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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第廾章 機転
210/394

§198 再戦

現在のジョブ構成で56層にある魔物の部屋へ挑んだ場合、

相当な苦戦を強いられる事が判った。


と言っても魔法の使用回数的には前回とほぼ同等だろう。

であれば、やはり相当な苦戦だ。

同じ事を2回言った気がするが、どうやら大事な事だったらしい。


以前は3種の魔法を合わせて7ターン+αであった。

今回は最後まできっちり入れて9ターン。

経過時間で言えば殆ど変わっていない。


前回は紙一重で勝利を収める事ができた。

もっと言うと運が悪ければ全滅だった。

運悪く自分が麻痺をした結果とも言えなくも無いが。


今回はどうだろう?


ヴィーは大楯を手に入れた。

アナもジャーブもLvが上がり、アナは武器を一新した。

ナズは・・・あの時より更に上手く動いてくれるだろう。

学習速度が速い子なので、

同じ局面ならば必ず超えて行ける事は素晴らしい才能だ。


そしてラティが加わる事で、

自分たちの展開する布陣の隙間を埋め、少しだけ空間に余裕が生まれる。


前回アナはナズと背中を張り合わせるまで押されてしまった。

レムゴーレムが殆ど石化しなかった事もあるし、

無駄かと思って状態異常耐性ダウンは掛けなかった。


今回、アナの武器には麻痺がある。

停止させられれば2ターン分安全な状態を作り出す事ができ、

これは大いに期待できると思う。


それから今回は一目散に部屋の隅へ駆け出す事で、

部屋の入り口付近で固定させられてしまった前回の悪手を回避したい。


自分が1人で先に入り中央付近で囮となって魔物を集め、

布陣が完成したら皆の場所に戻っても良い。


そうした方が皆も安全に陣を構築できると思う。

オーバードライブを利用すればそんな戦略も可能だ。

では確実に角を抑えられると言う前提で立ち位置を決めよう。


自分が囮か・・・そんな戦略はこれまで考えた事も無かった。


「今回は自分が一旦囮となって魔物を引き付けるので、

 その間に部屋の隅を確保してくれ。

 ラティがいる分だけ、前回よりも大きく広く陣取れると思う」

「だ、大丈夫なのでしょうか?」

「なるほど、あの高速移動スキルを用いられるのですね」

「確かに、それならば安定して角を抑える事ができそうですね!」

「ふんふん」

「あっ、あの、えっと、ど、どういう事でしょうか?」


「ラティには説明しても難しいだろうから、

 先頭をジャーブ、殿しんがりをアナ、

 ヴィーが中間へ入って前にラティ、後ろはナズの形で行こう。

 盾と長物の配置が分散して丁度良い布陣に成るはずだ」

「「「はい」」」

「えーっと、このおねーさんについて行けばイイ?」

「あわわ・・・、が、がんばります」


「それから、足元に矢が散らばる事になるが、

 各自の戦闘の邪魔にならない範囲で良いので後ろへ蹴り戻してくれ」

「かしこまりました」「承知しております」

「やはり、こういった状況では足りなくなりますか」「はーい」

「はっ、はいっ」


「ラティ、ゴーレムのパンチは避けられそうか?盾なら止められそうか?」

「え、ええっと、た、た、た、多分止められませんっ」


「では避けてくれ。パンチは踏み込みとセットなので、

 後ろに避けるとどんどん詰め寄られる。

 左右に振って避けて、ゴーレムの動きを調節するのだ。

 先程ジャーブの動きを見ていただろう?」

「は、はい、たっ、多分やれると思います・・・や、やってみます」


止めてくれた方が本当は助かるが、

体重の軽い人間のラティでは受け止めて踏ん張る事も難しそうだ。

盾が必要ならパニの物を取って来ようかと思ったが、

避けるだけなら両手剣の方が逸らし易いし、そのままでも良いだろう。


「では、自分が先に入るので、一呼吸置いたら直ぐに布陣を形成してくれ」

「「「「はい」」」」「あっ、は、はいっ」


──パチッ。


扉に触れると仕掛けの作動する音がした。


前回同様、この魔物の部屋は動く床が作動し中に吸い込まれて行く。

部屋や階層に依ってトラップの方式が違うのだろう。


全員がベルトコンベアのように押し出されるのを前に、

自分は一足早く部屋の中央へ走る。

単騎で侵入したのだ。

全ての魔物がこちらに注目し、一斉に自分へ向けて移動を始めた。


オーバードライブ!


走りながら発動させ、弓を構えながらロールトロールの位置を確認する。

奥に3匹、ジャーブ達が駆け出している方向に1匹、そして中央に1匹。

奥の3匹に対しては先制して1本ずつ矢を撃ち込んだ。


詠唱を中断された魔物は、少しだけ次の詠唱に対して猶予ができる。

連続では準備できないらしい。

自己詠唱共鳴が起きているのだろうか?


以前ダンジョンウォークで逃げようとしていた盗賊の一味を

ナズが槍で突いて止めた事があった。

その際は舌がもつれてバグったような詠唱を発していたな、

そういえば。


ジャーブ達が部屋の隅に陣取り、布陣を完成させた。

ここから自分が陣営に戻る事で、

全ての魔物は自分を目掛けて行動を開始する。

それをジャーブ達が展開する壁で守って貰うと言う作戦だ。


我ながら完璧である。


再びオーバードライブで中央付近にいたロールトロールへ矢を放ち、

こちらに迫る魔物を掻いくぐって走り抜けながら、

ガンマ線バーストを念じた。

眩しいと文句を言っていたヴィーも学習したのか、

完全に盾の向こうへ顔を隠していた。


その後は目の前のレムゴーレムに向けて、

2本撃ち1回を放ってメテオクラッシュだ。


自分の陣地に戻った所でアクアストームを放ち、

ここでオーバードライブが切れる。

目の前のレムゴーレムに向けて4回弓を引いた。


一応、ここまでを1ターン目とする。


ここでジョブを入れ替えて、

前衛へ迫るレムゴーレムたちに対し状態異常耐性ダウンをばら蒔く。

そしてオーバードライブを掛けて奥に潜むロールトロール3匹、

勿論中央の1匹に対しても。


あわ良くば自分の使用する弓やアナの剣技に依って、

麻痺したり毒になって貰いたい。

先制攻撃としてやるべき事は終わった。


手の届く範囲で足元に転がる矢を回収する。


ラティの部分の布陣が不安なので、

弓は全てラティが取りそうなレムゴーレムに向けた。

毒化したら押し込まれてもそこだけ早く消える事になる。


レムゴーレムが前衛陣と接触した。

部屋の中央に向けて最も近いヴィーからだ。


ヴィーは大楯を持っているので、2匹相手が可能である。

早速2匹同時のパンチを受け止めた。


──ゴァンッ!


「あちゃっ・・・手が・・・けっこう」


大楯からは凄い音がしたようだが、

流石に2匹完全同時ではヴィーの手元も危ういか。

上手く位置調整して同時では無く連撃位に収めて欲しい。


次はその左右にいるナズとラティが相手を務める事となる。

ナズはリーチを生かして一歩引いて戦うのでは無く、

逆に前線の位置で槍柄を掠らせ、レムゴーレムの攻撃をなした。


小さい体を生かして左右にちょこまかと動くため、

レムゴーレムはその動きに合わせて振られ続ける。

手数も踏み込みも、これ大分抑えらえるのでは無いだろうか。


ジャーブの場所には動きの速いロールトロールがやって来た。

先程こちらに最も近いと確認したあいつだろう。

目の前へ位置する事で魔法の詠唱は安全に封じ込める。


それだけで十分有難い上に、

こいつは攻撃時に大きく踏み込んで来ないので戦線を維持し易い。

加えてこれだけ魔物が横に密集されていれば、

お得意の回転撃も披露できまい。


それにジャーブなら攻撃を受けても麻痺しないので、

寧ろ受けて耐えて欲しい。

防御スキルもあるし、攻撃したら自己回復できる。

万全だ。


ラティも、ナズのように避けながら振り回す事を真似ている。

元々臆病なようだし、避けたり逃げたりする事は上手なのか?

そのまま維持して欲しい。


次ターン準備のため矢をつがえ、

オーバードライブを念じて矢を放つと同時にガンマ線バーストを使用する。

急いで次の矢をつがえて直ぐにメテオクラッシュを発動した。

目の前のレムゴーレムを狙うので、

矢はオーバードライブ中でも直ぐに標的へたった。

更にアクアストームを念じて矢をつがって放つ。


目と鼻の距離なので集中して狙う必要は無く、

これならMPの回復には余裕が持てそうだ。


魔物の密集する部屋なのだから、

適当に射っても何かしらへ当たるだろうと思っていた、

過去の愚かな自分を恥じたい。

矢は無限では無いのだ。


奥の方でブラックダイヤツナが暴れ回る。


奴も生物なのでメテオクラッシュの熱を感じているのだろうか。

以前ボスとして戦った時はこちらに対して正面を向いていたが、

今はずっと空中を跳ね回っていると言った様子だった。

今の仮説が正しければ、熱くて身悶えしていると言えなくも無い。


サイクロプスが風属性の攻撃で怯むように、

ブラックダイヤツナは火属性の攻撃で行動を封じられるのかもしれない。

ただこれだけ暴れ回られると、

逆に凶悪となって手が付けられなくなってしまったとも言える。


凶暴化?発狂化?

この状態で魔法を撃ってくるのでなければ、

取り敢えず今の状況下では行動を封じたと言う認識で良いだろう。


但し接近して戦う場合は要注意事項だ。

あのまま突っ込んで来たら盾で受け止めたって大被害は免れない。

今回の場合、接近戦はレムゴーレムに阻まれているので有り得無い。


しかし今回ブラックダイヤツナは2匹いるようで、

その周囲のパットバットが大量に跳ね回っている。


ロールトロールの動向を窺う。


両手を振り上げている奴はいない。

最初に潰した詠唱中断がまだ効果を発揮しているのだろう。

前線も崩壊しておらず、良い具合だ。

このままであれば残り8ターン分しっかり持つと思う。


「やりましたッ!」


アナがレムゴーレムを石化か麻痺させたようだ。

以前最も戦線を後退させたアナの位置に、通行妨害をする置物ができた。

麻痺であってもここから2ターン分レムゴーレムは動かないので、

戦線の安定度が更に増した。

やはり強化した分だけその恩恵を受けている。


アナは隣のラティに加勢し、

ラティが避けたレムゴーレムに対して斬り掛かって行った。


ゴーレム族は一度定めた標的を執拗に狙い続けると言う事を経験で学んだ。

現在の自分のような完全に狙えなくなった状況を作らない限りは、

このレムゴーレムはずっとラティを狙い続ける事になる。

要するにここからはアナの独擅場が始まると言う訳だ。

頼もしいぞ。


「こちらもやりました!」


ナズが報告を入れる。

ナズの相手をしていたレムゴーレムは膝を反対方向に折り曲げ、

後方に倒れ込んでいた。

起き上がるまでの間の時間を稼いだとも言える。


って言うかアレは起き上がれるのか?

ボキっと逝ってそうだし、もう無理では?

その上を別のレムゴーレムが乗り上げようとしているし。


アナはすかさず対峙する敵を切り替えて怒涛の突きを食らわせた。

麻痺するのは時間の問題だ。


3ターン目の魔法を掛ける。

ラティが翻弄しているレムゴーレムはウロチョロするが、

それでも巨体であり目の前なので狙いは付け易く、

オーバードライブ中であればほぼ固定的だ。


安定した状態でガンマ線バーストからアクアストームまでを放ち切った。

ラティの目の前にいたレムゴーレムが止まる。

麻痺か?アナかな?


オーバードライブを掛けて全体を見回すと、

奥の2体のロールトロールが詠唱を開始していた。

直ぐに射掛けて詠唱を中断させる。


ついでにブラックダイヤツナにも矢を放った。


あれが暴れ回っているのはやっぱり危ない。

前回は撒き散らされたパットバットに因って、

視界不良でロールトロールを見失った前例がある。

できれば止めて置きたい。


矢にはまだ余裕がある。

それすなわち心の余裕に等しい。

ジリ貧でイチかバチかを賭けた前回とは大きく異なっている。


パーティも成長したが自分も成長したのだ。

綿密な作戦が功を奏している。

最悪の状態を想定せずして何が作戦だ。


4ターン目の準備のために弓を構えた。

ガンマ線バースト、メテオクラッシュ、

そしてアクアストームのルーチンワークを熟す。

そしてその後は目の前のレムゴーレムに向けて矢を放った後、

ロールトロールの魔法詠唱が無いかを確認する。


56層の魔物の部屋は、今ここで完全に制した。


戦線は安定しているので、もうアクアストームだけで勝てると思う。

勿論、油断は禁物であるが。


早く倒せればそれに越した事は無いが、

この世界に於ける一般的なパーティであっても、

この階層の魔物の部屋は討伐をできるのだと言う事が裏付けられた。


やはり必要なのは経験と計画、そしてLvと装備だ。

我々にはそのどれもがある。

前回は経験と装備が無かったので苦戦を強いられたのだ。

明日の決闘も万全の態勢で挑みたい。


11ターンが経過すると、全ての魔物が消滅した。

ブラックダイヤツナはアクアストームが有効でないので、

レムゴーレムと共に最後まで残っていた。

そして今回自分の弓でレムゴーレムを毒に落とす事は叶わなかったようだ。


「お疲れ様でしたっ」

「以前よりも安定して倒せましたね」

「なんて言うか、作戦1つでこうも違うとは流石ユウキ様です」

「アタイがんばったよー!」


「そうだな、偉い偉い」

「はわわわわ・・・ほほほ、本当にここは56層なんでしょうか!

 まままもっ、魔物のっ部屋をっ!全部倒してしまいました・・・」


「ではアイテムを頼む。纏めてラティへ渡してくれ」

「「「はい」」」「あーい」

「へっ、わわわ私ですか?わっ、私でしたね?

 あっ、あっ、あのっ、集めて来ますっ!」


部屋の中央で立って待ち、

そこへ皆を集めるように回収すれば効率が良いのに、

ラティは駆け出して部屋の隅の方から1人で集め始めてしまった。

無駄も良い所だ。

下っ端の自負?そんなの気にしなくても良いのに。


「ナズ、ちょっとラティを制御してくれ、あれは無駄だ」

「えっ?私ですか?かしこまりました。

 ラティさーん、お部屋の真ん中に来て下さーい!」


効率云々なら多分ナズが最適だ。

ナズの段取りの良さは真似できない。

ついでにラティが理解できるよう説明してやって欲しい。


さて、Lvはどうなったか。


前回は倒す事に全てをシフトしたが、

今回は経験値効率を高めるため縛りプレイに徹したのだ。

頑張った結果が無くては話にならない。


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv62

  設定:探索者(62)勇者(20)機工師(26)錬金術師(30)

     道化師:手当・下雷魔法/知力中・知力大(29)


おっ!


これはだいぶ上がっている気がするぞ。


探索者が一気にLv60の大台を超えた。

勇者もLv20台に突入だ。

後から上げ出した機工師に抜かされた所を見ると、

やはり上がり難いのだと言う事は実感できる。

錬金術師のLv30はもう十分実戦投入段階に入ったと言えるだろう。


道化師のサブスキルとして付けるのだ。

そこで打ち止めしてしまっても良いと思う。

どうせそれ以上は道化師のLvがネックになって効果を発揮できない。


道化師に付けるスキルは手当てとメッキで充分だろう。

Lv相応だし、どちらもそれ程威力は要しない。


機工師のスキルである反射鏡の性能だけは詳しく調べて置く必要がある。

反射鏡と破魔鏡を用いても魔法ダメージがしっかり入って来るのであれば、

身代わりのミサンガを大量に消費する事となる。

場合に依っては決闘を放棄して逃げる事も視野に入れなければならない。


それはこれから検証だ。


錬金術師と細工師を交換し、次はパーンだと言って6層へ飛んだ。


全員に反射鏡と破魔鏡を掛けて回る。

念じているだけなので、何をしたのかすら皆には解らない。

行くぞ、と言われてやって来ただけである。


ただ、混乱させてもいけないので説明はして置く。

前回検証時に連れ出して来たナズやジャーブはともかく、

ラティは破魔鏡に付いて何も知らない。


「ラティ、これからパーンと戦うが、魔法を受けて倒す」

「はっ、はい、魔法をう、受けてですね・・・ええっ!?」


「自分達は何もしない。受けるだけで倒せるので、そのまま立っていろ」

「えっいや、そっ、その、パーンの魔法は熟練した戦士でも、

 あの、そっ、相当なダメージを受けるのですが・・・その・・・?」


懇願した目で他のメンバーを見るが、全員既に経験済みだ。

前回ヴィーは熱がっていたが、まあそれはしょうがない。

安全だと判っているので文句は言わなかった。


「アナ、人は?」

「ボス部屋の近辺にはおりませんね、やはり不人気なボスです」


「では再び移動だ」

「「「「はい」」」」「いや、ですから、あの・・・・」


ゲートをくぐると直ぐに扉が開き、パーンが煙から顔を現した。

全員入り口近辺で佇む。

ラティは多分オロオロしていると思うが、後ろなので見えない。

安全だと判っているし、いちいち気遣う必要なんて無い。


パーンが現れるなり詠唱のマークを足元に浮かべた。


ここまで走って来るのは面倒だと言う事なのだろう。

自分も面倒だ。

どんどん撃って来てくれたまえ。


魔法の詠唱までは結構な間がある。


期待したら長く、期待しない時は短く感じる。

それは前回経験したのだし織り込み済みである。

それが今回は何回で倒せるのか、そちらの方が見ものである。


前回は12回の魔法反射、1人換算で言うと64回の反射で倒した。

今回は最初から6人集まっているので10回と少し、

反射鏡が多少弱くとも10回で収まるはずである。

問題はそこからどの程度抑えられるのか、と言う事だ。


早速火魔法の1回目が飛んで来た。

ポカポカと体が温まり出し・・・。


・・・終った。


あれ?暖かいだけ?

ダメージを受けたようには一切感じなかった。


反射鏡の減衰効果はLv26でも相当な物だった。

破魔鏡と比べて倍の効果があったと仮定しよう。

そうするとLv26の反射鏡はLv52の破魔鏡に匹敵する事となる。


Lv52の破魔鏡とLv50の破魔鏡を組み合わせたら102%。

ノーダメだ。

ダメージ減衰効果は2倍でなかったとしても50+26で76%。

1/4であるならば、ただポカポカしただけだった事にも納得できる。

何だこれ?勝った?


2回目、3回目と魔法を受けたが、やはり熱感は全く感じられなかった。

パーンの魔法力程度なら完全に無効化できるのだろう。

これがもっと深層部の敵ならば、

ある程度貫通して来る分があるかもしれない。


最低ダメージ保証は絶対あると思う。

ミスや無効って事には成らないのだとすると、

100%減衰しても1とか2とか、極僅かなダメージが入る事になる。


それがさっきから感じているポカポカなのだろうか。

或いは24%分の熱量がこの位なのだろうか。


もしかしたら100%から破魔鏡で50%減衰した後、

更に反射鏡に依って52%減衰しているのかもしれない。

その場合はやはり元々の25%位のダメージを受けている事になる。

体感から来る熱さはそれ以下だったと思うので、

やっぱり100%防御できた上で最低ダメージが入っているのだと思う。


いや、そうであって欲しいと言う願望だ。


5ターン目、パーン自身の魔法で自らが肉に変わった。

今夜美味しく頂きましょう。


前回は12ターンだったので、半分以下だ。

やはり102%返している計算で合っているのだと思う。

防御効果の方は何とも言えないが。


兎に角、自爆攻撃に最低ダメージがあったとして、

それがそもそも即死でなければ、大いに勝機が出てきた。


これならば何回撃たれても平気では無いだろうか。


自爆を無効化する人間、そんな者は神の領域に近い。

やはりマスクを用意して正解だろう。

悪漢共が町中で自分の顔を見掛けた際、試しに使われても堪らない。

やはり顔は隠すべきなのだ。


「それでは帰ろうか、今日はもう休んで良いぞ。

 午後は休日にしよう、小遣いを出す」


「また宜しいのですか?」

「有難いご提案ですが、私はもう一度イルマと接触をしてきます」

「それでは俺は買いたい物がありましたので・・・」

「わーい!なず姉ちゃん、おいしいもの買いに行こ?」

「えっ、良いですよ?ではヴィーちゃん一緒に行きましょうか」

「えっあの?えっ?休みってどういう事でしょうか?」


全員がワイワイと盛り上がる。


ラティはルールを知らないので置いてきぼりだ。

頑張れ。

もう良い年した女性なのだし、自分はそこまで面倒見切れない。


ゲートを繋いで自宅に戻った。


ラティ以外は納屋に向かって列を作る。

自分はそのまま台所に、エミーにも昼からは休みだと告げ、

何かしら食事の準備を始めていた所を中断させた。


「エミー、小遣いを出すので午後はジャーブと買い物をして来い」

(こくり。)


「お前が必要だと思った、好きな物を買って良いからな」

(こくり。)


ジャーブのためにお膳立てしてやった。


装備を外した全員が居間に集まる。


「小遣いを渡そうと思ったが、手持ちの銀貨が心許無かった。

 ちょっと買取カウンターに行って来るからラティも来い」

「は、は、はいっ、かしこまりましたっ」


解散してそれぞれが昼食前の仕事に就いた。


アナをボルドレック邸に送った後、自分はラティと共に買取カウンターへ。


「ラティ、まだアイテムボックスは入るか?」

「あっ、はっ、はい。

 えっと、まっまだ後、じゅっ、15個位は入るかと思いますが。

 八百やお千五百ちいほのお宝を、収めし蔵の掛け金の、

  アイテムボックス、オープン!

 ・・・ぁあれっ?

 あっ、あっ、あの!あっ、空き容量がすすすっごく増えて・・・ます?」


56層での大幅ブーストはラティのLvをも急激に上昇させた。


頑張った甲斐はあっただろう。

今後は迷宮の深層にどんどん進んで行くつもりなので、

Lv50も直ぐなのでは無いだろうか。


だが冒険者は2人も要らない。

ラティはこのまま探索者のままで居て貰う予定だ。

お前は自分の予備アイテムボックスだ。

年間1万ナールでアイテム容量2倍のオプションなのだ。

ラティは初年度奴隷のはずなので今年掛かる税金で言えば3万ナールだが。


オンライン課金ゲームにも、

リアルマネーで拾得物を沢山持てるようになる追加鞄がある。

まさにそんな感じである。


思えばこの世界が完全なゲームだとして、

自由な鍛冶、敵の高速退場、超鉄壁な防御壁、畑と庭の管理、

毎日の食事、小間使い、それぞれの機能を得るために、

1万ナールを支払ってサブスクリプションを得ているような物である。


1万ナールから始める異世界サブスク生活。

近しいタイトルの異世界小説があったような気もした。


さて、それではラティに売れる物全てを渡して、

大口のカウンターで怒られるのはラティに代わって貰おう。


・・・そんなふうに思っていた時期もありました。†


3割アップは自分で売らないと発動しないし、

薬だって買う必要が無くなっているのでラティに任せては駄目じゃないか。

お使いをさせるメリットが全く無いと言う事に気付いた。


仕方無くラティからアイテムを全て受け取り、

再び買取カウンターの大口担当からお小言を頂くのであった。


「もうっ、また貴方でしたか!

 あれ程貯め込まないで下さいと言ったのに!」


し、仕方無かろう。

魔物の部屋を討伐すると、どうしてもこうなるのだ。


「面目無い・・・」


世の中ままならない。


薬の材料も生薬生成してから売った方が得かと思っていたが、

そのまま売るより売却総額は下回ってしまう事に気が付いたので、

結局原料のまま売却する事にした。


上手い事できてやがる。



   ***



昼食後、全員に銀貨6枚ずつを与える。

早速ヴィーはナズの手を引っぱり出て行った。


アナはラティと共に買い物へ行くそうだ。

一番年が近いのだし、ラティも1人では不安だろう。

ホドワの街は慣れていないらしいし。


ラティを見ていると何かやらかさないかとハラハラ感じる所もあるが、

アナがいるなら安心だ。


そしてジャーブとエミーの動向を見守っていたが、

エミーの方からジャーブに打診をしたようだ。


エミーがジャーブの袖を引き、

メモ書きで「買い物を手伝って下さい」と伝えた。

いちいちジャーブが読み上げるので、反応が面白くってずっと眺めていた。


自分はその間に小麦粉を練る準備を始める。

今夜こそラーメンを・・・ふふふ。

∽今日のステータス(2021/12/07)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv58

  設定:探索者(58)勇者(15)機工師(13)錬金術師(21)

     道化師:中水魔法・下雷魔法/知力中・知力大(24)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv50

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 暗殺者 Lv49

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 騎士  Lv50

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv45

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 探索者 Lv50 OFF

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv32


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv62

  設定:探索者(62)勇者(20)機工師(26)錬金術師(30)

     道化師:中水魔法・下雷魔法/知力中・知力大(29)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv52

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 暗殺者 Lv51

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 騎士  Lv52

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv48

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 探索者 Lv50 OFF

 ・ラティ      人間   女 28歳 探索者 Lv39



 ・収得品

   赤身     × 2   削り掛け   × 3

   鉄      × 4   鋼鉄     × 1

   ヒレ     × 8   コウモリの牙 ×22

   岩      × 53  ダマスカス鋼 × 8



 ・繰越金額 (白金貨2枚)

     金貨 55枚 銀貨  4枚 銅貨 10枚


  アイテム売却     (9943→12925й)

   岩       ×64      2560

   シェルパウダー ×14       378

   ウサギの皮   ×98       980

   鼈甲      ×26      1950

   コウモリの羽  × 2        70

   コウモリの牙  ×23      1495

   膠灰      ×33       990

   附子      × 5       150

   リーフ     × 4       120

   ソフトシェル  × 3       150

   削り掛け    × 3       150

   麻黄      ×19       950


  装備品売却      (6165→8014й)     

   カトラス             1200

   木の盾               125

   銅の鎧              1500

   皮の帽子               60

   革の小手             1500

   皮の靴                30

   革のブーツ            1750


  小遣い              (3600й)

   銀貨6枚 ×6人         3600


     金貨+ 1枚 銀貨+73枚 銅貨+39枚

  ------------------------

  計  金貨 56枚 銀貨 77枚 銅貨 49枚



 ・異世界56日目(10時頃)

   ナズ・アナ51日目、ジャ45日目、ヴィ38日目、エミ31日目

   パニ21日目、ラテ3日目

   サンドラッド到着まで5日、決闘まで1日



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  51 ブラックダイヤツナ  / ※

  52 ラフシュラブ     / ※

  53 ロールトロール    / ※

  54 ピックホッグ     / ※

  55 パットバット     / ※バッドバット

  56 レムゴーレム     / ※ハーレムゴーレム

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