§211 恋慕
昼食は保存の利かない物が中心のメニューとなった。
具体的に言えば、葉物とハム、チーズそれから小麦粉だ。
魚醤などの高級調味料類は基本的に日持ちがするし、
それ以外の肉やスパイスはアイテムボックスに入る。
それらと魚や肉を掛け合わせ、
エミーならではの調理法で見事な料理に仕上がった。
折角チリソースを作ったが、唐黍粉はストックがもう無い。
買った所で全てを消費し切れそうもないので、
自家製タコスは当分お預けとなりそうだ。
午後は家具屋の査定がやって来る。
自分はここにいなければいけないが、他の皆は暇だろう。
休みにしても良いが、ラティの地図作製も進めたい。
「ラティ、どうせ午後は暇だ。ホドワの迷宮の続きに行って来い」
「かっ、かしこまりました!」
「どの位できたか見せて貰えるか?」
「あっ、はいっ、こっ、こちらになります」
ラティが1層と2層の地図を見せて来た。
よくあるダンジョン物RPGのマップ宜しく、
しっかりと細部まで通路と部屋が描き込まれており、網羅されていた。
描き始めは中央からのようで、
1層は左上に偏り、2層は右上に偏っていた。
階層に依っては入り口の後ろ側がフロアのメインと言う事もあるだろうし、
こればかりは描いてみないと判らないので仕方無いだろう。
自分の知る限りの物理法則で存在する洞窟や塔であれば、
前フロアとの接合で大体の位置は判断できた。
しかしこの世界の迷宮は異次元的に繋がっているようで、
前後関係が全く掴めないのだ。
勿論、広過ぎて1枚に収まらなくなる事だって。
今後そういった地形が出て来た場合、
食み出してしまう部分は別のパピルスへ描く事となる。
パピルス2枚以上に跨る図形を、
果たしてラティは整合させながら描く事ができるのだろうか。
こればかりはやらせてみないと、練習させないとだ。
しかし、改めて見ると1,2層でも結構広い。
まだ同時に出て来る魔物の数が1,2匹で、
護衛のジャーブ達が力で勝っているので楽なのだと思うが、
これが30層とか40層とかになると、
確かに描き手の安全確保も厳しい所がある。
全員が戦って恐らくやっとなのに、
1人戦闘に参加しない絵描きがいるのはしんどいと思う。
だからなのか、地図を作る者がいないのは。
1~30層程度の中堅の者ならばそんな物を必要としない。
地図が本当に必要なのは中上級者で、
あちこち飛び回るから構造を覚え切れなくなるようなエリート達だ。
そこを網羅できないとなると地図を作る意味が無く、
事業そのものが失敗だ。
だからか、制作販売する者がいなかった。
自分達は6人パーティで、パニとラティは別部隊として動かす予定だ。
パニたちは戦闘に参加しないのでLvを上げられないが、
育て切ってしまった後であればそんな物は不要だろう。
更に上にあるであろう未知の職へ就けたい訳でも無いし、
冒険者と探索者のコンビで自分達の後を付いて来てくれればそれで良い。
緊急時はラティのダンジョンウォークで脱出して貰い、
外の移動はパニが担う。
自分達は迷宮の隅から隅まで回り、経験とアイテムを集める。
完璧だ。
「思った以上に良く描けている。この調子でどんどんお願いしたい」
「は、はいっ、ありがとうございます!」
「それでは、ナズ、アナ、ジャーブ、ヴィー、
それからイルマで、今日もホドワの3層から進めて行ってくれ」
「「かしこまりました」「分かりました」「はーい」
「あの・・・、私は武器や防具などを頂いていないのですが」
「おお、そうだったな、済まなかった。ナズ、頼む」
「はい、何をお作り致しましょうか?」
「そうだなあ、重たい装備は着れなさそうなので、
ワンド、チェインメイル、革のブーツとグローブで」
「かしこまりました、ええと材料の方が──」
ナズは書き写した本を見ながら材料を要求する。
言われる度にアイテムボックスから取り出して積んだ。
ナズは既に製作手帳を銀製の途中まで書き写したそうだ。
ほんの少しだけ載っているらしい聖銀製を除けば、
ほぼ製作手帳を網羅した事になる。
迷宮から帰って来たら残りの製作をさせてみよう。
竜革、鋼鉄、ダマスカス鉱石、そして銀だ。
そこで条件を満たせなければ聖銀の製作経験が必要になるのだろう。
でき上がった装備からイルマは身に着けて行った。
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 僧侶 Lv3
ワンド(-) 木の盾(+)
チェインメイル(-)革のグローブ(-)革のブーツ(-)
「重たくないか?」
「はい、大丈夫です。
・・・が、この木の棒では魔物を倒す事が難しいと思うのですが」
「大丈夫だ、お前が倒す必要は無い。
手当てを使用する時、その杖を持っているだけで効果が上がる。
お前の役目は傷を癒す事だ。そのためには戦況をよく見て、
仲間が危なそうなら先に詠唱を用意しておいたりすると良いだろう」
「な、なるほど。先に用意しておく事もできるのですね」
「イルマには危険な事をさせるつもりは無い。
迷宮でこき使う酷い主人だと思っているのならば誤解だ。
他の仲間たちは皆、55層まで行った事がある猛者なのだ。
その武器で戦わざるを得なくなるような事は無いので安心して欲しい」
「かっ、かしこまりました。皆さんお強いのですね・・・」
「おっと、それからラティとイルマは足を出せ」
「は、はい?な、何かなさるのでしょうかっ?」「こうですか?」
2人の足首に、予備の身代わりのミサンガを巻いてやった。
「こっ、これはも、も、も、もしかしてっ!みっ、身代わりの!
そそそ、そんなっ、わわっ私なんかのためにもも申し訳ありませんっ!」
探索者として長年やって来たラティは、
これが何を意味するものか即座に解ったようだ。
イルマが知らないのは無理も無い。
自爆玉を飲まされた時点で巻かれていなかったのだ。
ボルドレックは彼女を捨て駒にする気であった。
イルマを選ばなければ、血の固まりになっていたのは彼女だったのだ。
「あ、あの、ラティさん、身代わりの何とかと言うのは何なのでしょう」
「あっ、そっ、それはですねぇ、────」
「ええっそれじゃあ、あのっ、─────」
「そっ、そうですよ!──────」
ラティが勝手に説明してくれるので助かる。
へなちょこでもベテランだ。
彼女の知識は本物なので頼りにしようじゃないか。
そして手持ちのミサンガは全員分行き渡った。
まさか3層や4層で致命傷って事は無いだろうが、
自分の目が届かない所で何かあった場合、
保険があるのと無いのでは大違いだ。
あ、まだパニの分が無いな。
もう3つ位は作って置いても良いと思う。
ではジャミルだ。
「それじゃ、アナ宜しく頼む。
もし魔物の部屋を見付けたら近寄らないようにしてくれ。
うっかり壁を触ってしまうかもしれないので、
その時はちゃんとイルマに説明して置くように」
「心得ております。それでは行って参ります」
「行って参ります、ご主人様」「イルマ殿の事はお任せ下さい」
「いってきまーす」「で、では、パ、パーティを組みまぁーす」
ラティがあの様子ではかなりの不安があるが、
あれでも一応リーダーなのだよな・・・。
アナとラティを先頭に、6人は家を出て行った。
「ではエミー、今日は掃除の必要は無いので、
夕飯の下拵えをしたら休憩して良いぞ」
「・・・のっ・・・」
エミーが自分から何か言いたい事があると申告して来た。
いつものように頷き返すだけかと思ったが、
突然の行動にこちらがびっくりする。
「ど、どうした?」
床に立て膝を突き、エミーと同じ目線で話を聞く。
ナズよりは背が高いが小さめの娘なのだ。
上から見下ろすと威圧感を与えるかもしれない。
ややこちらが低い位で丁度良い。
「昨日・・・お・・・ちゃんとお・・・が・・・ました。
・・・とうご・・・した」
「ええと、ごめん、聞こえない。昨日?お話?できた?」
(こく。)
「お姉ちゃん、・・・イルマと話ができたんだな?」
(こく。)
「そうか。お前の姉はお前をとても気に掛けていたが、
立場上止める事ができなかったと、気に病んでいた。
許して欲しいと謝っていたぞ」
「だい・・・ぶ・・・です」
「そうか。上手く話せないならば体で答えるのも1つの手だ。
今日は最後の風呂になるのだし、ゆっくりお風呂に入って、
姉を洗ってやったりしてみたらどうだ?」
(こく。)
「次の課題は、もう少し大きな声で話せるようになると良いな?」
「・・・ます」
夕食用に肉と魚を適当に取り出して作業台に乗せる。
エミーは葉物と根菜を軽く刻んで鍋に入れ、
肉魚にはハーブを塗して下拵えを済ませた。
後はパンを買って焼いたり温めれば終わりらしい。
その後エミーは自分の為にハーブティをコップに注ぐと、
ペコっと頭を下げて自室に戻って行った。
誰も居なくなったリビングに一人。
チビチビと注がれた飲み物を口に含みながら家具屋を待った。
***
「では明日昼に引き取りに来ますので」
「ああ、宜しく頼んだ」
自室の合体していたベッド2つ、それからジャーブの部屋のベッド5つ、
そして台所の6人掛けテーブルと2人掛けのテーブルを売却した。
棚や箪笥などは預かって貰う事になっている。
預かり賃と売却代金、差し引きで300ナールを支払う形となった。
当然預かって貰うと金が掛かるが、
売ってしまうとまた買い戻さなければならないし、その分高くなる。
つい一昨日イルマとクルアチの家具を追加したばかりなのに、
大して使いもせず売却するのは勿体無くはあるが、
全ては行き当たりばったりの自分が悪いのだ。
ベッドは自分とジャーブ、ヴィーのベッドを新調するので売却だ。
台所にある鎮具破具のテーブルも不要。
既にこれらは新しい物をウッツに頼んである。
明日の昼には家具が運び出され、
自分達もカンテラやタライ、食器等を宿屋に運ばなければならない。
MPとの戦いだ。
夜に風呂を入れる際にはついでにアニマルトラップを周回して、
強壮剤を沢山作って置いた方が良いかもしれない。
せめて水だけでもと思って風呂に水を貯めた。
この風呂を作ってからもう30日は経ったのか。
名残惜しいが次の30日間は風呂に入れないのである。
最初の頃と比べて遥かに効率の良くなった水を風呂桶に入れ、
後は夜を待つだけとなった。
そういえばシルクスの宿へ泊まる間は良いが、
外国へ拠点を移した際にナズの歌をどうしようかと考えた。
酒場の日だけ戻って来ても良いが、
女将さんはユーアロナへ店を出したいのだとも言っていた。
名が知れ渡った今がチャンスだとか言っていたので、
どうせ碌な事にならないと予想する。
もう少し噂が下火になってからお出ましでも良いじゃないか。
ナズの歌も30日はお休みだ。
悪いな、女将さん。
自分はもう少し慎ましくありたい。
次の歌の日で休業を伝えて置こう。
ベッドにゴロンと横になる。
自分も久しぶりに休憩だ。
暇な時は本を読むのも良いが、
この世界の文字は読めないので必然的に持って来た本と言う事になる。
料理の本を見ても今はしょうがないし、
サバイバル本も暫くは良いと思う。
薬の作成に成功するまではその先を読んでもなぁ。
医学書を持って来なかった事に嘆いた事もあったが、
結果的にサバイバルと言うフワッとした内容には、
現代医学無しで不毛の地を生き抜く知恵が網羅されていた。
自分が持って来た荷物の中で、
まるっきり役に立たなかったのが防刃チョッキだ。
それからワイヤーカッター。
今後の生活の中で使うかもしれないが、
ワイヤーのように細くて丈夫な鋼線なんてこの世界にはまだ無いのだ。
そもそも何で持って来たんだっけ、こんな道具。
まだ彫刻刀セットの方が良かったと思う。
まさか異世界で製本、と言うか版画を試みるとは思わなかった。
防刃チョッキは2日目に捨ててしまったのでもう無いが、
ワイヤーカッターは依然としてリュックの中で眠っている。
折角だし、何かしら硬い物を切断する際には使ってみようか。
・・・何だろう?鉄板とか?
あれこれ考えてみたが何の利用法も浮かばず、
眠くなったのでそのまま寝てしまった。
*
*
*
高い位置にある窓からほんの少しだけ入る夕焼けの光が、
丁度何かに反射して顔を照らす。
微妙な不快感に押されて目が覚めた。
目が覚めて誰もいないのは心細い。
これまではいつでも左右にナズとアナがいた。
そんな彼女たちも、今日は迷宮に行ってしまったのだ。
寂し気な光加減に包まれた部屋に1人でいると、
自分を残して皆いなくなってしまったかのような恐怖心に包まれる。
迷宮に送り出した事も相まって、
もしかしたら迷宮でやられてしまってこのまま帰って来ないんじゃないか、
等と不安な気持ちにもなってしまう。
体を起こして台所に行くと、エミーは静かに座っていた。
「おはよう、エミー」
おはようの時刻では無いが、目覚めたらそう言ってしまうのは癖だ。
この世界に於いても業界の挨拶宜しく、
いつでも挨拶の「おはよう」が通用するのかは知らない。
エミーは可細い声でお疲れ様ですといったような気がした。
疲れるような事は何1つしていないので、
そう言われてしまうといた堪れない。
寝ていただけだ。
寧ろ何も言われていない可能性の方が高い。
少しだけ頭を下げられてボソボソっと何かを言っただけだったので、
言われた気になっていただけかも知れない。
飲み掛けのまま机に放置していたハーブティを口に含み、
温めだが爽やかな口当たりと抜けるようなハーブの香りに依って、
ここでようやく目が覚めたような気がした。
「エミーは何かしたい事があるか?」
自分の問いかけにエミーは何も答えず顔も動かさなかった。
いつもであれば首を振って最低限の挨拶は返してくれる。
それだけに素っ頓狂な質問だったのだろう。
「どこかに行ってみたいとか、こういう物が食べてみたいとか、
誰かと一緒に何かしたいとか」
「あっ・・・あっ・・・・・・あっ・・・」
「ゆっくりでいいから」
(・・・こく。)
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
「お、お・・・もの」
「お?何だって?ナニモノ?」
「おか・・・もの・・・」
ハイハイ、買い物ね。
確かにエミーは食材を扱えるが1人で買って来る事は無い。
これまでは口が利けなかったのだから仕方無いだろう。
基本的に食材の買い出しはナズへ任せている。
一緒に買いに行く事はあるだろうが、あくまでも付いて行くだけだ。
何日か前に小遣いを与え、ジャーブと買い物に行かせた。
職務として必要な物を買って来るのでは無く、
自由に選べると言う事が楽しかったに違いない。
この後の宿暮らしになると、暫くエミーの仕事は洗濯位しかない。
シルクスの町を1人で買い物に出ても良いし、
イルマやジャーブと行っても良いんじゃないか?
「明日からはシルクスと言う街で暮らす事になる。
その後は遠い西の方の国で暫く暮らす。
そこでは珍しい物もあるだろうから、色々買い物を楽しむと良いだろう。
以前のように小遣いを出すから期待して置け」
「・・・りが・・・ざい・・・す」
エミーは両手を前に包んで深々とお辞儀をした。
元お屋敷のメイドだけあって作法が美しい。
エミーの為に、これからも少しずつ話し掛けてやろうか。
既に彼女は言葉を取り戻している。
言いたい事を伝えられる位には心が解放されたのだ。
しかし声量の方はちゃんと会話できる程には至っていない。
これまで長い間口を閉ざした事が、
彼女の声帯を弱めてしまったのだと推測される。
声帯だって筋肉運動だ。
長い間使わなければ衰えるだろう?知らないけどさ。
要するに沢山問い掛けて返事をさせれば、自然と力を取り戻すはずだ。
「エミーはこの家の中で苦手な者がいるか?」
「・・・」
また返事が無い。
序列があるのだし、ハッキリとは答え難いだろう。
あいつ告げ口しやがった、と虐められるのは目に見えている。
現にそういった積み重ねが彼女の口を封じた。
「大丈夫だ、その事で咎めたりしないので、2人だけの秘密にする」
「・・・ブさ・・・す」
ぶ?
ジャーブ?
えっ苦手なの?
イイ感じの仲じゃなかった?・・・アレ?
「ジャーブの事が嫌いか?」
(ふるふる。)
「苦手なのはなぜだ?」
「・・・・・・」
「変な事をされたか?」
(ふるふる。)
「変な事を言われたか?」
(ブンブンブン。)
何でよ。
どうしたジャーブ。
存在するだけで残念な空気を身に纏う者、それがジャーブだ。
優しそうだがどこからともなく漂うやらかし感が、
エミーの苦手とするタイプなのか。
「ではジャーブと席を離した方が良いか?」
(ふるふる。)
良く解からんな。
一緒の部屋にしようと思っていたのにエミーが嫌がるなら仕方無い。
イルマと2人部屋にするしか無いだろう。
折角イルマはこっちに呼ぼうかと思っていたのに。
「まあ解った。ジャーブと無理に買い物をさせて悪かったな。
これからは一緒にならないように気を付ける。
お前にいくつか贈り物をしたようだが、
今後は控えさせた方が良いよな?」
(ふるふる。)
はぁ?
じゃあもう何だって言うんだ。
苦手だけどチヤホヤはして欲しいんかい。
女心は解らんなぁ。
・・・もしかして。
「ジャーブの隣の方が嬉しいか?」
(・・・こく。)
「苦手じゃないじゃないか!」
(ふるふる。)
「・・・何か言われた時に返事ができない?」
(・・・こく。)
あーね、ハイハイ判りましたよ。
赤面症の子が好きな人を前にして何も言えなくなっちゃうアレですよ。
エミーは19歳だったが、中坊みたいな恋心を抱くのだな。
そもそも奴隷に恋なんてっていう事か。
本来許されるべき物では無いはずだ。
自分が主人だから許された、エミーだけの特別な感情だ。
「わ、解った。
今後はもっと一緒に居られるように手配する予定だったので、
楽しみにして置け。
病気が治ったらお前はジャーブと一緒になれ。
ジャーブもお前の事を気に掛けていたからな、良かったな」
エミーは両手で頬を押さえてカチコチになった。
元々色黒でそもそもが死んだような顔付きだった事もあり、
これまではエミーの感情を読み取る事が難しかった。
それが今では、耳まで赤くなってドギマギしているのが見て取れる。
確かに、これでは仕事がままならない。
考えるだけでこうなるのであれば、苦手と表現するのも納得だ。
仕事ができなければ主人には叱責される。
いや、しないけどさ。
「じゃあ尚更、ちゃんと会話できるように声を出す練習をしないとな」
「・・・しこ・・・した。・・・んばり・・・す」
エミーはペコっと頭を下げて部屋を出て行ってしまった。
妄想が爆発して抑えが利かなくなったのだろう。
良いんじゃない?
たとえ遅咲きの桜でも、満開になってくれればそれで。
・・・しかしまた1人になってしまった。
折角エミーと話す事で、暇つぶし兼会話の練習相手になればと思ったのに。
あの様子では本当に苦手だと思う者もいなさそうだ。
彼女はもう心配いらない位に伸び伸びやっている。
少なくともジャーブに対して心を許せる位には。
自分や姉が彼女の心を解き解せるのかと考えていたのに、
蓋を開けてみれば彼女を突き動かしたのはジャーブだった。
やるじゃん、ジャーブ。
残念賞は返上して砕氷船の称号を与えてやろう。
∽今日のステータス(2021/12/21)
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 僧侶 Lv3
↓
・イルマ 狼人族 ♀ 21歳 僧侶 Lv3
ワンド(-)木の盾(+)
チェインメイル(-)革のグローブ(-)革のブーツ(-)
身代わりのミサンガ(身代)
・異世界58日目(昼頃)
ナズ・アナ53日目、ジャ47日目、ヴィ40日目、エミ33日目
パニ23日目、ラテ5日目、イル・クル2日目
サンドラッド到着まで3日




