマへ命じたら、

途中で泣き出すんじゃ無いだろうか。


暫く待つと、お勧めとされた料理が運ばれて来た。

大きな丸い鉄板のような鍋が豪快に直接机へ置かれる。


自分の席は4人。

向こうは5人。

2つの大皿を全員が囲う。

流石にこのまま食わないよな?


「xxxxxxxxxxx」

「お待たせしました、と言われました」


良かった、取り皿とスプーンが運ばれて来た。

見た感じ、海鮮では無いが乗っている物は魚介だ。

荒く切られた魚、エビ、水草?・・・それに青菜に根菜、肉も入っている。


山と平野と湖の幸が1つになった炒め飯だ。

ここでも米を作っているのだろうか。

サンドラッドとは陸続きなのだし、その線は強い。


「これは何と言う料理だって?」

「はい、パーリアだと言われました。

 大人数向け料理だそうで、4人以上からの注文になるそうです。

 探索者は皆好んでこれを食べるのだとか」


確かに、探索者なら最大6人パーティなので、

この大鍋を皆で囲って食べるのはアリだろう。

主体は米だし他の食材も入っていて栄養価も高く、

腹持ちは良さそうである。


スパイスの利いた海鮮では無いパエリアは、

地球で食べた事がある物とは若干味付けが違っていたが、

これはこれで美味だった。


「あー、ナズ、エミー?」

「大丈夫です、似たような物でしたらお作りできます」

「味付け・・・かります」


あちらのテーブルとこちらのテーブルで、

2人は見詰め合って相槌を打った。

素晴らしい、ここに連れて来て良かった。

ナズとエミーには今後もどんどん珍しい物を食べさせねば。


やがて酒とジュースが運ばれ、

大皿から料理が消えた所でビスケットが登場した。

パニはヴィーに一切れの半分を差し出し、

エミーもジャーブに少しを譲っていた。

ラティは相変わらず大事そうに食べていた。


だからラティ、持って帰れば良いのだよ?

そもそも小遣いは渡してあるじゃないか。

買いまくって夜食にぼりぼり食べられて太ったら困るが。


「それじゃ、旅亭に帰ったら続きを宜しく頼むぞ」

「「「かしこまりました」」」「分かっております」「ハーイ」


フローダルを巡る観光旅行に、一同楽しめたようだ。

自分も新たな発見と知識を得られ、大変満足であった。



   ***



旅亭に帰り、各自続きの仕事に戻って行く。

ラティは製本作業を30部分だ。

2部完成しているので、残るは28部。


完成したら迷宮の入り口に立たせて売る予定だ。

・・・初っ端からラティ1人で商売するとなると無理だろうから、

そこは補佐してやる必要がある。


その場合はナズが良いのだろうか?

面倒見も良いし、元は商売人。

金の勘定も早いし何より愛嬌がある。


兎に角、自分が一切助けずにラティだけで成功させなければ意味が無い。

千尋の谷から突き落とさねば獅子は強くならない。


獅子と言うのはライオンだと思われているが違うのだ。

竜や麒麟と同じく、中国古来より伝わる神獣の事だ。

頑張れ、ラティ!紙を売って神に成れ!(・・・ぷぷっ)


・・・これまでそういった事は思っただけで、口にはしていない。

ニヤ気顔になったとは思うが、見られていなければセーフだ。

アナには以前ノリツッコミの現場を見られたが、空気を読まれた。


急に恥ずかしくなって来たので、

シュメールの旅亭に戻って椅子に腰掛けた。

ガラス器具に被せられた布を捲り、今後の予定を考える。


まず3層残った迷宮。

ドライブドラゴンの対処がままならない間は、

強行しても仕方が無いと思う。

地図を取れるだけ取ってから改めてゆっくり練習をすると言う手もあるが、

万が一と言う事も考えられる。


迷宮のボスは雑魚の延長だ。

攻撃パターンを知り、確実に対処ができて初めて戦える相手である。

闇雲に力だけで突破しない方が良い。

その結果がこの前のシザーリザード戦であった。


無理はしない、確実に行くのだ。


迷宮の攻略は停止、薬の作成もカビが増えるまで様子見となると、

本当にする事が無い。

手伝うとまた何か言われるだろうし、そもそもそんなスペースが無い。

道具も割り振った分でぴったりである。


そう言えば土産の酒をイルハンには送ったが、

まだルスラーンには届けていなかったな。


・・・やばっ!


ホドワで魚骨酒が初めて売りに出されてから暫く経っている。

噂が広がる前に届けないと、俺は一番最後なのかとお小言を頂き兼ねない。


急いで自宅に戻り、魚骨酒2瓶を担いでトラッサ旅亭裏に飛んだ。



   ***



「──と、いう訳でして無事戻って参った次第にございます」

「ほぉ、そうであるか。なかなか大変だったのだな。

 それで持ち帰って来たのがこの酒と言う訳か」


「はい、魚骨酒と言って発酵過程で魚を漬け込むらしいのですが、

 その名の通りかなり匂いがキツイ酒になりますので、

 お飲みになる際は周りにご配慮頂けると宜しいかと存じます。

 お気に召しましたらホドワの酒場へ卸しますので、

 そちらでお求め下さいませ」

「なるほど、もう卸先が決まっておるのか。流石だな?

 ユウキとの出会いは例のアムルの盗賊騒ぎであったが、

 その時はまさかこのような国を渡る大商人などとは思わなかった。

 今後何か頼むような事があるかもしれんので、その時は宜しく頼む」


「いえ、あの時は自分もこの国に於いて、

 どこで何を商売にしたら良いのか手探りの最中でした。

 このような好機を得られたのは他でも無い、

 マリク様やルスラーン様にお手を貸して頂いたからでございます。

 世辞などでは無く、あの時は大変世話になりました。感謝しております」


この気持ちは本当だ。


アムルのインチキ商人をめた際に、

マリクがその場で決闘を認めたからこそ、

盗賊の首領を捕らえる事ができて56層へ行く事ができた。


その時の経験のおかげでナズの懸念とエミーの姉の件を打破でき、

こうして無事に暮らしていられる。

乗船許可を出したイルハンとはそこで顔を繋げられたのだし、

シュメールまでの道のりができたのは本当にこのマリクのお陰だ。


ソファに座りながらも、深々と頭を下げた。


「うむ。隊長には私から伝えて置こう。他に何かあるかな?」

「うーん、特には無いですね。

 ・・・あ、そうだ、この国で地図を売っても宜しいでしょうか?」


「地図?・・・と言うと、町と町を結ぶ路の地図かな?」

「いえ、迷宮のですね。例えばトラッサの迷宮の地図等ですが」


「何と?お主は地図を作れるのか?」

「ええと、はい、このように。

 こちらは別の国の地図になりますが、

 ひとまず33層分をこのようにして売りに出そうかと」


自分が作成した1冊をポーチから取り出してマリクに見せた。

ラティの印が入っているので、作成者は自分では無くラティである。

つまり自分はただ仕入れて来ただけ、或いは作らせただけの商人だ。


「す・・・凄いな、かなり精巧に線が引かれている。

 これをたくさん作るのは大変だ。

 さぞかし筆が冴える奴隷がいるのか?地図もかなり精密・・・おや?

 魔物の部屋の入り口の場所も全て書かれているのか!

 まさか全部一旦入って制圧したのか?」


「そうですね?

 可能であれば・・・、そうですね。

 トラッサなどでは55層まで作って売りに出したいのですが、

 ご許可を頂けますでしょうか」

「許可も何も、何を売ろうがお前たちの勝手だが、そう・・・だな。

 これはちょっと迷宮の警備や探索者の人気にも影響するだろうから、

 ぜひやって欲しいと言うのが本音だ」


「是非・・・ですか」

「騎士団の方でも地図があった方が鍛錬や必要な物の調達は楽になる。

 無論メモ程度の地図なら無い事も無いが、ここまで精密な物はまた別だ。

 地図がある迷宮ならば人は集まるだろうし、街も賑わうだろう」


「そんなにですか。やはり地図は有用であると?」

「うむ。

 見た所これは11層までのようであるが、

 もしトラッサの迷宮で55層分の地図が作れたのならば、

 その時は是非騎士団にも分けて貰いたい」


「無論そのつもりでおります。できれば国内の迷宮は全てを抑えようかと」

「それは結構。だが、くれぐれも無理はするなよ?

 地図を得ようとして不通になった者の話は数多く聞く。

 ・・・まあお主ならばやり遂げそうな気もするがな」


シルクス侯と同じ反応だ。

やはり深層階の地図を作る事は大変なのだろう。

そしてやはり詳細な地図は必要とされている。


恐らくこれは、この国に於いて自分達にしかできない事なのだろう。

多少の儲けになるかと思って始めてはみたが、

これは社会が必要としている一大プロジェクトに成り得る。


確信から決意に代わった。


「ありがとう御座います。

 実を言うと既にこの地図は30層まで出来上がっているのですが、

 目下生産中でして今はその11層までがやっとです。

 後は・・・そう、時間ですかね。

 やはり全ての枝道を網羅するのは時間が掛かりますので」

「ふむ。そちらの地図の作成が終わった後には、

 是非ここトラッサの迷宮をお願いしたい。

 それが終わったらルイジーナだな?隊長もきっとお喜びになるだろう」


「かしこまりました、承りました。

 それでは、長居をするのも何ですので私はこれにて」

「うむ。あの時は催促したみたいで悪かったが、

 こうして私にも土産を持って来て貰ったのだ。

 お主の為人ひととなりが良く分かった。後程頂こう、楽しみだ」


マリクと別れて騎士団を後にする。


ルスラーンは留守であったが、

そういえば彼はルイジーナ騎士団の団長なので、

衛星都市であるトラッサは副隊長マリクの管轄なのだろう。

こちらにいる方が珍しいのだ。


とは言え、やはり貴族の町であるルイジーナへは気軽にとは行き難い。

誤認とは言え一度あそこの牢に繋がれているので、

なるべくなら行きたく無いと言うのが心情である。

マリクならばちゃんと話を通してくれるだろうし、別にそれで構わない。


続いては・・・そうだなあ。

ジャミルかな?

自爆玉の件を伝えたいし、手に入った分のモンスターカードも回収したい。


何だ自分、結構やる事あったじゃないか?

外交を行い他人との顔を繋いで行く事こそが主人の、商人の仕事だろう。


良かった、ユウキ・フジモトは今日も主人らしく仕事をしていた。

∽今日のステータス(2022/04/21)


 ・繰越金額 (白金貨29枚・利用券2枚)

     金貨 73枚 銀貨 28枚 銅貨 32枚


  食堂                (620й)

   パエリア ×2           240

   ミード  ×1            60

   ジュース ×8           320


            銀貨- 6枚 銅貨-20枚

  ------------------------

  計  金貨 73枚 銀貨 22枚 銅貨 12枚



 ・異世界82日目(昼過ぎ)

   ナズ・アナ77日目、ジャ71日目、ヴィ64日目、エミ57日目

   パニ50日目、ラテ29日目、イル・クル26日目

   プタン旅亭宿泊12/20日目 シュメ旅亭宿泊12/20日目

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