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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第三章 仲間
29/394

§028 成功率

2層上がった事だしLvの方はどうなったかと調べると、

商人はLv20に上がっていた。

ポイントも1つ余りが出ている。


結晶化促進を優先するか、

強くなる事を優先するためにLvを上げるか。


現状、生活費は困っていない。

宿も先払いしたし、ドロップの不用品はまだ売却していない。

取得効率を2倍に上げたところでたかが知れている。

どうせやるなら64倍にした方が良い。


ではやはりLv優先だ。

と言っても経験値系スキルを変更するにはポイントが全然足りないし、

6thジョブ取得にもまだまだポイントが足りない。


ポイントを有効に活用するには

ボーナスアクセサリ1を取るべきだろう。


  慢心の指輪(筋力増加 精神増加)


ポイント1なのに2ポイント分ステータスに振ったような、

いや+1って事は無いだろうから、かなりお得に見える性能だ。


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 商人  Lv20

  設定:商人(20)英雄(10)戦士(19)探索者(19)

     剣士(7)

  取得:村人(5)色魔(1)


   慢心の指輪(☆)

   革の帽子(空き 空き)皮の鎧(空き 空き)

   皮のグローブ 革のブーツ(空き)


 ・BP118(余り59pt)

   鑑定          1pt   5thジョブ     15pt

   キャラクター再設定   1pt   アクセサリ1      1pt

   獲得経験値上昇×10 31pt   詠唱省略        3pt

   必要経験値減少/3   7pt


目標のLv30まではこのまま行こう。


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv6

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv13


2人のLvも順調だ。

ナズにはもうどんどんミサンガを作らせても良さそうだ。


調整を終えて、鑑定と詠唱省略を消した。

確認のために逐一デュランダルを消さなければならないのが面倒な所だが、

ポイントの遣り繰りでギリギリなのだ。

もっとLvを上げて余裕を持ちたい。


「では、ここで暫く戦闘の経験を積みたい。

 ボスは無視して、沢山魔物を倒せるように探してくれ」

「はい」

「頑張ります」


「この階層から3匹になるんだよな?」

「そうですね」


「1匹はアナに任せる。面倒な魔物から倒すから、時間稼ぎしてくれ。

 倒そうとしなくて良い」

「はい」


「ナズは、アナの後ろから隙を突いて刺せ。

 絶対に前には出ず、アナの邪魔もするな。

 アナがピンチなら、突き飛ばしてやったりすると良いかもしれない」

「は、はい、やってみます」


「では行くぞ」


アナの先導で魔物を発見する。

チープシープ2匹とコボルト1匹の集団だ。


ミチオ君が一撃で倒せなくなったのは、

確か5層のコラーゲンコーラルからだ。


コラーゲンコーラルは石でできているし、

他の魔物より少し硬い可能性もあるかもしれないが、

それならば4層でもまだまだ十分一撃で倒せるはずだ。


チープシープの突進に合わせて顔面を縦に切る。

これもスパッと半分に切れた。

安心した。


ミチオ君よりベースの筋力は無いだろうから、

ギリギリ残ったらどうしようかと思っていた。

指輪が活きているのかもしれない。


もう1匹は、まだどちらを攻撃するか定まっていないようだ。

駆け寄って首を落とす。


ナズとアナは、コボルトの向こうに列を作っている。

後ろからそっと近付いて袈裟切りにした。


「十分戦えているようだな」

「はい、この階層なら全然余裕です」

「あ、あの、私は何もしておりません・・・」


「大丈夫だ。多分、出番は殆ど無い。

 警戒する練習だと思って貰えればそれで良い」

「はい」


チープシープの攻撃方法は主に突進だった。


突進と言っても急激に走って来る訳では無い。

ジリジリと後ろに間合いを取り、

1歩、2歩、3歩目で急加速してしゃくり上げて来る。


言われていたように、余程に鈍い・・・、

いやもう、動けなくなった者以外は軽く避けられるのでは無いだろうか。

これを避けられなかったら魔物どころか喧嘩だってしない方が良い。


この階層では困るような事は無さそうだ。

では沢山狩ってドロップ品を狙おう。


チープシープは羊毛を落とした。

ミチオ君の冒険譚には、記載が無かった未知のアイテムだ。


常識的に考えれば、糸を紡いで布や服にする材料だ。

装備品でも使うかもしれない。

チープな羊毛なのだから大した金額にはなるまい。


「元来た道に魔物が湧いたようです。

 この先にもいますが、どうしましょう」

「戻っとくか」


先に進みたい訳では無くここで稼ぎたいのだから、

別に入り口でウロウロしていたって良いのだろう。


来た道を戻ると、チープシープが3体いた。

家畜のさがなのか、いずれも距離を置かず群れになっている。


「アナは左の奴を、右から行く」


駆けて行くと真ん中の羊が気付いて向かって来た。

突進系の魔物は気付くまでが早い。

右の羊もこちらに目掛けて寄って来た。


最初に一足飛びで出て来た中央の羊から、

タイミングを合わせて切り上げる。


そのまま振り落として右の──。


──ドゴッ。


腿に角が食い込む。

ブーツがなければ即死だった。†

んなバカな、ちょっと痛い位だろう。


「いっっっっ・・・てえな、このやろう!」


振り下ろして憂さを晴らした。


アナは盾で突進を防いでいる。

身構えて正面でしっかりと弾いた隙に、ナズが横槍を入れた。

なるほど、これぞ横やりだ。

正しい意味の使い方である。


いかんいかん、感心してる場合では無い。


往なされて首を振った羊は次の突進の構えを見せたが、

デュランダルに依って胴から臀部に掛けて切り裂かれた。


「ふー、一撃食らってしまった。結構痛いな」

「大丈夫でしょうか、ご休憩されますか?」


ご休憩・・・ならお願いしたいが、

休息が必要な程か、と言われたら必要無いと思う。


食らう場所がどこであってもダメージは同じなようだ。

全体の装備品に依って、全てが計算されるのだと思う。


明らかにとがった角が刺さったにも拘わらず、

ブーツは穴すら空いていない。

その下は痛いが。


「これは何でしょう?」


ナズがアイテムを拾い集めて見せて来た。


「わぁ!モンスターカードですよ、ご主人様!

 私は見るのは2度目です」


「アナは以前にも見た事があるのか?」

「そうですね。その時にはご主人様に奮発して頂いて、

 夕食にお肉を頂きました」


「肉なら昨日も一昨日も食べたと思うが」

「ええと、私たち奴隷は中々頂ける物ではありません」


それもそうか。


「じゃあ奮発しなければならないのか?」

「い、いえ、そういう訳では。

 今頂いているお食事は、私達には奮発のような物ですので・・・」


良く判らない。

奮発して欲しい訳じゃないのか。


「ええと、これはやはり貴重な物と言う事でしょうか?」


「そうだな、それはナズのアイテムボックスに入れておけ」

「ええっ?そのような物をお預かりする訳には」


「それを扱えるのは鍛冶師だけなのだ。お前の仕事だ」

「そ、そうなのですね、失礼しました・・・」

「ご主人様、もしかしてナズさんに合成をさせるのですか?」


珍しくアナが突っ掛かって来た。

そのつもりでナズを身請けしたんだが。

合成できないドワーフはただのドワーフだ。†


「ご主人様、合成はとても難しく、簡単には成功致しません。

 失敗しても、どうか叱らないで下さいませんでしょうか」


「そんなつもりはないな」

「ご主人様、主人とドワーフの信頼関係で成功すると言うのは迷信です。

 大事にしているからと言って、成功が約束される訳ではありません」


「知っているが?」


アナが必死に訴えて来る。


鍛冶師にするつもりで買った、大事にした。

成功するだろう。

失敗した。

酷い仕打ちが待っている。


誤解だ。釈明だ。

直ぐ解かなければならない。


「アナ、失敗は無い。良いね?」

「いえ、あの、ごしゅ──」


「いいね?」

「は、はい」


「合成の成功率の事なら知っている。

 仮にナズが失敗しても仕置きしたり、

 アナに連帯責任を取らせるつもりは無いから安心しろ」

「え、いや、あの、そういう事では」


「ナズは何も気にしないで良いぞ~ぉ?」


にっこりしてナズを見る。

作り笑顔がキモかったかもしれない。


「何だか良く解りませんが、はい」

「は、はぁ・・・」


ともあれ、いきなりモンスターカードとは幸先が良い。

しかしモンスターカードが手に入ってしまった以上、

合成するならコボルトのカードが欲しい。


ここでピンと来た。

・・・待てよ、さっきの2人組だ。


オークションに掛けるなら仲買人や商人に売るのが普通だろう。

その前に取引できないだろうか?

なんてったって、こちらも商人だし。


鑑定があるから偽物を掴まされる心配も無い。

偽物を出されたら「じゃあギルドで確認したい」とか言えば良い。


賭けてみるか。


「アナ。先程の2人組はコボルトのモンスターカードを狙っていそうだ、

 と言う話だったよな?」

「多分そうでしょう・・・あっ!」


「譲ってくれないか聞きに行く。気配で探せるか?」

「お、お待ち下さい。確かに人も探せますが、合成は──」


「失敗するから最初は止めておけ?」

「そ、そうです、もう少し後からでも大丈夫かと存じます。

 ご主人様は十分にお強いので、今合成をしなくとも──」


「アナ、そろそろ」

「は、はい・・・」


アナは押し黙った。

難癖付けて来る小姑になってしまった。


後でちゃんと種明かしをして置かないと、

事ある度に忠告を受けそうだ。

面倒臭い。


「じゃあ3層に戻るぞ?」

「はい?」「はい・・・」


そう言ってダンジョンウォークを唱え、3層入り口に移動した。



   ***



先程の冒険者はいない。

狩りを再開したようだ。


「どうだ、アナ。いるか?」


「ええと、多分ボス部屋の傍だと思いますが、戦っているようです」

「じゃあ追い着こう」


最短で向かうが、道中にコボルト2匹が出て来た。

駆け寄りながらまずは1体仕留める。


奥にいたコボルトにはアナが追い着いていた。

アナがコボルトの攻撃を避けている間に、回り込んで袈裟切りに。


「先を急ごうか」

「かしこまりました。先程のお2人は次を左に曲がって、

 その次は真っ直ぐ、最後に右です」


言われた通りに進むと、また魔物がいた。

コラーゲンコーラルとグリーンキャタピラーだ。


時間を掛ける訳にも行かない。

手前のコラーゲンコーラルから切り捨てる。


コラーゲンコーラルは煙となって消え、

アイテムを確認して拾おうともたもたしていたら足元に糸が絡み付いた。


「うわっ」


後ろに回したグリーンキャタピラーが放ったようだ。

右足だけ巻かれているが、地面とくっ付いて離れない。


ナズとアナがキャタピラーに駆け寄り、

弾いたり刺したりしている。


デュランダルで大地と足を繋ぐ鎖を断ち切った。

糸になれば容易に切る事ができるようだ。

液体状態だと、触れた瞬間に糸巻きにされる。


やはり謎技術。


いや、これはそういう魔法なのだろうな。

エフェクトと実際に起きる現象を同一視して考えない方が良い。

詠唱マークがある事だし、スキルとは何かしらの魔法を使っているのだ。


アナの横を擦り抜けてグリーンキャタピラーを撫で斬った。


「焦ってはいけないな」

「そのようですね」


ナズに苦笑いされた。

アナはいつもの澄まし顔で自分を見詰める。

言いたい事があれば発言を許可しようじゃないか。


「それで、さっきのパーティは?」

「ええっと・・・済みません。ボス部屋に入られてしまったようです」


なんだってー!†


おっといかん。

思わず何かに突っ込んでしまった。


「そうか、入れ違いになってしまったか」

「また戻って来るかもしれませんし、3層入り口で待たれますか?」


「その方が良いかもな」


ダンジョンウォークを唱え3層入り口に移動した。

そういえば、そろそろ昼食の時間だ。

ここは魔物が入って来ないらしいし、

どうせ待つならばついでに昼休憩にしようか。


「そろそろ昼じゃないか?」

「そうですね、ボス戦なら直ぐに終わらないでしょうし、

 その位の時間はあるかと思います」


「じゃあ、ナズ。ゲートを開けっ放しにするから取って来てくれ」

「かしこまりました」


ワープを唱えて、旅亭の裏の木と繋ぐ。

ナズが出て行った。


「ご主人様、先程の件ですが──」


アナが詰め寄って来る。


「鍛冶か?」


まだナズに鍛冶をさせる事が心配のようだ。

ここは誰もいないし、さっさと説明してしまおう。

先程の2人組が戻って来てもいけない。


「そうです。合成は・・・まだナズさんには早いかと思います。

 成り立ての鍛冶師が合成に失敗すると、多くの者が命を落とすそうです」


鬱だし脳ってやつだ。†

MP切れで絶望するから。


「ナズさんは先日鍛冶師に成ったばかりです。ですので──」


「アナは誤解をしている」

「はい?」


一生懸命止める辺り、アナはナズの事を大事に思っているのだろう。

同じ1番と言う地位であるにも拘らず、

出し抜いたり蹴落とそうとするのでは無く、

大事な仲間だと認識してくれているようだ。


大丈夫、お前のナズは死なない。


「ここには誰もいないから言う。ナズにも言うなよ?

 合成の成功率や、失敗した奴隷の話、初心者の鍛冶師の話もだ」

「ええっ!?・・・いえ・・・その」


「自分にはどの武器とモンスターカードの合成が成功するか、事前に判る」

「えっ!?・・・それはどう言──」


「絶対に成功するから、

 何も知らないナズには変に重圧を掛けないで欲しい」

「そんな事はでき──」


「るのだ。例えば、お前のそのカトラスには必ず合成が成功する」

「ええ!?」


アナは彼女の手にするカトラスを、改めてまじまじと見詰めた。


「羊のスキルは催眠だったな、

 前衛のアナに付ければ最適では無いだろうか?」

「それは・・・そうなのですが」


「お前には暗殺者に成って貰う。

 昨日説明した通り、状態異常を与え易くなるジョブだ」

「そのお話は、本当だったのですか」


「嘘を言ってどうする、お前たちに嘘は言った事は無いぞ」

「ええと、移動魔法の時に・・・」


くっ・・・つまらん事を覚えている奴め。


「あれは混乱していたお前を落ち着かせるためにだな、・・・兎に角だ」

「・・・・・・本当に成功すると?」


「そうだ、ナズにも内緒だ。成功率の話は2人だけの秘密にしてくれ」

「かっ、かしこまりました・・・」


何とか成ったな。

幸い、まだナズもあのパーティも戻って来ていない。


「ご主人様・・・」


「何だ?」

「仮に、そのお話が真実だとして、これはとんでもない事なのでは」


「もしこれが他人に知られたら、どうなるか解るか?」


アナの口が「~」になって、それ以上話さなくなってしまった。


「ご主人様、戻りました!」


ナズがパピルスの塊3つを持って戻って来た。


「じゃあ昼食にしよう」

「はいっ!」

「・・・はい」


しまった、今度はアナを浮上させてやらないとな。

∽今日のステータス(2021/07/28)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 商人  Lv20

  設定:商人(20)英雄(10)戦士(19)探索者(19)

     剣士(7)

  取得:村人(5)色魔(1)


   聖剣デュランダル(☆)慢心の指輪(☆)

   革の帽子(++)皮の鎧(++)皮のグローブ(-)

   革のブーツ(+)


 ・BP118(余り63pt)

   キャラクター再設定   1pt   5thジョブ     15pt

   獲得経験値上昇×10 31pt   アクセサリ1      1pt

   必要経験値減少/3   7pt


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv6

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv13

  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 商人  Lv21

  設定:商人(21)英雄(10)戦士(20)探索者(20)

     剣士(8)

  取得:村人(5)色魔(1)


 ・ナジャリ ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv8

 ・アナンタ 猫人族  ♀ 20歳 戦士  Lv14



 ・異世界8日目(昼前)

   ナズ・アナ3日目、トラッサの市まで3日、宿泊5日目



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  1 グリーンキャタピラー /  ホワイトキャタピラー

  2 コラーゲンコーラル  /  コラージュコーラル

  3 コボルト       /  コボルトケンプファー

  4 チープシープ     /  ビープシープ

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