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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第十章 結実
178/394

§166 執行

簡易的に食事を済ませ、再び56層の中間部屋に戻った。


檻に入れられた囚人を中心に、部屋には騎士が集まり始める。

奥から戻って来る者もいたし、入り口側から来る者もいた。

様子からして、ここで簡易に食事をして直ぐ探索を再開させたのだろう。


中の囚人達にも食事が与えられていたようで、

檻の中へ置かれた皿は空になっていた。


最後の食事だろうか。

自分好みのメニューが与えられたかどうかは知らない。

囚人にも人権を!とか騒ぐ連中がいなければ、

恐らくは一般的な町民の食事・・・、つまりパンだけだろう。


暫くすると騎士達が揃い、整列をして順番に部屋を退出して行った。

ルスラーンを先頭に騎士団員達が続く。

自分は最後尾から2番目、

そして最後尾の騎士は3人1組で2つの駕籠かごを担ぐ。


と言う事はもう既にボスまでのルートが判明したのだろう。

流石、手分けして捜索しただけあってボス部屋までのルート構築が早い。

地図を作るまでも無い訳だ。


先頭以外は2列縦隊で進軍し、

このままボス部屋に直行するのだと思われる。


先頭集団が魔物と対峙すると進軍は停止し、

戦闘が終わると後ろに付いていた控えと交代する。

戦い終わった騎士のパーティは、休憩と回復のために最後尾へ回った。


戦いに慣れているし、交代の手際も良い。

ヒューマンパワーと言うのは統制が取れてこそだ。

組織力と言うのを目の当たりにした。


その後も魔物と対峙する度に騎士達は交代して行く。

最後尾へ回った騎士たちは順番に手当てを受けていた。

駕籠かごを担いでいた騎士は僧侶だったのだ。


ようするに彼らは衛生部隊なのだ。

戦闘に直接参加せず、回復のみを行う。

これだと騎士6人がアタッカーで、更に5人が回復に回れる。


直接戦闘しない代わりの駕籠かご持ちと言う事か。

迷宮へ入る階層選択は探索者か冒険者が必要なのだし、

1人は冒険者である事は確実であるはずだ。


次は自分たちの番なので、魔法を隠しながらどう戦おうかと考えていたが、

その前にボス部屋に着いてしまった。


結局ルスラーンの前で戦ったのは午前中1回のみだったし、

自分たちが選択したルートは中間部屋へ辿り着けなかったので、

役に立ったのかと言われたら果たしてどうなのだろう。


魔物の部屋に騎士たちが入り込まないように、予め潰した程度である。

場所は口頭でルスラーンに説明したので、

今後があればその旨は語り継いで貰えると信じたい。


ま、そもそも無闇矢鱈と壁なんて触らないだろうな。

熟練の探索者ともなればその位の危険性は熟知しているはずだ。


中間部屋よりやや広いボスの待機部屋に、全員が整列する。


中央に駕籠かごが運び込まれ、出口が固められた。

この囚人は盗賊団の一味であったが、

どちらもパーティが組めるジョブだったので、

2人でパーティを組むように指示をされていた。


組めば2人で戦える。

組まなければ1人で突き出される。

そう言われたら組まざるを得ないだろう。


探索者の男は震えていたが、冒険者の男の方は覚悟を決めたようで、

パーティ編成のスキルを詠唱し始めた。


「同意」があったかどうかは不明だが、

他の者には確認のしようが無いし、

パーティは組まれたものとして淡々と作業が進む。


囚人たちは檻越しに足枷を掛けられ、手には縄を巻かれた。

かせと言ってもある程度は動ける範囲の遊びがあり、

その範囲内で避けたり逃げたりできる余地は残されている。


縄は巻かれただけで、縛られた訳では無い。

ほどくまでに10数秒は掛かるかな、と言った具合だ。

恐らくボス部屋に入れられた後、

自分でほどいて武器を取って戦えと言う事なのだろう。


自分から死地に赴くなんて普通はしないだろうから、

どうやってボス部屋に囚人だけを入れるのかと思ったが、

現場を目撃して更に疑念が募り、

作業をしていない暇そうな騎士に聞いてみた。


「どうやって彼らをボス部屋の中に入れるのですか?」

「我々が駕籠かごを担いでこのまま入り、中で奴等を解放するのだ」


「ええっ、そんな事したら全員がボスと戦う事になるじゃないですか」

「うん?そうはならんぞ?各パーティのリーダーが入るので扉は閉まらん」


「他のパーティが同時に入ったらどうなるんですか?」

「何だ、お前はそれを知らないのか。

 複数のパーティで同時に入った場合はボスが湧かないし、

 既にボスが残っていたとしてもダメージは与えられない。

 こちらの事は完全にいない物として無視される」


「では他のパーティと共闘は無理と言う事なのですか?」

「そういう事だな、元々ズルはできない仕組みだ。

 パーティメンバーだけの状態になって初めて扉が閉まる」


「じゃあ中で誰かが死んだら、

 別パーティと一緒に入ればアイテム回収は安全にできると言う事に?」

「理論的にはそうだが、落とし物は次のパーティの物だ。

 回収を手伝ってやる事は可能だが、

 後から入った者が持ち去ってしまった場合は盗賊とされるからな?

 普通であれば今回のような事はしないぞ、気を付けたまえよ」


そ、そうなのか。


まあうっかりそんな事は普通にしないと思うので大丈夫だ。

それよりもこの処刑方法で盗賊たちが死亡した場合、

後から騎士達が同時に入る事で用意した道具を安全に回収できるなら、

それで大丈夫なのだろう。


よくよく考えてみればそうだよな。


難しいボスがいたとしても、

大勢のパーティで押し掛けてボスが討伐できるなら、

難易度は下がるので皆そうするだろう。


そういう事ならボス討伐に対してもっと安全に効率良くやるはずだ。

パーティグループ単位での募集があってもおかしくない。

この世の中がそうなっていないのは、それが不可能であるからだ。

何のための6人パーティなのだ、と言う事になる。


1組のパーティしかボスと戦えないと言う万全の仕組みが前提としてある。

同時に入った場合ボスと戦えないと言う事は、

あちらが無敵であると同時にこちらも安全だと言える。


囚人の生死を用いて迷宮最後のボスかどうかを確認する方法は、

そこをうまく利用していたのだった。


騎士達がボス部屋に鋼鉄製の剣と鎧を放り投げた。

中へ入れられたらボスが向かって来るまでに緩く巻かれた縄を解いて、

あの武具を身に付けろと言う事なのだろう。


ついでに中の様子を確認させて貰った。


         ・ハーレムゴーレム Lv56

    ・レムゴーレム Lv56 ・レムゴーレム Lv56


         ・ハーレムゴーレム Lv56

  ・パットバット Lv56


この階層からはお供の数が4匹となるはずだ。

1匹見えないと言う事ならば、

隠れて見えないだけなのか以前の囚人が倒したのか。


少なくともボス1体が倒されるか、

お供が全部いなくなるまではこの検証作業が続くのだろう。


確実にボスへの攻撃が当たったと確証ができ、

その時点で武器が残れば攻略可に、

武器が残らなかったらこの階層は永遠に閉鎖される。


準備ができたようで、駕籠かごが担がれて部屋の中で檻が開かれた。


この状態で囚人2人が暴れたとしても、自分を含めて47人の監視がいる。

逃走を試みても勝ち目は無い。

大人しくボスと対峙し、そこでイチかバチかを賭けるのだ。


自分が送られた場合はデュランダルを出しながら戦えば、

もしかしたら勝ってしまうかもしれない。

そんな事をしたら伝説になってしまうな。


伝説の英雄タロス・・・。

彼は今どこで何をしているのだろう。

トリアの一件は憶えているのだろうか。

当人のしでかした事で1つの町が滅んだのだ。


何かしら思う所があったから去ったのだろう。

その後の足取りが判らなくなっている以上、そういう事だ。


処刑の時間がやって来た。

と言っても残酷な方法で殺す訳では無い。

戦って死ねと送り出すのだ。

探索者人生の終わりと考えると、迷宮で死ねる事はある意味本望だろう。


ルスラーンが手を上げ合図をすると、

騎士たちは空になった駕籠かごを担いで戻って来た。

そして扉が閉まる。

あの2人はパーティを組んでいたようだ。


内部の音は聞こえなかった。


これまで何度もボス部屋で戦う別パーティを外で待って来たのだ。

その際に中の音は漏れ聞こえて来なかった。

迷宮の扉はなかなかの防音性能がある。


自分の部屋にこんな遮音の効く壁や扉があるならば、

ナズやアナと激しく致しても隣の部屋に漏れ聞こえなくて良さそうだ。


・・・最初に思った感想がソレかよっ!


直ぐ隣の部屋にいるジャーブやヴィーに配慮して、

なるべく激しくはしないようにしているが・・・。

奴隷相手に、そこまで気を使わなくても良いのだとナズは言っていた。


でもなあ・・・なんかこう、自分が恥ずかしいんだよなぁ。

抜けないなぁ、日本人の感覚。


やはり2階建、作るべきだろう。


ヴィーとパニの部屋も用意してやらなければならないし、

エミーの姉が来る事になれば、今のままでは狭くなる。


8人も生活するとなると、2部屋では絶対足りない。

最低でも3部屋は欲しい。

いや、元から部屋は3つあったが1つを風呂にしてしまったのだ。


そういう事はエミーの姉を手に入れてから考えるとして、

今は先程の囚人たちがどうなったかの方が重要だ。

騎士たちは静かに事の成り行きを見守っている。


仮に彼らがボスを倒してしまった場合、新たな階層が解禁される事になる。

その場合我々はボスを倒して外に出るだけだ。

或いは元来た道を戻るのかもしれない。


しかしここがこのダンジョンの最終層だった場合、迷宮は消滅する。


・・・消滅ってどうなるんだ?

ずっとこの場に残っていたら、自分達も一緒に消えてしまうのだろうか。

或いは入り口が無くなるだけで、出るだけならいつでも出られるとか。

気になるが試したくは無い。

その場合は素直に、即座に出て行きたい。


そして・・・。

最も可能性の高い結果が彼らの全滅だ。


たとえ50レベルを超えた上位職の者であっても、

ソロやペアでお供を含めた6匹を討伐するのは難しいだろう。

今回はお供1匹が居ないように思えるが、

たとえ1匹減った所で撃破は非常に困難だと思われる。


ボスだけが残り、彼らの落し物が残っている光景。

その中で、まずは武器が残っているかどうかを判断するのだろう。


武器が残れば、ここは最深層では無い可能性が高くなる。

無くなっていれば・・・ここが最深層だ。


  *

  *

  *


──ゴゴゴゴゴ・・・。


暫くの沈黙の後、扉が開かれた。

体感では随分待ったような気もするが、精々12,3分位だろうか。

それだけ彼らが善戦したとも言える。


リーダーの騎士たちが駆け足で中に侵入し、

装備を掻き集めて戻って来た。


武器は・・・2本残っている。

ボスには一度も攻撃が当たっていない可能性もあるので、

これだけでは判断材料にはならない。

しかし、少しだけこのボスが最終ボスでは無い可能性は高まった。


中の様子を窺ってみたが、配置が換わっただけで数の増減は無いようだ。

やはりお供は1体倒されていたのだろう。


「それでは撤収だ!兵舎に帰るまでが作戦である!

 くれぐれも帰りの道で気を緩めないように!」


ルスラーンが号令を掛け、兵士たちが元来た道を戻って行った。


ええと、先程自分達の前にいた騎士が先行して行ったので、

隊列は前回の続きなのだろう。

ではこの次が自分たちの番なのか。


早速前方の騎士達が魔物の群れに出遭い、戦いを始めた。

じっくり様子を見させて貰う。

この中には大楯持ちの騎士がいた。

実はあの楯だけでどのような戦術を取るのか気になっていたのだ。


この騎士の持っていた巨大な楯は中央部分が尖っており、

縁取りにも刃が付いている攻撃用の盾だった。

受けるだけで相手を傷付ける事ができる、まさに攻守一体の大楯だ。


大楯の騎士はレムゴーレムのパンチを直接受けた。

そしてスキを突いてレムゴーレムに近寄って大楯を押し付ける。


なるほど、あれはただの大楯では無く射程ゼロの武器でもあるのか。

勿論大楯としての大事な役目があるが、

密着してこすり付ける事で敵にダメージを与えるのだ。

シールドラッシュと言う奴だな。


しかしあれは大楯の中でも変わった部類なのだろう。

売ってくれと言って売って貰える訳では無いし、

ヴィーにあれができるかと言ったら・・・似合いそうも無い。

特段ヴィーがあれに対して興味を持ったようにも見えなかった。


暫く見ていたが他の騎士たちも負けず劣らず戦っていた。

まるでジャーブが5人いるようで、

仮に騎士となってあの中で戦う事など自分には到底無理だと悟った。

ルスラーンの申し出は丁重に断らなければならない。

そしてジャーブはあの中へ行っても大丈夫そうだ。


と言うより、もう既に騎士だし。

良かったじゃないか、自分が先に死んでも再就職は何とかなりそうで。

いやいやいや、縁起でも無いぞ。

次の戦いは自分達なのでヘタな所を見せないように頑張りたい。


「アナ、出口までは大丈夫だよな?」

「はい、心得ております。

 相手はレムゴーレム2体とロールトロールが2匹、

 それからピックホッグ2匹です」


こうしている間にも、

アナはその先で交戦する魔物の気配を読んでいたようだ。

その情報を基に、全員に作戦を伝える。


「ではロールトロールをアナとナズで。奥側に回るならピックホッグだ」

「解りましたっ」「かしこまりました」


騎士パーティが魔物を討伐する時間はかなり掛かった。

上手に戦ってはいるが、やはり56層の魔物は固いのだ。

我々はいつも通り毒と石化に頼ってやれば問題無いだろう。


そして自分達の番がやって来た。


早速敵全体に状態異常耐性ダウンを撒き散らす。

ジョブを付け替えて暗殺者をセットし、

手前のレムゴーレムをオーバーホエルミングで2本撃ちを2回。

更にもう一度別のレムゴーレムへオーバーホエルミングで2本撃ちを2回。


「ご主人様っ!」


「うん?」

「右のゴーレムが毒に陥りました」

                    

早速状態異常が発動したようだ。

暗殺者のジョブ効果は偉大である。


ロールトロールは奥側にいるので、前面はピックホッグだった。

ナズが1匹を中列まで誘ってそこで受け、アナは前列で1匹取っている。

ヴィーとジャーブがレムゴーレムを足止めしている状態だ。


オーバーホエルミングで再び左のレムゴーレムへ2本撃を2回、

続いてアナの受け持つピックホッグへオーバーホエルミング2本撃を2回。

そして目の前でナズが対処しているピックホッグへ、

1本だけをつがって放った。


「こちらのピックホッグも毒化しました」


「よしよし」


奥に留まっていたロールトロール2匹が詠唱態勢となっていたので、

オーバーホエルミングで1匹1射ずつ丁寧に狙って止めた。

これで暫くは大丈夫だ。


再びオーバーホエルミングでヴィーの持つレムゴーレムへ毒を掛けて行く。

アナより暗殺者のLvが低いので、中々成功しないのが難点だ。


既にピックホッグ1匹の石化が終了しており、

レムゴーレムの横に1つ置き物ができていた。

そしてナズの受け持つピックホッグへ、アナは怒涛の突きを仕掛ける。


今度はこちらを先に毒化しないと。

石化してからでは毒が入るのか不明だ。

やった事が無い。


物理耐性が大幅にアップするらしいので、

物理系の状態異常も耐性がアップする可能性は極めて高そうである。


オーバーミングで2本撃ち2回を行うとアナの報告が入った。

残っているのはヴィーが相手をするレムゴーレムと後列のロールトロール。

再びオーバー2本撃ちを2回、またアナの報告が入る。

そのままヴィーとジャーブに耐えて貰えれば、レムゴーレムは終了だ。


手の空いた2人がロールトロールの囲みに回る。

アナはピックホッグを飛び越えて向こう側へ、

ナズはレムゴーレムの下をスライディングでくぐって行った。


こいつら・・・。


ピックホッグ、意外とデカいんだぞ?

4段位はある跳び箱の高さを、アナは手を付かずに飛び越えて行ったのだ。

やはり猫忍者だ。


自分も急いで移動する。

何も飛び越えて行かずとも、壁の隅っこを這うように移動すれば、

・・・よっこいしょ。ホラ、通り抜けられる。


アナが石化を完了させてしまっていた。

まずいぞ、毒が入っていない。

あれは最後に残ってしまうな。


急いでもう1匹のロールトロールへ毒矢を仕掛けた。

アナの石化と自分の毒、どちらを先に掛けられるか競争だ。


石化の方は若干判定が厳しいらしく、毒を掛ける方が早かった。

やはり一撃で終了する石化や大幅に安全マージンが取れる麻痺は、

毒や睡眠よりは判定が厳しいのだろう。


一通り毒化が済んだので安心してレムゴーレムへ矢を放った。

散らばっている矢を回収しながらだ。

この格好だけはどう考えても滑稽である。

「真面目に戦っているのかお前は?」と突っ込まれそうだ。


そして予想通り、毒を入れていないロールトロールだけが生き残った。

ヴィーに剣を借りて全員で囲ってタコ殴りである。

こうして自分が担当した分の仕事は無事完了した。


「ほー、お前の弓は詠唱中断なのか。考えたな」

「ええ、まあ。後列の魔物を安全かつ確実に止められますので」


ルスラーンが声を掛けて来た。

良く見ているなあ。

そりゃそうか。


毒化は誰の武器で行っていたか判らなかったのだと思う。

一見するとヴィーとジャーブ、それぞれがレムゴーレムを倒し、

アナは石化をさせたので毒武器の存在に気付かれていないのかもしれない。


「ではこの先は私が代わろう。もう多分出番は無いぞ、ご苦労だったな」


再びルスラーンが先頭になり、自分達は最後尾へと回った。

後列の騎士たちからは手当の打診があったが、うちの子らは皆断っていた。

いやだって、ダメージを受けても自分がその都度掛けているからな。


エントランスルームから外に出ると、

騎士たちは入り口の大木から騎士団寮へ帰って行った。

護送用の駕籠かごを持つ部隊だけは徒歩で帰るらしい。


「それでは宴席を用意しているから、後程騎士団の方へ来い。

 夕暮れ頃には庭で酒盛りの準備が整っているはずだ。

 思ったより順調だったのでまだ全然早いと思うから、

 それまで何処かで休んでいてくれ」


「解りました、それでは暫くの間休憩を取らせて頂きます」

「おう、お前ェ。こないだの酒、まだ持ってるなら持って来いよ!」


イルハンから酒の催促があったが、アレはそうそう出せる物では無い。

あるにはあるが、切り札なのだ。

勘弁願う。


「も、申し訳ございません、アレは中々入手が難しく」

「チッ、しゃーぇなあ」

「こらこら、無理強いするな。酒ならちゃんと用意してあるから」


ルスラーンに押されてイルハンはゲートをくぐって行った。


「では一旦家に戻ろうか。武具を置いて、・・・風呂も入るか?」

「ええと、そうですね。

 折角ですので以前頂きましたあの服で向かいたいと思います」

「それは良いと思います。私も着替えて宜しいでしょうか」


「そうしろ、そうしろ」

「俺は畑の手入れをしてからにします」

「あっ、アタイはイイよ・・・」


「もうお前は盗賊じゃないんだから大丈夫だぞ?

 多分料理も一杯食べられるし、こんな機会は滅多に無いと思うがなあ?」

「うっ・・・ど、どうしよう・・・かなぁ」


ヴィーの心が揺れている。

不安とお腹いっぱいを天秤に掛けて。

もう少し華のある話で揺らいで欲しいものだ。

例えばパニとか。


ゲートを家に繋いで、パーティは一旦解散とした。


まだ夕方には少しある。

エミーも夕食の支度はまだ始めていないようであった。

自分たち5人分の食事は不要だと伝え、

酒場で何か食事を貰えと言ってパニに金を持たせた。


奴隷だけで食べさせて貰えるかどうか不明だが、

お使いはあるのだし買って帰る位ならできるだろう。


自分は今日使用した強壮剤の補給のためにアニマルトラップへ。

風呂を入れるために消費する分を含めてアナと3戦を戦い、

この後は出番が無い事を伝えると、

アナは武具の手入れのために納屋へ向かった。


昨日の憂いをここで晴らすべく、

色魔を付けてお風呂でチョットだけ頑張っちゃった。

∽今日のステータス(2021/11/09)


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv54

  設定:探索者(54)遊び人:水魔法/知力中(48)

     魔法使い(50)英雄(47)細工師(49)暗殺者(36)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv46

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 暗殺者 Lv45

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 騎士  Lv45

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv44

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 探索者 Lv44


  ↓


 ・フジモト・ユウキ 人間   男 21歳 探索者 Lv54

  設定:探索者(54)遊び人:水魔法/知力中(48)

     魔法使い(50)英雄(47)細工師(49)暗殺者(36)


 ・ナジャリ     ドワーフ ♀ 16歳 鍛冶師 Lv46

 ・アナンタ     猫人族  ♀ 20歳 暗殺者 Lv45

 ・ジャーブ     狼人族  ♂ 28歳 騎士  Lv45

 ・ヴィクトラ    竜人族  ♀ 12歳 竜騎士 Lv44

 ・エマレット    狼人族  ♀ 19歳 料理人 Lv32 OFF

 ・パニ       竜人族  ♂ 15歳 探索者 Lv44



 ・収得品

   鉄      × 2   ヒレ     × 2

   岩      × 2



 ・繰越金額 (白金貨2枚)

     金貨 89枚 銀貨 95枚 銅貨 27枚


   食費                200й


            銀貨- 2枚

  ------------------------

  計  金貨 89枚 銀貨 93枚 銅貨 27枚



 ・異世界45日目(12時半頃)

   ナズ・アナ40日目、ジャ34日目、ヴィ27日目、エミ20日目

   パニ10日目



 ・トラッサの迷宮

  Lv   魔物       /    ボス

  53 ロールトロール    / ※

  54 ピックホッグ     / ※

  55 パットバット     / ※バッドバット

  56 レムゴーレム     / ※ハーレムゴーレム

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― 新着の感想 ―
[一言] 色々議論を呼んでいますが、もし騎士団の探索者がいて、退役や解雇後に盗賊や他領エージェントに拉致られたら解禁階層以上の中間部屋やボス待機部屋に勝手に行かれて討伐されてしまうので、あえて同行させ…
[良い点] 良い点 確かにこの方法なら、攻撃魔法の援護がなくても数の暴力で押し切れるよ。 麻痺しても前後交代で薬を飲ませる余裕がある。 魔物部屋も複数パーティーで突入することができるし。 […
[気になる点] >「何だ、お前はそこを知らないのか。 複数のパーティで同時に入った場合はボスが湧かないし、既にボスが残っていたとしてもダメージは与えられない。 セリーが説明していたと思いますが?ミチ…
感想一覧
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