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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第廾章 機転
220/394

§207 希少種

エミーは指示通り炊事を始めた。

クルアチには指示ができない。

そのまま椅子へ座るように手で合図をし、待機させた。


「その奴隷は何だ?変わった種族だな」


「兎人族らしいが、言葉が通じなくてな」

「そうなのか、さっきの決闘で手に入れたのはこいつか」


手に入れたかったのはイルマの方だが、

オマケで付いて来たので正解でもある。


「そうなのだ。

 それで先程見た通り人も増えたし、部屋を増やしたくてな」

「そうか。上に作ってもせいぜい小さい部屋が2つか3つだがな」


「そうそう、居間も今のままでは手狭だし、

 10人が食事となるとほら、ご覧の通り部屋の端から端で窮屈だ」

「えっ、お前ンとこは奴隷全員と一緒に食事をしてるのか・・・。

 か、変わってるな」


「いやだって、ホラ。みんな可愛いし愛でたい」

「うーん、まあそうなんだが、そういう事じゃなくてな・・・」


「そういう訳で、10人分の食事が作れる広い厨房と居間、

 そして最低4部屋。風呂ももう少し何とかしたい。

 今でも仕切りで半分通路になっているが、

 部屋自体もあんなに広くなくって良い」

「お、・・・おう。

 折角作った竈門かまどと石窯、風呂のタライは残すよな?」


「できればそうして欲しい。幾ら位掛るかな?」

「そうだな・・・1階は全部潰してあれは残して、こう繋げて・・・」


「ああ、そうだ。トイレは2つで。同じ部屋でも良いから何とか」


朝のトイレは結構な渋滞であった。

6人までは何とかなったが、パニが来た事で大変になっていた。

ラティを迎えたがパニと入れ替わりだ、まだギリギリセーフ。

更にそこへ2人が追加される。


10人のトイレ渋滞は困る。

主人である自分は順番に割り込む事ができても、

使用中の者を引き剥がす訳には行かない。


ここだけは主従関係など無く、完全に早い者勝ちの世界である。


「お、おう、そうだな。それは確かに大変だ。

 じゃあ排水はあそこだから、あそこに追加してうーん・・・」


ウッツが悩む。

家1軒を建てる値段以外に、壊す代金、一部を残す手間、

2階建てとなると建材の代金も合わさる事になる。


「うーん、最大限見積もっても、金貨80枚だな。

 以前は75万位で済むかと思ったが、お前さんの家は風呂と窯があって、

 残すとなるとやっぱちょいと大変だ。

 ・・・もうちょっと安くなるかもしれんが、

 どうせ今日の試合でお前さん自身に賭けたんだろ?

 多少出たって、そんくれぇ良いよな?」


「あ、ああ。まあ。そういうウッツさんは幾ら賭けたんだ?」

「まあ、俺っちの小遣いだからそんなに多くは無いぜ。

 せいぜい5万ナールって所だ。

 稼がせて貰ったのは有り難てぇが、

 弟子たちを食わせなきゃならんので大きく負ける事は難しいな」


それもそうだ。

ウッツ1人勝っても弟子達まで自分に賭けたかどうかは知らない。

ギャンブルを一切やらない者もいるだろうし、

彼らを食べさせなければならない事は承知している。


「解かった、ではそれで。日程だがどの位掛りそうかな?」

一季ひとつきだな」


「そんな早いのか」

「あん?早かねぇだろ90日だぞ?90日」


「えっ?」


一月ひとつきが90日?

1年365日のはずだから、この世界は4月までしかないのか?

いや待て、その前にこの世界の時間の単位が違う。


そもそもこの世界には月が無かったはずだ。

月を基準とする太陰暦と言う概念が無く、

1か月と言う言葉自体存在しない可能性が高い。


一月ひとつきと言う言葉自体はあるようなので、

その意味は月の満ち欠けを表す30日では無く、

1つの季節と言う意味なのだろう。

ひとつ・・・季節、そういう事か。


その季節1つと言う事ならば360÷4で90日。


その90日間家が無いとなると、10人どこで暮らせば良いのか。

宿屋を借りるとなると4人で1000ナールちょっとだったので、

10人で2500ナール、90日で22万5千ナール。


建設費合わせて102万ナールで、ほぼ白金貨1枚だ。


確かにその位払える程には儲かったが、

突然の増額にたじろいだ。


「きゅ、90日なのか。そ、そうだよな」

「あぁ?そんくれぇ掛かるだろ?」


「いや、まあ。あ、そうだ、何とかして短縮できないかな」

「うーん、これだけの家だからな。

 壊すだけでも3日、建材の手配も結構する。

 1階建ては石壁で良いが、2階となると木材だ。

 解かっちゃいると思うが、この国の木材は少ない。

 遠方から運ばせるからな、荷馬車で飛ばしてもまあ60日だ。

 そっから建てるから、土台ができてても30日だ」


「家の撤去と木材を直ぐに手配すれば30日?」

「土台の整備がいるからもう5日ってとこかな、

 でもそんなのは現実的じゃねえな。どうやって運ぶんだ?」


「奴隷たちに担がせれば材木位なら何とかなるだろう」

「何とかって、おい。木材を売っている町までは相当な距離だぞ」


「ウチには冒険者が2人いる。何度も運ばせれば良い。

 どの位の量の木材が必要なのだ?」

「正気か、お前ぇ。

 距離だって無理だし材木は移動魔法じゃ運べねえぞ」


「やってみなければ判らんな。木材はどこで買う?」

「え・・・いや、まあ、やれるならやってみてくれよ。無理だろうけどよ。

 この国の一番北にあるバムオって町は木材が豊富だ。

 大きな川があってな、上流には大森林がある」


やはりこの国はどこに行っても乾燥地帯なのか。

上流の森林地区から川に流して木材を運ぶのだろう。

その上流部で買い付ければもっと安くなるのかもしれない。


MPを盛るだけ盛って1本運んでみよう。


「ちょっと試したいから、

 大きな木材を1本貸しては貰えないだろうか?」

「そりゃ構わんが、冒険者の家を建てる時は皆そうやって言うんだよ。

 俺なら運べるかもしれないってな」


・・・ああそう。


そりゃそうだよな。

家を建てる程にまで金を貯められるのは冒険者だ。

荷役作業である程度の荷物を運んだ経験があるのならば、

木材の1本は運べるんじゃないだろうかと思う。


工期が短くなれば出費も減るし、単価も安くなる。

運んでみると言いたくもなる。

そして実際にやってみたら、MP切れで運べないと言う訳だ。


以前荷役の仕事を受けてみて解っている。

荷物があちらで体がこちらにある状態では、

常に移動中と判定されて急激にMPを消費した。


一度にゲートをくぐれるのは6人だ。


6人で丸太を抱えてダッシュでゲートに滑り込む。

途中でMPが尽きたら、丸太がゲートに刺さったままでMPは0。

延々とMPを搾取され続ける事になると思う。

多分死ぬ。精神的に。


近場に移動してみて様子を見つつ、距離を延ばしてやってみよう。


「それじゃあそういう事で、明日辺りにお邪魔しよう。

 今日は皆出て行ってしまったのでな」

「それにしてもお前んとこの奴隷は強いな?

 あの戦士タダもんじゃなかったが、あいつはどうした?

 どんな奴なのか顔を見てみたいな」


目の前の男がその戦士である。

言えないが。

気になって当然だ、あんな戦いを見せたのだから。


「さあ、どうだろうな?借りて来た奴隷だから自分も知らん」

「何だと?お前んとこのじゃなかったのか・・・。

 まあそりゃそうだよな・・・。

 あんな強い奴がいたらもっと以前から話題になっていたはずだ」


「自分は余所よその国の出でな、そういう伝手をちょっと頼んだのだ」

「なるほど、そう言やそうだったな。

 はぁー、世の中にゃあんな強ぇ奴がいるんだなぁ。

 また公開試合する事に成ったら借りるんだろ?

 そんときゃ宜しく頼むぜ、ユウキの旦那よぅ。

 今度は全財産賭けっから!」


「い、いや、自分はもうこれ以上騒ぎを起こしたくは無いのでな。

 ま、まあ、また彼が戦うような噂を聞いたら教えよう・・・」


そんな事は金輪際無いと言いたい。

金もあるんだし、次に揉め事があれば金で解決させて貰う。


「そんじゃ、また明日。丸太用意して待っててやるから、

 工期も代金ももう一度その時だな」


「ああ、宜しく」


ウッツは自分の椅子から腰を上げて帰って行った。


それにしても、建て替えが順調に行ったとして最低30日は宿屋暮らしか。

多大な出費増に驚いたが、それもまあ仕方が無いだろう。

現在パニは外国に向かっているのだ。

折角だしそちらに寝泊まりして外国の迷宮でもこなそうか?


その場合クルアチは・・・。


ホドワの商館では預けて教育できるとも言っていた。

病気の心配も無い事だし、30日預けてみるのはどうだろう。


「クルアチ」

「xxxxxxx」


クルアチの名を呼び、何かしらの返事を受ける。

多分「何でしょう」とか、そういう返事なのだと思う。


手招きして呼び、自分の後を付いて来るように言った。

行く先はホドワの商館である。

クルアチは黙って付いて来た。



   ***



ホドワの商館では、いつものチャラい館主本人が出迎える。


「やあこれは、ええと・・ユウキ様でしたかね!

 毎度ご贔屓に!それで今日はどういったご用件で?」


チラチラと後ろのクルアチを見詰めて値踏みする。


「ああ、新しい奴隷を手に入れたので、また教育を頼もうかと。

 言葉が通じないのでブラヒム語の方をお願いしたいのだ。

 それからこの娘は生娘だと言う事なので、病気の心配は無いと思う。

 自分は暫く家を空ける事になるので、

 ここで預かって貰う事はできるだろうか?」

「かーしこまりました!では奥へどうぞ」


奥の豪華な商談ルームに案内され、ハーブティが1脚出される。

クルアチの分は無しだ。

仕方あるまい、奴隷なのだし。


「見た所、兎人族ですか・・・。

 珍しい種族ですので、話者が中々集まらないのですよ。

 時間もお金も掛かると思いますが宜しいでしょうか?」


「兎人族は珍しいのか?」

「そうですねぇ、基本的に他の種族は大人になると親離れしますが、

 兎人族の場合は家長意識が強く、成人してもずっと家に残り続けます。

 外へあまり出歩かない種族ですので奴隷になる者も少なく、

 それだけに街中で見掛ける事も少ないので希少でございますね。

 ブラヒム語の話者ともなるともっと、と言う事ですなぁ」


なるほど。

奴隷化や落ちぶれる者を減らすために、ずっと家で面倒を見るのか。

エルフの縁故主義とよく似ている。


だがエルフにはある程度欲がある。

こちらの兎人族は欲を抑えてでも家を守る方向に向くのだろう。

それが彼らの生存本能だとするならば、合理的であるとも言える。

穏やかで警戒心が強く、縄張り意識が強い兎そのものだ。


しかしそうか・・・ブラヒム語を教えられる話者がいないとなると、

そういった者を探す事は困難だ。

時間が掛かり高く付く。


いや待てよ?彼女は人間語が理解できていた。

人間にブラヒム語を教える教育係で事足りるのでは?


「彼女はどういう訳か人間語を扱えるようでな。

 人間族用の教育者が教えられる範囲で構わない」

「ええっ?そうなのですか?

 xxxxxxxxxxxxx?」

「xxxxxxxxxxxxx」


奴隷商のアクバルが何やら話すと、クルアチも返事をしたようだ。


「なるほど、それでは大丈夫そうですね」


「実は自分は人間語が判らんのだ」

「ほー、それは珍しいですな。

 人間にお生まれでサリニク語が解らないとは」


「も、元々外国の生まれでな、そこは狼人族たちの町であった。

 何か覚えるための本などがあれば教えて欲しいのだが」

「なるほど?・・・そういう事であれば、

 人間族用にブラヒム語を覚えるための本が御座いますので、

 そちらなどをお求めになられてはどうでしょう?

 順序が逆になりますが、参考にはなるかと」


「そんな物があるのか、どこで売っている?」

「多くの場合、探索者に成るとブラヒム語の理解が必要とされます。

 迷宮を始めてから勉強をする者が殆どですので、

 探索者ギルドに行けばあるかと」


なるほど、逆引き用の辞書としては使えるのか。


ただブラヒム語や人間族語の文字が解る前提で書かれているはずなので、

今の自分に必要なのはこの世界で言うあいうえおだ。

やはり本を買ったとしても難しいのだろう。


「そうか、考えてみよう。それで、彼女の件なのだが」

「そうですな、人間と同じような教育で宜しければ、

 30日から40日程度あれば基礎的な会話位ならばできましょう。

 当館で預からせて頂くと言う事になりますと、

 当館の奴隷達と共に寝泊まりして貰う事となりますが、

 それでも宜しいでしょうか?」


「ああ、構わない。食事等は?」

「お預かり致しました奴隷は綺麗所と同じ部屋で扱わせて頂きますので、

 食事は日に3回、パンとスープを。

 1日当たり150ナールでございます。

 清潔にもさせて頂きますので、諸経費を入れますと30日で1万ナール。

 教育費を合わせまして16万ナールも頂けましたら」


「解かった、では明日からお願いしても?」

「はい、ではそのように準備させて頂きます」


「申し訳無いが、今の事を彼女に伝えて貰えると」

「ああ、解りましたよ、xxxxxxxxxxxxxxxx。

 xxxxxxxxxxxx?xxxxxxxxxxxx」

「xxxxxxxxxx」


「確かにお伝えしました」

「ではこれで」


金貨16枚を渡し、クルアチを家に連れて帰る。


会話ができないのでお互い黙ったままだ。

気不味い。


が、本来の主従関係はこうなのだろう。

これまでのようなナズやアナとのべったり感が異常だったのだ。

それは理解している。


妾に熱心な主人、そう思われていても仕方が無い。

良いんだよ。

HENTAIの国、日本のユウキなのだから。


クルアチを家に送った後、自分はアレクスムの鍛冶師ギルドへ向かった。


「済まないがー!誰かいないだろうかー?」


返事は無い。


今日は鍛冶師の転職を受け付ける日では無いらしい。

今日が何日かは判らないが、転職試験は10日に1日だと言っていた。

つまり今日はお偉いさんが誰もいない。

以前そう聞いた。


「・・・あいよー、今行くから待っててくれ」


奥の方から男の声がする。


ミシアルだ。

以前にも世話になった。

副館長なのだっけ?


「ここに何か用か?・・・ああ、確かお前は鍛冶師の奴隷の主人だっけか」


あの時はナズを連れて来たが、今日は自分1人だ。


「ちょっと今日は聞きたい事があって来たのだ」

「おう、どした?」


「まず鉄の矢に付いて教えて欲しい」

「鉄の矢だぁ?」


「そうなのだ。このように木の矢は何とか作って貰えたのだが、

 鉄の矢に至っては材料も不明で困っている」

「矢って事は弓も持ってるのか?」


「ああ、これだ」


アイテムボックスから聖天弓を取り出して見せた。


「何じゃこりゃあ!こんな物あんのか!」


「鍛冶師なのに知らないのか?」

「こんなモン実際に使う事はまず無いからなぁ。

 鍛冶で作ったんなら武器なンだろうが、俺にゃさっぱりだ」


「そうか、鉄の矢に付いて聞きたかったのだが・・・」

「ちなみに木の矢は何で作ったんだ?」


「木の板と羽毛だな」

「じゃあ鉄の矢は多分鉄と石綿だ」


「石綿?」

「ああ、難度の高い魔物が石綿を出すらしい。

 木と羽毛なら燃えるだろうが、鉄と石綿なら燃えねぇだろ。

 多分強度的にそっちだ」


「その石綿は何が出すんだ?」

「サァな。そういう素材があるとは知ってるが俺は見た事無ぇな。

 上級の鍛冶材料である事は知ってるんだが、

 おらぁそこまで進んでねぇ」


「なるほど、では買取カウンターを当たってみる」

「おう、んじゃな」


「いやー、待て待て待て。まだある」

「何でぇ、まだあンのか」


「隻眼にはどうしたら成れる?」

「ハァ?」


「いやだから、鍛冶師の次の上位ジョブの隻眼だ。

 うちの鍛冶師に就かせたいのだが何か必要な事とかあるのか?」


ナズは鍛冶師のLv50を超えたが、上位ジョブは解放されていなかった。

何かしら条件があるのだと思う。

まだその条件に至っていないのだ。


「さ、さあ、そういう事は会長に聞かねえとな・・・」


「困ったら頼ってくれとギルマ・・・いや、会長に言われたのでな」

「ちなみにどこまで作ったんだ?」


「鉄までは終わってる。あの本に依ると、最後は銀製品だったが」

「おー、そんじゃ次は竜革で鋼鉄、ダマスカスで白銀だぁ。

 結構凄い所まで進んでるんだな、お前さんの所の奴隷は。

 隻眼でなければオリハルコンは扱えねえから、

 多分その手前まで作れば良いンじゃねェかな。

 俺様も頑張ってはいるが、まだダマスカス装備を作った事はねえなぁ」


「その後の武具の作成法は?」

「会長に聞かなきゃ分からんなァ。

 これまで隻眼に成った者はこのギルドでもかなり稀だ。

 お前ンとこの鍛冶師が条件を満たしてここで隻眼に成ったら、

 たぶんその時に売って貰えるンじゃねぇか?新しい製作手帳を」


「鍛冶師の転職は受け付けていないと言っていたじゃないか」

「『鍛冶師は』だ。

 鍛冶師に成っている奴が次のジョブへ転職する事は禁止してねぇ。

 鍛冶師奴隷を保護するのが目的なンだから、

 そこまで大事にされた奴を保護なンてする必要()ぇだろ」


「な、なるほど、確かに」

「ふーん、でもお前ンとこはドワーフを大事に育ててンだな。

 隻眼にさせようって主人は中々居ねぇ。

 合成ばかりで装備を作らすなンて事はまず無ェからな」


「何故だ?装備だって作れば売れるだろう」

「そりゃおェ、材料買って作ると大損だ。

 材料を迷宮で取って来るような金持ちはまず居ねェ。

 大半の装備は俺たちドワーフが頑張って迷宮で材料を拾って来るンだ。

 そういうこったから、装備は大事に扱ってくれよ」


「解かった、いろいろ教えて貰って感謝する。ええと転職の日は?」

「1の付く日だ」


「そうか、ありがとう。邪魔したな」


ミシアルから手を振られてギルドを後にした。


良い主人だと言われると、それだけで嬉しい。

良い事をして褒められた気分だ。

奴隷を子飼いにして良い事だなんて言うのがまずおかしな話だが、

少なくとも酷い仕打ちで苦しめたり無理を強いた事なんて一度も・・・、


一度も・・・。


したな。

無理を承知で迷宮へ放り込んだ。

結果的にナズはその才能を開花させたが、

初めてのあの日、確かにナズは自分と迷宮へ恐怖した。


許してくれるだろうか。

今のナズならニコニコして無かった事にしてくれるだろうが、

あの時間違い無く死を覚悟したはずだ。


イルマだってそうだ。

これまで戦った事は無いとはっきり拒否していたが、

見るだけで良いから付いて行けと強要した。


もう少し事前に説明をしてやった方が良いのかもしれない。

有耶無耶うやむやのままで何と無く慣れてくれる事を期待していたが、

信頼関係を作ると言う意味で言うならば、

説明と理解と同意を得た方が最初から意欲も湧くと思う。


それではイルマが帰って来たら説明だ。


家の件も皆に言って置かなくてはならない。

奴隷と仲間、そしてパートナー。

うちではその線引きが曖昧になっている。


最初から奴隷の扱いを崩さなければそれはそれで良かった。

彼女たちをいつくしんで一般市民と同格に扱うのであれば、

最初からそのように接するべきだったのだ。


特にヴィー以降の奴隷達には自分の出生も含めて何も説明していない。

そういう家なのだと言う、曖昧な認知のままで今日までやって来た。


これ以上奴隷を増やす予定も無いし、

ここで一度全員に向けて色々説明しよう。


帰り掛けにアレクスムの買取カウンターで石綿を希望したが、

在庫は無いとの事であった。


落とす魔物はスリープシープのボスらしい。

33+33+α=67階層以降。

この国での入手は無理じゃないか!


鉄の矢を知らないと言うのも納得な理由であった。

∽今日のステータス(2021/12/15)


 ・繰越金額 (白金貨31枚)

     金貨 25枚 銀貨 23枚 銅貨 49枚


   教育費 (クルアチ)     160000й


     金貨-16枚

  ------------------------

  計  金貨  9枚 銀貨 23枚 銅貨 49枚



 ・異世界57日目(15時頃)

   ナズ・アナ52日目、ジャ46日目、ヴィ39日目、エミ32日目

   パニ22日目、ラテ4日目、イル・クル1日目

   サンドラッド到着まで4日

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― 新着の感想 ―
[良い点] 1人月金貨16万の教育…ゴルゴ養成機関かな?
[気になる点] > 「ぞんじゃ、また明日、丸太用意して そんじゃ かと [一言] ひょっとして家の改装中に海外迷宮編が始まるのでしょうか?
[一言] 兎は狩人 聖弓オークションのときに聞いてた話ですけど、ずっとひっぱるかんじですか?
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