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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第丗章 道筋
273/394

§260 モチ

大陸を渡ってまだ16日しか経っていない。

にも拘らず雨ばかりと言うイメージがある。


やって来た時期のせいだとは思うが、

こちらの地域は元々降水量が多いのだろう。

少なくともトラッサやホドワで雨に降られた日は無かった。

首都であるサンドラッドの商店街にアーケードが作られる訳だ。


今まさに、自分達が宿泊しているシュメール一帯は悪天候の最中であった。

梅雨の雨とはまた違う、バケツの水を引っ繰り返したような土砂降りだ。

風も強く、窓へ打ち付ける音が波のように緩急を変えて行く。

寧ろその音で目が覚めたと言っても良い。


シュメールで借りている旅亭は町の一等地。

その周辺にある大通りは石畳で舗装されていたが、

ちょっと離れた場所ならもう土だ。

街の至る所に酷い泥濘ぬかるみができている事だろう。


ナズとアナ両方から朝の挨拶を受けプタンノラの旅亭に戻って来ると、

こちらの天候は小雨であった。

梅雨の初期特有の少し冷んやりとした空気が感じられ、

雨にも関わらずジメっとした感じは無い。


現在の低気圧の中心はあちらにあり、

じきにこちらへやって来そうな感じである。

そのせいなのか。

相変わらずモコモコがモゾモゾうごめいていた。


「おーいラティー」


やはりやる気の無い口調で呼び掛ける。


別に起きなくても動かなくてもどちらでも良い。

ただ起床が遅いと食事をヴィーに狙われる可能性は高まる。

そこまで責任は持てない。

隣の部屋だし。


「うーん。見た所今日のラティは駄目そうだ。

 どうせボスに行くだけだし、パニとラティは午前中休みにして置こう」

「かしこまりました」

「ではこのまま寝かせて置きましょう」

「よっ、宜しいのですか?」


「宜しいも何も、本人がアレでは無理だろう?」

「い、いえ・・・普通ならば許されないかと思うのですが・・・」


そうは言っても、迷宮と屋敷で家事をするのとは違う。

メンバーのパフォーマンスダウンを押して迷宮へ向かい、

そのせいで不測の事態でも起きれば結局は自分の首が締まるのだ。


誰かが亡くなりでもしたら悲しいし、

残ったメンバーの士気にも関わるだろう。

身代わりのミサンガを配ってはあるが、

そもそも発動するような事など在ってはならない。


アレだって高級品だ。

今の所予備までは用意できていないので、

もし発動するような事があれば大損害だ。

オークションで買うと4万ナールだっけ?

叩き起こして連れて行った先が4万ナールの損失とか、目も当てられない。


アナの言う大局とはそういう事だろう。

イルマの理解はまだまだ低い所にあるようだ。

自分はただ合理的な勘定で言っているだけに過ぎないのだが。


ナズが食事のワゴンを運んできた。

トレイの1つを空いたベッドに置き、残り3つを隣に運んで行った。

良かったな、ラティの食事は確保されたぞ。


「それじゃ、「「「頂きます」」」

「はい、頂きます。ラティ様、お先に失礼します」


イルマが塊に向かって断りを入れたようだが、

モコモコはモゾモゾと動いた。

あれが返事かな?


今日のメニューはパンと魚介のスープ、

葉物の和え物と魚の練り物だ。

雨が降っては漁船も出せない訳で、

出て来るメニューは日持ちする物となる。


以前自宅で作った蒲鉾カマボコモドきのような物だが、

こちらはどちらかと言うと摘入つみれに近かった。

小骨を砕く技術が無いのか、白身だけの摘入つみれだ。

これは・・・魚醤だな!


瓶の蓋を開けると、もう残りが少ない事に気付く。

また買って来なければ。

ここでも作っているのだっけ?

安いと良いな。


小皿に取って、ナズが向こうの部屋にも持って行った。


「そういえば」


食事の最中に今日の提案を始める。


「はい、如何なさいましたか?」


「どうせ今日はこの後ボスに行くだけだろう?

 30層へ到達したら午前中は休みで良い。

 ラティがこの様子だし、起きたら木彫りでも進めるように言ってくれ」

「かしこまりました」

「そ、それで宜しいのですね・・・」


「自分たちは別に無理してこの国の迷宮に行く必要が無いのだ。

 ラティが地図を完成させられればそれで良い。

 そのラティが臥せっているようならば益々意味は無い」

「そうでございますか」


ナズやジャーブには、生活のために迷宮へ潜るのだと説明していた。

今はどこからか入って来たあぶく銭のおかげで殆どFIRE状態だ。

この先自堕落に生きても何ら問題は無いと思う。

しかしそこは悲しい日本人のサガ、勤勉さが心を掻き毟る。


何か仕事をしなければ。


しなくて良いのに、体は勝手にやるべき事を求めてしまう。


愛人ナズやアナとまったりほのぼのライフだけと言うのも、

り張りが無くって暇だろう。

行き着く先がかつて嫌悪していた何処かの誰かに成りかねない。

良いんだよ、心の安定と引き締めのために行く迷宮で。


そもそも、この国にとどまる理由は製薬器具の開発のためだ。

そしてこの旅亭にいる理由は、帰る自宅が改装中だから仕方無くだ。

その間に奴隷うちのこたちが暇を持て余すと、

やれ仕事がどうのと面倒臭くなるので付き合っているだけに過ぎない。

仕事はあるが、自分にしかできないのでどうしようもない。


ダイダリの地図の件だって、

完成まで漕ぎ付けたらラティの自信が付くだろうと言う親心からである。

自分としては長距離移動で大量に消費するMPの補給のため、

サラセニアの階層が周回できれば十分な訳で。


結局はラティのために行っているのだから、

そのラティの調子が悪ければお休みで構わないのだ。


そうこうしているうちに自分達の食事は済んだので、

いい加減ラティを起こすか。


「アナ、ラティを宜しく。

 調子が本当に悪そうなら対応を。氷を出して置こう」

「かしこまりました、手拭いを用意致します」

「では、私は皆さんの食器を下げて参りますね」


「うん、ナズも頼んだ」

「わっ、私にも仕事を何か頂けると・・・」


「えっ・・・でもなあ。他にする事が無いし・・・。あっ、そうだ」


イルマを椅子に座らせ、自分は後ろからイルマの頭を撫でる。

そこから髪の毛を指で絡ませながら、耳までを往復する。

そして垂れ下がる耳を中指と薬指の間に挟み、

掌でそっと付け根から持ち挙げた。


「あ、あの・・・」


「良いからされなさい。

 エミーはジャーブにやってしまった手前、堪能できなかった」


ずっと憧れがあった。

イルマの耳を持ち上げたり摘まんだり、優しく揉み解したり引っ掻いたり。

掴んでパタパタ仰いだりして感触を楽しんだ。


ミチオ君の言う通り、狼人族の耳はパフパフでフワフワであった。

彼は磯部餅と表現していたようだが、これはピザ生地だろう。

触った事がある中で、より現実に即するとそんな感じだ。


アナの耳はピンと張っているので、

ピシピシ弾くとそれはそれで楽しいが、

彼女の場合は尻尾の方が触り甲斐がある。


ナズは髪の毛がサラサラで、

指の根元で絡めて撫でると心地が良い。

シルクのような滑らかさと程良いしっとり感、

それでいて長いのでひと撫でを存分に楽しめる。


皆それぞれ違った触感が楽しめて満足である。

今後はこのイルマの餅耳が加わる訳だ。


「あっ・・・ご、ご主人様・・・あのっ、あっ・・・ンッ」


撫でたりねたりする度にイルマが身をよじるので、

面白がって遊んでいたのだが、そのうちにピクピク体が痙攣して悶えた。

・・・エーっと、何かのポイントでしたか。そうですか。


「す・・・済まん。そういうつもりでは無かったのだが、

 何かこう、可愛かったのでつい」

「も、申し訳ありません。

 端無はしたない姿をお見せしてしまいました・・・」


「い、いや、駄目だったら駄目と言ってくれないと、

 こちらは加減が判らないのでな?」

「い、いえ、その、駄目・・・ではありませんが・・・」


イルマが再び身をよじる。


完全に理解した。

これは病気を治した後の楽しみが増えそうだよ。

モチモチを堪能するモチベーションが上がりそうだ。


ラティは既に起きており、アナと共にこちらの様子をガン見していた。

右を向くとナズも戻って来ており、一部始終見られていた訳だ。

こっちの方が恥ずかしいよ!


や、めろよ。

奴隷をどうしようが自由だと言ったのは君達では無いか。

いや待て、自分はただイルマを撫でただけで、

やましい事は何もしていないぞ?


モチモチらしい耳の感触を楽しみたかっただけだ。

そういう(・・・・)目的でイルマに悪戯していた訳では無いんだ。

謎の焦燥感で言い訳が頭の中に浮かんでは消える。


「はっ、はわわわわわ・・・」

「ご主人様・・・」「宜しければ私達がお相手を致しますが?」


い、いや、違っ、違うんだ。ホントに。

そんな気持ちは微塵も無くってだな。

反応が可愛かったからついつい悪ノリしただけで。


「そうじゃない、そうじゃないんだ、迷宮だ、迷宮。

 準備出来たら行くぞ。ラティは食事を取ったら木彫りだ、良いな?」

「はっ、はいぃぃぃっ!」

「ご主人様・・・」「その際はいつでもご用命下さい」


その際もこの際も無いよ!夜までは。

あぁ・・・今日もまた彼女達がマウントを取って来そうだよ。

主人の威厳?

全く、何処に落として来たんだろうナァ。


  *

  *

  *


29層最後の部屋であるボスの待機部屋に飛んで来た。


流石に昨日未解放であったこの階層に、

朝イチからボスに人が並んでいるような事はあるまいて。


そもそもレムゴーレムだぞ?

ドロップ品もさして旨くは無い。

岩と極稀にダマスカス鋼だろ?


流石にボスまで任せる訳には行かない。

突破後に自分の足で30層を踏んで置かなければ次回最新層へ飛べないし、

ボス部屋で何か事故が起きては助けられない。

ワープで強引に侵入できたとしても、まずは一度入っておかなければ。


そもそも戦闘中のボス部屋に割って入ったら、

一体どういう判定になるんだろうか。


 1.自分も戦える

 2.ボスが未実体化して戦えなくなる

 3.自分が未実体化して干渉を与えられなくなる

 4.世界がバグってエターナルフォースブリザード


よ、4は御免願うな。

3も勘弁して欲しい。

ボスが突破されるまでインプリズンだ。

1は同一パーティでなら可能である事が既に判明している。


ともかく自分が割って入れない状況にあるならば、

彼女達だけで未踏破のボスと戦わせる訳には行かない。


心配し過ぎだろうか?

56層で既に戦った事のあるレムゴーレムと、お供で雑魚が出るだけだ。

もう少し仲間たちを信頼しても良いのだろう。


それでもワープで移動するためには、

やはり1度は侵入して置く必要がある。


ボス前にジョブとステータスを調整する。

昨日は傍観者モードにして置いたので、

ジョブもスキルも不適正な状態にしてしまっていた。


暫く変動が無かったのでずっと放置だったのだが、

気が付くと探索者のLvも若干上がっていた。

ここらでポイントの再配分をすべきだろう。

勇者もLv30に届きそうであった。


・・・・・・・・・良しッと。


何とか魔法の構成を変えずに6thジョブを捻り出したが、

これでは鑑定もワープも使えない。

早くもう1Lv上がって欲しい所である。

そこは帰り掛けにボーナス魔法と入れ替えれば大丈夫か。


30層を越えればもう少し探索者のLvも動いてくれるだろうと、

淡い期待を掛けて置く。

どうせ階層の倍Lvまで達したら伸び悩むのは織り込み済みである。


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv65

  設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(29)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)

     神官(38)博徒(35)


 ・BP163

   キャラクター再設定   1pt   6thジョブ     31pt

   パーティー項目解除   1pt   詠唱省略        3pt

   獲得経験値上昇×20 63pt   ガンマ線バースト    1pt

   必要経験値減少/20 63pt


「待たせたな、色々と準備があったので申し訳無い」

「いいえ、大丈夫です」

「問題ありません、準備が万全であれば宜しい事です」

「エー?カベの方見てただけにしか見えないんだケド・・・」

「ヴィー、ユウキ様は作戦を練っておられたんだよ。

 相手の動きを想像して、頭の中で戦いを整理して置く事は重要なんだ」

「ふぅん・・・」


・・・また勝手に自分の像を持ち上げられている。

ポイントの配分をしていますとか知られたら、

ジャーブはともかくヴィーなら暴れそうだ。


「イルマ、ボスは殆ど雑魚のノンレムゴーレムと大差が無いが、

 ここのボスは稀に最初から寝ている場合がある。

 仮に寝ていた場合は起こさないように、全体魔法は控えてくれ。

 先にお供を倒すとやり易いので、その場合は壁魔法か単体魔法で」

「かしこまりました」


「行くぞ!」

「「「はい」」」「おー!」


壁は開きっぱなしであったので、合図と共に4人が駆けて行く。

自分はゆっくり目に近付き、弓を構えながらレムゴーレムを見据える。

イルマは事前詠唱のため、歩みは扉をくぐった直後に止めた。


煙が人の形に集まり、レムゴーレムが現れた。

両腕はしなだれ落ち、それをつっかえ棒にして体の岩が支えられている。


レムゴーレムは入った時点で寝ていた。

これならば安心だ。


「イルマ!」

「はい、大丈夫です!」


先程全体魔法の詠唱をしていたイルマであったが、

発動させずに単体魔法へ切り替えたようだ。

ちゃんと判断ができる子で良かった。

ラティなら1発放った後でゴメンナサイをしそうである。


他のお供2体を前衛陣が相手取って、2対1の形が作られる。

相手はノンレムゴーレム1体とモロクタウルス。

アナとヴィーが中央付近に、ナズがノンレムゴーレムの前にいる。


そのまま戦うのかと思ったが瞬時に配置を入れ替えて対応し、

ナズとジャーブがモロクタウルスで、

アナとヴィーがノンレムゴーレムを取るようだ。


相性が良い組み合わせ同士が、

こちらから指示する事無く現場だけで判断できている。

やはり56層へ行った成果は十分あるようだ。

戦術も技能も、確実にこの階層では勝っている。


イルマがモロクタウルスに向けてウォーターボールを発射したので、

自分は弱点が無く対処も面倒なノンレムゴーレムを狙った。

いつものようにアクアウォールでジリジリ削るだけである。


最後に残ったレムゴーレムは、

自分とイルマによる2種の水壁で閉じ込められ、

ヴィーが正面、残り3人は後ろから一方的に攻撃してけりが付いた。

文字通りあっと言う間だった。

勿論ガンマ線バーストも使用したのだが。


「もう一度やりたいか?」

「お望みでしたら、私はいつでも大丈夫です」

「いえ、このボスはもう何度も戦っておりますので、

 今更私たちが練習する必要は無いでしょう」

「アタイ倒すならお肉がイイ」

 「ヴィーは食べ物ばかりだなあ」

  「イシシッ!だってお腹いっぱいの方がウレシーじゃん」


それには激しく同意するが、イルマはどうなんだ。

と思ったらナズが直接聞いた。


「私たちは大丈夫ですが、イルマさんはどうですか?」

「今のように戦えば良いのであれば、何度でもやれそうです」


「と言う事なら練習は不要だと言う事だな。

 では次に行こう。念願の30層、大台に乗ったぞ」

「そうなのですね・・・30層ですか」

「私たちの実力はもっと先にあると言えます。問題ありません」

「そういえば、今日はボスだけとお聞きしましたが」

「休みダ!買い物行こー!買い物!」


ヴィーはナズの前に立ち塞がり、買い物への同行を強請ねだっている。

残念ながら休みだとは言っていないし、これからやる事があるのでな。


「残念ながら後は木彫りの仕事だ」

「エーッ!」

「ヴィー、駄目だよ。ユウキ様はお休みとは言わなかったよ」


「午後は買い物に行って来ても良いぞ」

「ヤッタ!ほら、イイって!」

「よ、宜しいのですか」


「ジャーブとラティは別の仕事だ」

「や、やはりそうですよね・・・俺・・・」


「心配するな、お前には報酬がある」

「は、はぁ・・・」


何か買い物へ行ったついでにエミーへプレゼントを買いたかったのだろう。

大丈夫、お前には自分から用意してやるのでな。


「それじゃ旅亭に戻れー」

「「はい」」「分かりましたっ」「あーい」「お先に失礼致します」


全員が戻ったのを確認し、自分は戻らずに自宅へ飛んだ。


  *

  *

  *


ウッツたちは内装に取り掛かっていたようだ。


家の中から掛け声は聞こえるが、

自宅の壁面が閉じられ中の様子はもう窺い知れない。


入り口の扉は簡単に建て付けられた状態であり、開けっ放しであった。

恐らくもう遮蔽セメントとやらは施工されているだろうから、

この状態で覚えても侵入はできないのだろう。


土間と言う概念は無い。

靴を脱ぐ文化では無いためだ。

そのまま板の廊下に上がり、

左にはやや広く取られた納屋になる部分があった。


その代わり風呂場にしていた部屋がやや圧迫されている。

その風呂場は衝立の替わりに壁で仕切られており、

半通路、半部屋となっていて、目隠し兼脱衣所となり得ていた。


2度ウッツ達に利用させた結果なのだろう。

こうであれば家主も利用し易いだろうと言う職人の心遣いが、

ここでも生かされている。


ウッツの仕事は匠のソレだ。

ビフォアーから劇的に改善されたアフターを垣間見た。†

廊下を突き抜け、扉がまだ施工されていないトイレも見る。


注文通り排泄用の穴は2つになっているが、これは一部屋か?

後で衝立でもすれば良いのだろう。

便器の設置をお願いしたいかな?

以前は穴に直接であった。


和式便器、石で作って貰う?セメントかなぁ。

そうなると排せつ物がびり付いて掃除も大変か。

セラミックなんて絶対にまだ無い。


ガラスなら近しい物ができそうだが、

バラさんやペイルネッタに便器を作ってくれなんて注文したら、

羽交い絞めにされて焼きゴテで刺されそうだよ。


・・・そういえばバラさんって本名は何なんだ?

今度鑑定して置くか。


これまで正面の通路を曲がると、

左に台所、右に2部屋があった。

その突き当りはこれまでデッドスペースになっていたのだが、

ここに階段が設置され、既に2階へ登れるようだ。


掛け声は上の方から聞こえたので、皆2階なのだろう。


台所は以前よりも広く見え、

10人掛けのテーブルが難無く置けそうである。

少し手前に広げたのだろう。

その代わり元ジャーブ達の部屋と元自室が小さくなったのかな?


石窯と竈門はそのままに、流し台の横には木の箱が設置されていた。

注文していた氷冷庫だろう。

後はここへ氷を入れれば食材が長期に保存できそうだ。

扉を開けると、水抜き用の穴がしっかりと排水トラップ真上に続いていた。


続いて1階部分の部屋がどうなったかを確認する。


扉を開けると2部屋だったものが1部屋になっていた。

以前より細長くなった部屋では、

我々3人(・・・いや4人になるのか?)が使用するとなると、

使い勝手は悪そうだ。


じゃあここはラティとクルアチの部屋で良いや。

台所を広げた分、こちらが圧迫されたのだろう。


階段の下のスペースを利用して収納が作られていた。

流石は家大工。

家具の設置がきめ細かい。


1階の様子がほぼ確認できたので2階へ上がる。


「やあ、ウッツさん。一階はほぼできた感じかな?」

「おう、来たか。頼まれたモンはこれだぜ」


置いてあった袋を指さして応えた。


「ああ、ありがとう」


袋をまさぐり、中身を確認した。


木ギアが2つ。

木ギアの中心部に嵌め込めるよう加工された、

ハンドルの取っ手と車軸にする木の棒が各1つずつ。

大きさの違う2つのギアを簡単に噛み合わせてみたが、

噛み合いは問題無さそうなので一先ずこれで良いだろう。


「それで幾らだ?」

「意外と大変だったからなあ、5枚も貰えれば良いか」


ウッツの基本単位は銀貨なので、5枚と言うのだから500ナールか。


当然手持ちで用意している訳が無い。

ポーチの中をね繰り回す振りをして、

アイテムボックスから銀貨5枚を取り出した。


「おぅ、ンでどうだ?2階はまだこの通りだが、1階はほぼあの通りだ」


「ああ、期待以上に良く出来ていると思う。完成が楽しみだ」

「そう言ってくれると嬉しいぜ、2階は3部屋だったよな。

 ココとソコ、ソンで台所の上のあの辺に部屋ができるからよ」


「ああ、期待している。

 それにしても早いもんだな?もう1階は住める感じじゃないか」

「扉とかな、細かい所がまだなんだよ。

 そっちの方の調整は時間が掛かってな」


「なるほど、細かい作業の方が難しいか」

「まだ10日は掛かるぜ」


「では宜しくお願いする」


ギアの塊を受け取り、ホドワの自宅を後にした。


まだまだ昼には早い。

自分はこの後旅亭に戻り、ギア機構の調整と図面への書き出しだ。

ラティとジャーブには印刷作業を教える。


他の連中は・・・ヴィーが望んでいたし、買い物かな?

∽今日のステータス(2022/03/12)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv65

  設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(29)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)

     英雄(50)僧侶(19)博徒(35)


 ・BP163

   キャラクター再設定   1pt   6thジョブ     31pt

   パーティー項目解除   1pt   詠唱省略        3pt

   獲得経験値上昇×20 63pt   ガンマ線バースト    1pt

   必要経験値減少/20 63pt


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv24 1st

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv24 1st

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv22 1st

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv49 1st

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv14 2nd

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv43 2nd

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 魔法使いLv29 1st

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 村人  Lv1  OFF


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv65

  設定:探索者(65)魔道士(39)勇者(29)

     道化師:下雷魔法・荒野移動/知力中・知力大(36)

     神官(38)博徒(35)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 隻眼  Lv24 1st

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 忍   Lv24 1st

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 聖騎士 Lv22 1st

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv49 1st

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv40 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 冒険者 Lv14 2nd

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv43 2nd

 ・イルマ      狼人族  ♀ 21歳 魔法使いLv29 1st

 ・クルアチ     兎人族  ♀ 18歳 村人  Lv1  OFF



 ・繰越金額 (白金貨30枚・利用券2枚)

     金貨 29枚 銀貨 30枚 銅貨123枚


  小道具制作             (500й)

   木ギア               500


            銀貨- 5枚

  ------------------------

  計  金貨 29枚 銀貨 25枚 銅貨123枚



 ・収得品

   バラ       ×  1   岩        ×  2



 ・異世界76日目(朝)

   ナズ・アナ71日目、ジャ65日目、ヴィ58日目、エミ51日目

   パニ44日目、ラテ23日目、イル・クル20日目

   プタン旅亭宿泊6/20日目 シュメ旅亭宿泊6/20日目



 ・ダイダリの迷宮

  28 モロクタウルス    /  ボスタウルス

  29 ノンレムゴーレム   /  レムゴーレム

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― 新着の感想 ―
[一言] ご主人様・・・
[良い点] ユウキくんもようやく磯辺焼きを堪能できました(*^^*) ジャーブへのご褒美はなんだろな~w
[一言] ナズの武器はまだ鋼鉄かな? 詠唱中断を付けた白銀の槍にはいつなるんだろうか
感想一覧
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